完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~ 200~
*189*
「ユリさんが…悪魔!?」
ゆらり、ゆらり、とユリが立ち上がる。
「わたしは、植物の…悪魔…!」
「―――っ!」
みんなが驚いた。
確かに、それはユリのはず。
でも、そのまがまがしいオーラ、恐ろしげな表情は、前のユリからは、想像がつかない。
ユリは、口の端を歪ませ、両手を植物に向かって伸ばす。
「植物よ、我に従え…!」
「くっ…」
相手は、あくまでもユリ。
手を出すことができないので、みんながおろおろする。
「あははっ、そうだ、ユリ。君は悪魔。悪魔なんだよ―――!」
「――――くそっ!」
翔が、舌打ちをする。
こんな状況では、人数がどうであれ、関係はない。
「ユリ!キミは、そんなことしたいって思ってないだろ!?」
鳴神が必死に呼びかける。
「―――っ」
一瞬、ユリの動きが止まり、悲しそうな顔をした。
それは、元のユリだった。
美しいが、どこか儚い…淡い表情。
「ユリ!早く攻撃をするんだ!君は悪魔だろ?」
「てめぇは黙ってろ!!」
「あ、綾美…っ」
綾美の毒舌発射。
しかし、こんなので諦める悪魔ではない。
「わ…わたしは…」
そう言い、しゃがみ込んでしまう。
―――ドクン
何をしている?早く攻撃をしろ
どこからともなく、少年の声がユリの頭の中で響いた。
すると、ユリはまた、口の端を歪めて笑った。
「そうね…わたしは…悪魔!!!」
また、ユリの力で植物の蔓が伸びてくる。
「―――ユリ!」
「鳴神さん!?行っちゃダメ!」
綾美の言うことも聞かず、鳴神が飛び出していく。
もう、俺は何も失いたくないんだ…!
―――ユリがいないと、俺は…!
もう、失いたくない。
友達も、仲間も、家族も、大切な人も…!
「―――ユリ―――!」
たとえ、かっこ悪くたって、構わない。
たとえ、キミが何者でも、構わない。
ユリは、ユリ意外の何者でもないから―――