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*54*
立香は『正義の味方』の話をロマニに語る、街に現れた正義の味方、尽きない悪、失敗もするが挫けずに立ち向かう勇姿、弱きを見逃せないお人好し...その隣に座っていたジャックは退屈そうにうたた寝をしていた
話を聞く最中ロマニはメニューを読みながら話す
「へぇ...あ、そうだ、一つだけ聞いていいかい?カルデアは正義の組織と言っているけど、どこから聞いたんだい?」
「え?最初はチラシで、入ってからはサーヴァントを平和利用するってよく聞かされて...」
立香はきょとんとした顔で答えるが、ロマニの顔は先程のように明るくはなかった
「あの...もしかして私まずいこと言ってしまいました?」
「いや、君は気にしなくていい...お代は僕が払うから先に帰りなよ」
「え!?そんな悪いですよ!」
「いいって、ここに誘ったのは僕なんだから!じゃ、明日またお仕事頑張りなよ!」
ロマニは財布を取り出し、立香はジャックを揺らして起こし、軽いお辞儀の後店を出ていく...
立香の姿が見えなくなった後ロマニは空を見上げて呟く
「日本支部のサーヴァントの扱い方...思った以上に深刻な内容かもしれないよレオナルド、彼は何も知らないのが幸いだが...少なくとも、彼の回りだけは平和にしてやらないとね」
...
家に付いた立香はDVDプレーヤーを起動してDVDを張り付ける、ずっと憧れてきたヒーローにまた会える立香は成人男性とは思えない純粋な顔をテレビに向け、ジャックを膝に乗せる
「さてさて、一緒に観ようかジャック」
「うん!」
テレビはありがちな試聴時の警告の後、淡い映像から赤いヒーローを撮す...
...
『私はヒーロー、これといった名前はない』
『私はヒーロー、町を守る正義の味方だ』
『ヒーローと言っても、私は怪獣と戦ったり悪の秘密結社を壊滅させるわけではない』
『目の前で困っている人を救い、平和な明日を報酬に生きていく存在、それが正義の味方だ!』
赤いヒーローはテレビの方を指差した後、愉快な音楽と共にタイトルコールが始まる
主婦やサラリーマンに声をかけられ、小学生がよりつき、怪人のシルエットが乱入するも撃退...その後タイトルが飛び出す、ドラマでよくある短くも爽快なOPだ
『正義の味方』
【第一話】