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マスターさんは晩御飯に悩んでいる。(完結)
作者: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E  (総ページ数: 78ページ)
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*39*

真夜中。皿洗いを終えジャックが布団に入って眠りに入った頃、立香はようやく風呂にはいる、風呂といっても時間と水道代が掛かるのでシャワーを軽く浴びる程度でしかないのだが
起こさないように爪先で一歩ずつ歩き浴槽に入る...シャワーの準備を始める頃、扉の向こうからメイヴのシルエットが写る

「ねぇ、あんたいつもこの時間に入ってるの?」

「まあね」

通る途中時計の針をちゃんと確認している...現在は午後十時、子供は眠りに入り年頃はドラマを見終えるそんな時間だが、立香にとってはまだ寝るには早い時間である

扉越しなのでどのような表情をしているのかは分からないが、今までからは感じられなかった口振りでメイヴは喋りだす

「ねぇ、もしサーヴァントがマスターに反乱したら...どうする?」

立香は考える暇もなく口に出す

「それはもちろん、私がその程度のマスターだったと言うことだ」

シルエットのメイヴは鞭を取りだし素振りの後、立香の方に手を当てる

「私は今ここで貴方を殺すことも出来る、そして今の貴方は令呪でそれを阻止させることも、私を殺すことも出来るわ」

令呪によるサーヴァントの殺害...すなわち『自害』の命令
本来はあまり推奨されない力だが、緊急時には発動する者も多い

「何故私が貴方やジャックを殺さなくてはならないのですか?私よりずっと上手く生きている貴方達が?」

立香は分かっていた...というよりは、当たり前の事だった、人間がサーヴァントに敵うはずがないと、だからこそ...信頼していると

メイヴは扉を明け、隙間から目を覗かせる

「マスター、正直に言ってメイヴちゃんの為に血と汗を流すその姿は素敵だと思っている...けどそうやってどこか諦めたような、脱け殻みたいな性格は嫌いよ、私の隣と前に立ちたいのならもっと男らしくなりなさい」

その瞳はどこか悲しそうにも、呆れているようにも見えた

立香はそれを眺めた後、ゆっくりと扉を閉じた

...

翌日、二人が目を覚ますと既にメイヴの姿はなかった
立香は気も落とさずいつも通り朝御飯を作り、いつも通りの道を通ってカルデアに向かう

『もっと男らしくなりなさい』メイヴに課せられた新たな使命を胸に掲げながら...

END

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