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*14*
「れんこんは?」
「...もう切ってあります」
れんこんチップスは細かく切ったものを酢水に付けてアク抜きを行い、ザルで水気を取る必要があるらしい
まさかこんな手間が掛かるとは思わなかったが、大好物のためなら面倒なことだってやってやるさ
「つまり後は揚げるだけってわけね」
「そう、だから危ないから...」
「じゃあやってみよう!」
「あのぉ!! 」
...
れんこんの山をザルから上げ、揚げるための油を入れ...そこに蓮根を入れる...小麦粉もなしに揚がるなんて不思議だと思ったが、そういえばポテチもそうだったな
おやつ感覚にならないように沢山切って沢山入れたが...食べきれなければ私が食べればいいだけか
「ほら、マシュもやるよ!」
「は、はいっ!」
ダ・ヴィンチさんに後押しされるようにマシュも蓮根を油へ投入していく...本当に大丈夫だろうか?もし火傷でもしたら大変なことに...
「君、少し過保護すぎないかい?親か何か?」
えっ
「今私の心読みました?」
「ああ、特殊な装置とか無しにね...何となく分かるんだよ、君は」
...そ、そうなのかな、言われるほど単純な気もしないけけどなぁ...そうなのかな
「おかあさん!」
「あっ...やっば!!」
ぼーっとしていたら泡が少なくなって色付いていた、いかんいかん、すぐに皿に移して新しい蓮根を入れる
「せ、先輩...」
「情けないなぁ私」
「やれやれ、この人も困り者だ」
「...」
なんだろう、この光景
ずっと前の私にはあり得なかったであろう風景だ
あの頃は無力でダメダメだった...まだ、それほど経っていないのにずっと前に感じる
.本当に、あの頃の私は...なんて出来損ないだ
...
「出来た...」
マシュの手を借りてわりと早く切った蓮根を揚げる事が出来た
いい色、いい形...子供の頃から憧れていた山盛りのれんこんチップスが今目の前に居る
「あああ...凄い...凄い...」
いつ食べてもこれは美味しい、私にとってはお菓子じゃない、立派なご飯だ、フライドポテトみたいなものだ、ああ美味しい美味しい
「おかあさん!」
「あっ、すまない!一人で食べちゃいけないよね...二人も食べるんだよね?」
「ああ!もう夜だからね!」
「ダ・ヴィンチちゃん、着いてきただけじゃないですか...」
「正確には君を引っ張り出して来たんだがね!」