完結小説図書館
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【第三話】
『息抜きに蓮根でも』
ある日の事、珍しく私のアパートでインターホンが鳴る
ここにお客なんて滅多に来ないので、鳴るときと言えば大体は...荷物が届いたときぐらいだろう
「はーい、今行きます」
そんなものだから私は扉を開けるときは判を常備するようになった、大体使うからね
「宅配便でーす」
宅配...そうか、そろそろ『あの時期』だったか
私は判を押し、荷物を受け取って宅配員に軽く礼をして扉を閉める
箱に手紙が同梱されていた...相手は実家で暮らしている私の母からだ
『立香へ』
『同居人のジャックさんと元気にやれてるかい』
『あんたは昔から無茶ばかりする子だからその人に迷惑かけるんじゃないよ』
『最近料理してるそうだからあんたの大好きな蓮根(れんこん)、たっぷり詰め込んでおいたからね』
『しっかり食べなよ 母より』
...相変わらず厳しいなぁ、母さんは
箱を開けると、確かにぎっしりと詰まった蓮根が入っていた
とりあえず今日の晩御飯は決まりました、ありがとう母さん
今日は休日...仕事のためにバタバタしなくていいんだ
ただ、遊ぶためのお金なんてあるわけないので散歩しかやらないけど
「外に出ようか、ジャック」
「うん、きょうはどこへいく?」
カルデアに入る前はネットサーフィンぐらいしかしていなかったが、ジャックが来てからは彼女の健康管理と同時に自分の事も気にし始め、外に出ることが習慣になり出している、良いこと...なのだろうか?
...
「寒いな...」
この季節は嫌というほど冷えてくる...母さんもよくこの時期に蓮根が手に入ったと不思議に感じるくらいだ
「今日は図書館にでも行こうか」
「うん!」
まぁそんな休日なんて本でも読んでいたらいい、普段派手に動き回ってるんだ、休日くらいはじっとしていた方がいい
...
「あっ、先輩」
「マシュ!」
図書館の大テーブル、マシュは無数の本を詰め込んで読み進んでいたところだ...こんなところでも休まないのか、彼女は
「あっ、私はちょっとした勉強を...」
「勉強...ね」
確かに横には学書に参考書だの何だの、分厚い本が詰まれているが、その隙間にある比較的薄い本を引っ張り出した
「あっ先輩それはっ...」
『晩御飯に使えるもやしのレシピ100』
本屋とかでそれなりに並んでる料理のレシピ本だった、図書館ってそんなのまで並んでたのか、知らなかった