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【第十話】
『やりたいこと』
結界では作業のように動画投稿が進んでいた
アイム
「はいこれ、私の動画だ」
零代目
「コウモリ、アップロードしておけ」
コウモリさん
「あいよ」
ユイ
「お腹がすいた」
零代目
「あっちに冷蔵庫作ってある」
ユイ
「...」
リッキー
「ねぇ」
零代目
「どうした」
リッキー
「君って自分で動こうとしないんだね、私たちをスカウトしたときのように」
零代目
「それは俺がやりたいことだからな、なんで俺がお前達の『やりたいこと』に付き合わないといけない」
リッキー
「相変わらず自分勝手な人だ」
零代目
「自分勝手?進化と言ってもらいたいな」
零代目
「他のメイドウィンは口に出さないが俺ははっきりと言わせてもらう」
零代目
「一人じゃ生きられないという歌があるだろう、それはお前達生き物が弱いからだ」
零代目
「神はたった一人でも生きていけるだろう、孤立しようと一人でなんでも出来ない生き物が悪いのだ」
リッキー
「...ふーん、それってジャガーってやつもそう思っていたのかな?」
零代目
「さあな...だが俺は間違ったことは言っていない、お前達の種族的には違くてもメイドウィン的には正しい事だ」
リッキー
「メイドウィンに会ったことがないから、私には分からない理屈だ...」
零代目
「だがジャガーが自分勝手というのは間違ってはいないな」
リッキー
「何故?」
零代目
「この世界の魔王...マリアーゼと言ったか?」
零代目
「まさかソラ・マリアーゼにガキが出来ていたとは思わなかったが...」
アン
「時系列的にガキってレベルじゃないと思うわ」
零代目
「...自己満足だよ」
零代目
「黒影は恋人を生き返らせたいという意思だけで全ての世界を滅ぼそうとして、死んだ」
零代目
「ジャガーはそんな犯罪者のクローンだ」
アン
「えっ!?」
零代目
「クローン...遺伝子だとか、DNAだとか、そういうところが似たりするのだな」
零代目
「黒影は、たった一人の女の『愛』だけを背負って生きた」
零代目
「ジャガーも同じだ、ヨソの魔王に惹かれたあいつは...この魔界を作った」
零代目
「一人の女を、永遠に愛するために」
コウモリさん
「...」
リッキー
「メイドウィンって、気持ち悪いね」
零代目
「そんなに気持ち悪いか?」
リッキー
「ああ、そうだよ...だって、ジャガーも君も、そういうことを悪いことだって思わないんだもん」
零代目
「ふっ、それはそうだ...俺やジャガーの世界操作など、お前達からすればそうやって動画を投稿するのと何も変わらん」
アン
「つまり?」
零代目
「『暇潰し』にすぎないんだよ」
コウモリさん
「足元すくわれんなよー?」
零代目
「すくわれてたまるか」