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*59*
藤丸は『正義の味方』の三話をじっくりと見ていると、清姫が後ろから話しかけてくる
「藤丸様、貴方は嘘をつかない方なのですね」
「え?なんでそう思ったんですか?」
「わたくし、ウソをついてるかどうか分かるんです」
「へぇ...そいつは凄い」
立香は把握していないが清姫やジャックといったサーヴァントには特殊なスキルが存在する、代表的なものだとメイヴ等が該当する【ライダー】の『騎乗』はあらゆる乗り物を乗りこなすことが可能とされるスキル、ジャックは『外科手術』というスキルで簡単な治療を行うことが出来ると言われている
「不思議だなぁ...ああ、そうだ清姫さん」
「なんでしょう?」
「貴方のマスターってどんな人なんですか?」
「旦那様(ますたぁ)以外の何者でもありませんよ?それがなにか?」
「うーん、信頼はされているようだな...貴方の事で何か気にかけていたみたいだし...あともう1つだけ、なんで彼は私達に電話をさせたの?」
「あの方によると試したかったそうなのです」
「試す?何を?」
「私を預けるべき者が嘘をつくか否かをです」
「ああ...なるほど」
立香は何となく分かった、こんなに綺麗な人が『ますたぁ』と言えば素直に応じてしまう人が出てくるだろう、というよりはそう答えたものが居るのかもしれない、しかし立香は冷静に違うと答え続けた結果、彼に任せておいても大丈夫と判断されあの日呼び出されたのだろう
「サーヴァントの事をよく考えてはいるが...君も大変だっただろう?毎日毎日...」
「いえ、マスターの命があればどんなことでも行いますわ」
『テレビの前の皆!嘘をついても良いことなんて何もないぞ!正直に生きよう!』
『だけど嘘は中々分からない!結局のところ嘘か本当かは言った本人にしか分からないんだ!言葉には気を付けよう!』
いつものお決まりの言葉と共に『正義の味方』第三話が終了する
立香はDVDを切ろうとするが、清姫がリモコンを取って巻き戻しボタンを押す
「どうかしました?」
「この話、もう一度見てもかまいませんか?」
「あっ、どうぞ...その間私は牛丼作りますので」
立香は立ち上がって台所へと向かう、清姫は番組をじっくりと眺めながら軽く呟く
『私たち、皆正義の味方が大好きだよねー!』
『私たちの為にこれからも頑張ってね!正義の味方さん!』
「...嘘を、ついておいでですね」