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*198*
「…破魔よ、悪を浄化する眩き輝きとなれ!」
「ぎゃあぁあぁあ――――!!!」
なぜか、あっさり消滅。
綾美が力を放ったあと、すぐに消滅してしまったのである。
「…なんか、ちょーあっさり」
「―――うん」
相手も、疲れがたまってたのかもしれない。
「じゃ、戻りましょーか!」
「ちょ、ちょっと待て!」
笑顔で言った綾美に、翔が呼びかける。
「志穂と徹平が…いないんだ」
「え…」
翔の爆弾発言に、絶句。
しかし、その近くにいたかえで、悠斗、ユリ、鳴神、翼も気づいていた。
「え…なんで…」
「それが、おれたちにも分からないんだ」
翔に代わって、翼が言う。
「このあたりにいたはずなんですけど…」
ユリがためらいがちに声を出す。
「ほぉ…大木?」
ユリが指差した場所は、大きな木の手前。
「ここに、なにかあるのかな?」
紗綾の意見を聞き、綾美はそこに手を当てる。
「―――地よ、留めし記憶を我に」
そう唱えると、ブレスレットが光った。
アーティファクトを使っている証拠だろう。
「ど、どーだった?」
「ん、見えなかった。闇の力で塗りつぶされたみたい…」
「え、じゃあ…」
「2人がどこ行ったのかは、記憶では分からない」
「そんな…!」
みんな、がっくりと肩を落とした。
せっかく…悪魔に勝ったのに。
しかし、綾美は冷静だった。
「でもね、ここの記憶が消されてる、ってことは、ここで何かがあったってことなんだ。だから、記憶が消された。…つまり、ここになんか仕掛けがあるはず…」
どうやら、綾美にはなんとなく2人がいなくなったわけが分かっているようで…。
「精気を吸いたいのなら、ここにいる体力を消耗した全員を連れ去ればいい。そうじゃないということは…」
ここでいったん言葉を区切る。
「悪魔が、志穂か徹平さんの体を乗っ取ろうとしているということだ」