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私が辞書を貸す理由。【参照800感謝】
日時: 2015/05/04 17:37
名前: チィク (ID: as61U3WB)

≪プロローグ≫


 あの日、私は先輩にぶつかった。
男嫌いな私は、やばいと思いました。


でも、迷惑ながら先輩はその日から毎日私の教室に顔を出して辞書を貸してと頼むようになりました。


そして、不思議なことに男嫌いなはずの私なのにだんだんと先輩にかれて惹れていきました。


先輩。

私が辞書を貸す理由。
笑わないで、聞いてください。


小倉 千尋 OGURA CHIHIRO 高一

チビなので、通称、おぐちび。
目が大きく色が白いのでモテる。

東  涼介 AZUMA RYOUSUKE 高三
青木 佑真 AOKI YUMA 高一

朝倉 萌黄 ASAKURA MOEGI 高一
小倉 朔来 OGURA SAKURA 中三

  *イラスト*

>>38 ちひろ
        >>39 萌黄
>>40 先輩


2014.9.14 〜第一期 *END*

>>64 【赤ずきんちゃん】
>>65 【東先輩×萌黄だったら】
>>66 【佑真×ちひろだったら】

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Re: 私が辞書を貸す理由。 ( No.33 )
日時: 2014/07/22 12:37
名前: チィク (ID: as61U3WB)


ピーンポーン…

「はい」
「あ、あの…小倉です。」
インターフォンから聞こえてきた声に私は答えた。

「小倉さん?…少しお待ちください」

ここは先輩の家の玄関。
3-Bの先輩の友達だという、笹野先輩って言う女の先輩にここを教えてもらった。

『おにーちゃーん お客さんがきてるー』
さっきのインターフォンの声が家の中から聞こえた。

お兄ちゃんってことは妹さんだろう。

…ってそんな事より、今日は大事な話をしに来たんだから。
私の秘めていた思いを伝えに。

「小倉?」
玄関のドアが開き、先輩が顔を出した。

「俺の家、どこか知ってたの?」
「あ…その…」 
「まぁいいや、あがって」
先輩が微笑んだ。

心臓がどきっと跳ねる。

「…おじゃまします」

先輩の家は、なぜだか居心地が良かった。

「お菓子どうぞ」と、お茶を入れて運んできてくれた妹のヒナちゃん。
私を快く迎え入れてくれた。

「何か用でもあってきたの?」
雛ちゃんを部屋から追い出して、先輩が言った。

「あの…辞書のことなんですけど…」
「あぁ、そういや見て!そこに置いてあるの。俺が買った辞書。
詩織シオリと一緒に選んだんだ。」

「……詩織?」
聴きなれない言葉に、思わず反応してしまった。

「笹野詩織。俺の幼馴染」
あぁ…と、心の中で呟く。
この場所を教えてくれた、あの人。

そう思い出すのと同時に胸がちくっと痛む。

呼び捨てなんだ。
辞書も一緒に選んだんだ。

「あ、揚げ足とってごめん。話の続きを…」
先輩がそういって、言葉を止めた。

「小倉?」
先輩が顔を覗き込んでくる。

ポタ、と私の顔を涙が伝った。

「えっ?!俺、何か悪いことしちゃった?!小倉?大丈夫か?」

「…帰ります」
涙を拳でぬぐって立ち上がった。

伝えれてないままだけど、詩織さんって人が気になって仕方がない。

「あ…良かったら俺送るよ?家まで」
「大丈夫です。」
靴を履いて、玄関のドアに手をかける。

「さよなら」

「小倉っ!」
歩き出そうとしても引っ張られて前に進めない。
先輩が私の腕を掴んでいる。

「私、本当に帰りますっ…だから、離してくださいっ」
腕を振りほどこうとしても、先輩はやめない。

「何で、ここに来たのかちゃんと理由を教えてくれるまで離さない。」
驚いて顔を上げると、先輩が私をじっと見つめていた。

初めて、出会った時のようなあのきれいな瞳で。

「………ます」
消え入りそうな声で私は呟く。

「え?」

「私は彼方にずっと辞書を貸し続けます。
誰になんと言われようが、一生貸し続けます。」

「…でも迷惑じゃ…?」

「迷惑なんかじゃない」
私は先輩の声にかぶさる様に言った。

「私が先輩に辞書を貸してたのだって、理由があったんです。」


私は息を吸い込む。

「先輩。私が辞書を貸す理由。笑わないで聞いてください。」
私が言うと、先輩はそっと頷いた。

「先輩とぶつかったのが私たちが知り合ったきっかけでしたよね。
その時、先輩のこと綺麗だなって思った。
私は男嫌いだけど、何故か先輩は違ったんです。
こんな私でも」


「男嫌いな私でも、東涼介先輩っていう男の人を始めて好きになれたんです。」


先輩の瞳が揺れ動いた。

辺りはシーンとしている。
でも、私の心の中はもやもやがなくなっていた。

私が辞書を貸す理由。【ちひろが辞書を貸す本当の理由の真相】 ( No.34 )
日時: 2014/07/23 08:53
名前: チィク (ID: as61U3WB)



「…小倉」

先輩の声が聞こえた。
「…はい。」

「良かったっ!」
「はい?」

顔を上げると花のように微笑んだ先輩の顔があった。
「俺、小倉に嫌われてると思ってた!小倉の気持ち、わかって嬉しい。」

「だからさ、付き合っちゃおうか?」
無邪気な声が言った。

え…?と声を発するまもなく、ギューッと先輩の腕に包み込まれた。
私は棒立ちだ。

「つ、付き合う?」
「うん!無理?」

先輩の声が近くで聞こえる。

「そ…その…」


「…よろしくお願いします。」
私は、それまで固まっていた腕をそっと先輩の背中に置いた。


Re: 私が辞書を貸す理由。【先輩×ちひろ】 ( No.35 )
日時: 2014/07/24 07:00
名前: チィク (ID: as61U3WB)




「おぐちびぃぃぃぃぃっ」
「うわぁっ!」
次の日、学校に登校すると萌黄が大きな声を発しながら抱き着いてきた。

「聞いてないわよっ」
「ふぉっ!」
私の頬をつねる、萌黄。

「ふぁんのふぉと?」(何の事?)

「アンタ、東先輩と付き合い始めたでしょ」
「…え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええ?な、何で萌黄がそれ知ってんの!」

私がたじろぐと、萌黄がやれやれ、というように息をついた。

「だってさ?昨日の夜9:00以降になったら二人同時にツイッターのプロフィールが彼女・彼氏アリになったし?」

う…と、私は息をつまらす。

「アンタらお似合いだしぃぃっ!」

「ふぉあおっ!」

萌黄が私をギュッと抱きしめた。

「私の分も頑張んなよ?」

「…萌黄…」

目の奥がじわっとくる。


「うん!あ、それと…」




「苦しいから早く離してくれ。」

「…はい。」

Re: 私が辞書を貸す理由。【先輩×ちひろ】 ( No.36 )
日時: 2014/07/25 08:37
名前: チィク (ID: as61U3WB)



「おはよー小倉」
後ろから頭にポンと手を置かれる。

「先輩!」
私が振り向くと先輩は笑った。

「小倉。辞書貸してくれる?」
いたずらっぽく微笑む先輩の腕を軽くたたいて、私は辞書を渡した。

「さんきゅ!じゃあな!」
先輩は片手を上げて、走って行った。

佑真が横を通り過ぎて行った。
「あっ佑真おはよ」

佑真は驚いたような視線を私に向け、それから少し微笑んだ。
「はよ」

「ねぇねぇ今日の授業辞書いる?」
「あぁ、いるぜ」

「…?!うそ!先輩に貸しちゃった!!やっば!!」

「…なんてな。今日は辞書使わないぜ」
佑真のチョップが私の頭にズビシッと直撃した。

「いったぁぁ!」
「バーカ」

佑真はバカにするように笑ったけど、言った。
「お前、変わったな。」


Re: 私が辞書を貸す理由。【先輩×ちひろ】 ( No.37 )
日時: 2014/07/26 14:31
名前: チィク (ID: as61U3WB)




「へ?何が?」

「…いいぜ」
佑真は空を見上げて言った。

「先輩といるお前の方がいきいきしてていいぜ」

「…佑真。」
「…?」
佑真は少し哀しそうな顔で振り返った。

「あのさ…」


「小6の時にアイスのお金貸したよね?まだ返してくんないの?」

「んだよ、お前はガキだな」
佑真は眉をひそめて笑った。

「何よ、ガキって!アンタの方がガキのくせに!」

私が反論すると、佑真は楽しそうに体を震わせて笑う。

「…がんばれよ。先輩と」



「ありがとう」

私は佑真の目を見つめ言った。

…秘密で佑真の鞄に手をかけ、財布を抜き取って。…


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