コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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*切恋華* $実話$ 二年生編、突入!
日時: 2010/04/30 23:19
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=17321

*2010.3/25*第一期『切恋華』完結しました!!

+2010.4/6* 第二期、続編すたーと


叶わなくても、辛くても。

私は耐えるから。

だから、もう少しだけ——……。

君を好きでいてもいいですか?



実話ですよ〜^ω^b
あ、でも展開とか細かいところはフィクションたまに入っとりますb(ぇ

作者の名前一覧*
絵磨◆VRtMSlYWsU

    掲 示 板 編 集 中 !

(●´・ω・)ノ☆☆☆HELLO☆☆☆☆ヽ(・ω・`○)
今絵磨は……
いる『』 いない『○』 更新中『』 他のサイト、他のスレ『』 散歩中(ぇ『』

☆注意☆
*実話ですが、全員本名じゃありません!
*更新はノロいです0Д0なるべく早くなるよう頑張ります!
*中傷・ケンカは×!!
*長編なので、ぜひ! 暇つぶしに読んでください♪


『*切恋華*』〜*今までのstory*〜
第一部『この想い、君に届け。』
第二部『ねぇ…お願い。気づいてよ…〜叶わない想い〜』
第三部『君の傍にずっといたいよ…。〜大好きだから〜』
第四部『大好きだよ。想いよ、君に届け!』
第五部『あの時みたいにからかってよ!』
第六部『ごめんね…? やっぱり、大好きだよ。』
第七部『*overflow feelings*』(溢れる想い)
第八部『*love a decisive battle*』(恋の決戦)
第九部『大嫌いだよ、君なんて。』
第十部『*切恋華*』


【第二期】

          〜目次〜









.:*゜..:。:.::.*゜お知らせ&イベント.:*゜..:。:.::.*
あとがき>>677


※コメントありがとうございます><
なるべく皆様の小説にコメントしたいと思ってますが、時間が無くて出来ないことがあります;
それと、コメ返しも出来ないことがあります><

ダメな作者ですが、よろしくお願いしますm(--)m

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Re: *love a decisive battle* $実話$ ( No.31 )
日時: 2010/01/26 18:07
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: バレンタインに告白……なんか不安になってきた((

第百七十六話『偽りの笑顔』

次の日——……。
学校へ行くと、もうほとんどの人が来ていた。
教室の真ん中では、私を見てコソコソと話す愛可と弓香がいた。
私は、荒々しくカバンを置いて廊下に出ようとした。

その時——……。

「弓たん〜! 今日、沙羅熱出して休みだって!」
「えぇ!? マジ〜?」

沙羅が休み……だって!?
じゃあ今日は平和な一日になるかも!?
やったああああああああ!!!

沙羅が居なければ、愛可も弓香も私に何もしてこないと思うし!
愛可に呼び出されたとしても、全然怖くない!!
私の心の中は、大喜びだった。

——しかし、ただ一つの問題が……。
それは、森野と城沢の事。
森野と隣だし、超気まずいし……っ!!
あぁ、どうしよう!!

「うぅむ……」

私は、頭を抱えながら自分の席へ向かう。
すると、怜緒と森野と錬太郎と望が来た。

「いやぁ、寒い寒い!」
「……」
「あー、姫吉、手袋返せ」
「ふぅ」

大声を上げる望、それに比べて無言な怜緒。
怜緒から無理矢理手袋を取ろうとしている、錬太郎。

そして、隣にはため息をつく森野がいた。

「……っ」
「…………」

隣に居るのに、遠く感じる。
森野と私の間に、沈黙が走る。

「……」
「……」
「……」
「……ティッシュをもってると嬉しいんだけどな」
「はい?」

長い長い沈黙を破ったのは、森野。
森野は、鼻を真っ赤にして手を出していた。

「ティッシュ? …あるけど」
「ありがと、全部もらうぞ」
「……? うん…」

なんか、いつもの森野……だね。
私は森野の態度に驚くが、少し嬉しかった。

**

只今、一時間目の国語の授業中です。
最近の私は、授業中はうわの空。

前は、森野も話しかけてくれたし——……。
森野が怜緒に話しかけてくれるお陰で、私も怜緒と話せたりしてさ。
先生に怒られるほど、うるさくて……。
それでも、やっぱり楽しかったなぁ。

「……はぁ」

でもそれは、昔の事。
今の私は、一人。
誰も話しかけてはくれないし、私からも話さない。
なんだか……なぁ。

そう思っていると、

「……なぁ、スポンジボブって可愛くね?」
「すぽんじぼぶ?」

森野が突然話しかけてくる。
手には、スポンジボブのクリップ。
私は、驚いて拍子抜けた声を出した。

「う、うんまぁ……。可愛い、ね」
「可愛いよな? 俺、最初カビたチーズかと思ってた」
「カビって!! でもまぁ、私も思った!」

森野は、軽く笑顔を見せた。
私はその笑顔に、少しドキッとする。
——でも、きっと作り笑いに決まってる。

「あ、これ邪魔」
「!?」

森野に、思いっきり筆箱を落とされる。
私は軽く森野を睨む。

「捨てるなっての! もう…」
「スキありすぎ、ほらよ」
「あががががっ」

落ちた筆箱を拾い、机の上に置くと、また落とされた。
私は、変な奇声を発しながら筆箱をとる。
森野は、大爆笑していた。

「ウケる!! ……お前さ、いじりがいがあるよ」
「……へ?」

私は、その場で固まってしまった。
森野の表情は、


       心からの笑顔だった。


本当は、そんな事思ってないはずなのに。
本当は、そんな笑顔偽者なはずなのに。

どうして、どうして——……?
私の事が嫌いなんでしょ?
なら、そんな期待するようなこと言わないでよ——……。


偽りの笑顔なんて、いらないの。
そんな笑顔いらないから。
お願いだから——……。









      私を、嫌いにならないで——……。










Re: *love a decisive battle* $実話$ ( No.32 )
日時: 2010/01/26 18:18
名前: ちか ◆kmqB6W8CxI (ID: ECAnj5cB)
参照: またまた新作w

偽りの笑顔って題名いいよね-!
うちが見てる、
お姫様の憂鬱って言うので、
話の題名?
であったw

なんかカッコイイw

おおおぉお!
森野!!
つか沙羅やすんで良かったね〜☆ミ

私を嫌いにならないで!
なんか悲しいね-…

Re: *love a decisive battle* $実話$ ( No.33 )
日時: 2010/01/26 19:11
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: バレンタインに告白……なんか不安になってきた((

第百七十七話『曖昧な君色』

思わず本音が溢れ出しそう。

思わず酷いことを言っちゃいそう。

  
     君に惑わされてしまいそう——……。


**

二時間目は、数学の時間だった。
私は、配られた図形のプリントを見つめていた。

「……難しい……。——っと、シャー芯が無いぞ」

私は、ピンクのシャープペンシルを見つめて呟いた。
コリラックマの筆箱の中から、苺の香りつきと書いてあるシャー芯をとる。

「…お、何それ」
「あ……」

森野は、私のシャー芯に手を伸ばした。
私は、少し驚いてシャー芯を落とす。

「あ、あああああ貴重なシャー芯がぁぁぁ」
「お前、こっちにもシャー芯あるじゃん。そっち使わないの?」
「へ? あ、こっちは0.9だから使えないの」
「0.9て! バカかお前」

森野に暴言を言われる。
私は少しムッとするが、いつもの会話らしくなっていたので、自然と笑顔に戻った。

「間違って買っちゃったの! 0.3かと思って期待してたのに…。くそう」
「てかお前、ちゃんと書いてあるの見なかったのかよ! ウケる」
「買ってから見た」
「馬鹿だー!」

森野は、その場で爆笑し始めた。
私は、軽く森野の背中を叩いた。

「いやぁ、お前面白い」
「え…」
「姫吉、シャー芯あげる」

くるくる変わる、森野の表情。
それはまるで太陽みたいで——……。
私は、そんな森野の発言にドキッとしてしまう。

そんなのは構わず、森野自身は怜緒にシャー芯を寄付していた。

「何それ」
「シャー芯」
「……」
「あげるぞ」
「……なら、もらう」

怜緒は、森野から0.9シャー芯をもらう。
もらったとたん、怜緒は「え、太っ」と声を上げた。
そして、私を見る。

「……ま、間違って買っちゃった…のだ」
「線香みたい……。こんなの、入る訳ねぇべ!」

怜緒は、笑いながらそう言った。
そして、青いシャーペンに芯を突っ込む。
が、すぐに折れてしまった。

「ばーかやろーっ!!」

怜緒の叫びと同時に、教室には笑いが響いた。

**

「依麻〜」
「あ、はいはい〜」

中休み。
廊下の方では、四組の綾が手招きをしている。

綾は、最近仲良くなった女子。
綾も私と同じく、最近クラスに馴染めてないらしい。
それがきっかけで、仲良くなった……のかな?

「……ねぇねぇ、依麻ってまだ姫吉クンの事……。好きなの?」
「なっ…」

綾が、笑みを浮かべた。
私は、ドキッとしながらも「……うん」と頷く。

「おおおおお! 頑張ってね!」
「う、うん…」
「お、あそこに姫吉クン発見!」
「うひっ!?」

私は変な声を上げた。
綾の指差す方向には、怜緒がいた。
怜緒は、笑顔で壮介と話している。

そういや、怜緒と壮介の二ショットって珍しいなぁ……。

「姫吉クンのどこがいいの?」
「へ? 何かさぁ……。いいじゃん」

綾の質問に対し、私は怜緒を見ながら呟いた。
性格も、あの横顔も——……。
全部いい! カッコ可愛い!!

そう思ってると、

「ちょっ……! やめろ、壮介!!」
「ぬぁ!?」

壮介に押されてる怜緒が、すごい勢いで私の方に来た。
壮介は怜緒をぐいぐい押す為、私にぶつかる。
そのせいで、私の腕に怜緒が触れ……。
顔の距離がめちゃくちゃ近かった。

「ひ、ひぃぃぃ!?」
「やめっ…ろって! 壮介!」
「……」

壮介は、無言で怜緒を押す。
怜緒は動くことが出来ず、その場でもがいている。
私は、ドキドキしながら徐々に押しつぶされていく。

「ちょ、窒息する…」
「依麻、ほらほらっ」
「え? えええ、えええ!?」

綾が突然、私の体を怜緒の方へ押した。
そのきっかけで、怜緒と私はぶつかる状態になった。

「依麻、よかったね!」
「なっ……!!! あ、綾!」
「……っ! 壮介!!!」

怜緒は、精一杯の力を振り絞って壮介を押した。
それと同時に、私は一気に力が抜けた。
怜緒は、大声を上げながら壮介を追いかける。

「……ふ、ふふ……。びっくり、したぁ…」
「いやぁ、依麻よかったねぇ〜」
「……っ! 綾!!」

私は、綾の背中を軽く叩く。
——でも、心臓がハンパなくドキドキしてる……!!
ほんの少しの時間だったけど、怜緒に接触できてすごく嬉しかった……!!

「……」
「ふふふ、ニヤけちゃって」
「に、ニヤけてない!」

私は、綾を追いかける。
私の心の中は、躍る勢いだった。












Re: *love a decisive battle* $実話$ ( No.34 )
日時: 2010/01/26 20:58
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: めんどくさいから177話とくっつける(ぇ

第百七十八話『サスペンスなドキドキ?』

**

私は、綾と別れて自分の席に着く。
すると、錬太郎と怜緒がじゃれあっていた。

その時——……。

「うがっ」
「あぁっ!」

怜緒の変な声と、錬太郎の声が重なった。
見れば、怜緒はイナバウアーみたいな形になって机に腰を強打。
そのまま、ドサッ……と倒れてしまった。

「姫吉っ……!!」

錬太郎が、腕を広げて立ちすくんだ。
その姿はまるで、殺人を犯したような感じで——……。
錬太郎が、怜緒を殺してしまった!! ……というようなシナリオが予想される所だった。

「姫吉! 大丈夫か!!」

倒れている怜緒に気づいたのか、望が駆け寄ってきた。
怜緒は、ピクリとも動かず……。
望の膝が砕け落ちた。

「…っ! 姫吉……っ」

望は、床に向かって泣き真似をする。
なんだか本当に、サスペンスドラマみたいな展開だった。

すると、

「……笑って、る?」

望が、泣き真似をやめて怜緒を見る。
怜緒は、ゆっくりと起き上がった。

「……いってぇ〜……。痛ぇよ、馬鹿! しかも俺死んでねぇし! 腰強打したぜ、背中痛いよ!!」

怜緒は、少しキレ気味になりながら錬太郎に言った。
困りながら謝ってる錬太郎に向かって、怜緒は蹴りを入れた。

「はうぅっ」
「ばーか!」
「……ってめぇ、姫吉ぃ!!」

ここで、錬太郎と怜緒の追いかけっこが始まった。
私は呆然としながら見ていると、ケットンが私のコリラックマの綿を抜いていた。

「ちょ、ちょちょちょケットン!!」
「何だよ、依麻」
「皆さーん、綿泥棒がいますよー」
「ちょ、頭おかしい」

ケットンが、私に軽いツッコミをした。
私は、横目でケットンを見る。

「……何じゃ」
「いや、そっちこそ何だよ。俺、今これで魔よけ作ってるの」
「いやいやいや、おかしいだろ」

今度は私がツッコミを入れた。
ケットンは、かまわず綿を抜き続ける。
すると、

「ケットン!」
「ふごっ」
「!!」

ケットンは、変な声を上げた。
私は、突然の出来事に戸惑う。
ケットンに抱きついた人物、それは——……。


         姫吉 怜緒


「何だよ、姫吉」
「……渡したいもの、がある」

猫みたいに、勢いよくケットンに抱きつく怜緒。
ケットンは、怜緒を横目で見る。

「俺じゃなくて、コイツに抱きつけよ」
「っ!?」
「……」

ケットンは、私に指を差した。
突然の展開で、私はドキドキする。
怜緒は、無言で私を見る。

「……っ、……あ、来た! 逃げろケットン!」
「え、うわぁ!」

軽い沈黙が続くと同時に、錬太郎が怜緒を追いかけてきた。
怜緒は、関係のないケットンを引っ張って盾にしていた。

「……。ま、いいか」

私は、軽いため息をついて自分の席につく。
すると、今度は森野が歩み寄ってきた。

そして、

「……この本、見る?」
「へ? 何これ…」
「結構グロいぞ」
「おぉ!? 見る見る!! ありがと!」

グロいの大好きな私には、森野の本は最高だった。
森野は、軽く頷く。
私は、ドキドキしながら本を見始めた。

**

——それから、何分たっただろう。

「……」
「ゆびスマ一〜」

何故か、三時間目は自習になった。
そして、クラスの皆はやり放題。

私は、森野に貸してもらった本を熟読。
森野といえば、怜緒と錬太郎と罰ゲームをかけてゆびスマ中。

余談だが、私はゆびスマのやり方を知らない。
教えてもらえても、馬鹿なので覚えられないのだ。

ま、まぁそれは置いておいて——……。

「依麻」
「っ!?」

今、怜緒が私の名前を出した!?
私は、ドキッとしながら怜緒の方を見た。

見ると、さくらと錬太郎、怜緒と森野も私の方を見ていた。

「……っ、え、と……。何?」
「……っ」
「へ?」

怜緒の方を見ていると、怜緒はみるみるうちに真っ赤になっていった。
な、何なんだ……?
なんだか私まで、顔が熱くなってくる。

そう思いながら怜緒を見ていると、怜緒はぷいっと向こうを向いてしまった。

「……」

何だったんだろう……?
私は気になりながらも、視線をまた本に移した。

Re: *love a decisive battle* $実話$ ( No.35 )
日時: 2010/01/26 21:00
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)

第百七十九話『変態少年と私』

**

あっという間に放課後——……。
沙羅がいないせいか、なんだか皆優しかったし……。
怜緒とも結構接近できた気もするし、今日はいい日だった!!
私はそう思いながら、コートを着ようとした。

すると——……。

「——……あ、バカ依麻いるぞ!」
「お、ちょうどいい!」
「へ?」

私は、声がした方を見る。
見れば、怜緒と錬太郎と森野と望。
男子はしばらくコソコソと話した後、怜緒が私の方に近寄ってきた。

「……っ」
「……?」

怜緒は、微笑しながら私を見ている。
もしやこの雰囲気——……。
いや、でもまさかねっ!!

「……依麻」
「……な、何?」
「……」

怜緒が私の名前を呟いた後、森野たちがぞろぞろと近づいてきた。
私は、軽く一歩下がる。

「え、えーと…? 何でしょ……」
「依麻、森野の方見て!」
「へ?」

怜緒が、笑いながらそう言った。
私は、森野の方を見る。
すると——……。

「(放送禁止用語)」
「っ!?」
「ぶっ……!! ハハハハハハハッ!!」

森野が、小説には書けない放送禁止用語を言い出した。
私は、目を見開く。
周りの男子……。怜緒たちは、大爆笑。
森野の顔は、真っ赤だった。

「な、な、な…?」
「笑うな! お前等、もう一回勝負だ!!」

私が目を開いて立ち尽くすのを無視して、男子達は大爆笑していた。
森野が声を張り上げ、勝負を申し込む。

「ゆびスマ三〜」

どうやら、ゆびスマの罰ゲームのようだ。
——なんだ、期待して損したぁ……。

そう思ってると、

「はい、姫吉罰ゲーム!」
「うわぁぁぁぁ!!!」
「じゃあ、姫吉からこそ! 愛可に向かって言ってもらいましょーっ!!!」

男子達は、ぐいぐいと怜緒を押す。
そして、掃除中の愛可の元へ向かう。

「な、何? 怜緒〜」
「……やだ」
「え?」
「姫吉、言えよ〜!」
「そうだ、このやろっ」

男子達は、笑いながら怜緒の顔をぶにゅっと押す。
そして、強制的に愛可の目を見つめるように顔を固定する。

「……っ」

私は、その光景を見たくなくて——……。
いつの間にか、その場から走り去っていた。

「……な、何やってんだろ、私」

さっきまで期待してたくせに。
馬鹿。
私のばーか。

愛可は怜緒の彼女なんだから、別に珍しくないことじゃん。
なのに、なんでこんなに——……。


        辛 い ん だ ろ う 


私は早足で玄関に向かい、恵と合流する。
そして、少し話しながら外に出ようとした。
その時——……。

「……あ、依麻いるじゃん」
「っ!」

聞き覚えのある、高い声。
大好きな甘い声——……。


    大 好 き な 怜 緒 の 声 


慌てて後ろを振り向くと、怜緒と望と森野がいた。

「……森野、罰ゲームのやつ言えば?」
「あぁ? 俺、もう愛可に言ったもん」
「あ、そっか」

怜緒と森野は、私を見ながら会話する。
望は、その場でニヤニヤ。
私は、ドキドキしながら方向転換し、玄関の引き戸に手をかける。

すると、

「大好き姫吉君が、お前に言いたい事あるって〜」
「…っへ?」
「……」

望と森野が「大好き姫吉〜」と、何回も復唱している。
その声は、恐ろしいほど低くて——……。
私は、鳥肌が立った。

「……」
「……」

怜緒とはいうと、私を無言で見ている。
私はドキドキしながら、怜緒を見ていた。
すると、怜緒は私に背を向けて——……。

「(放送禁止用語)」
「な!?」

怜緒までもが、変態な言葉を言い始めた。
でもその声は、なんだか少し小さくて——……。
なんだかドキドキが一気に吹っ飛んだ。

「アハハハハハハッ!!!」
「……っ! 馬鹿!」

望と森野は、怜緒に向かって大爆笑。
私は三人に向かってそう叫び、引き戸を思いっきり開けた。

「……うっきぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! ちくしょーっ!」
「依麻、どうしたの?」

私は、外に出て叫ぶ。
隣に居た恵は、目を見開いて首を傾げている。

悔しい〜……!!
ドキドキさせておいて、あんな変態用語言われるなんて!!
愛可には、デレデレした顔しちゃってさぁ!!
私は、それほどちっぽけな女かい!!

「……っ、くそおおおおおおおおおお!!!」

私は、大声で叫んだ。
こうなったら、もっともっと!!
君のため、そして私の為に——……。


       もっと女、磨いてやる!!






依麻の叫び声だけ、空に木霊していた。


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