完結小説図書館
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*41*
...扉の先はマシュの部屋、申し分程度のソファと本棚と台所とベッドがある単調な場所
これでも自分の部屋と比べたらまだまだ快適な方であると立香は述べるだろう
マシュは仕事を終えてすぐソファに持たれ込んで休息を取る...マシュは今これしか『やりたいこと』がない。
しばらく横になっていると入ってきた方の壁が開いて右手に古文書を抱えたダ・ヴィンチが現れる
「今日もご苦労だった、マシュ、今回はどうだったかな?」
「本日不達成、途中終了はBチーム7名 Cチーム3名 Dチームは12名です」
誰も知らない、感じていないマシュの本当の仕事...それは日本支部の人間の評価の報告だ、裏から情報を調べあげ、本部のサーヴァントであるダ・ヴィンチへと送られるという簡単な流れ
マシュはこのために本部から派遣され、皆の後輩として振る舞っているのだ
「ふんふん、Dチームは最近動きがよくないみたいだな、リストラを考える頃合いだろう...サーヴァントからの評価が低いものから切り捨てよう」
「辞めさせるのですか?」
「うちもちゃんとした仕事だからなぁ、出来ない奴は切り捨てられる...当然のことだ」
「.....」
世界中の色んなところでマシュは人間を評価し切り捨てていった
そんな毎日を送り、ぼーっと生きていた
...しかし
「ダ・ヴィンチちゃん、今日の晩御飯ってまだ決まってませんよね」
「ああ、ご要望があればなんでもいいたまえ、それとも君が作ってみるかい?」
「私が?」
初めて日本に来て、初めて料理を経験し、初めて楽しいことをやった...
藤丸立香、彼との出会いがマシュのなにかを変えていった
彼が聞けば「私で変わるのなら誰であろうとマシュを変えることはできた」と笑うだろう、しかし今のマシュにとって立香という男は特別であることには変わらない
「では...私、作ってみたいものがあるんです」
この日...ずっとカルデアから決められたものを食べ続け、自分の意思で料理をしなかったマシュ・キリエライトは....初めて献立を要望した
ダ・ヴィンチは驚くこともなく、静かにマシュを撫でる
「そうか、君がそんなことを言うようになるなんて...で、何を作る気なんだ?」
「えっと...」