コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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お姫様は笑わない! 
日時: 2011/02/26 15:25
名前: 白銀の夜 ◆/.wGEvSoxI (ID: bQbYMR0G)

初めまして。
白銀の夜です。
白銀はシロガネと読んで下さい。
ハクギンでも構わないですが。


とりあえず
荒らし
中傷
などなどはやめてください。

コメント
アドバイス
ばっちこいです。


というわけで始めます。

お客さん。
紅茶s 菫s 真飛s 虎々s 羅輝s サジュs クロ+s 花梨s hanas


オリキャラ用紙 >>16


オリキャラ*
アヤカ(菫s作)>>18      レルシェ・アーシェント(サジュs作)>>25
メイ・サリズム(真飛s作)>>19ココ・メルシェ(サジュs作)>>25
リト(虎々s作)>>22       アミン・テナー(サジュs作)>>25        
ロロ(羅輝s作)>>23       シャーラ・サンドグルフ(クロ+s作)>>34        
リリ(羅輝s作)>>23

プロローグ >>1

一話「夜の星」 >>7 >>9 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14
二話「森の神」 >>15 >>17 >>21 >>28 >>30 >>33
「昔の記憶〜a purple princess〜」 >>36 >>42 >>43 >>44 >>45
三話「白い少女」 >>46 >>47 >>53 >>55 >>61 >>62 >>63 >>64
四話「表の裏側」>>67

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Re: お姫様は笑わない! ( No.9 )
日時: 2010/11/07 22:45
名前: 白銀の夜 ◆/.wGEvSoxI (ID: bQbYMR0G)

ちょうどお昼の鐘がなる。

警備交代の時間で、その時だけ外に出られる隙ができる。
それを狙ってリクシナは門を飛び出した。

リクシナが走っている方向は南。
白い町並みが綺麗なシナヴァという町。

遠い遠くない、どちらかと言えば遠い。
とても。
いつもは馬車で行くのだが、歩いていくと何日かかるか分からない。
それでも、外に出たかった。

「ハァハァ……ッ…イッ…」

途中こけて足に血が滲む。
それでも、少しでも遠くに逃げないとすぐに見つかってしまう。

と。

「大丈夫か?」

こけたリクシナに声をかけた。
振り向くと、

「わっ、血がでてんじゃんよ」

一人の少年がいた。


黒髪の少年はリクシナを起こすと、腰を下ろし

「ほら」

リクシナを背負った。

「私は大丈夫です。下ろしてください」

冷たい言葉を放つ。
それでも少年は

「ダメだ。わかんねぇけど誰かから逃げてるんだろ?だったら、その足じゃ無理だ」

言い返せる言葉がない。
足の怪我はどんどんと痛みを増していく。
このまま一人で走れば少年の言うとおり必ず追いつかれるだろう。

仕方なく、リクシナはその少年に体を預けることにした。

「よし、いくか」

少年は走り出した。
走るのが得意なのか、リクシナを背負っても足が速い。

「そういえば、どこへ向かってるんですか」

「ん?え、ああ」

少年は前を向いたまま


「あの森の中」



少年の先には真っ黒な森が広がっていた。


Re: お姫様は笑わない! ( No.10 )
日時: 2010/11/11 22:13
名前: 白銀の夜 ◆/.wGEvSoxI (ID: bQbYMR0G)

「え……えっ!」

前に広がっている黒い森。
幽霊が出るとかで有名なのだ。

リクシナもシナヴァの町に行ったことがある。
だが、その時はこの森を通らずに遠回りしていくのだ。

言っておくが、リクシナはクールですが幽霊は嫌いです、みたいなお決まりキャラではない。
好きというわけではないが、幽霊なんて霊感のある人しか見えない代物として脳にインプットしてある。
見たことがないから信じれない、みたいな。

それでも、実際に行くとなれば緊張ぐらいはする。

(まぁ、でもこういう経験も大事。だと思う。いや、大事ということにしておこう)

無理やり納得です。

そもそも、森に入るということから強制なんですけど。

少年を改めてみて見る。
立派な黒髪。漆黒と表してもいいだろう。
服は白のシャツに緑のハーフパンツ。
煤けた服からして貴族ではない。
幽霊の森に行く時点でそうじゃないことぐらいわかることだが。

顔立ちは十点満点中で七点。
それなりにイケメン。
だが、そこそこ。
言葉から見てもおとなしいというよりは元気、やさしい系か。
女の子を普通に落としそうなやつ。それでいて気づかない鈍感。
リクシナ風でいえば「頼りになるけど目障りな奴」だ。

もとから男が好きじゃない。
婚約者候補はいっぱいいるが全員拒否。
貴族なんて特に。

お金に身を委ね、欲が激しく、身分だけで平気に見下す。
嫌いだ。
それよりも自分で働いてお金をもらえるよう努力している平民のほうが全然立派だ、とリクシナは思う。
自分はできたなら、平民として生きていたかったと。

「あの、疲れてないですか?足、楽になったので降りれますが」

森の入り口。
貴族の人は入ろうとしない。
だからここまでくれば大丈夫なのだ。

「いや、この森は複雑だから。僕たちの基地に行くまで背負ってる」

「基地、ですか」
          ホームレス
「そう、僕たち“見捨てられた者”の、ね」

少年は、笑った。

とても綺麗で、見とれてしまうほどだった。

Re: お姫様は笑わない! ( No.11 )
日時: 2010/11/11 22:41
名前: 白銀の夜 ◆/.wGEvSoxI (ID: bQbYMR0G)

   ホームレス
「見捨てられた者」

リクシナはその言葉を訊いたことがある。
とある事情で捨てられた者、仕事などが見つからない、もしくはリストラされた者などが家を無くし、世を彷徨っている人たちのことを指す。
貴族などでも時々ある。
王族のリクシナには関係ないだろうが。

「この森は幽霊がでるこで有名ですが、人が住めるのですか?」

リクシナが訊くと

「へ、幽霊?」

と真っ青な顔で訊き返された。

「そんなのいないからっ」

必死の弁解。
とてつもない慌てよう。
さては幽霊が苦手なのだろうか。

「そうなのですか」

身の安全が保障され、安心する。

ともあれ、森の中へ入っていく少年。
道なのか…?と思われる複雑な道をスイスイ進んでいく。
時々ウサギやキツネなどを見かけた。

黒い森の表面とは裏腹に中は綺麗な緑をしていた。
こんな綺麗な森をみたことはないだろう。
木々からの木漏れ日は浅く地面を照らす。
雨が降っても葉が庇ってくれる。
誰がこの森を幽霊がでるなどと嘯いたのか。

「この森は神様がいるって言われているんだ」

少年は言った。

「周りは黒いけど、それは神様がこの森を荒らす者がこないようにするための手段だって。神様はこの森が大好きなんだって」

「……私も、ここが好きです」

だろ、と笑った。

黒い表面。
だからといって悪く言うものじゃない。
中をちゃんと見て判断するべきだ。

「ねぇ。君」

「君じゃない。ユウジって言うんだ」

ユウジと言う少年。
家族以外で知った初めてのほかの人の名前。

「ユウジ、その森の神様に会ったことがありますか」



「あるよ」



冗談ではない。
真剣だった。

「一回だけだけど、訊いていたのと同じだった」

彼は言い切った。

神様。
森の神。

一度でいいから会ってみたいとリクシナは思った。

外に出てきて何も知らない王家の少女。
その存在はとても薄い。
それでも家の中に閉じ込められて、苦しむ平民の姿を見ながらなにもできない。

それでも、今、外に出れて、それで神様に出会えたのなら。
自分は幸せだと感じることができるだろう?

Re: お姫様は笑わない! ( No.12 )
日時: 2010/11/14 20:42
名前: 白銀の夜 ◆/.wGEvSoxI (ID: bQbYMR0G)

緑が光る道をぬけ、たどり着いたそこは

「楽園、ですか……」

花畑が広がる、『楽園』だった。

木々に囲まれた広場は限りなく花が咲いている。
本の中に出てくる楽園そのものだった。

「みんな出て来い」

ユウジが言うと、木の影から人が出てきた。
一人、二人………全員で十二人の人。
大小様々で、赤ちゃんもいればおじいさんもいた。

みんなリクシナを警戒している。
睨みつけて、拒絶しているがリクシナは全然動じない。


——この、嘘吐きの低貴族が!


昔の言葉がよみがえる。

そう、慣れている。
ずっと、昔から。

「警戒しなくていい。この子は追われているんだ。少しの間だけここにいさせてあげよう」

追われていることはあっているが、違う意味で追われている。
それをユウジは知らない。

逃げ出したのはリクシナだ。
だから悪いのはリクシナだ。
でも、それでいいと思ったのだ。

あのお城に何もしないでいるよりも、外にでて、こういう体験をしたほうがいい。
貴族だからって甘やかしてはならない。

今、この森で見捨てられた者たちと過ごすことで何か得られるかもしれない。
二度とないチャンスだ。
貴族が平民と共に入れる時間。

「わかった」

一人の少女が言った。
短い茶色の髪が魅力的だ。

それを合図に、次々と賛成の声が上がる。
もし、このリクシナという少女が貴族でここにいるとしたらこの人たちはどう反応するだろう。
十二人の中に金髪の少年が混じっている。
元貴族の人だろう。

リクシナが王族だとばれれば襲い掛かってくるか。
親は失業したのは貴様のせいだと。

まぁ、この髪がある限りばれることはないと思う。

「お嬢さん、名前は」

一人のおじいさんが訊いた。
リクシナは一瞬迷ったが、自分の名前が知られているはずない。

「リクシナっていいます」

名字を持っていたら怪しまれるだろうから。
今は伏せておいておく。

みんな、よろしくと言って、笑った。

リクシナは笑わなかった。


Re: お姫様は笑わない! ( No.13 )
日時: 2010/11/15 19:40
名前: 白銀の夜 ◆/.wGEvSoxI (ID: bQbYMR0G)

『迷子になるから、ここから動かないでよ』


そう、ユウジから言われたはずなのだが。

「……本当に複雑ね」

そんなの無視して森の中を探検するリクシナ。

森に来たのに遊ばずどうする。
って感じだ。
わんぱくというより、森の中が珍しいだけだと思う。

みんながいた楽園からずっと一直線できてるから迷子にならない。
道なき道を奥深く進んでいく。

時々見つけた川や湖で喉を潤す。
水は透き通っていて、歪んだ世界を見さしてくれた。

綺麗な花もところどころに咲いていた。
紫や赤や水色。
色とりどりの花がたくさん。

お城の中では見れない風景がそこにあった。

中庭でも表せれないだろう。

どんどん日が陰って、夕暮れに近づいてきた。
そろそろみんなが心配する。
一直線で進んできた道を帰り始めた。


                 ★


もう日は堕ちて、辺りが闇のように暗くなった後。

「おいっ、リクシナはいたか」

森の見捨てられた者たちがリクシナを探していた。

トイレに行くといったきり帰ってこないのだ。

「くそっ、どこにも行くなっていったのに」

その声には怒りと悲しみが混じっている。
楽園には火の灯ったランプが木にぶら下げてあり、昼のようにとはいかないがかなり明るい。
広場の少し離れた場所も探してみたが全然見当たらない。

あと少しでも離れるとここには戻れなくなる。

なぜなら

「リクシナに言っておけばよかった。昼と夜で森が変わることを」

そう、この森は昼と夜とで森の図形が根本的に変わってしまう。
その中間の朝方と夕方は森が移動するので楽園からでないことになっているのだ。
夜の図形は誰も知らない。

でも、それをリクシナは知らない。

知っていれば夕方になる前にここに戻っていたかもしれない。

「くそっ」

夜はまだまだ続く。


                 ★      


「……ッ…イッ」

また枝が皮膚を刺す。
血が出てきた。

これでもう十カ所だ。
足に五、両手に四、頬に一つ。

絆創膏なんて持ってきてない。

「なんで……ここには木が無かったはずです」

一直線で進んでいったら木にぶつかったのだ。
リクシナは間違ってはいない。
たしかにここには木なんて無かった。

「……さっきもだったけど、森が動いてる…?」

さすがはリクシナといったところか。
察しが早い。

でも、遅い。

リクシナの体力がもたなかった。


リクシナはその場に倒れこんだ。


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