コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 私が辞書を貸す理由。【参照800感謝】
- 日時: 2015/05/04 17:37
- 名前: チィク (ID: as61U3WB)
≪プロローグ≫
あの日、私は先輩にぶつかった。
男嫌いな私は、やばいと思いました。
でも、迷惑ながら先輩はその日から毎日私の教室に顔を出して辞書を貸してと頼むようになりました。
そして、不思議なことに男嫌いなはずの私なのにだんだんと先輩にかれて惹れていきました。
先輩。
私が辞書を貸す理由。
笑わないで、聞いてください。
小倉 千尋 OGURA CHIHIRO 高一
チビなので、通称、おぐちび。
目が大きく色が白いのでモテる。
東 涼介 AZUMA RYOUSUKE 高三
青木 佑真 AOKI YUMA 高一
朝倉 萌黄 ASAKURA MOEGI 高一
小倉 朔来 OGURA SAKURA 中三
*イラスト*
>>38 ちひろ
>>39 萌黄
>>40 先輩
2014.9.14 〜第一期 *END*
>>64 【赤ずきんちゃん】
>>65 【東先輩×萌黄だったら】
>>66 【佑真×ちひろだったら】
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- Re: 私が辞書を貸す理由。≪毎週土日に更新≫ ( No.3 )
- 日時: 2014/05/25 11:37
- 名前: チィク (ID: as61U3WB)
「じゃあ、小倉。この問題といてみろー」
数学の時間。
先生が私を指差す。
先生も男だけど、残念ながら無視することはできないので私はガタガタと椅子を引いて立ち上がる。
黒板の前に行くまでの途中。
男子が足を出して私を転ばせようとしたり、捕まえた虫を私の前に突き出すけど私はそれらを全てクールに阻止した。
我ながら、やるじゃん。
私。
「はい、チョーク。」
先生が私にチョークを突き出してくるが、それは遠慮して自分で黒板においてあるチョークを取って使った。
そして、問題を解き終わると私は席に着いた。
「えー、ゴホン。じゃあ次の問題…」
先生は私に先生のペースを崩されたようで、少しご立腹のようだった。
まぁ、そんなこと私にどうでもいいけど。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴ると、教室が一斉に話し声であふれる。
次は移動教室。
私は必要最低限の荷物を持って、移動し始めた。
廊下の曲がり角を曲がると、突然おでこのあたりにすごい衝撃が走った。
「…いったぁ」
本日、二回目の衝突。
残念ながら、相手はまたもや男子。しかもネクタイの色が違うから先輩だ。
私はあわてて荷物をかき集めて、走り出す。
「あっ、ちょっと待てっ」
走りながら後ろを振り返ると、先輩が追いかけてくる。
抜かしては、抜かれ。
抜かれては抜かし。
やっと、理科室の前についたころには私も先輩も息を切らしてハァハァいっていた。
「な、んで、逃げる、んだ、よ」
途切れ途切れに先輩が言う。
「おと、こ、嫌い、だか、ら」
私も先輩と同じように息切れをしながらいう。
「定規。」
「え?」
「はい。」
先輩が私に定規を手渡してきた。
やっと、息が正常に戻ったところで先輩が言った。
「落としたの、渡そうと思うけど君が逃げるからさ。」
「あ…」
私は恥ずかしくなって顔が赤くなる。
親切に定規を届けてくれようとしたのに、バカみたいに走りまわって逃げる私。
恥ずかしすぎる。
「あの、ありがとうございました」
この際、男子と関わらないようにするなんてどうでもいいやと思う。
とりあえず、謝って、それでこの人との話は終わるのだから。
そう思ったのに。
先輩は、私をじっと見つめてくる。
「な、何ですか…」
私は改まって先輩をみた。
正直に感想を言わせてもらう。
カッコいい。
きれいな瞳に、私は吸い込まれてしまいそうだ。
「あのさ…」
「辞書貸してくれる?」
「…はい?」
- Re: 私が辞書を貸す理由。≪更新≫ ( No.4 )
- 日時: 2014/05/25 12:13
- 名前: チィク (ID: as61U3WB)
「はい?」
私はもう一度聞き返す。
「次の授業で辞書がいるんだけど、持ってないんだ。だから、貸して?」
相変わらずのイケメンスマイルで、先輩が言う。
「こ、これですか?」
私は辞書を差し出す。
「そーそー!ありがとね!じゃあ」
先輩は、私から辞書を受け取ると行ってしまった。
その後の30秒間、私はぼうっと放心していた。
先輩、カッコいい。
でも、
「あぁーーー!!」
忘れていた。
理科の授業で、辞書がいることを。
キーンコーンカーンコーン
そこでむなしくチャイムが鳴る。
「起立、礼、お願いします」
私は、少し怯えながら席に着く。
理科の女の先生は怖い。
「ねぇ…ねぇっ!」
前の席の、佑真を突く。
「ん?」
佑真がのんきに振り返る。
「辞書、2つ持ってる?」
「ん?辞書?」
私がコソコソと小さい声で話しているというのにもかかわらず、佑真は大きな声で言った。
「小倉さん。青木くん。どうしましたか?授業中ですよ」
先生が近づいてくる。
「あぁーこいつ辞書忘れたみたいです」
「なっ…」
私は、佑真を睨む。
「小倉さん、忘れたんですか?」
先生が聞く。
「…はい。忘れたというか…とられたっていうか…」
「はぁ…」
私が遠慮しがちに言うと、先生はわざとらしくため息をついた。
「辞書、そこの棚から取ってきなさい。」
先生は言った。
- Re: 私が辞書を貸す理由。≪更新≫ ( No.5 )
- 日時: 2014/05/25 12:28
- 名前: チィク (ID: as61U3WB)
放課後。
私は一人、教室に残ってプリントをしていた。
辞書を忘れた罰、だ。
「あーこれ、どういう意味だろ」
私は机の中を探る。
「…辞書もってないんだった」
そう、気づき、私は机に突っ伏す。
「あれもこれも先輩のせいだっ!」
私はプリントに落書きを始める。
先輩の顔にひげを生やして、ぐるぐるほっぺを書く。
「くすっ」
教室に笑い声が響く。
本当、この顔はひどい。
「こんな落書き先輩が見たらどうおも…」
私はそこまで言いかけてとまった。
さっきの笑い声、私じゃない。
その、さっきの「くすっ」って声。
私はバッと後ろを振り返る。
「それ、俺?酷いな」
「先輩っ!」
先輩が私の後ろに立っていた。
「い、いつからいたんですか!っていうか何しにここに…」
私があわてながら聞くと、先輩は笑った。
「ついさっき。 辞書返しにきたんだ。ありがとね」
先輩は私の机に辞書を置く。
「…先輩のせいで辞書がなくて怒られたんですよ!罰でこのプリントやらなきゃいけないし!
分からないところを調べようと思っても辞書ないし!!」
私が怒ると、先輩は私の髪をくしゃっとなでた。
私の心臓がトクンッと跳ねる。
「どれ?どこが分かんないの?」
先輩が私の横の椅子を引いて座る。
「…え。教えてくれるんですか?」
私が聞くと、
「できる限りね。」
と、先輩は微笑んだ。
- Re: 私が辞書を貸す理由。≪更新≫ ( No.6 )
- 日時: 2014/05/25 14:31
- 名前: チィク (ID: as61U3WB)
「終わった〜」
「頑張ったな」
先輩が褒めてくれる。
「えへへ…へって、もうこんな時間!じゃあまた明日!」
「あっ送ってくよ。」
「えっいいですっ本当に」
「ううん。俺が送ってく。靴取ってくるから下駄箱で待ってて。」
先輩はそういって、階段を下りていった。
教室を出て、体育館の横を通り過ぎようとしていると向こうからタオルを肩にかけた、佑真がいた。
「佑真。部活終わったとこ?」
「あぁ。あれ?お前帰宅部なのになんでこんなとこにいんの?」
「帰宅部を強調しないでよろしい。プリントしてたの。理科の。」
「あぁ、辞書忘れたからか。」
「そうだけど…」
佑真は私を馬鹿にしたように笑った。
- Re: 私が辞書を貸す理由。≪更新≫ ( No.7 )
- 日時: 2014/10/05 21:02
- 名前: チィク (ID: as61U3WB)
「お待たせしました」
私は下駄箱の前にいた先輩に向かって会釈した。
「行こうか。家、どこら辺?」
「えっと、あっちのほうの…」
「あ、名前何?聞いてなかったね。」
「名前、ですか。」
私は下を向く。
名前を覚えられてしまったら、困る。
私の記録が破られてしまう。
「そう、名前は?」
先輩が顔を覗き込んでくる。
「…小倉、千尋です。」
勢いで言ってしまった。
「じゃあ、小倉。内側歩いて。」
先輩がさりげなく気遣ってくれる。
「あ…りがとうございます。」
こんな紳士な男子に出会ったのは初めてだ。
なんだか、すごくドキドキしてきた。
「暑い…ですね」
私は顔が赤くなっているのがバレないように手で仰いだ。
「そう?俺にはちょうどいいけど。…顔赤くなってんじゃん。熱あるんじゃない?」
先輩が私の顔を見て驚く。
「熱なんてありませんよ、私元気ですから」
どうか、先輩のせいで暑くなってるのがばれませんように、と心の中で祈る。
すると、先輩が私の顔を手で挟んで額をくっつけてきた。
「……!」
先輩、目が茶色い。
これ、アーモンドアイっていうんだ。
本か何かにそういう言葉が乗ってた。
まさか、活用する日がくるなんて思ってもなかったけど。
「本当だ。熱、なかったな。」
先輩がひとりで笑う。
私は下を向きながら、二人で歩くのだった。
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