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白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】
日時: 2013/08/16 05:41
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

初めまして。
シアといいます。
なかなか更新できないと思いますが、コメントをお待ちしております。











目次

プロローグ >>1
登場人物 >>4
用語解説 >>5
第一話 >>6
第二話 >>7
第三話 >>8
第四話 >>9
第五話 >>11 >>12
第六話 >>13 >>18
第七話 >>19 >>22
第八話 >>25 >>30
第九話 >>31 >>35
第十話 >>37 >>42
第十一話 >>43 >>47
第十二話 >>48 >>52
第十三話 >>56 >>57
第十四話 >>60 >>61
第十五話 >>64 >>65

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Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.60 )
日時: 2013/08/04 22:47
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

第十四話

私が展開させた魔方陣は、炎、水、草、風、雷、氷の属性。
全て、スティールに向けて。
「今………何て言ったの?」
「何度も言わせんな」
「私が………王太子妃になることですって?」
「ああ」
ジルキヴィルの背の上で立ち、頭を俯かせていた私は、涙の幕が張る顔を勢いよく上げた。
「そんなことっ!どうしてそんなことを要求するのよ!!」
そう叫ぶと、スティールはため息をこぼした。
その余裕に、私は焦る。
「先代の両国の王が仲がよく、友好関係を結んでいたのは知ってるか?」
唐突な問いに、私は一瞬考える。
私の、お祖父様の代。
厳しくありながら、優しかったお祖父様。
幼き頃は、よくお祖父様の話を聞いていた。
そう。
その中にあった。
私に関わる話が。
ずっと忘れていた。
あの話。
「思い出した…………………………」
私は呟いた。
「何をだ?」
スティールが問う声も、遠くに聞こえる。
「お祖父様が言っていたわ。隣国のフェブロニア王国の第一王子の王太子に、私をいずれ嫁がせることになるだろうと、幼き頃に、言われた………」
「思い出したか」
どうして、忘れていたのかしら。
こんな大事なこと。
それ以前に、この戦が起こったのは、私を王太子妃にするため。
まさか。
「皇帝と皇后が、了承しないからこの戦を起こしたというの?」
「当たりだ」
「………っ!」
私は息を飲んだ。
ということは。
次に思い浮かんだ予想外のことを声に出すのに、口が震え、声が震える。
「皇帝と皇后は、この約束を知らないということ?」
「そうだろうな。文を送り、その返答の文の言葉からしてそうだったからな」
私はその事実に言葉を失った。
自分のことなのに、忘れていた私も愚かだが、それを伝えなかったお祖父様の真意が掴めない私も、愚か。
…………………………いいえ。
愚かなのは、私だけ。
お祖父様は愚かでは、ない。
「…………………………認めない」
「あ?」
「私は!そんなこと認めないっ!」
その言葉と共に、展開された魔方陣から攻撃を繰り出す。
涙を流しながら。
炎からは火球を、水からは濁流を、草からは相手を縛るツルを、風からは竜巻を、雷からは青い稲妻を、氷からは氷柱を生み出して。
けれど。
それを全て避けていく。
「けど、これは条約なものだ。お前にも、俺にもどうすることも出来ない」
私は、大切な人を思い浮かべた。
浮かび上がったのは、あの人の笑顔。
国が、大切な人が、目の前で奪われるのは嫌。
だから。
あなたを裏切る。
そばに居たい。
この思いは変わらない。
でも。
あなたを守るためなら。
私は自分を犠牲にする。
「解ったわ」
「は?何が」
私は頬を伝う涙を拭い、スティールを睨んだ。
そして。
震える口で、声で、言葉を紡ぐ。





「貴方の国に、王太子妃として、嫁ぐわ」





私の出した答えに満足したのか、スティールは口角を上げた。

Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.61 )
日時: 2013/08/06 05:56
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

私は、あれからどうなったかを知らない。
あれからどのくらいの時が経ったのかということも。
今現在、私は何故か自室のベッドの上で横たわってる。
身体がいうことを聞いてくれないため、身体を起こすことさえ困難になっている。
けれど、一つだけ解ることがある。
私は、もう自由にはなれない。
これまで以上に、自由がなくなる。
…………………………あの人。
スティールの妃になるなんてこと。
そんな大事なことをどうして忘れていたのだろう。
忘れていなければ、戦が起こることも、無駄な犠牲を出さずに済んだのに。
「………っ!っく………」
私からは、いつしか嗚咽が漏れ出ていた。
たった、私一人のためだけに起こされた戦。
そんなことを考えていた時だった。
自室の扉が開き、誰かが入ってきた。
私は何とか首だけを動かし、相手の顔を見る。
それは、ミラージュだった。
「フィーア皇女陛下!」
ミラージュは私が起きているのに気がつくと、扉から走ってきた。
「ミラージュ………」
「御気分は大丈夫ですか!?」
「えぇ………。それより、私はどうしてここにいるの?私が出立した日からどれくらいの時が経ったの?」
まくしたてる私に向かってミラージュは微笑みかけ、ベッドの近くに置いてある椅子に座った。
「順に答えましょうか」
ミラージュは少し間を開けてから話し出した。
「皇女陛下は覚えてはないでしょうが、敵国の王太子と対話した後、貴女様は涙を流しながら自分自身に向けて魔方陣を展開させ、それを撃ったそうです。何度も、何度も」
あの後のことを語るミラージュには、先程まであった微笑みはなかった。
どこか、悲しげで、儚かった。
今にも涙を流しそうで怖かった。
「そして、今日は皇女陛下が出立した日から、もう一週間が経ちます」
「一週間!?」
「はい。皇女陛下が大怪我を負いながらもまだ魔方陣を展開させるので、四天竜達が必死になって止め、皇女陛下を連れて戻ってきてからそれだけの時間が経っております。皇帝陛下も皇后陛下もとても心配をしておられました。とても酷かったので」
「そんなに………」
「お目覚めになられたら、直ぐに謁見の間に来るようにと皇帝陛下からの御命令がありましたが、明日になさりますか?」
いたわるような声に私は苦笑した。
「私は大丈夫。だから、用意ができたら会いにいきましょう」
「解りました」
そう言うと椅子から腰を浮かせ、ミラージュは扉に向かっていく。
「ミラージュ」
私は、それを引き止めた。
「はい、何でしょう?」
「まだ動くのは大変だから、誰かに言伝を頼んだら、手伝ってくれる?」
私の言葉にミラージュは、微笑みながら頷いてくれた。
その優しさに、私はミラージュから目を離し、ベッドの上で、ミラージュが来るまで、泣き続けた。

Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.62 )
日時: 2013/08/07 18:18
名前: ゆきんこ (ID: xMxTbxuA)



      こんにちは!ゆきんこと申します。
       
 
      シアさんの作品を見て素晴らしいと思いました。
      応援しています。頑張って下さい。

Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.63 )
日時: 2013/08/07 21:08
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

初めまして、ゆきんこさん!
って………何で敬語?
リアルでは友達なのに。
(ま、そこは置いといて)


でも、コメントありがとう!!

Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.64 )
日時: 2013/08/09 21:27
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

第十五話

起き上がるのも大変で、謁見の間に着くまでとてもな時間を使った。
「ごめんなさい、ミラージュ」
「はい?何故………そんなことを」
今現在、私とミラージュは謁見の間の前で、扉が開くのを待っている。
謁見の間の中では、兵士が父君様に取り付いでいる所だろう。
「貴女には、幼い頃から世話になって、迷惑をかけてばかり………。こんな駄目な主に仕えて、貴女は迷惑したでしょう?」
そう言いながら首を動かし後ろを向くと、驚きに満ちた表情をしているミラージュが立っていた。
私はその顔を申し訳なさそうに見つめた。
すると、ミラージュが私に微笑みかけて、口を開いた。
「私は、貴女様の傍付になって後悔なんてしていません。ましてや、迷惑などと。私は貴女様に仕えられることを誇りに思っています」
私はその答えに驚き、目を見開いた。
けれど、ミラージュらしい答えだなと思い、私は微笑んだ。
その時、謁見の間の扉が重々しい音を立てながら開いた。
その音を聞きながら、私とミラージュは笑みを消し、正面を向き、歩いて行く。
そして、謁見の間の中央に来ると、扉が重々しい音を立てながら閉まり、皇帝である父君様が人払いをする。
人が全員出て行くのを確認した父君様は、やっと口を開く。
「傷は癒えたか?」
「はい。もう傷はございません」
「そうか」
簡素な答えだが、それでも父君様の瞳からは不安が消え、安堵がある。
けれど、母君様の姿が見えないことが気がかりでならない。
私は意を決し、父君様に聞く。
「あの、父君様」
「なんだ?」
「母君様は、何処に?」
「ああ、皇后は………今床に伏せっている」
その言葉に、私は言葉を失った。
いつも、私に優しかった母君様。
いつも、心配をしてくれていた母君様。
どうして…………………………。
「どうして………」
「お前が此処から立った日から、皇后は食事を一切摂っていなかったのだ。お前が大怪我を負い皇宮に帰ってきたその姿を見て卒倒したのだ。お前の無事を知ると、また眠りに着いた。まだ起きてはおらぬだろうが」
「そうですか」
私は詰めていた息を吐いた。
母君様にもしものことがあればと、とても怖かった。
だが、私のそんな様子を見ると、父君様は顔から微笑みを消し、私を真正面から見据えた。
その顔を見たとたん、私からも笑みが消えた。
そして、父君様は口を開く。
「お前は、あの国で過ごして良いのか?」
「お祖父様が決めらしたことです。私は構いません」
そう言い終えると、私は微笑んだ。
たとえ、この決断が大切な人を傷つけるとしても、大切な人を守るためなら、私が犠牲になればいい。
私がいなくなり、彼が私を忘れ、想いが届かなくなっても、私は彼のために自らを犠牲にする。
どんな不幸が襲ってきても。


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