コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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ある日の放課後の魔科学 更新再開っ 
日時: 2011/03/17 13:51
名前: 遮犬 (ID: Q2XZsHfr)

クリックありがとうございますw遮犬と申しますw
えーとコメディではー…2作目、ですかねwシリアスは見て見ぬふりをしておきましょうw

さてさて…今回は非日常コメディファンタジーでございますw

とか言っておいて思いっきり学園モノとか入ってもいいじゃない!萌えキャラいたっていいじゃない!
そんな願望の物語ですけどもw立ち読み程度にどうぞb


…つきまして注意事項…
・亀更新とか、ないな(笑)という方はご遠慮をw
・遮犬の小説を見ているとアレルギー反応が(笑)という方はご遠慮をwてかいっそ苦しみなさい(ぇ
・ファンタジーとか言ってるけどコメディ学園入ってるじゃん(笑)っていう人もご遠慮をw
・多少スパイシーシリアスとか入ってますけど…何か?(殴(蹴

作品イメージソング【】…
ヒロイン的イメージソング【WORLD'S END UMBRELLA】…>>31

〜目次〜
プロローグ…>>1
第1話:ある日の放課後の雇われ救世主
♯1>>7 ♯2>>8 ♯3>>9 ♯4>>10 ♯5>>15
第2話:ある日の放課後の憂鬱
♯1>>16 ♯2>>17 ♯3>>18 ♯4>>19 ♯5>>20
第3話:ある日の放課後の白き小さな王女
♯1>>21 ♯2>>29 ♯3>>30 ♯4>>35 ♯5>>36 EX…>>38
第4話:ある日の放課後の銀髪王子
♯1>>37 ♯2>>41 ♯3>>42 ♯4>>44 ♯5>>45 EX…>>46
第5話:ある日の放課後の学園非日常
♯1>>49 ♯2>>50 ♯3>>51 ♯4>>52 ♯5>>55
第6話:ある日の放課後の休日今日この頃
♯1>>56 ♯2>>60 ♯3>>62





〜【キャラクターデザイン担当】〜



〜【お客様方】〜
月鈴さん
むーみんさん
真珠さん
夜兎〆さん
ハッチしゃnさん
優舞さん(凛さん)
陽風さん
玖織さん
瑠乃さん

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Re: ある日の放課後の魔科学 キャラデザ完成! ( No.43 )
日時: 2010/12/23 00:25
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=YgWIl50LfNI

えーどうもw毎度申し訳ございませんw遮犬ですw
えっとですね…w前にご紹介したのは、ヒロイン的イメージソング、ということで…w
結構、ストーリー関係とかあっちゃったりするんですがw(言っていいのか

今回、本作品のイメージソングということで…w
また、ボカロですwちょ、そんな怒らないでwボカロ大好きでごめんなさいw

えーとw今回、ご紹介する曲ってかイメージソングにさせていただくのは…

【ワンダーランドと羊の歌】ですねw

聞いたことある方も、まだ聞いていない方も是非どうぞww
そして、この場をお借りして…参照400突破、ありがとうございますw
あのwなんで参照上がるのか全く意味不明なのですけどもねww
読んでくださってる人がいる?っと思っても不思議なのですww
下流に流れ着くことの多い作品ですが…見てくださっている方?
いるなら返事…といってもいないですねww
まあ…この作品を読んでくれる人に向けて、まずありがとうの気持ちと…

えー…とw下流に流れてても読んでくれてたりしたら本当、手間かけてごめんなさいということですねw

はいwそれではこの辺で失礼することにいたしますねwでは、また会えたらどこかでお会いしましょw

…何か僕、どっかに去るような言い方してますねぇwwどこにも行きませんよ!?
あ、なんですか、その嫌そうな顔はっ!wどこかに行って欲しいんですかっ!
…即答されそうなのでちょっと答えは控えておいて欲しいですね…w


by遮犬

Re: ある日の放課後の魔科学  ( No.44 )
日時: 2010/12/23 18:27
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

焼き焦げた後が所々見られ、手につけられていたガントレットはもうボロボロだった。
シヴァンは、既に限界が来ているのだと分かった。

「シヴァンっ!!」

俺はすぐさまシヴァンの元へと駆け寄る。
剣を地面に突き刺して、なんとか状態を保ているが剣という支えが無くては今にも崩れ落ちそうだった。

「離れていろっ!」

だがしかし、シヴァンの口から出たのは辛辣な言葉であった。
その瞳は、何かが秘められた目であることに間違いない。

「俺は……守らなければならないものがあるんだ」

シヴァンはその傷つきに傷ついた痛々しい体をゆっくりと持ち上げる。

「背中に、守るべきものがある。俺は……約束したんだ。必ず守ってみせるとっ!」

背中に守るべきもの。それはきっと白雪のことだろう。
白雪は全身を召喚に集中しているようで何も聞こえていないようだった。
ただ一心に詠唱に力を入れている。そんな懸命な姿が白雪にはあった。

「俺は……守るべきものがある限り、守る!」

そして、再びシヴァンは剣を構える。
——あぁ、なんて俺は無力なのだろう。
守られて、守られて。それで俺は、何も返すことが出来ない。
俺は、歯を食いしばった。そして、拳を力いっぱい握り締めた。
何も、出来ないのか? 俺は——!




「もう既に、シヴァンは力尽きそうであります!」

伝令がジースの耳に届く。
その報告に今にも飛び上がりそうに体を前のめりにして笑う。

「——よし、もう一回レールガンを打て」

「……は?」

兵士は一体、この人は何を言ったのだろうという表情でジースを見た。
ジースは、俄然笑顔をやめない。

「で、ですが……このまま放っておいても戦力には——」

「早く打て。命令だ」

ジースは、冷たく言い放った。
その時、兵士は知った。
——この方は、異常だと。

「………」

「早くしろっ!!」

ジースに怒鳴られ、慌てて出て行く兵士。
いつまでも、ジースの笑い声がそこには響いていた。

レールガンを発射することを聞いた兵士は驚愕と困惑の表情を浮かべたが命令に従うことにした。
でなければ、自分の命も危ないと感じたのだ。
魔石という魔力を秘めた宝石を使えばレールガンを短時間で発射することが出来る。
やるせない顔で、兵士たちは魔石を使い、レールガンを発射するのだった。




「ま、また……!」

俺は目の前に光を帯びる、大砲を見て言った。
もう、こんなにボロボロだというのに。立ち上がることすら、かなりキツいのに。
俺に出来ることと言ったら、シヴァンを止めること。
このままだと、確実にシヴァンはもたない。
だが、止めてどうする? 止めたら白雪はどうなる?
多分、このままレールガンは白雪へと当たるだろう。そうなれば白雪もどうなるか分かったものではない。
結局は、シヴァンが止めなくてはどうしようもないのだった。

そして、閃光は迸る。考える時間など、与えてくれるはずもなかった。




「し、シヴァン様……!!」

レールガンを受けたシヴァンがボロボロの状態だというのを確認したのはエルゲート将軍だった。
あれからまた猛追を開始したが、レールガンが再び放たれたのがシヴァンだと知った時にまた戻ってきたのだった。

「あの状態では……ッ!!」

エルゲート将軍も分かっていた。
あの状態では、もう一度レールガンが来たら耐えられないということを。
そして、その恐ろしいことが今まさに行われようとしていた。
レールガンが、もう一度シヴァンに向けて放たれるのである。

「じ、ジースッ!! おのれええっ!!」

戦場最中で叫ぶが、届くはずもなく爆音の中に叫び声は消えていく。
目の前で、自分が忠誠を交わした方が死ぬかもしれない。
そんなことが脳裏をかすめた。考えたくもなかった。
——何か出来ることはないのかっ!?
そうして考えた策。それは——己の覚悟を決めてのことだった。




レールガンが勢いよく放たれる。それは一直線にシヴァンが待ち構える方へと向かっていく。
ボロボロのシヴァンは、案の定その速度についていけなかった。

「シヴァンッ!!」

俺が、声を荒げて叫ぶ。
だが、突然目の前が真っ白に覆われて何もかもが分からなくなったのだ。
一体何が起きたんだ? 俺はゆっくりと目を開ける。

「あれは……!」

俺が見た光景。
それは、高い丘の上に登って大の字にして構えるエルゲート将軍の姿。
それも、全身黒コゲの姿であった。
隣のシヴァンは、呆然とその光景を俺と同じく見ている。

その光景が意味するもの。
それは、エルゲート将軍が体を張ってレールガンを受け止めたのだ。
ボロボロになり、砕け散っていく王から授かりしエルゲート将軍の誇りの鎧は崩れ去っていく。

「え、エルゲート〜〜ッ!!」

シヴァンが膝から崩れ落ちながら叫ぶ。
その言葉に呼応するかのようにエルゲート将軍は——その丘から崩れ、落ちていった。

エルゲート将軍は、主君であるシヴァンを、白雪を守ったのだった。自らの体を犠牲にして。
——そんな、バカな話があってたまるか。

「——許せねぇよな、こんなの」

「——え?」

俺は、一人決意を固めていた。
突如として呟いた俺の言葉にシヴァンは呆然とした顔で俺を見上げる。
俺は、大きく口を開けて息を吸い込み、そして——


「ふざんけんじゃねぇっ!! 人の心を踏みにじりやがって!!」


俺は、大きな声で叫んでいた。




「何だ? あの小僧は」

その声はジースの声にも僅かに聞こえていたほどだった。
だが悠々とした様子で、ジースは新たな指令を告げる。

「あの小僧と共に、シヴァンも倒せ。エルゲートしか倒せておらん」

兵士は、その言葉一つ一つに怯えながらも従うのであった。




「木葉……? お前——」

「シヴァン、その剣貸してくれな?」

俺はそう言った後、シヴァンの手元にある透明に光る綺麗な銀色の剣を手に取る。

「何を言って——!」

「お前さ、言ったよな? 平凡な住民って」

その言葉に「あぁ……」とシヴァンは呆然と生返事を送る。
気にせず俺は剣を構えながら言う。

「俺はその通り、平凡な住民だよ。高校一年生だ。本当なら今頃家で寝てるだろうな。実際のところ、俺はぶっちゃけると救世主でもなんでもない」

わけがわからない顔をシヴァンはしていたが俺はまだまだ続ける。

「でもな、約束しちまったんだよ。白雪と。この世界を救うってな」

その言葉に、シヴァンは訝しげな顔をして呟くように言った。

「お前は……一体——」

俺は、この問いにはもう自信満々で答えることが出来た。
かっこよく、微笑を浮かべながら言ってやったさ。


「ただの世界を救うアルバイトをしにきた一般高校生だよ」


と。


その瞬間、目の前に閃光の光が迸り——放たれた。

Re: ある日の放課後の魔科学  ( No.45 )
日時: 2010/12/23 21:32
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

瀬菜は猛進していたが急に立ち止まった。
それは、信じられない光景が映ったからであった。

「な、何してんのよあのバカッ!!」

それは、木葉が剣を構えている姿だった。
その瞬間——閃光が木葉を襲っていく。

「木葉ッ!!」

と、その場で叫んだ時だった。
鈍い音共に頭が揺れる。

「——ッ!!」

「やっと捕まえたぜっ! この小娘!」

瀬菜がいるのは、敵陣の真っ只中。
立ち止まればもちろん、敵が襲ってくる。つまりは敵に殴られたのだった。
頭から血がポタポタと落ちる。だが、そんなことを気にしている場合ではなかった。
——大丈夫、あいつは生きてる。
そう、心に信じ聞かせて

「はぁぁぁぁっ!!」

「なっ——! ぐわああっ!!」

鈍器で瀬菜の頭を殴った男は軽々と吹き飛ばされる。
瀬菜はそのまま駆け上がっていく。
——あいつは、いつだってそう。ここからでも分かる。決意を込めた目をしていた。
その時は、いつだって——

自分が出来ること。それはレールガンを一刻も早く破壊することだと決意を固め、駆け上がっていく。




何がなんだか分からなかった。
何が起きたのか、何がどうなったのか。
ただ、目の前が真っ白になって——

「お、お前……!」

シヴァンの声が聞こえる。その声はどこか驚いたような言いぶり。
そして、やっと視界が開ける。何が起きたのか、説明してくれるナビゲーターの一人は欲しいものだった。

「えーと……?」

手に持った剣がいつの間にか振り落とされていて——いつの間にか、エルトールは影も形もなくなっていた。
後ろを振り返るが、白雪の姿も容易に確認できる。

「止め……れたんですか?」

何度も顔を縦に振って頷くシヴァン。
どうやら——マジで止めれたようで。

「……えぇ〜〜……?」

どういう展開か全く理解不能であった。
その時、またしてもレールガンが光りだし、閃光を放ってきた。

また、目の前が真っ白になったかと思うと——レールガンは跡形もなく消え去っていた。
ついでに言うと、シヴァンの顔も呆けた感じになっていた。

「え、えぇ〜〜……?」

一度だけではまだしも、二度も止めることが出来たのであった。
それも、シヴァンは二度受けただけで多大なダメージを喰らったと言うのに、俺は全然余裕だった。

「なあ……俺、何者?」

さっき一般高校生とか言っていた自信が無くなってきたことだけは確かであった。




「ど、どういうことだっ!?」

案の定、ジースは動揺が冷めなかった。
目の前の光景が、信じられなさすぎるのだ。
あの"小僧"は一度ならまだしも、二度も止めたのだった。
それも、平然な顔をしている。

「わ、わかりません……! あのような"化け物"が反乱軍側にいたなどっ!」

側近の兵士と共にジースがざわついている時、いつぞやの公爵オッサンが飛び出てくる。

「あ、あれがそうですっ! あれが、救世主と名乗っていたものですっ!」

その言葉にどよめきがさらに強くなる。ジースも目の前で見せ付けられたら信じざるを得なくなってしまった。

「あ、あれが……予言の救世主だというのかっ!」

予言——それは、王国古来に伝わる聖書に書かれたものである。
王国が二つに分かれ、共に戦いを始めた時、救世主たるものが異世界より現れ、場を制す——と。
それはあくまで御伽話などの世界であって、皆信じることはなかった。だが実際に目の前にいるのだ。驚かないはずはなかった。

「く、クソゥッ! 構わん! 戦場にレールガンを戻せっ! もう奴らはよいっ!」

と、標準を別に切り替えるように指令を出した直後だった。
目の前の光景の中に、右腕に巨大な蒼い機械仕掛けの大剣を持ち、美しい容姿を重ねた一人の少女が映る。
どうやらそれは陣外のようで空に浮かんでいるようだった。



「これで……! お終いよっ!!」

その美少女が、何か呟いたと思いきや、右腕の大剣が少し先端部分を変え——銃となる。

「いっけええええっ!!」

その美少女、瀬菜は渾身の思いを込めてレールガンに向けてその銃口を向け——響かせた。
銃口から連続的に轟くような銃声と共に弾が出る。それらはレールガンに当たっては砕けることを繰り返す。
だんだんとレールガンは形を無くしていき、そして凄まじい爆発音と共に消滅していった。

「ば、バカなああああっ!!」

ジースの叫び声が続く。
地面が大いに揺れ、体が冷たい雪の床へと転がる。

そして、それとほぼ同時刻に柱が唸りをあげて飛び出る。
白雪の周りが綺麗な虹色を描き、周り一帯を包んでいく。

「召喚……成功かっ!」

シヴァンの声と共に白雪の体と一緒に何かが入り込んでいく。
それは——レイとライの姿だった。
先ほどからずっと見ていなかったレイとライの姿がこの目でしかと確認できる。
それらは組み合わさり、そして金色の光を戦場全体に覆った。


「こ、これが——聖獣……!」


その金色の光から生み出されたのは、巨大な金色に光る狼のような犬のような巨大なものだった。

「グオオオオオオオオッ!!」

その聖獣と呼ぶにふさわしい金色の獣はおたけびを挙げて俺とシヴァンに近づいていく。
そして、傍まで駆け寄ったかと思うと、姿勢を低くした。

「……乗れってことか?」

「……どうやらそうらしいな」

俺とシヴァンは両方顔を見合わせて頷く。
そうして聖獣の背中へと乗り込んだ。

「グオオオオオオオオッ!!」

すると、ものすごいスピードで雪の地面を駆けていく。
周りの美しい雪景色も全てこの聖獣のために彩られたものさえ見えた。

戦場の、誰もがその聖獣の姿に目を奪われていた。
敵味方、争うという気持ちはもう無かった。




「まだだ……! まだ終わっておらん!」

ジースが駆け寄った先には、ご子息3人の姿があった。
ご子息3人はいつの間にか手に手錠がはめられている。どうやら人質扱いとしていたようだった。
怯えた目でご子息3人はジースを見ている。

「まだ! 人質が——!」

「あんた、往生際悪いのよ」

後ろから聞こえてきたよく聞こえる高い声。
ジースは一目散に後ろを振り返るとそこにいたのはレールガンを破壊した美少女の姿。

「ま、まだだ! ワシは負けておらん! まだ——!」

その時、その場を駆け込んでくる巨大なものが見えた。
それは、金色に光る聖獣だった。

「速ッ!! てかいきなり止まんなああっ!!」

「え——きゃああああっ!!」

木葉がものすごい勢いで美少女へ、瀬菜へと飛んできたが——

「この変態〜〜ッ!!」

「ぶへええええっ!!」

俺はそのバカでかい剣の平らな部分で殴り飛ばされるのでした。
だがここで気を失っている場合ではない。俺はゆっくりと立ち上がる。
一つ、言わなければならないことがあるからだ。この目の前にいる往生際の悪いオッサンに。

「あのさぁ……。俺、もうガマンできないから言わせて貰うよ」

出来るだけ俺は優しい声でそのオッサン、ジースへと話しかける。

「ひ、ひぃ……!」

ジースは完全に戦意喪失。今にも命乞いを始めそうな感じを醸し出していたが、そんなことは知らん。


「とんだアルバイト原因を作りだしやがって! おかげでおニューの制服ズタボロだわ! この野郎ぉぉぉぉッ!!」


「え——! ギャアアアアアアアア!!」

瀬菜によって頬が二倍ほど膨らんだ俺は、とりあえずオッサンの顔面を思い切りよく一発、殴ってやった。




その後、不思議なことに王国軍、反乱軍共にすんなり和解して戦争は幕を閉じたのだった。

Re: ある日の放課後の魔科学  ( No.46 )
日時: 2010/12/23 23:07
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)

「し、シヴァン……!」

ご子息3人はとてもむず痒い顔をしてシヴァンの顔を見る。
今まで憎しんでいた人から助けられたのがとても居心地を悪くしていた。
だが、シヴァンはそのことについて何も言わず、ただこう言ったのだ。

「よかった……! 三人共無事で……」

いつだって、シヴァンは兄弟としてみていたのだった。
どれだけ憎まれようとも、シヴァンは家族としてみていたのだった。

「シヴァン……俺たちを許して……くれるのか?」

三人は涙が自然に溢れた。
こんなにも、兄弟というものが温かいものとは知らなかったのだった。

「あぁ、もちろんだよ」

シヴァンは、ボロボロになった体で三人に微笑んだ。




「エルゲート将軍!」

兵士達は急いで黒コゲのエルゲート将軍を救護施設へと運んだ。
既に和解した王国兵士もいつの間にやら手伝いをしている。
先ほどまでは憎み、戦っていた相手だというのに。

「包帯、いるか?」

「あぁ! ありがとう! 出来れば薬草も採ってきて欲しいんだが……」

「薬草なら城内にたくさんある! 取って来るよ!」

こんな感じに双方本当に敵同士だったのか定かではないぐらいの仲直りぶりだった。

「ぐぅ……!」

エルゲート将軍は黒コゲになりつつも、まだ微かに意識はあった。
見るだけで痛々しい火傷の痕に皆悲しみを隠しきれない。
常人ならばレールガンをまともに受けたりすると即死並であるが、エルゲート将軍は耐えたのだ。

「この……鎧のおかげだ……」

今はもう、粉々に砕け散った王からの授かり物の鎧の欠片を大事そうに手に取り、見つめる。

「守れて……よかった」

心から安堵し、しばらく目を閉じることにした。
——目を覚ましたら、木葉殿に礼を言わなくては……。そう、思って痛みより嬉しさが増したのだった。




「お父様っ!」

その後、白雪は聖獣が突然光を放ったと思いきやその光の中から姿を現した。
目を閉じており、ゆっくりと目を開けてその突如、状況の確認を俺たちに攻め寄ってきた。
俺たちはゆっくりと状況を説明してやると、白雪はすぐさま笑顔になったと思ったら次は
「お父様っ!」であった。

牢屋へと向かった白雪は感動の再会を果たす。
痩せこけた王と思わしき人物が牢屋の中、一人寂しく閉じ込められていた。

「おぉ……白雪か……しばらく見ない内に大きくなったな」

「お父様……!」

笑顔が本当に優しくて、あぁこれが父親なんだなって思った。

「父親……か」

俺はポツリと呟いて白雪とその父である王が涙ぐみながら抱き合っている姿を眺める。
ここは素直に俺も笑顔で居たい所だったが、突如として俺は思い出したのである。
父親という存在を。

「………」

「……何?」

そしてそんな中、横からの鋭い目線に気付いた。
それは10人見れば9,8人が美少女と呼ぶほどの見栄えの持ち主、逢坂 瀬菜であった。

「何、じゃないわよっ!」

「何でいきなり怒るんだよっ!?」

怒る理由が分からないために何も言えない。
そうしているとふと気付いたことがあった。

「あれ……? 瀬菜! お前、頭怪我してるじゃねぇかっ!」

「え……? あ……」

「あ、じゃないだろっ? 血出てるし……! 包帯で巻いてやるから来いよ!」

俺が瀬菜の手を引こうとした時、俺の手を拒むようにして背中に手を隠した。

「ば、ば、バカッ!! 別にこんなもの、唾でも塗っておけば大丈夫よっ!」

「年頃の女の子がそんな療法言うもんでもやるもんでもありませんっ!」

それに部位が頭だぞ? 頭に唾塗ってる奴、どんな時代劇でも何にせよ見たことねぇよ……。

「と、とにかく! いいから! ほっといてよっ!」

瀬菜はそうして俺から背をそむけてしまった。
その姿に俺はため息を一つ吐く。

「いいわけないだろ?」

「……え?」

瀬菜は俺の一言で再びこちらを向いた。
今度は怒った顔でも、赤面した顔でもなく、驚愕したような顔だった。

「俺の頼みを聞いてくれたし、瀬菜がいなかったら俺はあんなこと出来なかったし……」

「木葉……」

あれ? 今初めて名前で呼ばれた気がしたんだが……。
それよりも、この続きを言うのがなんだか照れくさい。なので誤魔化してみることにした。

「その怪力を評して、俺が優し〜く包帯をだな……ぶはぁっ!!」

「このバカァッ!!」

今世紀最大のダメージで俺は壁へと顔からダイブしていくという恐ろしいことになった。
その時の瀬菜の赤面顔と一瞬だけ見えたパンツの色は忘れない。




その後の話を語ろうじゃないか。

白雪はそれから安心したのか、泣き疲れたのか眠りについた。
エルゲート将軍は黒コゲの状態から奇跡の回復を見せ、今では筋トレも出来るほどにまで回復したそうだ。
シヴァンはご子息3人と敵であったご子息らの父親と和解した後、囚われていた父親と再会を果たした。
王国軍兵士と反乱軍兵士は王のその優しき心により誰もが許され、平和を誓った。
ちなみにだが、ジースらも許されたそうだった。
その慈悲深い心に感動したのはいいものの、大臣の座から下ろされたのは言うまでもない。

とりあえず、一件落着はしたのだった。
元から平和な国だというのに、ここまで戦争が続いたのもおかしな話だとは思う。

そして、ようやくだった。

「帰れるのかっ!?」

「うるっさいわね! 朝なんだし、静かにしなさいよっ!」

荷物を整理しながら瀬菜は俺に怒鳴る。
声量的にいえば瀬菜の方が俺より響くのだけどもね。

「やっと……やっと俺のフリーダムが戻ってくるのか……!」

俺は嬉しすぎて感極まり、涙が零れそうになる。

「大袈裟ね……あ、それと……この世界にはもう来れないから、見納めしておいた方がいいわよ?」

「え? もう来れない?」

俺はつい、聞き返してしまっていた。
先ほどまで感極まって涙すら流そうとしていたというのに、その言葉には納得がいかなかった。

「救った異世界には二度と帰ってこれないのよ」

ということは、もう白雪やエルゲート将軍にシヴァンや反乱軍の皆にも会えないということか?
そう考えると、寂しい感じがした。

現在、朝方。
皆、昨日の戦争の疲れで寝入ってる頃だろう。俺だってさっき瀬菜に起こされたばかりだ。
瀬菜は昨日の疲れなど全く無い様子で俺を起こしたのだ。本当、ここまで来ると尊敬するよ……。
その間に俺たちはさっさと撤収を図ることにした。
荷物をまとめ終わると外に出る。

「何か、色々あったけどな……」

最初は帰りたくてたまらなかったが、いつしか世界を救ってしまっていた。
こんな話、現実に戻って話しても誰も信じないだろう。
俺たちは、ゆっくりと白銀の世界を歩んでいく。
その時だった。


「木葉〜〜!! 瀬菜様〜〜!!」


どこからか、聞き覚えのある可愛らしい声が聞こえる。
俺たちが後ろを振り向いた瞬間、花火のような爆音がしたかと思えば、まんま花火の如く青空に綺麗な色が混じる。
朝にやるものか? とは思ったがとても綺麗だった。
そして、白雪の姿だけではなく、皆いたのだ。

「またいつか! 必ず会えますよねっ!?」

白雪の声。どこか、震えているような声。
涙ぐんでいるようだった。
それに対して俺は、出来る限り笑顔で答えてやることにした。

「あぁ、もちろんだっ! もし、また泣いている時があったら俺達が飛んできてやる!」

そうして手を振る。それに手を振り返して来れる。

「何で私まで……」

と、瀬菜がぶつぶつと何か言っているが否定はしなかった。

「それじゃぁ、帰るわよ」

「あぁ。……でもどうやって?」

するといきなり、地面に魔方陣が現れたと思いきや

「え、ちょ……! 嘘だろぉぉぉぉッ!?」

その中に、吸い込まれていった。




「必ず……会えますよね……」

白雪は、胸にある秘宝たるペンダントを握り締めて呟いた。




「うぉぉッ!!」

俺はヘッドスライディング。それに比べて瀬菜悠々と両足着地。

「何か理に合わねぇよっ! ……ここ、どこだ?」

気温がまず違う。それに何か雰囲気も全く違う。
先ほどまで銀世界にいたというのに、今は古ぼけた教室の中だ。

「あんた、遂にボケた? ——あんたが帰りたがってた世界じゃない」

「あ……」

瀬菜に言われてようやく気がつく。
そうだ、ここは全て始まった所。アルバイト会場たる教室であった。

「あ、やっと帰って来たね」

そしていきなり、俺の頭上に笑顔を崩さないハンサムスマイルが映る。
その男は、ゆっくりと手を差し伸ばして言った。


「——おかえり。そしてようこそ、我が放課後部へ」


「——へ?」


新たなる状況把握には、しばらく時間がかかりそうだった。

Re: ある日の放課後の魔科学 第4話完!学園偏突入! ( No.47 )
日時: 2010/12/24 12:09
名前: 玖織 ◆Kqe55SnH8A (ID: 7aD9kMEJ)

お初です^^
玖織と申します。

異世界ネタですかw
大好物でs(黙

いっきに読んでしまいました!
これからも見させていただきますのでよろしくお願いします(`・ω・')
以後、お見知りおきをww


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