コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー
日時: 2012/02/01 00:05
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: TQ0p.V5X)

オリキャラは……潮時でしょう☆




  〜キャラクター紹介〜

  

 河合 雄次 (かわい ゆうじ)

 ・某高校一年の帰宅部の男子。

 ・性格は引き込みがち。
  容姿は少し女性っぽく小柄ちなみに声も高い。

 ・よくいらん事を言うので人類の強敵かも・・・

 
 清水 美玖 (しみず みく)
 
 ・同高校一年生の帰宅部の女子。

 ・性格は大人しめ。

 ・幼い頃に受けた手術により、声では話せない。
  そのため、いつもメッセージボードを
  首から提げていて会話に使っている。


 河合 みく (かわい みく)

 ・某中学一年の女子。

 ・性格はお人よしで人懐っこい。

 ・兄雄次の事を慕っており、しつこく追い回している。


 真田 純一 (さなだ じゅんいち)
 
 ・同高校二年のバスケ部の爽やか系の男子

 ・あまり物にこだわりを持たないず、顔が広い。
  後輩の雄次をいつもからかっている。

 ・弟が猫より軽いってんで入院している病院に
  ちょくちょく顔を出しにいく。


 真田 浩太 (さなだ こうた)

 ・8歳の男の子。
 
 ・いつも思いつめたような虚弱に満ちた顔立ち。
 
 ・いつも純一がお見舞いに来てくれるのを楽しみにしている。


 佐々木 ユトリ(ささき ゆとり)

 ・同高校二年の女子。
 
 ・名前にそぐわず、風紀的性格の持ち主。
  実際生徒会にも勤めている。

 ・口調は作者とリンクしてます。
  ので、ウザいです。

 高校生という題材は初挑戦です。
ですが、小説の代名詞の高校生フラグを攻略できれば・・・
な〜んてのんきなこと考えて書いてまいります。



 >>1 ぷろろーぐ

第一章〜あまり気を遣わんクソ長い前置き〜
  ↑ホントは無視してよい

>>2 1 妹さん 
>>3  2 気弱少年 
>>8  3 コロッケ争奪戦!!
>>9  4 部活動勧誘? 
>>10 5 床下部活動。 
>>11 6 床下エイジ
>>12 7 ネズミと猫 
>>15 8 部員倍加の術 
>>16 9 悩みの連鎖。
>>19 10 今出来ること→何も考えないことっ!
>>20 11 ミーツ吉野? 
>>21 12 ちぐはぐ美玖たん
>>22 13 I can ? 
>>24 14 why don`t help us ??? 
>>25 15 始まりは自己紹介。
>>26 17 そうだ、部室を変えよう。 
>>27 18 風流れる 
>>28 19 ボランティア部始めました!!


第二章〜シルバー暖ホーム 参加人数5〜6人〜祝初依頼!!
>>29  プロローグ REQUEST №1 FROM 亀島 秀樹 

>>30 1 テキトーな少年のテキトーな決断 
>>31 2 気弱少年は微妙な間柄に挟まれたと思ってる 
>>34 3 冷血男
>>35 4 美玖の寄り道?
>>36 5 誰かと誰かの共感するところ
>>38 6 時刻 五時四十分
>>39 7 つらいからこそ、笑うこと!
>>40 8 いよいよだから
>>41 9 与太物語
>>42 10 だから頑張る証明
>>44 11 あっちいね←43表記だったです、すみませぬ
>>48 12 マクベスの目指したもの
>>49 13 ポジティブに
>>50 14 ???
>>52 15 メニューが決まらないんです
>>53 16 アングル←NEW!!

〜ぬわんとっこんな方にご評価頂きました!!〜

 >>5 黎さん 
 >>7 月読 愛さん
 >>12魔王さん
 コメント有難うございます!!


  
 〜 作者コメ 初めての方も、まずはここからどうぞ 〜

>>33 そう言えば2つ程お知らせが。

>>43 そう言えば、皆様ご無沙汰してました。

>>46 そう言えば プロットってご存知ですか?←NEW!!

>>47 いざ、構成を更生! と取り掛かったのだが、何故か自作絵が出来ていたという

>>51 そう言えば、オリキャラ募集始めました!

>>54 そう言えば このままロリコンでいていいのか?










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Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.24 )
日時: 2011/04/30 00:56
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: LMtRhfuT)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

「…………」
「彼は今、永遠の花園を彷徨っているのね」
「誰のせいだと思ってるんですかっ! 自分の事棚に上げる労力があるなら、まずこっち運ぶの手伝ってくださいよ!」
「え〜私、ライズよりレイズ専門だから、初めから地に付いている奴は上げようがないわ☆」
「そりゃぁ、ペテンな超能力者みたいっすねぇ!! だったら丁度単語の始めの母音がラスト一個頑張って浮いてるんだから。まずはそこから三個上に上げていこうか!?」

吉野の状態は危篤。結構ヤバかった。目がだら〜んとして顔がふにょ〜んとして、普段のイケメンが台無し、ま、それはいいんだけど。

目の前の剣道部室ドアを空ける。とりあえず、どこか寝かせられる場所は……あった。
丁度5〜6人が座れるような長椅子が、映画でバスケット部なんかが所有しているようなものが思いの他剣道部にもあるようだった。それから純一と俺で椅子まで吉野を運び、仰向けにする。
体温と心拍はなんとか保っていた。……窒息による一時的に気を失っているだけなのかもしれない。俺と純一が大体吉野の状態を把握していると、残りの二人も部室に入ってきた。

「おいおい。まだ何にもやってないのに廃部にする気かよ、ユトリ」

そのうちの一人に純一は冷静に応対する。顔はさすがにニヤニヤしないで、真剣だった。

「死ぬのかしらね〜あのくらいで」
「あったりめーだろっ、このアホ」
それから手刀がユトリ先輩の額を軽く叩く。
「痛っ」
「コイツだって人間なんだ、首締めりゃぁ死ぬ」
「……あ〜そーだね、うん。ごめんね純一」
「俺にじゃぇねーだろっ」

長身がちんちくりんを黙らせる。それは傍から見ると、まるで親父に叱られる子供のようだった。
「雄次」
「え? あ、あぁ何?」

高等生徒会長が下等に怒られている。これまで見たことの無い画だったものだから思わず見入ってしまった。ユトリ先輩を注意する……腐っても会長の彼女をそんな風に出来るのは……あ、いるか。てかこんな感じじゃ、多分皆そうだな。俺もため口になったし、決して珍しいことじゃないのかな?

「吉野くんだっけか。大丈夫か?」
「あ、あぁ。多分気を失ってるんだよ」
「了解」

叩いてからも純一の目線はずっとユトリ先輩だった。彼女も後ろめたいのか俯いて動かない。しかし段々居た堪れなくなったのか、
「あ、あのさぁ、ご、ごめんね。心配かけて」
場の空気を換気するためにユトリ先輩が謝罪してきた。
「ホントに……」
ユトリ先輩の表情が段々暗くなってゆく。 ……さすがにそろそろ可哀想なんじゃないかなぁ?そんな念を目線に込めて、今この場を指揮する人物、副部長こと純一を見つめた。そんな俺の視線に気づいたのか、純一はそれに同意するように……
「はぁ、わーたよ。部活やんぞ、ソイツの目が覚めるまで。」
いや、まるで観念するようにもらす。

「おいっ何時までショボクれてんだよ、チビ」
最後のは余計だろっ
「んなぁ、ち、チビですってぇぇぇ!!!???」

 それがまた癇に障ったのか、ユトリ先輩が大声を上げた。て、あんた立ち直りはえーなぁ

「誰がチビっ!? 私がチビ? おまんがチビかぁ〜〜!!!!」

 よっぽどの事だったのか、ユトリ先輩が純一に食いつく、首に。

「ゆ、ゆとりっっぐ、ぐぇぇぇ!!」
「ちょ、ユトリ先輩!! 被害者増やさないでくださいよぉぉ〜!!」

 横たわったいる吉野を置いて、俺は純一の救出に向かった。
あ、忘れてたけど、清水は部室に入ってからずっとポカーンとしていた。
お前ってやつも!そのままでいるつもりなら、先輩剥がすの手伝ってくれぇ!
ユトリ先輩といい、男だけじゃぁ出来ないことだってあんだからさぁ!!

ホントっ誰かぁ! 色々この部に教えてやってくれぇ〜〜〜!!!!!

Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.25 )
日時: 2011/05/31 16:09
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: LMtRhfuT)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

「よろしいっそれじゃぁ参りましょう。れっつミーティング!!」

 ユトリ先輩の掛け声の後、ボランティア部の初活動がひっそり成された。それは何処か弱々しく、強く抱きついた分だけ崩れ易い、何とも果敢ないものだった。
「じゃぁ。部活やりま〜す。君たち用意は良いかね?」

 今回は床下部室を使用せず、そのまま吉野を横たわらせた剣道部室でやるらしい。吉野という人物を利用して剣道部員に同情を買い、そして所有許可をとる。実に上手い戦術だとは思うが、まぁ本人は狙ったわけではないだろうって当たり前か。
 それにしても。これからあの床下部室をこの人数で使用とするならば、どうするのだろう。だってあそこに5人も入れる訳が無いし、そもそも入れるもんじゃない。
何か策はあるのだろうかなぁこの人には?

「一人以外完了です」
さっきから寄り添って様子を見ている、ある人物を見つめた。って、なんで俺がコンナニモ心配してやらねばならんのだ! コイツをっ。

 

 ま、なにはともあれ、これからこの部は色々進化していくはず。今日の活動内容はまずその為の、自己紹介。

「それじゃぁ、お一人ずつ……といっても皆遠慮しちゃうだろうし、まずはあたしからねぇ」
「わ〜ぱちぱち。ユトリさんだぁ〜」

 おお、そりゃぁいい。面倒なのが先の方が後々宜しい。俺のこの建前返事をそのまま受け止めた先輩は、「まぁまぁ静粛に」なんて言っている。

「こほんっでは改めまして。2年j組佐々木ユトリと申す。以後君達の部長であり、お姉様となる逸材よろしくね☆」

 ……何処かで聞いた覚えのある自己紹介に思わず顔が引きつってしまった。たしか俺が始めて床下部室を訪れた時にそっくりこのまま言われた気がする。今思うと“お姉さま”あたりは俺の容姿から判断したのかもしれないなぁなんて思う。まぁどうにしろ妹がいるから、姉はこっちから願い下げですぞっての。
 それから5分くらい先輩の趣味の話に……やっぱメンドクサイなぁこの人。はい? 最近絵の勉強ですかぁ。俺は元から下手くそですからヤル気はねーです。
てか、空気読むために山で修行した方がよろしいんじゃないだろうか?

「とゆ〜ことで。来世には米国大統領になるつもりなので、よろしく」
「とりあえず。まぁ来世も諦めた方が良いと思いますの。てか来世も生きるんですか?」

 あ〜何の話だろ。ボーとしてる間に話が進んでいた。しかもまたその内容が奇抜ですなぁ。うん、羨ましい訳が無い。

「はいっ。私お〜しまい。次はぁ〜純一君いってみようかぁ」

 世間話を交えてかれこれ、やっとユトリ先輩の自己紹介が終わった。と言うより、とてつもなく長い哲学を聞かされた気分に近い気もする。これは実際に聞いてもらわなければ、分からないだろう。

「ども、2jの真田純一っていいます。以後宜しく。」

 そう言えばここでほとんどお互いのコトを知らないのは清水と吉野だけだから、ほとんど二人宛の挨拶になるのか。 だが吉野はのびているから……いいよね。真面目故、慣れない睡眠学習で補ってもらおうじゃないのさ。


— 初めまして よろしく お願い します —

 さて、この純一の挨拶に対して返事を返したのは清水一人だった。
ここで純一は何らかの返事をするべきなのだろうけど……やはり返事に詰まっているようだ。なんせ返事が軽く済む音声じゃないんだから、確かに奇妙だったり意味深に思うわな。

「あぁ。こちらこそよろしく」

 返事には少し間があったが、純一なりに合点がいったのだろうか? 

「はい、次はエイジ」
「あいっす……思うんですけど、俺の挨拶って必要ですかぁね」
「いらないわってことも無い。そんな感じ」
「はぁ。それじゃぁ。1j河合雄次。こう見えて男ですんで、そこだけは十分注意してくださいね」
「りょうかーい。じゃなきゃその繊細な心が傷付いちゃうもんね☆」
「だぁから、そーいう扱いをやめろと言っとるんですヨ全く! はぁ。とりあえず宜しくお願いします」

 ちょっと拒否ったのは必要はないだろうし、ここでの自己紹介は無駄に疲れるからやりたくないだけだったんだ、ただそれだけ。

「つぎは〜〜〜ぁ。我が部でも一人の女の子っしみちゃんで〜す。ぱちぱちぃ〜〜」


Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.26 )
日時: 2011/05/10 23:37
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: LMtRhfuT)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

 さっきまでの自己紹介はすらすらいっていた。でも、ある少女になった途端、場に束の間の静けさがある。もちろん彼女が原因、でも誰もその少女は責められない。彼女は一生懸命、自分の事を伝えようとしているのだから。俺たちはそれを見守るくらいだ。

 次の自己紹介は清水だった。今回も指名された時に大きく手を挙げてアピールしていた。あの入学式の時と一緒さ、だから俺や吉野以外少しびびったんじゃないかな。
 自分の紹介のあと、吉野の状態を確かめるためにこちらに来ていた純一の表情を見たが、特に驚く素振りはなかった。というより、彼女のこの行動やフィリップに書き込む姿をじっと見つめている。

 清水は少し移動した後、自己紹介を行う。フィリップが反射しないように、部室のロッカーで作られた少し陰になったところを選んで。丁度その奥には大量に山積みされたダンボールが目に入る場所。それはロッカーの扉を幾つも塞いでいて、さぞかし使い辛いだろう。不自由ではないのだろうか?

— 1j 清水 美玖 と いいます 宜しく お願い します —
「あぇ、うん。はい、よろしくっ!」

 何故かそれに少し不意を付かれたように答えるのがユトリ先輩。

「おっす。あんましここには居ないけど、副部長なんで」

 ちゃんと冷静に返事をするのが純一だった。彼女をじーと見ていたんだから当たり前か
ん? じゃぁユトリ先輩はどうして遅れたんだ?

 そう言えば俺の紹介の後半あたりから声しか聞こえなかった。
ユトリ先輩は……後ろを向くと部室窓側の端にある床下の扉が開いていた。そこからひょっこり顔をだしてニコニコ。そこから清水を見ていた。どうやら何かを中で探しているようだ。あの床下収納は普通のとは内側から閉められる様になっているらしい、どうやって改良したのだろうか? つまりあのまま床下閉めてもなんでもないってことですね☆残念ザンネン。

 部員たちの自己紹介が一通り終了したので、俺は気になっていたので、とりあえず床下部室を覗いて見た。
がさごそっと何かを取り出すように、ユトリ先輩が擬音を口にする。

「がさごそ〜」
「……」
「ごさがさ〜」
「……」
「がっさごぉそぉぉ!!」
「だぁ、わかりましたっ! それ出すの手伝えば良いんでしょ!?」

 こんな感じで俺も床下に降りて先輩と一緒に何かを引っ張り出すことに。
 それは…大きなダンボールだった。中身が重いせいかダンボールのとってが歪んでしまった。なんなんだよ、これ。あまりの重さに手を離してしまう。

「先輩、重過ぎます」
「ん〜〜あっ。なんだとうっ!?」
「いやいや、先輩の事じゃなくて、これが」

 俺は横に居るユトリ先輩に目の向きを合わせた。すると、彼女の口の周りになんかのインクが馬のヒヅメ状に取り巻いていた。どっかの強盗のような感じ。こっちもなんなんだ?

「ほれぇお前もぉ!この積みあがったダンボールの山を除去して、床下帝国を広げて明るいシャバにでんぞぉ!!」
「脱獄はよくないと思います。それと雰囲気に便乗しないで」
「なん……これじゃぁ皆入れないジャン!!」
「皆を入れる気ですか!!」

 はぁはぁ、引き疲れたのかユトリ先輩は息を切らす。しかし、その間もハッキリとした口調が俺の耳に入る。

「だって、ここしかないもんさぁ。だから、皆入れるようにしないとっ。」
「はぁ。それより、高さが問題ですよ。俺とユトリ先輩が丁度座れるくらいじゃ、あと清水しか入れませんよ」
「後の二人にはホフク前進態勢で居てもらうからっいい!!」
「……二人は良くないですよ。」

 それに貴方の場合、報復の後進がお似合いですよ。現に仕返し何人死にかけてると思ってるですか、自重してくださいという意味で。

 それにしても、本当になんて人だよ。そんなにここでやりたいのかね。いや、そんなことはあるまい。こんな暗くて、首痛くて、お化けでそうな……とりあえずっこっちから願い下げだ。俺はそんなとどまらない不満の一つを先輩にぶつけた。

「吉野が居るし、それに生徒会長でしょ? 二人で諮ればいいじゃないですか。
それに部員が5〜6人居るって言えばナントか倉庫でも借りられる筈ですよ」

こんな狭いとこは誰だって嫌なんだから、そいつ等にも聞き入れてもらいたい。

「……吉野と?」
「ちょ、なんでそこに引っかかるんですか?」
「……でも」
「はぁ。そんなに吉野がキライなんですか?」

 ユトリ先輩の表情がイキナリ暗くなった。まぁ、感情の上げ下げが激しそうだとは思っていた。でも、このしょげ具合には流石に参ってしまう。どうしたものかなぁ。

「そんなことは……」

 あ〜だめだ。完全にしょげてしまった。ここまで来て敵の助けを借りなければならない、か。まぁ、確かに誰でも悔しいだろうなぁ。
しかたないっ。ちょっとウザキャラもーど全開といくかぁ? やりたくは無いけど、これからこんなとこに居るのも御免だし。

「このダンボール、何入ってるんでしょうね」
「え? 何って剣道の防具とかじゃない」
「……やっぱ、そっすよね」

 俺は床下扉から屈んでいた体を伸ばして、そのまま伸びをする。それから周りを見渡してクスッと笑い、ユトリ先輩を見つめる。

「正直。あ、いけねぇですよ。これ」
「どうしたの?」
「ん? あぁ、いやですね。あの部室ロッカーの奥に追いやられている荷物。きっとここの床下収納に収まるんだなってねぇ」

ユトリ先輩も立ち上がってその様子を見る。

「ちょっと、これは剣道部には迷惑だったなぁって」
「あ……そうだね」
「思うんですけど、ボランティア部が初めっから迷惑かけたんじゃ、面目がたたないじゃぁいですか」
「うん」
「それに……先輩が一生懸命やってる姿。ここに初めに来た、この生意気な後輩なら結構知ってるつもりですし」
「……エイジ」
「良い機会じゃぁないですか。新装開店。改めて部室作ったって。罰あたんないし、それ以前に剣道部も嬉しく思うでしょうしね」

 それから少しの間が流れる。でもそれは清水と話している時の間とは、明らかに違う、何かが止まってない、動いていて生きている。

「そっかぁ。そう言われれば、そうだよね」

 なんて言って、ユトリ先輩がクスッと笑う。それは何処かやさしく、観念したような柔らかい笑い。不思議とこれからこの笑みは、この部活の肥料となっていくに違いないとふと思った。

「私、いつも誰かに気づかされてばかりだねぇ、ホントに」
「大概そんなもんっすよね。いや俺も」

「……あのさぁ、部室の件さぁ。エイジの言う通り、吉野とちょっと検討してみるね」
「ん、あぁそっすか」


 先輩。まぁ、爽快に言ってくれるのはいいですけどね、その口周りじゃ説得力ないっすよ。

Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.27 )
日時: 2011/05/04 10:15
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: LMtRhfuT)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

 そう言えば、あの床下収納には俺も入れられた事があったなぁ。明るいユトリの性格とはかけ離れた薄暗い、怪しいものだったのに、そろそろ観念して廃部にでもしてくれんのかなぁなんて思ったものだ。

「純一?」

 そんな考えに浸っていると、声を掛けてきた相手が居た。俺が昼休みなんかにいつもじゃぁないが、からかう可愛い男子。……チガうっそんな意味じゃねぇ。コイツは顔も体つきもほとんど女らしいんだ。ちなみに声も甲高い。なんか可哀そうだが、俺は結構気に入っていたりする人物なの。

「ん? あぁ、わりぃな。続けてくれ」
「うん……さっきからボーとして」
「別に」
「そう? ユトリ先輩が終わりにしようってさ」
「そうか……わりぃ、俺サキにあがらしてもらうわ」
「え? なんか用事なの」

 用事ねぇ。まぁ習慣のようなもんさ。

「ん、まぁな。じゃ、そうゆうコトで」
「うん、気をつけて」

 四時。ん? あぁ時計が指している時間だよ。十二時から百二十度。
あの“ビョウシン”がひたすら時を刻むごとに、俺はもう一つの“ビョウシン”を思い出すんだ。あの時計の“ビョウシン”が進むたびにもう一つの“ビョウシン”もある意味進みだす。……ばかだなぁ、進んだら、お前が進んだら、どうなると思ってるんだよ。

「どうしたの? 時計凝視して、時間が気になるの?」
「あぁ、いやなんでもねぇ。じゃな」

 気になるのはいつものことだ。

 その後、高校を後にして、俺は駅に向かった。
そこの駅は周りに高層ビルや下にはデパ地下が広がってるらしい。
国道四車線の歩道には人がごった返し、少し歩き辛い。隣の道路からも排気ガスなんかの匂いが酷く、未だに俺はここの空気に慣れない。これじゃぁ郷土焼きとりのおっちゃんが来れないのも当然か。

 駅前に着いたので、そのままバス乗り場へ……

 まぁ大体こんな経緯で俺は海辺に作られた巨大総合病院へと足を運んだ。



 ソラを仰ぎ見える。まだまだ病院がある。約68度。まだまだ くぅ、75度。まだまだ うぬぅ……九十!! さすがに止めといた。こんな敵対心びんびんな野郎がここでお世話になるわけには行くまい。ここには幼い頃なんもかんも注射で済ませるんだ! とホンキで思っていたからなぁ。今でもどちらかと言えばハンコ注射がいい、でもあれ絶対に効かせる奴じゃないな。
 さて、総合病院事態がものすごく高いのはお分かり頂けただろうか? 全く避難のときはどうするつもりなのだろうなぁこれ。
ま、ここにライバル心を抱いてる場合じゃないな。本題と参ろう。
 入り口の自動ドアを抜けて、受付へ。手続きをとって、エレベーター……七階。早速、病室へ向かう。

 ある白い横引きのドアの前に立つ。別に乱れてる訳じゃないが呼吸を整え、惰性なるものを遂行すべく、とってに手を掛ける。


「あ、純一兄ちゃん」

 いつもこの室内には一人の少年が居る。ドアの向かい側の窓は少し開けられていて風や幻想なるものが、開けられたドアに吸い込まれていく。まるで俺がここを開けるたびに、ぽろぽろと崩れ行くように。静かな何かがそっと頬を撫でて流れる。

「よぉ、浩太。無駄に元気そうだな!」

 それでも俺は、ここを訪れるのを止めない。コイツが居る限りずっと。俺はそっと幻想を崩すのだ。

Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.28 )
日時: 2011/05/12 23:02
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: LMtRhfuT)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

「ん? 清水何やってんの」

 初部活が終了して、ユトリ先輩は遅くなるからと先に帰っていった。
俺もそれに続いて帰り支度をしていたが、清水が吉野の側から離れないのを疑問に思ったので近づいて声を掛けた。

 清水は後ろを向いて、俺の方を見るなり何か書き出した。

— 副部長 が 吉野君 を 見ていて って —
「……あぁそうか。そう言えば、んなこといってたなぁ。ていうかコイツの目が覚めるまで部活だっけか」

 お前は偉いなぁ、純粋に相手してやって。でも、二人とも帰っちゃったしなぁ。それにほっといても後で水で戻せそうな奴なので、大丈夫そうだろうし。
 
— 雄次 は どうする —

 どうするねぇ。まぁ、ソイツの自業自得な気もするし、そもそも俺たちの責任じゃないだろぅ? ……ん? 待てよ? ここで俺が残れば女子としばらく二人っきりってことか……待とうじゃないか。

「そうだな。俺も一緒に待つよ」

 なーんて出来るだけ冷静に言った……おkっすよね? いや、下心なんてもんは男の娘になってから既に捨てたようなものですし。四分の三ガールズトークといこうじゃぁないの!! トークかぁ。こっちは甲高い、相手は文字。なんか色々隔てるもん多くねぇですか!?

 清水は俺のこの下心が99パーセント除菌(最も輝く1パーセントはあるが)の返事に嬉しそうに頷いた。それから吉野に向き直り、彼の頭に濡らしたハンカチ(っていつ濡らした?)を置いた。








 し〜ん。……え? なんすかねこれ?
すんげー静か、吐くかも。それは無いが気分が悪くなりそうだ。おいおい、なんじゃこりゃ美玖たん!! さっきから10分ずっとこんな感じだよ、静けさが鉄筋コンクリートに染み入ってばかりじゃないか。セミが逝ってらっしゃるじゃないの。

「あ、あのさぁ。清水?」

 清水がこちらを振り向いてくれた。よかった、寝てはなかったんすね。
いやいや、それ以前にこれなんとか空気入れ替えないとっ、し〜んすぎてち〜んだ! 引きこもり設定だろうが知ったこっちゃねぇ、そろそろ喋りたいお年頃なの!!

「清水にはちゃんと目的があってこの部に入ったんだろ?」

 清水の動きが止まる。……って感じ。書き書き。でも手元は動いている。

— 雄次 には ないの —
「俺? そりゃぁ、ユトリ先輩に流されただけだから、なんとも」

俺のチグハグな返事に清水は微笑んだ。

— そっか —
「清水には?」

書き書き。

— 私も 実は 流された って感じだから —
「なんだ、同じだったのか」

消し消し。書き書き。

— というより —
「うん?」

 消し消し。書き書き。

— 運命 とか 信じ ちゃうから かな —
「……ほぅ?」
消し消し。書き書き。

— 何か 変われるかな って 待ってる 感じ —
「……おう」

 なんか久しぶりに会話の熱気が冷めなかった気がして、感慨に浸る。

— やっと 始まるんだね —
「あぁ。そうだな」
— ちょっと 前置き が長かったよ —
「俺の冴えない突っ込みのせいで、反省します。あとユトリ先輩も」

それを承諾した作者もな。

 クスッと清水が大人な笑いをする。思えばコイツはいつも笑ってばっかだなぁ。上から目線なら、大概にしてほしいものだ。

「あいいたた……ほんなら、ワイのも必要やったんやろか?」

 さっきまで仰向けに伸びていた吉野が、額のハンカチを摘みながら体を起こしている。

「清水はん、おおきに。ちーとは休めたきに、これ返すわ」
「なんだ。失神してたんじゃないのか?」
— どうしたしまして —

また……お前はちょっと遅かったな

「二人の会話聞いてたで〜なんやごっつ静かやなぁ。噴出しそうになったでぇ」
「やっぱ、お前もっと寝てろ」

 ユトリ先輩がなんで成敗したくなるのか分かった。こいつ一言多いんだ。


— いよいよ これから だね —
「あぁ、やってやろうじゃないのさ」

と、いうことで。某高校ボランティア部ここにひっそり開部。
今度こそ嘘じゃない、本当さ。


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