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*19*
...
メイヴ、女王メイヴ
万物の母にしてケルトの侵略者...私のサーヴァント
まさかまた私の元に現れるなんて...
「出ていったりはしたけど別に帰ってはいないわよ」
「そうだっのか...でもどうして?」
「だって、今日はクリスマスでしょう?貴方はどんな風に過ごすのか個人的に気になっちゃって」
「ははは...まあ見ての通り、これでも少しはマシになったけど」
メイヴは私の洗った皿を見ながら台所を撫でる
「そのようね、最初貴方に会ったときは加工食品ばかりで本当に私の栄養管理をする気があるか疑問だったもの」
「...でも、部屋が狭いのは相変わらずさ」
「もう少しいい部屋に住めないの?」
「残念ながら今はこれが限界」
「情けないわね、貴方は私のマスターなんだからもっと上質な生活をしなさい」
「もっと頑張るか...ねぇ女王、私との生活に耐えきれなくたって出ていった後はどうしたんだい?」
「一人で生きていくことにしたのよ、昔の貴方みたいに」
...英霊による独り暮らしか、聞いたことはないが彼女達だって私と同じ人間なのだから不可能ではないのだろう
「個人証作って仕事探して家建てて...一人で全部やるのは大変だったけど、少なくともここよりはいい生活できてる」
「...やはり女王は凄いな」
「当然でしょ?女王なんだから...ま、独り暮らしの挨拶っていうのもここに来た理由なんだけど」
「そうか、不自由せずに過ごしていると知れただけでもよかった...」
「言っとくけど私は貴方と一緒に暮らすつもりなんて更々無いんだから」
「それは私もよく分かっているよ、君の顔を見れるだけで私は幸せさ」
「欲がないのね」
「この通り貧乏だから当然さ、欲望なんか無駄に多くても実力がなければ意味がない」
私という人間を女王はどう見ているのだろうか?
やはり多くを求めない者はつまらなく感じるだろうか?
だが...
「それでも、私は必ず貴方に相応しいマスターになってみせるから...」
「この調子じゃ何年かかるか分かんないわよ」
「う...」
「まあいいわ、最初みたいな情けない姿を今でも見せてないだけ成長はしてるみたいだし」
「じゃあ、次またここに来るときはもっといい男になりなさいよ?」
そう言って女王は雪の中へうっすらと消えていった...
...
...その後玄関のそばで私は目が覚めた、あれは夢だったのか?
いや、そんなことはどうでもいいだろう...夢であれ現実であれ関係ない
25日の...聖夜(クリスマス)の奇跡であることには変わりないのだから
END