完結小説図書館
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*12*
「せ、先輩、違うんですこれは...ダ・ヴィンチちゃんが...」
よくよく見たら参考書の中からレシピを挟んでいた...なるほど私も子供の頃よく見たな、教科書の中から漫画を読むような奴
「まあ別にいいよ、誰かに話すようなことだってしない」
「は、はい」
しかしどうしたものか、真面目に勉強している後輩の目の前で漫画を読むのはカッコ悪いし...どうするか
「あっ、蓮根」
「え? 」
ジャックが後ろの本棚から別のレシピ本を取り出していた...表紙には蓮根料理が写ってた、この事か
「あっ、取りたいの?ちょっと待ってて」
三段なら高さ的に脚立を使うまでもない、本を取り出して軽く開きながらテーブルに向ける
「先に言うが見たからと言って晩御飯にはならないよ」
「えー」
「まぁ、作りたいものは既に決まってるからね...おかず2くらいにはなるかもしれないけど...おっ、れんこんのハンバーグだって」
「...」
「嫌なのかい」
バター炒め、おかか醤油煮...沢山送ってくれたからちょっとした和え物を付ける事も出来そうだな
だが既に晩御飯のおかずは決まっている、メインにならない程度の物を見ておかないと...
「...」
横を見るとマシュがチラチラ目線だけ向けていた、この後輩め普段は真面目なくせに瞳だけは正直だ
「マシュ」
「はい」
「私ってつまらない男だろ?せっかくの休日で図書館に来ているというのに読んでいるのは料理の本だ」
「世間的にはどうなんだろうね、私みたいな奴」
「...その質問は、私には難しいです」
「そっか、ごめんね変なこと言って...」
実際私はろくに本を読めてない、まぁ本を買うお金がないというのもあるが
漫画か料理本かどっちかしか読んでいない気がする、たまには小説でも読もうかな...
時刻は11時、気がついたらもうすぐお昼時だ
とりあえず昼はカップ麺でも食べて、ジャックには簡単なものでも作っておくか...
「じゃあそろそろお昼だしまたね、マシュ」
「あっ、はい...」
食べたあとはまたジョギングでもしながらのんびり過ごそう...最近は公園もなくて子供が遊ぶ所が少ないなぁ
あの人も私みたいなのがマスターだったから...あの人は...