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*195*
「う…あ…」
手にぬめりとまとわりつく、生ぬるい血。
れんと黎夜は、ピクリとも動かない。
しかし、血は流れ続けていて―――
―――ポタッ
倒れた2人に、紗綾と綾美の涙が滴り落ちる。
ああ、絶望って、きっと、こういうことを言うんだわ
自分ではなく、大切な人が傷つくことが―――
「あ…やみ…」
「サ―…ヤ…」
『!?』
絞り出すような、今にも消えそうな淡い声。
「俺は…俺たちは、大丈夫…だか…「しゃべっちゃダメ!お願い…」
これ以上、あなたが傷ついていくところを、見たくない
「死なないでよ…」
あなたが死んだら、わたしはもう生きていけない
「は…?何言ってんだよ、おまえ」
「え…?」
涙でぬれた綾美の頬を、そっとなでる。
「言っただろ?好きな女残して死なねーよ、って」
れんは、安心させるように柔らかい笑みをこぼし、また目を閉じた。
「綾美…応急処置…できない?」
「え、できるけど…あいつが狙って…」
「…わたしが相手をする。だから、その間に…」
応急処置をしずにこのまま時間がたてば、2人は死ぬだろう。
「―――わかった」
わたしにできるか、わからないけど
―――やるしかないんだ 大切な人を守るために―――
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