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*21*
「さて、その名刺にも書いてあるけど僕の名前はロマニ・アーキマン、本部の人間は『ロマン』と呼んでいる」
「ああ...どうも、ロマンさん」
「硬くなることはないよ、お説教とかするわけではないんだから...念のため言うけど、記録は残してある?」
「記録?...ああ、これですか?」
カルデア専用のタブレットにはサーヴァントの健康管理アプリが内蔵されている
とはいっても私は献立とその栄養素ぐらいしか書いていないのだが...
アプリを起動させロマンさんに渡すと、じっくりと観察していった
「ふむふむ...丁寧に写真も載っているから虚偽の報告でもないみたいだ...ただ」
「ただ...なんです?」
「ダ・ヴィンチちゃんを君なら知っているだろう?」
「はい、マシュのお目付け役みたいな立場の」
「彼女...いや彼?まあどっちでもいっか...とにかくダ・ヴィンチちゃんから聞いたんだけど、君のサーヴァントは女王メイヴじゃないのかい?なんで別の英霊の姿が?」
...ああ
「やっぱり分かりますか」
「仮にも本部の人間だからね...説明してもらえる?」
「...私は女王に相応しくないマスターだった、ということです」
「つまり、捨てられたと?」
「その通りです...私も日々女王に追い付くために精進してはいるんですけどね」
「じゃああの英霊は?」
「...あの子のマスターが3週間前に失踪しました」
「私の同僚なんですけどね...殺人鬼の飼育なんてやりたくないと言って...カルデアを抜け出して...」
「飼育って...サーヴァントはペットじゃないんだから...」
今の発言だが嘘はない
私が捨てられたのは事実だし、認めたくないがジャックが同僚の一人に捨てられたのも事実だ
私は傷の舐め合いをしているわけではない、誰かと一緒に暮らしていないとやってられなかったんだ
それに...いざ暮らしてみると普通の女の子のような面もあり可愛らしく見えることもあった
「珍しいこともあるものだ」
「やっぱりダメですかね?」
「うーんそうだな...別に2人以上と契約してはならないというルールはないし...」
「令呪を持ってないのにこれは大変そうだな...」