コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー
- 日時: 2012/02/01 00:05
- 名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: TQ0p.V5X)
オリキャラは……潮時でしょう☆
〜キャラクター紹介〜
河合 雄次 (かわい ゆうじ)
・某高校一年の帰宅部の男子。
・性格は引き込みがち。
容姿は少し女性っぽく小柄ちなみに声も高い。
・よくいらん事を言うので人類の強敵かも・・・
清水 美玖 (しみず みく)
・同高校一年生の帰宅部の女子。
・性格は大人しめ。
・幼い頃に受けた手術により、声では話せない。
そのため、いつもメッセージボードを
首から提げていて会話に使っている。
河合 みく (かわい みく)
・某中学一年の女子。
・性格はお人よしで人懐っこい。
・兄雄次の事を慕っており、しつこく追い回している。
真田 純一 (さなだ じゅんいち)
・同高校二年のバスケ部の爽やか系の男子
・あまり物にこだわりを持たないず、顔が広い。
後輩の雄次をいつもからかっている。
・弟が猫より軽いってんで入院している病院に
ちょくちょく顔を出しにいく。
真田 浩太 (さなだ こうた)
・8歳の男の子。
・いつも思いつめたような虚弱に満ちた顔立ち。
・いつも純一がお見舞いに来てくれるのを楽しみにしている。
佐々木 ユトリ(ささき ゆとり)
・同高校二年の女子。
・名前にそぐわず、風紀的性格の持ち主。
実際生徒会にも勤めている。
・口調は作者とリンクしてます。
ので、ウザいです。
高校生という題材は初挑戦です。
ですが、小説の代名詞の高校生フラグを攻略できれば・・・
な〜んてのんきなこと考えて書いてまいります。
>>1 ぷろろーぐ
第一章〜あまり気を遣わんクソ長い前置き〜
↑ホントは無視してよい
>>2 1 妹さん
>>3 2 気弱少年
>>8 3 コロッケ争奪戦!!
>>9 4 部活動勧誘?
>>10 5 床下部活動。
>>11 6 床下エイジ
>>12 7 ネズミと猫
>>15 8 部員倍加の術
>>16 9 悩みの連鎖。
>>19 10 今出来ること→何も考えないことっ!
>>20 11 ミーツ吉野?
>>21 12 ちぐはぐ美玖たん
>>22 13 I can ?
>>24 14 why don`t help us ???
>>25 15 始まりは自己紹介。
>>26 17 そうだ、部室を変えよう。
>>27 18 風流れる
>>28 19 ボランティア部始めました!!
第二章〜シルバー暖ホーム 参加人数5〜6人〜祝初依頼!!
>>29 プロローグ REQUEST №1 FROM 亀島 秀樹
>>30 1 テキトーな少年のテキトーな決断
>>31 2 気弱少年は微妙な間柄に挟まれたと思ってる
>>34 3 冷血男
>>35 4 美玖の寄り道?
>>36 5 誰かと誰かの共感するところ
>>38 6 時刻 五時四十分
>>39 7 つらいからこそ、笑うこと!
>>40 8 いよいよだから
>>41 9 与太物語
>>42 10 だから頑張る証明
>>44 11 あっちいね←43表記だったです、すみませぬ
>>48 12 マクベスの目指したもの
>>49 13 ポジティブに
>>50 14 ???
>>52 15 メニューが決まらないんです
>>53 16 アングル←NEW!!
〜ぬわんとっこんな方にご評価頂きました!!〜
>>5 黎さん
>>7 月読 愛さん
>>12魔王さん
コメント有難うございます!!
〜 作者コメ 初めての方も、まずはここからどうぞ 〜
>>33 そう言えば2つ程お知らせが。
>>43 そう言えば、皆様ご無沙汰してました。
>>46 そう言えば プロットってご存知ですか?←NEW!!
>>47 いざ、構成を更生! と取り掛かったのだが、何故か自作絵が出来ていたという
>>51 そう言えば、オリキャラ募集始めました!
>>54 そう言えば このままロリコンでいていいのか?
- Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.34 )
- 日時: 2011/05/21 11:33
- 名前: そう言えば、こしょうの味しらない (ID: lZRL.MZu)
そのまま校門まで例の妹事情を話してなんとか盛り上げようとしたけど、残念ながら清水の俯きがちな表情を崩せなかった。はっきり言って気まずい。校門についても元気なさげな調子は続いていた。
「じゃぁ、ここで さよならしますか」
右手へ次第に隠れてゆく夕日がまだまだ眩しい。グラウンドに備えられた銀色の時計塔は時刻は4時をさして、帰宅部の生徒たちの姿を今日も惰性の中で見守り続けている。
「清水?」
緑、青のペンもフィリップの上を走っていない。彼女は何も答えずに、何か言いあぐねているような姿の半分だけを夕日の恩恵で赤く染めている。
俺は清水に向き合って彼女の意見が纏まるのを待つことに。その時吹いた夕方のひんやりとした風に自分の気力を奪われないように耐えながらも、清水を見据える。
「どうしたんだよ。いきなり元気なくしてさ」
— つめたい —
……やっとペン先が動き、こちらを見つめてくる。表情は……笑っているというか微笑んでというか? 強いていうなら、いつかの諭し笑みといったところか。俺はさっきまでの気まずい空気を払拭するようなそれには思わず見とれてしまう。
— それだけ 今回は —
諭し笑みMAX。
「……え?」
ぶんぶん、何かに気付いたのか大きく清水は首を振った。
消し
書き書き
— でも 仕方ない かな まだ —
「えーと、何のことかさっぱりなんだけど」
意味深過ぎる翻訳不可な彼女。人類の根源的な何かを握っていそうな立ち位置だなぁ。
まさかそれが俺ってこたぁ…ねーよな?
— まぁ 精進 したまえ 細かすぎるのも 厳禁 だし —
「……はい」
色々不可解だが、納得してみた。
それから清水はそのまま俺に手を振り、帰って行ってしまった。
○
何のためなんだろう? 何のために参加してくれるのかな?
私は雄次の相変わらないデリカシーの無さに呆れるずっと前、今日の昼休みからそんなことを考えていた。
帰り道。用水路と一車線道路がガードレールで仕切られている道に歩いている私がいる。
一人だけの下校にもうなれてしまっている。だって誰かと居ても……話せないし。
さっきの自問が頭の中をぐるぐる旋回している。
雄次はどう思っているんだろうなぁって
……あれ?
用水路の向こう側へ行くコンクリート製の橋の中央に見知った顔を見つけましたぞ?
すたすたと軽快に靴をならしながら走ってその人の方へ。
近づいてみると、やっぱりそれは真田先輩だった。
そのままどんどん近づいていって横に並ぶことに。その間会話用のフィリップに“部活おわったんですか”と書き書き。
真田先輩は隣で歩幅を合わせている(これきつい!)私に気付いたのか、少し不意をつかれたような挨拶をする。どうもごめんなさいです。
「あれ? 美玖ちゃん」
— 部活 おわったんですか —
上げたフィリップにはそう書いてあるはず。
「あぁ、まぁね。バスケは……」
文末を濁すようにぼそぼそとしている。
「美玖ちゃんってこっちなの? 家」
— いいえ 先輩 見かけたもの ですから —
「そっか」
— 先輩は こちらなんですね —
「違うよ」
先輩が首を横にふる。
じゃぁ、お互いなんで道草くってんの? そんな心情を読み取ったのか先輩が説明を追加する。
「これから病院に向かうんだよ。バスで20分くらいの、ほら臨海の総合病院」
— なんでですか? —
「弟が入院しているから、そのお見舞いみたいな」
へぇ。
「……ついてくるかい?」
え? そんなお荷物……じゃなかった。全く用ないし。
「おいでよ。あいつも喜ぶから。俺に彼女ができたってね」
……はぁ、ジョークかなぁ? 雄次のより酷い……同じくらいだから、抗体ある。
というかなんかの口実に利用されそうな気もするんだけどなぁ。私、今回の話では何するんだろう?
こんな感じで、とりあえず先輩の後ろをてくてくついて行くことになりましたとさ。
- Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.35 )
- 日時: 2011/05/23 14:00
- 名前: そう言えば、こしょうの味しらない (ID: LMtRhfuT)
先輩に連れられて、私は今海を臨める高台を歩いている。そこを海側に降りて行くとそこは病院の駐車場として使用されていて、色んな車が並べられているのが見える。
駅前のバスに乗って、20分ほどの所の総合病院は私が喉の手術病院よりは小さいけど、この町の中では際立って目立っていると思う。
実際に近くまで来ると、高さも結構あって、てっぺんは30メートル離れないと見れない。
「大きいだろ? ここ」
足を止めて病院を眺めていた私に先輩は笑いながら話をかけてくれた。それに同意するため、私は首を縦に振った。
「ま、あんま好きじゃないんだけどね。ここ」
そう言って先輩は入口の自動ドアへ向かう。私もそれに小走りでついて言って同時に病院ないに入る。先輩はそれからも受け付けに向かい、奥のエレベーターに乗って……結構なれた動作のようだった。それで7階へ向かって、いよいよ先輩の弟さんの病室へ。
……あっ。どうやら大事なことを忘れていたみたいだあぁ。先輩に……う〜〜。雄次以外ワイシャツひぱったことないんだけど、しかたないか。
くいくい。
「……うん?」
それに少し遅れたように先輩が反応をくれる。その時の彼の表情はどこか印象的で、いつも笑っているはずの顔が、色を失ったように何もない。
書き書き。とりあえず用件は。
— 私 お見舞い の 品 何 か 買ってくるの 忘れちゃったんですけど —
「あ……あぁ」
それから、顔がいきなり色を取り戻した。笑顔色を。
「あはは、いいよ。もともと俺が勝手に連れてきちゃっただけだし。」
— ついてきたのは 私 だし —
「俺の仮の彼女として来てくれれば、なんの問題ないし」
— そこ は 悪い冗談 だと 思うから 本気に なれないし —
「それにちゃんとお土産あるから、ほい」
え? 先輩が背負っていたリュックサックから正方形の箱を取り出して…私に渡す。
— これ あたしの じゃ —
「いいんだよ。というかお願い、君から渡してくれ。あいつはこーいうのに弱い」
まだ、8歳だからな……。突然言霊がなくなったように思えるセリフを心なしか先輩がぼそっと言う。
— わかりました —
なんかもう、こうなったら全てイエスしかあるまいって感じだしねこれ。先輩から箱を受け取って抱える。
「じゃぁ、あけるよ」
先輩は言い切る前に扉に手をかけて、引いている。
ごうっと瞬時に風が流れて、向かい側の窓が開けられた室内にあるベットには布団をかぶった山一つ。
その山に先輩は声をかける。
「よぉ、こうた。“今日も”来てやったぞ!」
「……にぃ〜ちゃ〜ん。いらしゃーい!!」
それからベット上の山はくずれて……掛け布団ごと突進してきた!!
ずこっん!! もちろんこの布団は中でこれをかぶさっている弟さんの意思で動いている。だからお兄さんの方へ向って兄弟愛の象徴のように抱き合う……つもりだったのかな?
「あれ〜? おにいちゃん。胸部ほそくなった〜? それになんか柔らかいし……この香り、おにいちゃんじゃないな!!」
夏場の近いせいか厚手の毛布じゃないからかな……気付かれちゃったか。そうです、あなたが抱きついたのは、お兄ちゃんじゃないです。
「う〜んでもいい香りやぁ〜女の人かなぁ。あ、もしかしてナースさん?」
って、すりすりしないでぇぇ! って口頭で言えたとしても、喉がつっかえて何もいえなくなってしまうかもしれないぃぃぃ、これ。
「ひゅ〜浩太。初対面に対してすげーことすんなぁ」
もうっ先輩っ!感心してないで、早く放すようにいってくださいぃぃぃ。
- Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.36 )
- 日時: 2011/05/23 15:09
- 名前: そう言えば、こしょうの味知らない (ID: LMtRhfuT)
「そろそろ放してくれってさ。しつこい男は嫌われるぞ」
「え〜もうちょっといいじゃぁん。すりすり」
すりすりってぇ……もう誰かぁぁ、たすけてぇ。
「こしょうのように薄味で生きる方が丁度いいさ」
「こしょうって薄味なの?」
「う〜ん。どうだたっけかなぁ?」
先輩が顎に手を当てて悩み始めた。依然私の胸元には毛布を被った男の子が。まだ看護婦さんだと思っているみたい……かわいいのかな?
母性が沸かないから違うと思う。
「というか何で黙ってるんだろ? このナースさん」
「あぁ、違う。俺の彼女。だから放せよ」
「えぇぇぇえぇ!!!!!」
先輩のなんか変なことを。でも仕方ないよね、一応その設定は言われていたことだし。彼女かぁ……そう言えば、どう振舞まったらいいの?
「兄ちゃん、彼女できたの!? どれどれ」
毛布から手が出てきて、それが布を掴んで投げた後、やっと毛布に巻かれた男の子の顔が表れた。それは茶髪でパーマが軽くかかっていて、目はおっきく、明らかに10歳ぐらいの男の子だった。
「……うわぁ」
その途端、男の子の顔が初対面なる私の顔をまじまじ見てから、軽く溜息をする。瞬間的に目はより大きくなって、私の輪郭をその虹彩の中に軽く溶かしている。
「こ、こんにちは。あ、あの。ごめんなさい」
どうしたのかイキナリ態度が変わってしまったかのように顔面を赤くしだした。いやいや、良いわけが無いでしょうに。ふ〜ん、とりあえず返事を返して見ますかね。文字だけど
書き書き。
— こんにちは —
「……おねえちゃん、喋れば?」
……この場に少しの沈黙が流れる。それにしまったっと男の子は反応した。私は隣の真田先輩に目線を送って続きを促してみることに。
「いやぁな、浩太。この子さぁ声が出ないんだ」
「ほう、そうなんだ。やっぱり」
「やっぱりって?」
それから男の子こと浩太くんは私をまた見つめて、
「だって。おねえちゃん、健志くんと同じ匂いがするもん。健志君も喋れないんだよ」
……
— 私 と 同じ なの ? —
「うん、ここにはおねえちゃんみたいな人結構いるよ」
そっか
— コウタ くん みたい な 人も —
「……っ!」
今、真田先輩の詰まったような息が聞こえた気がする。
「うん」
そっか
— それじゃぁ
寂しくないね —
……あれ?さっきからなんてこと聞いてるんだろ。 私最低だよ。これじゃぁいつかあの結論に行き着いちゃうのに……。
「でも……」
誰も触れたくない、言いたくない あの結論に落ち着いてしまう。
「でも、みんな死んじゃうんだよ。せっかく仲良くなっても」
なくなっちゃうんだ。
そう言って、男の子の顔はただただ笑っていた。
- Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.38 )
- 日時: 2011/05/28 12:59
- 名前: そう言えば、こしょうの味知らない (ID: LMtRhfuT)
浩太君とはそれから沢山お話して、そろそろ先輩がお暇しようと。私達は病室の浩太君に挨拶してから、そのまま病室を出た。
現在、エレベーターを降りて、1階の受付や院内テレビ、自動販売機や休憩ようのベンチが並んでいるフロアに。
そこにはもうそろそろ外出禁止時間なのか、いままでよりも人の流れがある。
「なんか飲もうか?」
浩太君の病室からここまで声がなかった先輩が自動販売機を指差し、そう言ってくれた。私は頷いて何がいいか先輩に尋ねる。
書き書き
— なに が いいですか —
「いいよ、俺がおごるから。何がいい?」
— いいん ですか オレンジ で —
「あいよ。待ってな」
笑みを浮かべながらそう言って、先輩は販売機の方へと競歩で向かっていってしまった。とりあえず私は指示された通り、最寄りのベンチに腰掛け一息つくことにした。
……ふぅ
結構な時間話していたと思う。受付上部に取り付けられた時計の針は5時40分を指していた。これでバスで帰ったとしても6時以降になっちゃうなぁ、でもいいの……かな。私としては。
ところで、よかったのかな? 弟が入院している。普通なら隠しておきたい事実なずなんだろうけど、先輩は気にしてないのかなぁ、だって軽い感覚で誘われたし。たとえ何でつれてきたの? って聞いたら本人もノリと答えそうだとは思うから……聞くの止める。
病院かぁ、先輩は言ってたけど私もあんま好きじゃない。特に注射はムリ。喉の手術をするからって、そこに麻酔注射をされた時は、両親の殺気を感じて大暴れした。
「ほれ。オレンジお待ちど〜」
時計を見つめながらそんな思いにふけっていたら、先輩の間延びした声が聞こえてきた。
自動販売機から帰還した先輩の手の中には注文通り紙パックのオレンジジュースとコーラが握られていた。
- Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.39 )
- 日時: 2011/05/29 18:54
- 名前: そう言えば、こしょうの味知らない (ID: LMtRhfuT)
「やっぱ病院の友って奴は湿っぽい話しかしないんだなぁ」
— ごめんなさい —
「あぁ、そういう意味じゃ……あーでもそんなとこか。いや呆れてるわけじゃないんだけどな、なんでそう聞こえちまうんだか」
まるで弁解するように先輩は買ってきたオレンジジュースを差し出しながらそう言った。それをありがたく受け取って手に包んでひざの上に置く。それから隣に座った先輩がコーラにストローを刺し、一口飲んだ。
「……あ〜、辛い」
ため息を交えながら味の感想を述べる先輩。その彼の目はさっきから何処かうつろで遠くを眺めているようだった。少なくとも真横の私はそこに映し出されてないようなんだけど。
「アイツのことさ。浩太のこと。どうだったかなぁ」
やっと焦点があったのか、ちゃんと私を横目で見据えて会話をする。
ボーとしているところは心配だけど、とりあえず陽気に答えてみる。
— ちょっと やんちゃ みたい ですね —
そう言えば最近、普通の会話となんの劣勢のないスピードでフィリップに文字を書いている気がする。始めの頃は結構苦労したんだけど。うむ、慣れっていいものですね。字が綺麗ならあとはもう申し分がないね。だったらスピードを殺すしかないけど。
— 明るい 性格 なんですね —
「そっか。やっぱそなんだよな。……あのさぁちょっと質問いいかな」
書き書き。
— なんですか —
「美玖ちゃんなら分かると思うんだけど……さ」
先輩の目がまたうつろになり始めた。今度は遠くじゃなく、手元のストロー付きコーラを見下ろしている。何か悩み事なのかなぁ、でも私に聞くってあまりにも頼りない気もする。返事文字だし。強調しようとしたらキャラ崩壊が一番置き易い設定だし。
「あいつ、ムリしてるんじゃないかなって思うんだよ最近になってさ」
そう言った先輩は手元のコーラのストローを取って、空いた穴を押さえながら振り出した。
「テレビのドキュメントとかでさ、がんや白血病にかかった子供をよくみるんだよ。……そしたらだいたいの子供が死んじゃうんだよ」
コクッ。頷いてみた。
「いやぁ、ね。その死んじまった子たちさ。ムリして笑ったり、明るく振舞ったりしているじゃないか……それが浩太に似てるんだ」
先輩はコーラを十分に振りおえたのか、それから天井を見つめ動きを落ち着かせる。
「そういう子供ってさ、浩太もそうなんだが。みんな死ぬのかなってね。ぜひとも“生還者”に聞いてみたいと思ってね。ここまで連れて来たまでなんだ。……どうなのかな」
クいクい。まず先輩がこちらを向いてくれないと始まらないので、遠慮なくワイシャツを引かしてもらいます。
反応してこちらを向いてくれたので書き書き。
先輩が言いたいことは分からないでもない。だから、うじうじ言ってないで信じて待ってやれ! とか全面的に突き放した物言いはないよ。だからって云々ってのは実は分からないけど。せめてこう言うしかないと思うから。
書き書き。
— 彼だけの ムリ じゃ ないです —
「……え?」
消し消し。書き書き。
— 今の 先輩 の みたいに 皆 ムリ してます
だから 彼も ムリ したように 思えちゃんです —
消し消し。書き書き。
私がそうだったように。お父さんやお母さんが影で泣いてるなんて考えると悲しくなるのは当然だと思うから。だから、そこにムリが生まれる。誰もが耐えなきゃならなくなる。そーいうことなんじゃないかなって今の先輩に伝えたいって思う。
消し消し。書き書き。
— 私は お医者さんに 何を 言われようと
みんな 笑顔で 良いって 思ったんです
そうすれば ムリ しなく て いいって —
消し消し。もしかしたら先輩は勘違いしているのかもしれない。書き書き。
— もし みんな そうなら コウタ 君 は ムリ していない —
……文法上おかしなところもありますが、とりあえず伝えたいことは伝わった、はず。う〜左手が痙攣起こしてるぅ。
「……っ」
石のように固まっている先輩はそのまま目を剥き驚いている。
「そうか、そうか。そうだよな……俺がムリしちゃいけないってことか。確かに全く考えたくないこと考えてたし」
それから先輩の表情は重いお面を取ったように一変した。
「ごめんな、こんな時間にまで。付き合ってくれて……ジュースじゃたりないからまた今度お礼する」
いつも通りの笑顔のあと、先ほど振っておいていたコーラにストローを挿し、また飲み始めた。私の奇異の視線に気づいたのか彼はこういった。
「あ、これ? さっきみたいに振って飲むと炭酸が抜けて美味くなるんだ。友達に教えたらやっぱ美食家だなって鼻で笑われた一品」
それは……そうでしょうねぇ。
○
そろそろ帰ろうかっとそれから先輩がいったのでそれについてくことにした。途中、思い出したから来週の土曜日のことについて話したら。
「あぁ、プリントに書いてあるからいいよ」だって。
…………ばか
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