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*60*
「よいしょっと」
立香は山盛りの米を炊き上げ、大きなお椀に詰め込み焼き上がった牛肉を乗せる
「流石にこれだけだと味気ないな...ジャック!」
立香は手を振ってジャックを呼び寄せる、ジャックは嬉しそうに立香に張り付いて牛丼を見る
「追加で欲しいものはあるかな?」
「ねぎたま!」
「よし分かった、じゃあこれを頼む」
立香が長ネギを取り出すとジャックは包丁二つを両手で持ちあっという間に刻んでいく
最近Cチームの報告によりジャックは小刀等で刻む技術が優れていると知ったからこうやって試しているのだ、ジャックの包丁捌きであっという間に長ネギと玉ねぎが細かく刻まれ、立香が玉ねぎを三人分綺麗に入れ、一皿に山盛りの刻みネギを詰め込み、生卵をテーブルで叩いて割り、白身を流し台に入れて生卵を乗せる
「ネギ玉完成、さて次は大根を粉々になるまで刻んでくれるかな?」
「いいよ!」
立香が大根を取り出すとジャックは滅茶苦茶に 包丁を振り回して大根をぐちゃぐちゃにして大根おろしのような形に変えた、それを牛丼に移してポン酢を取り出して味付けする
「おろしポン酢も完成...清姫さんは何か付けてほしいものはありますか?」
「わたくしはそのままで構いません」
「そうですか、今用意しますので待っててください...ジャックはネギ玉、私はおろしポン酢ね」
「うん、ありがとう!」
「こっちこそ助かったよ、凄いねジャック」
立香は牛丼を運んでテーブルに乗せ、三人分のスプーンと紅生姜の袋を取り出す
「欲しい人は遠慮なく食べてってくれ...それでは、いただきます」
「いただきます!」
レトルトも使わない飲食店で見るような牛丼を作れるとは立香自身も思っていなかった、お店に出てくるようなトッピングを作れたのはジャックの類いまれならぬ解体の才能だろう、サーヴァントというのは本当に凄い力を秘めている
「君の力は凄い、偉いぞージャック」
「えへへー」
「.....」
清姫は黙々と箸を取り出して丼を食べながら、ジャックを眺める
「えーと、貴方のような姫君に合うような味ではないのかもしれませんが...」
「いいえ、美味しゅうございますよ」
「そ、それならいいですが...こりゃ彼も焦るだろうな...」
「なぜ?」
「何故って、そうだな...」