コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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ある日の放課後の魔科学 更新再開っ 
日時: 2011/03/17 13:51
名前: 遮犬 (ID: Q2XZsHfr)

クリックありがとうございますw遮犬と申しますw
えーとコメディではー…2作目、ですかねwシリアスは見て見ぬふりをしておきましょうw

さてさて…今回は非日常コメディファンタジーでございますw

とか言っておいて思いっきり学園モノとか入ってもいいじゃない!萌えキャラいたっていいじゃない!
そんな願望の物語ですけどもw立ち読み程度にどうぞb


…つきまして注意事項…
・亀更新とか、ないな(笑)という方はご遠慮をw
・遮犬の小説を見ているとアレルギー反応が(笑)という方はご遠慮をwてかいっそ苦しみなさい(ぇ
・ファンタジーとか言ってるけどコメディ学園入ってるじゃん(笑)っていう人もご遠慮をw
・多少スパイシーシリアスとか入ってますけど…何か?(殴(蹴

作品イメージソング【】…
ヒロイン的イメージソング【WORLD'S END UMBRELLA】…>>31

〜目次〜
プロローグ…>>1
第1話:ある日の放課後の雇われ救世主
♯1>>7 ♯2>>8 ♯3>>9 ♯4>>10 ♯5>>15
第2話:ある日の放課後の憂鬱
♯1>>16 ♯2>>17 ♯3>>18 ♯4>>19 ♯5>>20
第3話:ある日の放課後の白き小さな王女
♯1>>21 ♯2>>29 ♯3>>30 ♯4>>35 ♯5>>36 EX…>>38
第4話:ある日の放課後の銀髪王子
♯1>>37 ♯2>>41 ♯3>>42 ♯4>>44 ♯5>>45 EX…>>46
第5話:ある日の放課後の学園非日常
♯1>>49 ♯2>>50 ♯3>>51 ♯4>>52 ♯5>>55
第6話:ある日の放課後の休日今日この頃
♯1>>56 ♯2>>60 ♯3>>62





〜【キャラクターデザイン担当】〜



〜【お客様方】〜
月鈴さん
むーみんさん
真珠さん
夜兎〆さん
ハッチしゃnさん
優舞さん(凛さん)
陽風さん
玖織さん
瑠乃さん

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Re: ある日の放課後の魔科学      第4話スタート ( No.38 )
日時: 2010/12/18 23:18
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)
参照: 話書く順番間違えてしまった…w

私は、少し夢を見た。
ふわふわとした感じで、なんだか空中を舞っているみたい。

目の前には、今はいないお母様と牢屋に閉じ込められているはずのお父様がいる。
そのほかには、私とシヴァンお兄ちゃん。
この4人で、楽しそうに微笑んでいる。

お城の大きなお庭で、お茶をして……。
それは楽しいひと時だった。

でも——お母さんが亡くなられてからは、そんな日々は一瞬にして変わった。
お父様の兄の息子3人を次の国王にしろと言ってきたのです。
今は亡き先代のおじい様は優しく、国民を第一に思う私のお父様の方を国王にしていました。
そのことから兄方はお父様を憎んでいたのです。

「兄の命令は絶対だっ!」

と、兄方様は言ってご子息の内に自らの息子を入れました。
私とシヴァンお兄様は別に何も思わず友達になろうと3人に近づいたある日でした。

「いきがってるんじゃねぇよっ! "孤児"のクセにっ!」

「きゃっ!」

私は、3人から嫌われていました。
3人の内の一番大きな人に突き飛ばされた私は当然の如く尻餅をついてしまい、自然に涙が零れてきました

「うぇぇぇん……!」

「ははっ! こいつ、泣いてやんのっ!」

3人は、私の泣き顔を見ると笑い声をあげました。
とても、とても悲しかったです。友達になろうとしただけなのに。
私は、悲しくなると泣いてしまいます。まだ、弱かったからです。

「うぅ……! お兄様ぁ……!」

「あぁん!? アイツを呼ぶんじゃねぇよっ!」

シヴァンお兄様はこの3人からとても恐れられていました。
そのせいか焦りを生じ、私をぶって黙らせようとした時——


「やめろっ!!」


鋭い一言が響きます。
その声を聞いた瞬間、3人は固まりました。
体的には3人より小柄な銀髪の少年、シヴァンお兄様は私の元へと駆け寄ってきます。
さきほどの声は、やはりシヴァンお兄様でした。

「大丈夫か? 白雪」

「お、お兄様……!」

ギロリとシヴァンお兄様が3人を睨むと恐れをなしたのか多少震えながら言います。

「ち、調子乗ってんじゃねぇぞっ!」

3人は自分達の方が大きな体を持ち、歳も上だというのにシヴァンお兄様には敵いません。
シヴァンお兄様は剣術がとても上手く、エルゲート将軍とよく一騎打ちをするほどです。
そんなお兄様は、私にとっての憧れでした。
いつも守ってくれる、お兄様です。

でも——私は、今のままでいいのだろうか、不安でいっぱいなのです。

私は——孤児なのです。

白い銀世界の中にいた存在。
白い世界の中、雪のように籠の中で大人しく眠るようにいたことから白雪と名づけられました。

孤児の私。本当の王家ではない私は運良く今のお父様に拾われただけ。
それは、現実で、事実なのです。
そんな私が本当の王家直属であるシヴァンお兄様に頼ってばかりでいいのだろうか。
私のせいで、お兄様が傷つくのは絶対に嫌でした。
だから、私はもっと強くなろうとしました。
もっと、もっと。たった一人でも構いません。

ただ、私は王家であることを言い訳にしたくはありませんでした。
本当の王家ではなく、偽りの王家なのだから。

どうか、どうか。私がもし倒れたとしても、お兄様のせいだと思わないでください。




薄く私は目を開けて、そこにいた暖かい温もり。
その少年は必死に私を抱きかかえて、走っている。
——ごめんなさい……木葉。
と、心の中で思っていた。
だけど、ずっとこのままがいいとも思った。
ずっと、私の傍にいて欲しいと思った。
温もりが傍にあるということが、どれほど私の心を溶かしてくれるものなのか。
それは、計りきれないほどの安堵をもたらしてくれる。
お兄様とはまた違った温もり。それをずっと感じていたい。

(——ありがとう……。木葉)

私は、安堵して目を瞑った。

キャラクターデザイン専用レス!  ( No.39 )
日時: 2010/12/19 23:42
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)
参照: http://ameblo.jp/mowmow-evangelion/entry-10734334087.html

ハッチしゃnさんの手がけたキャラクターデザインがついに出来上がりました!
とても素晴らしい出来なので是非とも見ていただきたいと思いますっ!
セリフ付きということに感動を覚えずにはいられないですね…w

このレスではこうしてキャラクターデザインのことを記していきたいと思いますので…
キャラ絵の方のチェックはこちらのレスと参照のハッチしゃnさんのブログでどうぞっ!


〜お知らせ〜
・主人公の杜坂 木葉、ヒロインの逢坂 瀬菜、伊集院 雪乃のキャラ絵が完成!
ブレザー姿の色無しです!素晴らしい出来に感動;

Re: ある日の放課後の魔科学 キャラデザ完成!参照400突破! ( No.40 )
日時: 2010/12/20 16:41
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)


読んでいる方々、参照400突破です。

読者様のおかげです! ありがとうございます!


これからも「ある日の放課後の魔科学」をお願いします!

Re: ある日の放課後の魔科学 キャラデザ完成!参照400突破! ( No.41 )
日時: 2010/12/21 17:35
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

「どうだ? 白雪」

「うん。もう随分楽だよ。ありがとう、シヴァンお兄様」

白雪は笑顔でシヴァンに言った。よほどシヴァンのことを大切に思っているのだろう。
何にせよ、本当によかったと俺は思った。
このシヴァンって人が来てなかったら俺たち死んでただろうしな……。
俺は一つ、安堵の意味を込めてため息を吐いた。
そのため息が聞こえたのか、白雪は俺の方へと何故かすごいスピードで見る。

「木葉っ!」

「へ? あ、はい?」

そしていきなり名前を呼ばれる。
それも結構強い口調だったので何事かと思う。

「大丈夫でしたか!? ケガはないですか? 本当に無事ですか!?」

「え、あ、えーと……あ、うん」

「よかった……」

安堵のため息を逆に白雪に吐かれる。
すげぇ心配された言葉の連続だったんですが。どこか頭でも打ちました? 逆に心配です。

「お前——!」

そして何故だか白雪の兄である美少年、シヴァンが俺に鬼の形相で詰め寄ってくる。
俺、何か悪いことしましたっけっ!? あ、あれか! 白雪をお姫様抱っこしたこととかかっ!?
兄としてそれは許せなかったのだろうか……? でもそれぐらい許してくれてもいいような気がする!
俺の葛藤とはまた別に、シヴァンは俺の予想外の言葉を言った。

「——ありがとうなっ! 白雪を守ってくれて!」

「……え?」

全くの予想外。ていうかお礼言うのに鬼の形相で来ないでください! 勘違いすること間違い無しですよ!
頭を下げてシヴァンは俺に言う。
自分的にはそんな大層なことした覚えはないのだが……?

「え、えーと……ちょっと、白雪どうにか言って——白雪?」

白雪に助けを求めようとして声をかけると、白雪は表情が真っ赤でボーッとしており、俺を見つめていた。
熱でもあるのかと半歩近づいてみる。そこでやっと白雪は「はっ!」と言って目が覚めたようだ。

「な、ななななんですかっ!! ……こ、木葉! 近いですっ!」

「え? そんな近くもないと思うんだけ——」

その瞬間、俺の目の前に刃が通り過ぎる。
今の目線は顔を真っ赤にした白雪ではなく、白い綺麗な刃の表面だった。

「貴様ぁっ! 白雪に触れようとするなど何事かっ!」

「さっきまで俺に詫びてましたよねぇっ!?」

頭下げてた人が今は敵対しているような睨みで俺を見てくる。
そんな、この距離で刃が目の前ということはお姫様抱っこ状態を見られてたら完全に死亡フラグだな……。
微妙なところで変に運が良いような気がするな、俺。

「お、お兄様! 剣を下ろし——!」

その瞬間、ものすごい量の火の玉の嵐。
火の玉といっても皆さんはどんな火の玉をご想像で?
玉に火がついてるようなバカげたものじゃないよ? じゃあ何に火がついてるのかって?
岩にだよ。

「ちょ、待てええええっ!!」

凄まじい勢いで俺含む三人は走り出した。向かうはもちろん、柱の方にである。
だが、柱が火の玉に当たらないように出来るだけ迂回しつつ行かなければならない。

「ま、魔法とか弾き飛ばせるんじゃないのかっ!?」

俺が走りながらシヴァンに向けて叫ぶ。
後ろは、見たくない。きっと火の玉の嵐だからだろう。後ろからすごい音と地響きがする。
白雪も、さっきまでお前どうしてたんだと聞きたいぐらいの走りっぷりである。

「無茶を言うなっ! 魔法を破壊するには俺の魔力も必要なんだっ! そんなバカスカと——!!」

目の前に火の玉が襲い掛かる。
上から飛んで来て俺たちの上空を越えてきたということだろう。

「横に転がれっ!」

「うおおおおっ!!」

人生の中でこれほどまでにダイブした日はないだろうな。
雪のおかげか腹の痛みはさほどない。だがしかし爆風によっていとも簡単に飛ばされる。
爆風って、初めて生で受けてみたがこれほどまでに恐ろしいものとはな。
とにかく……何とか傍にいた白雪を守ろうと一緒にダイブしたんだが。

「ふう……大丈夫か、白——雪?」

目の前に移ったのは白雪の真っ赤な顔。
そして、俺はまあ……白雪の顔を? 上から覗き込んでる感じ。
白雪は、まあ……寝転がって? 俺を見上げてる感じ。
他人から見れば……俺が白雪を襲っているかのような構図バンザイ。

「う、うわぁっ! ご、ごめんっ!!」

俺は焦りつつ、なんとか横に飛び退く。
だが、白雪はそのままじっとしたまま、何も言わずにただ赤い顔をして俺を見ていた。
あれ? 白雪さん? 眠たいのだろうか、目が少々とろけているような気がしないでもない。

「おいっ! 二人共大丈夫か!?」

そしてその後すぐにシヴァンが俺たちの元に来る。それで白雪は我に返って速いモーションで起き上がる。

「? どうしたんだ? 白雪」

シヴァンが語りかける。すると、白雪はもっと赤い顔をして——ってこれ以上赤かったら死ぬんじゃ!?

「な、なんでもないですっ!」

と、言うばかり。やっぱり白雪はシヴァンが大好きみたいだな。
俺は何故だか姉や妹の姿が浮かび、苦笑してしまった。

「着いたな……! 急ごう!」

どうやら魔力か何かの種切れか何かのようで火の玉はもう飛んでこなかった。
その隙に俺たちは柱の傍まで辿り着く。

「よし、白雪。召喚詠唱をしてくれ」

「はいっ!」

と、返事良く白雪は言うと例の秘宝とやらを取り出し、呪文のようなものを唱えだした。

「詠唱が終わるまで……ここで白雪を守るぞっ!」

(あぁ……やっと着いたのか……)

「……返事はっ!?」

「え! あ、はいっ!?」

どうやら俺に言っていたようだ。それが俺はやっとここに着いたという達成感に浸りすぎていたな。
何ていうかいきなり言われたような感じだから返事してしまったけども、何を言われたのか全く分からない

「お前、武器はっ!?」

考えてる最中にシヴァンがいきなり質問を投げかけてきた。

「え? 武器? いや……ないけど」

「なら魔法は何を使う!?」

「え? 魔法? いや……ないけど」

「……嘘を言うなぁっ!!」

「嘘じゃないよっ!」

どうやら俺も戦力に入れていたようだった。
予想外だという顔を俺に向けてくる。そんな顔されても。

「よく平凡の住民がここまで……」

何か逆に感心されてるんですけど……。

「まあいいっ! これも試練だっ! いくぞっ! ……えーと」

そういえば名前教えてなかったな、と思う。

「杜坂 木葉だ」

そう言うと、シヴァンは「む……」と言った後剣を前へ構え、目線は戦場に向けたまま言った。


「シヴァンだ。よろしくな、木葉」


横にいる美少年、銀髪王子が——小さく、笑ったような気がした。

Re: ある日の放課後の魔科学 キャラデザ完成!参照400突破! ( No.42 )
日時: 2010/12/22 23:39
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

木葉とシヴァンが白雪を背に守ろうとしている最中、戦場は——大変なことになっていた。

「うりゃああああっ!!」

「うわああああっ!!」

叫び声が二つ、爆音の響き続ける戦場に混じる。その二つの叫び声にはある特徴があった。
一つは、渾身の一撃を相手にぶつけたかのような気合の叫び。
もう一つは、悲鳴そのものである。

「全軍今だっ! 突撃いいっ!!」

「「うおおおおおおおおっ!!」」

凄まじい勢いで反乱軍率いるエルゲート将軍は王国軍を攻めていく。
その勢いに王国軍の兵士は根負けしたかのように敵前逃亡を図る。
圧倒的に戦況は反乱軍が有利だった。
逆に今まで何故このような戦況に至らなかったのかが不思議になるぐらいであった。

「じ、ジース様! 戦況は圧倒的に不利に……!」

側近の兵士からの伝言を受け取ったジースは眉間にシワを寄せて忌々しく言う。

「あのネズミ共っ! これ以上好きにさせるかっ! 白雪らを狙っていた魔術師を反乱軍にあてろ!」

「はっ!」

ジースからの伝言を受け取った兵士は素早くその指示を伝えに行く。
白雪やシヴァンらを倒せば反乱軍の猛追は止まり、一気にこちらに流れが変わると思っていた。
だがしかし、エルトールは先ほど発射して少し時間をおかなければ使えない上、反乱軍が何故か指揮を高めその猛追はもう既に普通の兵士たちでは抑えられなくなっていた。

「打てええええっ!!」

掛け声が王国軍内で起きる。
魔方陣がいくつも発生し、そこから溶岩のようなまさに火の玉と呼ぶべきものが排出される。
そしてそれは隕石の如く反乱軍に突如として襲いかかってきた。

「ぐわああああっ!!」

「耐えろっ! 耐えるんだっ!」

エルゲート将軍は作っておいた対魔術のための岩壁に隠れる。
そこで襲い掛かる爆風と共に火の玉の嵐を防ぐ。近くに落ちると自分の視界すらも地面と共に揺れた。

「くっ……! 猛追を止めてきたか……!」

エルゲート将軍は壁に隠れつつ、苦い顔をして舌打ちをする。
ただ一つだけ、反乱軍には弱点があったのだ。
それは、魔術師がいないということだった。
肉弾戦には経験があり、めっぽう強い反乱軍の兵士たちだが、魔術には敵わない。
まともに喰らいさえすれば命の危険性がひどく高いのである。
壁も何度も火の玉を喰らって来ただけあって既に半壊状態である。

(これであのレールガンとやらを打ってきたら……!)

猛追は崩れるどころか、動ける兵士がいるかどうかさえも不安になってくる。
——あのレールガンとやらをどうにかできれば……!
そう思いながら、ふと目線を柱の方に向けた時だった。

「あ、あれは……!」

そこに見えた姿は、遠目からでも分かる銀髪の美少年の姿。
その姿はとても見覚えがあり、同時に懐かしく感じた。

「し、シヴァン様っ!!」

昔から王と共に忠誠を誓った銀髪王子がその丘にいた。
傍に立っている不思議な服を着た少年は恐らく木葉だろう。
そしてまた、レールガンをとめたのはシヴァンだとその一目で感じ取ったのだった。

「よくぞご無事で……!」

エルゲート将軍が感極まって涙を潤もうとする時、すぐ近くで火の玉が落ちる。
その爆風でエルゲート将軍は少々吹き飛ばされる。そしてまた、気付かされる。

「ジースよ。お前は何も守るものがない……! だがな、俺にはあるのだっ!」

エルゲート将軍は大剣を構えて活気をつけようとしている王国軍の軍勢に立ち向かっていく。

「守るべき、我が忠誠を交わした大切なお方がっ!」

いくら傍に火の玉が落ちようとも決してひるまないその勇姿は騎士ではなく——
守るべきものがある男の姿であった。




また一方、瀬菜はというと——

「許せないっ! あの機械〜ッ!!」

と、全速力でレールガンの元へと向かっていた。
それを止めようと必死に兵士は瀬菜に向けて剣を構えるがそんなものなど眼中に入らない。

「どきなさ〜〜いッ!!」

右腕に握り締められている蒼い機械仕掛けの剣を振るうたびに兵士が舞うという何とも滑稽な画であった。

「な、なんて凶暴な女だっ!」

「うるっさいわねっ! 余計なお世話よっ!!」

「ひぃぃっ!!」

瀬菜の気迫に完全に圧されている兵士たちは何とも心細いことか。
たった一人の少女にレールガンのある建物内を荒らされまくっているのだから面目が全く立たない。

瀬菜はそれに比べて全く別のことを考えていた。
それはもちろん、木葉のことだった。
いつまで経っても、心配そうに白雪を見つめる木葉の画が頭から離れない。
——頼む!
あんな真剣な顔をして頼まれたら断りにくいものである。
出来ることならば傍にいて守ってやりたいと思っていたというのに。
そんな乙女の気持ちを知りもしない木葉今頃何をしているのだろうか?

「あぁ……! もう! ムシャクシャする〜〜ッ!!」

そんな乙女の内情で兵士達は半分八つ当たりのように吹き飛ばされるのだからたまったものではない。
とはいっても木葉からしてみれば今日が"初対面"なのである。
それは乙女にとっては何よりも悲しいことであった。

「……ずっと、待ってたのに……!」

自分にじゃなく、他人の、それも女の子にあんな心配そうな顔を向けるなんて考えたくも無い。
だが、実際目の前で見せ付けられた。木葉がどう思ってるにしろ、あの表情には心を打たれたのである。




(俺は何をやってるんだろうなぁ……?)

エルゲート将軍や瀬菜たちが奮闘している中、俺はため息をついていた。
傍では銀髪少年が先ほどまで剣を構えていたはずだというのに既に鞘へと収めていた。

「……暇だ」

「だな」

やる気になっていたシヴァンから暇だと言われたのでそのまま生返事を返すしかない。

「………」

そこで黙るのか。

「……寒」

俺が身を震わせながら一言言う。
何度も言ったと思うが、俺は制服姿だからな? そんな防寒対策的なのとってないからな?
全速力で走って逃げたりしているから汗かいたりして体が火照ってるために気付いてないと思うけど。
今こうやって落ち着いてみると、かなり寒い。

「すまん、俺は鎧とマントぐらいしか……あ、マント貸そうか?」

「いや、いらねぇ……」

制服にどうマントをつけるのだろう。それにつけれたとしてもダサすぎるだろ……。
少し人並みとずれた発想をする銀髪少年の素顔がだんだんと分かってきたような気がしないでもない。
それにしても暇だ、と本気で感じ始めてきた俺はどうせだから白雪のことを聞こうと思ったその時——



「レールガンを……シヴァンらの方に向けろっ!」

ジースの命令が下る。
魔術師たちには戦場を。そしてレールガンはレヴァンの方に放つことにしたのだった。

「後二回ほど受け止めれば魔力も尽きるだろうて!」

ジースは高笑いしながら、命令を下したのであった。




「シヴァンっ! あれ!」

何か咄嗟のことだったので呼びつけにしてしまったが本当に咄嗟だったのである。仕方ないといえるだろう
それは突如として放たれた——レールガンであった。

凄まじい爆音、そして虚空に迸る閃光はまさに一瞬だった。
あの時はよく分からなかったが、今ならばよく確認できる。
剣で、受け止めるのさえ難しいほどの速度を保つ"それ"を。

「——ッ!! はああっ!!」

シヴァンは、受け止めていた。そのまま押し切るようにしてレールガンを消滅させる。
——すごい、とは思ったがそれよりも気になることがあった。

「ぐ……!」

苦しそうにシヴァンは顔を歪ませて剣を雪の地面に刺し、膝をついた。
レールガンは消滅できた。ただ一つ、見た目だけで分かったことがあった。
——シヴァンは、既に限界が来ているということだった。


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