コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ある日の放課後の魔科学 更新再開っ
- 日時: 2011/03/17 13:51
- 名前: 遮犬 (ID: Q2XZsHfr)
クリックありがとうございますw遮犬と申しますw
えーとコメディではー…2作目、ですかねwシリアスは見て見ぬふりをしておきましょうw
さてさて…今回は非日常コメディファンタジーでございますw
とか言っておいて思いっきり学園モノとか入ってもいいじゃない!萌えキャラいたっていいじゃない!
そんな願望の物語ですけどもw立ち読み程度にどうぞb
…つきまして注意事項…
・亀更新とか、ないな(笑)という方はご遠慮をw
・遮犬の小説を見ているとアレルギー反応が(笑)という方はご遠慮をwてかいっそ苦しみなさい(ぇ
・ファンタジーとか言ってるけどコメディ学園入ってるじゃん(笑)っていう人もご遠慮をw
・多少スパイシーシリアスとか入ってますけど…何か?(殴(蹴
作品イメージソング【】…
ヒロイン的イメージソング【WORLD'S END UMBRELLA】…>>31
〜目次〜
プロローグ…>>1
第1話:ある日の放課後の雇われ救世主
♯1>>7 ♯2>>8 ♯3>>9 ♯4>>10 ♯5>>15
第2話:ある日の放課後の憂鬱
♯1>>16 ♯2>>17 ♯3>>18 ♯4>>19 ♯5>>20
第3話:ある日の放課後の白き小さな王女
♯1>>21 ♯2>>29 ♯3>>30 ♯4>>35 ♯5>>36 EX…>>38
第4話:ある日の放課後の銀髪王子
♯1>>37 ♯2>>41 ♯3>>42 ♯4>>44 ♯5>>45 EX…>>46
第5話:ある日の放課後の学園非日常
♯1>>49 ♯2>>50 ♯3>>51 ♯4>>52 ♯5>>55
第6話:ある日の放課後の休日今日この頃
♯1>>56 ♯2>>60 ♯3>>62
〜【キャラクターデザイン担当】〜
〜【お客様方】〜
月鈴さん
むーみんさん
真珠さん
夜兎〆さん
ハッチしゃnさん
優舞さん(凛さん)
陽風さん
玖織さん
瑠乃さん
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- Re: ある日の放課後の魔科学 第4話完!学園偏突入! ( No.48 )
- 日時: 2010/12/24 18:41
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)
>>玖織さん
あ、初めまして〜w
遮犬と申しますw
はいw異世界ネタですかねw学園と日常を混ぜ合わせた異世界ファンタジーとなってますw
恋愛等も今作は入れてたりもしますかね…w
大好物でしたか!それはよかったですともw
な、なんと…一気読みしてくださった…だと!?
マジですかw嬉しいですーありがとうございますw
これからも見させていただくだなんて…甘い言葉に弱い自分はつい嬉しすぎて飛び上がってしまうw
ありがとうございますwもちろん、覚えておきますとも!
逆にこの駄作作家のことも以後お見知りおきをw
コメント、ありがとうございました!
- Re: ある日の放課後の魔科学 第4話完!学園偏突入! ( No.49 )
- 日時: 2010/12/25 01:11
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)
「ただいま〜……」
と言っても誰もいないのだが。
寂しい気もしたが今はそんなことよりも、寝たかった。
自分の家たる6畳アパートの床へと倒れるようにして転がり込む。
「ふぅ……」
やけに疲れた。ついでに制服はというと、元の通りの綺麗な状態に戻っていた。
そして時刻。時刻は部活動がようやく終わるぐらいの時間。
つまり、俺が異世界に行ってから時間はさほど経っていないということだった。
聞いた話によると、異世界とこの世界の時間はまるで違うらしい。
さらには異世界と世界がどうたらこうたら……まあ何せ、服は影響されないらしい。
そのシステムに俺は大いに感動した。おかげでクリーニングやら何やら出費が無くて済む。
まだアルバイト収入の安定してない俺にとってはとても助かったのであった。
「俺は何をしてたんだろうな……」
思えば思うほどそう呟いてしまう。
アルバイトは働いてその報酬たるお金を貰うものであって……。
俺が行ったのは果たしてアルバイトかというと答えは否だろう。
何故かって? アルバイトのお金を貰っていないからさ。
これじゃあただのボランティアだと俺は思う。
「はぁ……」
一つ、ため息を吐いて目を閉じる。
すると意識がだんだんと朦朧してきて、静かに眠りに入った。
「——ようこそ。我が放課後部へ」
「——へ?」
ニッコリと微笑むそのおどけたハンサム野郎は俺に手を差し伸ばす。
それに掴まり、俺は素直に立ち上がる。
「え、えーと……?」
何がどうなっているのだか全く分からない。どういう状況なんだ? これ。
「君は入部試験に合格したんだよ。だから、おめでとう!」
と、言ってハンサム野郎はわけも分からず拍手をし始める。
その姿に隣にいた瀬菜はため息をついて頭をやれやれといった感じに横に振っていた。
そうして対応に困っていた時、ゆっくりとハンサム野郎に後ろから忍び寄ってくるツインテールの少女。
その顔は——美しい顔立ちのはずなのだが鬼の形相のような顔により台無しとなっていた。
「何をしとんじゃああああああああッ!!」
気持ちが良いほどハンサム野郎はツインテールの美少女に蹴られて吹っ飛んでいく。
と、言っても俺の方向になのだが。
「はた迷惑だああああッ! ——ぐはぁっ!!」
思い切り俺とぶつかり、その場で俺とハンサム野郎が倒れる。
瀬菜はそんな俺のことなど知らん顔をしてツインテール少女に駆け寄っていく。
「朔夜さんっ!」
「ん……あっ! 瀬菜じゃないっ! 戻ってきてたのね!?」
「はいっ!」
と、人懐っこい表情を瀬菜は朔夜と呼ばれたツインテ美少女に見せた。
(あんな顔も出来るんじゃないか……)
そんな人懐っこい顔を見ていると、可愛いなとは思った。後はその鬼のような内面を治せば文句は——
「何か言った?」
「い、いえ……」
俺の方を向いて微笑む瀬菜。ものすごく怖かったんですけど。冷や汗多量ものですよ!
「あっ! 貴方が杜坂 木葉君ね?」
ツインテ少女は今気がついたかのように俺の元へ駆け寄ってくる。
いやいや、その前に君が蹴り飛ばしたこのハンサム君をどうにかしてくれよ。
「いたた……」
すると、ハンサム野郎がようやく立ち上がる。
何だか、こいつも俺と同じような人種の匂いがしたような……。
「ひどいなぁ、いきなり蹴り飛ばすなんて」
「あんたが雑務サボってこんなとこまで来てるからでしょうが!」
「あはは……どうしても雑務を目の前にすると逃げたくなる症候群で……」
前言撤回。こいつは俺とはまた別の人種のようだ。
そして、ツインテ少女が改めて俺に手を差し伸ばして言い放った。
「私は久遠 朔夜(くどう さくや)。よろしくね?」
「あ、えと俺は——」
俺が自分も自己紹介をしようと口を開いた時
「あー、そうそう。そこのバカの名前も一応。駒貝 白犬(こまがい しらいぬ)っていうの。一応部長ね」
どうやらそれはこの隣で笑いながら頭を照れくさそうにかいているハンサム野郎のことだろう。
それにしても部長? 雑務サボってるとか自己紹介前に聞いたんだが勤まっているのか?
「あ、後私は副部長だから」
多分この朔夜という人がほとんどこなしているに違いないと今確信した。
どうやら結構なしっかり者のようだった。
「えーと……俺は——」
「あ、言わなくていいわよ? もう知ってるから」
そういえばさっき俺の名前を呼んでたな……。俺だけ知られてて、俺は向こうのこと知らないって……。
「入部、おめでとうね」
「——え?」
そしていきなり、自分の手をがっちりと抑えつけられて机の上にある書類にペッタンと。
書類には部活入部希望書と書かれており、俺の指にはいつの間にかインクがついてあってだな……。
「ええええええええッ!!」
いきなり、ていうか強制的に入部させられたのである。
「今日からよろしくね? 木葉君」
笑顔で満足そうに言う朔夜。
「いやいやっ! まだ何の返事もしてないよっ!」
俺は否定しようとするが、書類関連はやったもん勝ちということで——俺は意味分からん部活動に入部することになったのだった。
「い、いや! 俺バイトあるし——」
「ん? あぁ、言ったでしょ? この部活動こそがバイトだから」
「言ってないよっ!!」
初耳も初耳だった。部活動がバイト?
「まあどっちでもいいわよ。とにかく、世界を救うアルバイトよ」
「それってじゃあ……すなわち、活動内容も……?」
「うん。世界を救うということになるわね」
「なんてこったああああああああッ!!」
俺はそのまま、膝から崩れ落ちたのであった。
「ん……」
目が覚める。
電気の光がやけに眩しく感じる。そして視界がいまいち開かない。
だがそれも時間の問題で、すぐさま視界は開けていった。
「寝てしまってたのか……」
疲れのおかげでぐっすりとそのまま睡眠してしまっていたようだった。
にしても、またわけのわからん部に入ってしまったものだ。
働いた分だけお金はあがったりさがったりする? 本当にか?
ただの客寄せ文句だったのかと少々うな垂れた後、ゆっくりと立ち上がって冷蔵庫まで駆け寄る。
そして中からお茶を取り出してコップに注ぎ、一気に眠気覚ましするかのようにして飲み干した。
- Re: ある日の放課後の魔科学 第5話スタート! ( No.50 )
- 日時: 2010/12/25 22:06
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: S19LK/VD)
「うがっ!」
眩しい太陽の光で目が覚めるのではなく、毎度のこと足がつって目が覚める。
これ、目覚まし時計いらないから便利ともいえるけど毎朝恐怖の連鎖ともいえる。
眩しい太陽の光なんて外にある無数のアパートたちに囲まれて当たらない。それがまた気持ちを憂鬱にさせた。
憂鬱といえば思い出せる顔は逢坂 瀬菜だ。
昨日だけでどれほど俺を蹴ったり殴ったりしたことか。初対面でそこまでやらなくてもよかろうに。
「あー……あのまま寝てしまったんだな……」
見渡す限りただ一言、汚い。
脱いだ制服やらが床に散らばり、洗濯物も部屋の隅に山積み。カバンなども散らかっている始末。
一人暮らしだとどうしてこうも生活が体たらくになってしまうのだろうか?
「風呂入るのも忘れてるよ……」
このまま学校に行くとちとまずいと思い、時間を確かめる。
が、時間は俺の想定範囲外の時刻を示していた。
「やべええええッ!!」
いつもならばもう出ている時刻を時計の針たちは指していたのだった。
「はぁ……はぁ……なんとか間に合ったか」
こういう時に、30分という通学路が仇となる。
もっと近いところにすればよかったと思っても、もう遅い。
「早々と俺の生活リズムは崩れたわけだ……」
ぼやきながら、俺は席を着く。
風呂にも入っておらず、眠気もまだ覚めていない。おまけに制服と髪も乱れている。
その姿を遠目で見て見ぬフリをするのは必然なのだろう。おかげで誰も話しかけてこない。
まあ、入学した当初の方なのでそれも仕方ないことなのだが。最初からイメージ崩れたのは明らかだろうが。
「あ、木葉君じゃないですか」
が、一人例外がいたようだった。
「い、伊集院……」
「何ですか? その意外そうな顔は」
伊集院は可愛らしく頭を傾げて言う。
純粋なキャラなようでちょい小悪魔なところがあるみたいだが、仕草はかなり可愛いな。
「い、いや……よく話しかけれたなぁ、と」
俺はそう呟きながら周りをちらちらと伺ってみる。
案の定、俺の方を向いて何か話しているように見えた——が、様子がおかしいように見える。
よくよく観察してみると、俺の方を向いているのではなく、伊集院の方を向いている奴が多かった。
それも男子だけではなく、女子もだというので驚きだ。
「あんな可愛い子、このクラスにいたか?」
「いや……ノーチェックだった……それに僕っ娘かよっ! 俺としたことがっ!」
「え、てか話しかけてるあの男は何? あの子の何?」
「あの男邪魔なんだけど……」
とかぶつぶつと聞こえ始めてきた。
俺はお邪魔か、悪うこざんしたねっ!
「どうかした? そんな怖い顔して」
伊集院が俺の顔を覗き込むような感じで見てくる。
「い、いやっ! なんでもないって!」
そんなことしたら何か勘違いされるだろうがっ! とか思ってしまう。
さすがに容姿に違いありすぎるので恋人同士と思われることはないだろうが。
一つため息を吐いて落ち着きを取り戻す。
「で? 何の用なんだ?」
俺が言うと「あぁ、そうだった」と、いかにも今思い出したかのようなリアクションを取りつつ口を開く。
「放課後、もう一度あの教室に来てくれるかな?」
「あの教室?」
俺が呆けた顔をしていたりでもしたのだろうか、伊集院は笑いながら続ける。
「うん。君が異世界に行くきっかけになった教室のことだよ」
まあ……その教室のことだろうとは思っていたけどな。
アルバイトの料金でも払ってくれるのだろうか?
「……分かったよ。じゃあ、今日の放課後な?」
「うん、よろしくね」
伊集院は告げることだけ告げると、さっさと自分の席に戻っていった。
……ていうか、伊集院って俺と同じクラスだったのか。全く気付かなかった……。
延々と授業を受け、ようやく放課後のチャイムが校内を鳴り響く。
一斉に皆席立ち、部活に行く者や帰り支度などをする人で賑わっている。
伊集院の姿を探そうと辺りを見回すが、既に伊集院は教室から去っているようだった。
「いつの間に……」
俺はカバンに教科書などを詰め込み、早々と教室を出て行くことにした。
移動中、様々な部活動の声があがったりして放課後の気分になる。
だがそれも旧校舎に行くにつれて薄れていく。周りが静かになる感じは妙に新鮮な気がした。
(俺の感覚では、学校は何か久しぶりな感じなんだよな……)
異世界に行っていた時間が少々多く、時差ボケみたいなことになっているようだった。
ボケた頭を一心不乱に動かしてかの面接会場とやらの教室の前へとようやく辿り着く。
「……いざ入るとなると、緊張するなぁ……」
何故だか緊張してしまう意味の分からない俺の心情を無理矢理に無視して教室をノックして入った。
「失礼しま——」
パンパンッ!
クラッカーのような音、というより本物のクラッカーが教室に鳴り響き、中の紙が俺の頭上に降りかかる。
「いらっしゃい〜!」
見ると、昨日会ったばかりの……名前は確か、駒貝 白犬だったか? 変な名前だからだろうが印象はある。
ていうかこれ、どういう反応を示せばいいんだ?
「お前はまたかああああッ!!」
と、思った途端に視界から瞬間的に白犬の姿が消え去った。
よくよく姿を追いかけてみれば壁に頭から埋もれているような状況。
さっきまで白犬がいた場所に手をパンパンと叩いているツインテ美少女こそが犯人だろう。
「ふう……まったく、油断も隙もありゃしない」
その後、白犬は壁から引き抜かれる。それに呼応するかのように教室に伊集院と瀬菜も入ってくる。
「……なんだよ、その嫌そうな顔は」
「……別に?」
明らかに不機嫌だな、瀬菜よ。
不機嫌な理由が全く分からないというのに俺を睨むのはやめて欲しい。
俺が原因とかいうわけでもないというのにな。
何故か伊集院がクスクスと笑っていたのはこのさい気にしないでおこう。
「さて……集まってもらったのは他でもないんだよ〜」
笑顔+そのなよなよした口調で威厳なんてものは跡形もない白犬の喋り方。
「木葉君の能力はやっぱり"アレ"だったよ」
白犬の言葉に俺以外の一同はやっぱりか、というような顔をして俺の方を向く。
「えーと……何がでしょうか?」
俺がわけも分からないので聞いてみる。
すると、白犬は教室のドアを指さして続ける。
「うん。それはね、もうすぐ"来るよ"」
「来る?」
その瞬間、ガラガラと教室の扉がゆっくりと開いた。
教室内の全員の視線がその扉を凝視する。
その、扉から出てきたのは——
「あの……入部希望なんですけど……」
白い髪、新鮮に見える制服、小さい幼女のような背、何よりも可愛らしい大きな目。
それは見たことのある人物だった。
「白……雪ッ!?」
俺は大きな声でその少女の名を呼んでしまっていた。
「はい? 何ですか?」
その少女は、無邪気に首を傾げてそう言った。
- Re: ある日の放課後の魔科学 第5話なう ( No.51 )
- 日時: 2010/12/26 18:33
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: S19LK/VD)
目の前には、いつぞやの異世界で出会った白き小さな少女。
見間違えるはずがない。ここまで綺麗な白い髪をして、ここまで可愛いと思わせれる人形のような幼女。
他にはそうそういないはずであった。
「あっ! 貴方はっ!」
と、いきなり白雪らしき少女が俺を指さして叫ぶようにして言う。
「夢の救世主……! そう! 木葉!」
「……これって、どういうことデスカ?」
俺は機械仕掛けの人形のようにして首をゆっくりと放課後部4名に顔を向けた。
4人は皆、それぞれに独特の顔をしていたがそれもう触れないでおこう。
それより、この状況を説明してくれた方が俺は大助かりだ。
「うん。それはね、君の能力のせいなんだよねー」
白犬があくまでゆったりとした口調で言うが、他の女の子たち3人は難しそうな顔をしている。
「その、俺の能力とやらって何なんですか?」
そう聞くと、瀬菜がため息を吐いた後に言う。
「魔科学の意味から教えた方が早いわね……」
すると瀬菜はそそくさとペンと紙を用意する。
その途中、白雪らしき少女が「あの……?」と近寄ってきたが、朔夜さんと伊集院が相手をしてくれるようだ。
何とも見た目どおりの幼女。すぐに何かの遊びに夢中となっていた。
「いい? 魔科学っていうのは、いわゆる世界の理を司るものなの」
「……いや、全く意味が分かりません」
俺がそういうと睨みつけてくる瀬菜。
いや、だってな? いきなりそんなこと言われても実感湧かないし、第一意味不明だ。
「要するに、絵の具として考えてみればいいよ。絵の具が理、世界が絵を塗るボード」
「ふむ……」
横から白犬が分かりやすいようにたとえを出してくれたために助かる。
とは言ってもまだ意味が分からんことが多いのだが。
「……それで、魔科学ってのは理を使って様々な機械や異物を作り出すものなの」
「はぁ……」
「つまりね、理を使ってってことだから機械とか異物は絵として考えてくれればいいよー」
「あぁ、なるほど」
「何で私の説明じゃあ不服そうで、白犬さんの説明は納得なのよっ!」
随分と憤慨した様子で俺に詰め寄る瀬菜。
「いや、お前の説明かなり難しいんだってば!」
何とかそういって免れる。といっても本当のことなんだけどな。
「魔術っていうのは、基本理を利用して使うんだけど、それは形……いわゆる絵じゃなく、絵の具単体で出してるの」
俺の言葉に少し優しく表現しようとしてくれたみたいで、絵の具やら絵やらを言い出した。
つまり、理=絵の具で魔科学は絵を描く作業とほぼ同等なわけで、魔術は絵の具を出す作業と同等ということか?
うん、ややこしい。
「私達みたいな魔術師は、基本理を利用しているんだけど……絵の具のように、それぞれ色が決まっているの」
例えば赤なら炎とか、青なら氷とか水とかのことを言っているのだろう。
「でもね、アンタはないの。色が全く」
「……ということは色的には白ということか?」
瀬菜がゆっくりと頷く。
「でもそれは、本当なら"ありえない"のよ」
紙になにやら走り書きで書きながら言う。
「普通、どんな人間にも理の色はついているものなんだよー」
後から白犬が追って説明してくれた。
えーと……じゃあなんだ、俺はありえない人ということなのだろうか?
「まあ……簡単に言うとね、君は魔力は異世界一個分ぐらい持ってるんだけど、理の色が白だから……」
白犬の言いたいことがだんだん分かってきた。
つまりだな。俺の魔力とやらはすごく量はあるというのに、その色がないから発動できないと。
白いボードにいくら白を塗っても意味ないもんな。
「俺の能力って……一体?」
俺が自分の手を見つめながら呟くようにして言うと白犬が笑顔で説明をしてくれた。
「君の能力はね、夢想ノ無想っていうこの世界にとって"ありえない"能力なんだよ」
なんだ、その得たいの知れない単語は。
それが俺の能力とやらの名称なのか?
「元が白ということは、そこから何かを生み出せる。つまり——君の存在は異世界そのものだということだね」
「……聞く限りものすごく大層な存在ですねぇ? 俺」
「うん。ものすごくすごい存在だよ、君は」
「……でも、その能力がどうして俺にあるって分かるんですか?」
何の根拠もなく、俺にその能力がついているとはいえないはずであった。
だが、悠々と白犬は笑顔で説明してみせた。
「彼女が何よりの証拠なんだよ」
「白雪が?」
目で白雪を見る。白雪は楽しそうに伊集院たちと騒いで遊んでいた。
「アンタの力、夢想ノ無想は異世界をこっちに塗り替えることの出来る能力でもあるの」
瀬菜が俺に向けて言い放つ。
理屈はこうだ。
白色の理を持つ俺はその異世界の色をコピーすることが出来るらしい。何せ真っ白の無地の白だからな。
そのコピーをこっちに持ってこれる、といってもまるごと世界というわけじゃなく、理を持つ人物なんだそうで。
「つまり……白雪の他に、エルゲート将軍やシヴァンや反乱軍のおっさんたちもいるってことか!?」
「そういうことになるわね」
よく平然な顔して言えますねぇっ!? 二度と会えないと思っていたのに……。
「あの異世界は、消えて無くなる。だから結果的に君は救世していることになるんだよ」
「あの世界が、無くなる?」
妙にその言葉は俺の心情を貫いた。
「僕達は何も"異世界を救世"しているわけじゃなく、"この世界を救世"しているに過ぎないんだよ」
その言葉の意味がよく理解できなかったが、すぐさま瀬菜が説明を入れてくれた。
「この世界は異世界と繋がっている。そしてこの世界にも理はある。異世界の不祥事がこの世界の理を傷つけることになってるの。だから私たちは異世界を救うのよ。この世界を救うために」
理屈は合ってるとは薄々分かる。だがしかし、俺は納得がいかなかった。
「この世界の理が壊されたら、どうなるんだよ?」
「——この世界が消えてなくなるわ」
即答だった。
異世界を救わねば、この世界は消える。だが、異世界を救えば異世界は消えるというのが言いたいことらしい。
「——だからね、君の能力は双方の救世になる」
白犬は俺に優しい口調で言った。
まるで諭すようだったので癪に障ったが、心を落ち着かせてくれた。
「君の能力を使えば、異世界の人は少なからず助けられる。こっちの世界も、異世界の人も助けれるんだ」
双方どちらも助けられる方法。それはどうやら俺の能力にかかっているらしかった。
「俺は、一体何なんだ?」
俺は自分を指さして白犬へと問う。
白犬は笑顔で、右手の親指を立てたのを俺に見せながら
「救世主だよ」
と、言った。
- Re: ある日の放課後の魔科学 第5話なう ( No.52 )
- 日時: 2010/12/29 22:33
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: S19LK/VD)
——救世主
俺にとって、その言葉は全く馴染みのないものだった。
俺は、普通の高校生。それ以上でも以下でもない。
世界を救う? 救世主? 能力? さっぱりだ。
いきなり救世主だといわれて「はい、そうです」と答える人間がこの世に何人いるのだろうか?
それはふざけか何かの間違いだと笑って言われる言葉であるに違いないだろう。
だが、目の前には異世界にいたとされる少女がいる。
それはまぎれもない真実だった。
さらにはその少女をこちらの世界へ来させたのは自分だという。
信じられるか? 目の前で無邪気に笑っている女の子は本来ならば消えるべき存在だったことが。
こんな無垢で無邪気な笑顔が失われるというのは何故だかとても悲しく、とても辛く感じた。
なら、俺はどうすべきか?
「ふう……」
俺はため息を吐いて頭を抱える。
その行動はいつもどおりの面倒臭いことに巻き込まれたという雰囲気たっぷりのもの。
だがしかし、今回ばかりは何かが違った。
自由に自分の生きる道を生きたい。それは確かだ。
でも、それを理由にしてこの笑顔を奪うことは絶対にしたくないと思った。
だから——俺は。
「ったく……半分強制じゃねぇか」
俺はそういって無理矢理に指ハンコをさせられた紙を取り、その上にさらにハンコをつけた指を押し当てる。
そのせいでそこだけインクが滲み過ぎて指紋が見えにくくなってしまったが、これは俺の入部の決意だ。
「ということは……入ってくれるんだね!?」
白犬は笑顔をより満面に近い笑顔へと整えると俺に向かってどこから取り出したのかクラッカーをぶちまけた。
「うおっ! どこから取り出したんだよっ!?」
その瞬間、鋭い一撃が俺を襲った。
それは何かここ最近で一番馴染みがある感覚だった。
「先輩に何タメ口聞いてんのよっ!」
案の定、俺を蹴り上げたのは瀬菜であった。
顔は何故か少しばかり紅潮しているようにも見えた。俺はそんなことなど気にも入らず、ある単語に反応していた。
「……先輩?」
俺の言葉に呆れた顔へとみるみる内に豹変していく瀬菜。
「あんた……先輩って知らずにタメ口してたの? 白犬さんと朔夜さんは二年生よ?」
「い、いや……朔夜さんは分かるけど……白犬……さんも?」
俺の言葉に顔は笑顔だが肩をすくめる白犬……さん。
「ひどいなぁ。これでも僕は君より年上だよぉ?」
そして、またクラッカーを鳴らしてくる。……俺の耳元近くで。
耳がジンジンして頭がクラッとくるように頭痛が走る。
「鼓膜破れるわっ! ……いや、破れますよっ!」
何か調子が狂うのだが……どうやら本当に先輩のようだった。
バッジの色で学年が判断されるのだが、一年は青、二年は緑、三年は赤となっている。
信号かよ、とツッコミたい気持ちは大いに分かるが心の奥底に閉まっておいてほしい。
つまりは、白犬がつけているバッジの色は緑。
とはいってもさん付けはやっぱりキツいな……。
「あ、別にさん付けしなくていいよー」
「しなくていいんですか!? ヒャッホウッ!」
「何かな、その喜び様は」
しまった、思わず心の中の叫びが出てしまったじゃないか。
微妙な顔をして白犬が俺の方へ向いている。
「さすがに呼びつけは失礼なんで、白犬先輩って呼ばせてもらいます」
「それが普通なんだけどね……?」
「いや、生理的に無理かなぁって」
「どういう意味かな……?」
そうこう俺と白犬先輩がやり取りをしている間に「はいはいはい!」と、朔夜さんが手を叩く。
「とにかくっ! まず自己紹介しましょう! 新規加入者だけね」
「え、あ、はい」
いきなりだったので俺は勢いで答えてしまった。だがここで少し疑問が浮かびあがってきたのだ。
「そういえば、瀬菜と伊集院も一年だよな? それにしては初対面って感じじゃないんだが……?」
瀬菜と伊集院は顔を見合わせる。
てかもっと早くに気付けよ、俺。
「あぁ、それは私達は入学する前からここにアルバイトとして仮入部してたからね」
「へぇ……って、それって仮入部ってことにならないんじゃないか? 高校に入ってもないのに……」
「細かいことは気にしないッ!」
と、バッサリと朔夜さんに会話を打ち切られた。
随分と無茶振りな気もするが、まあいいだろう。
「あ、でも今日か前に正入部することになるから…… 新入部員と変わらないんじゃ?」
伊集院がボソリと呟くようにして言った。
「あーそうだねぇ。……それじゃあ、木葉君と白雪君と一緒に自己紹介しようか」
「「え?」」
瀬菜と伊集院の声がピッタリと重なる。
二人はその後、顔を見合わせたと思ったら伊集院は笑顔で了解を告げる。
瀬菜はというと、ため息を一つ吐いて「分かりました」と、仕方のないような感じで答えた。
「えーと、じゃあ俺から。……杜坂 木葉っていいます。宜しくお願いします」
こんなものなのかと思いつつも横に視線を促す。
そこには可愛らしい白き少女が立っていた。
さっきまで、伊集院と朔夜さんに遊んでもらっていた白雪たる少女だった。
「あ、私ですか?」
容姿に全然負けないほどの可愛い声をあげて自分を指さす白雪。
声、全然変わってないな。まあそりゃそうか……。
何だか異世界の時の白雪とは別人な気がして怖い。そんな思いが俺の心の中で四散する。
「私は白雪っていいます!」
ハッキリ言ったが、苗字が抜けている。
「なぁ——」
「わ、私の名前は逢坂 瀬菜っていいます。これからも……宜しくお願いしますっ」
苗字を教えてほしいと声をかけようとしていた刹那、横から妙に緊張した声で瀬菜が自己紹介を始めた。
顔がほのかに赤い瀬菜はとても可愛く見えた。
こんなことを口で話したらまた殴られると思ったので言わないでおくがな。
「僕は伊集院 雪乃っていいます。色々とご迷惑おかけすると思いますが、宜しくお願いします」
完璧な口調、それに加えて表情に姿勢で自己紹介を伊集院は言う。
とりあえずこれで全員の自己紹介は終わった。とはいっても白犬先輩と朔夜さんはしていないが。
どうせならばすればいいのにとは思ったが、面倒なので黙っておくことにしよう。
それよりもこの白雪に似た少女というより、白雪と名乗るこの白き少女と話したいことがある。
俺がこっちに連れてきてしまったらしいしな。苗字を名乗らないということに対しても気になる。
無垢に笑っている少女の心情がどんなものなのか俺は知りたいんだろうな、きっと。
今までだったら面倒臭がっていたのにな、こうも変わるものなのかと俺はため息を聞こえない程度に漏らした。
「うーん……もっと面白いこととか聞きたかったけど、今はそれぐらいで大丈夫かな」
朔夜さんが時間をチラチラと見ながら話しているのに気付いた。
「あの、何か用事でもあるんですか?」
「え? 何を言ってるのよ」
と、素っ頓狂な声が朔夜さんから返ってきた。
「歓迎会するんじゃない。このメンバーで」
「「歓迎会?」」
俺たちの声が異口同音となって教室に響いた。
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