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*29*
冬ということも相まって、カルデア本部に繋げてロマンさんと話をする頃には既に真っ暗になっていた
「こんなに早く報告することもないのに」
「後回しにすると忘れてしまうかもしれませんので」
「...まあ勤勉なのはいいことだよ、だが焦らないように、マスター自身の健康も大事だ」
「すみません...で、女王メイヴに関してなのですが...」
...私は女王が話していたことをロマンさんに報告する
「つまり今のところは人間と変わらないくらい普通に生活してる...と判断して良い?肩持ちしてない?」
「はい、今のところトラブルも起きてないみたいです」
「ふむふむ...サーヴァントがバイトを行うなんてことは僕も度々耳にするからね、今は信じておくよ」
「ははは...マスターなのに情けないですね、私」
「そんなことはない、向上心があるものはそれだけ立派だ、若さを誇りなよ!」
ドクター・ロマン...あの人はその通称に恥じぬくらいカッコつけたような言葉を話すと聞いた
私にとっては安らぎになりそうな言葉だがね...
「えーと...もう、いいですかね?今日の晩御飯の材料まだ買ってなくて...」
「そうなんだ、それで今日は何を作ろうと思っているんだい?」
「最近冷えてきたので暖かいものを...ちゃんぽんとかにしようかなぁ」
「へぇ...いいね、君のサーヴァントが羨ましいよ」
「最後に上司っぽいことを言わせてくれ、君と一緒に過ごしているジャック・ザ・リッパーも、君と同じくらい幸福者なんだ、それを忘れないように...」
...
ロマンさんの最後の言葉が私の脳内で何度も繰り返し再生して脳に響く
ジャックは幸せだろうか?本当は毎日あの女王のような暮らしがしたいのではないのか?
私では不自由だろうか?
...そして、もう1つ気になるのがクー・フーリンさんの言っていたあの言葉。
「お前はサーヴァントを奴隷だと思ってるやつが居たら...何をする?」
サーヴァントを奴隷に?それがどうにもわからない、だってここは...カルデアはサーヴァントと心を共有して生きていくような場所じゃないか?
「ジャック、早く帰って暖かいちゃんぽん食べようね」
「うん、わたしたちもなにかできることがあったら...なんでもするよ」
「まさか君が手伝いをしたいと言い出すなんて...」
「だめなの?」
「いや、嬉しいよ...一緒に料理しよう」
「うん」
しかし、私の思いとは裏腹に...クー・フーリンさんの言っていた言葉の真意に迫っていくことになることを、今の私はまだ知らないだろう
END