コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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ファンタジー(仮)
日時: 2015/12/20 10:58
名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: bIAXyXLC)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=16841

■お知らせ■
ひっそりとこの物語をベースに、新たな僕アリを書き直しております。
複雑ファジー板で執筆中のウェルリア続編が完結したら、再アップしようと考えております。
設定に若干の変更がありますが…なんとか完結させますよ(涙)
いつも閲覧くださるそこのあなた、本当にありがとうございます!


☆:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::☆
■お客様♪■
・書き述べる様『2次創作(紙)板:AsStory』
・シア様『コメディ板:白銀の巫女姫』
・一ノ瀬美鈴様『コメディ板:Clear the Dimension』
・如月神流様

★━━━━−−———————————————————————————————
『コメディ・ライト板』書き始め日*2014.07.21〜
参照100突破*2014.07.29 参照200突破*2014.08.04
参照300突破*2014.08.20 参照400突破*2014.08.31
参照500突破*2014.09.23 参照750突破*2015.04.01
参照800突破*2015.04.06

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Re: 僕とアリスと白ウサギ ( No.18 )
日時: 2014/08/01 09:31
名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: m/WW0M6t)

「おーっす、ヒメ!」

悪気が無さそうな声と共に片手を挙げ、ニッカリと笑みを浮かべる。

「何が『おーっす』だよ……」

僕のつぶやきが果たして聞こえたのかは分からないが、陸は僕の頭をポンポンと乱暴に叩くと、それからコゴウ先輩を振り返った。
その顔に、みるみる笑みが溢れる。

「やっぱり! 誰かと思えばあの古郷春香センパイじゃないっすか!」

コゴウ先輩は先ほどの意地の悪い笑みと対照的に、天使のような微笑みを浮かべている。

「貴方は、美ヶ原くんのお友達?」

鈴を転がしたような声。
陸が頭をかく。

「いやぁスミマセン、うちのヒメが手を出したみたいで」
「いえ、良いのよ」

手を出されてたのは僕の方だけどな、と、心の中でつぶやく。

「それよりもキミ、はい、サッカーボール」

コゴウ先輩はそう言うと、先ほど僕の顎にクリティカルヒットしたサッカーボールを陸に手渡した。
きっと陸がいなければ、僕に「取れ」と命令していたであろう。

「あ、ありがとうございます」

陸は照れたように笑みを浮かべると、先輩のしなやかな白い手からサッカーボールを受け取った。
コゴウ先輩の洗練された一連の動作に、僕は思わず、ぐっ、とうなってしまう。

「じゃあね、私はこれで失礼するわね」

そうして、コゴウ先輩は最後に一言、慈愛に満ちた眼差しでそう告げた。
そのままくるりときびすを返して、彼女は中庭から去って行ったのであった。

Re: 僕とアリスと白ウサギ ( No.19 )
日時: 2014/08/02 01:02
名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: ofW4Vptq)

Ⅳ.

夕暮れに染まる帰路を、僕と陸は歩いていた。
陸と陸は家が近所のため、帰宅時間が重なった時はこうして一緒に帰ることが多い。

「陸……お前、実は結構前から僕たちのこと見てただろ」
「あ、バレてた?」
「2階の渡り廊下からさあ、……なんだよ、サッカー部は『隠れて覗く』ことが練習の1つなのか?」
「まっさかあ〜」

そう言って陸はニッカリと笑った。
相変わらず、悪気の無い表情である。

「今日はサッカー部はお休みっ。なんだけど、オレは自主練で残ってたんだ」
「相変わらず熱心なんだな」
「今度の練習試合が選抜に選ばれるかどうかって大事な試合でさ」

サッカーボールを胸元に抱え込み、陸は力のこもった声でそう告げる。
僕は笑みを漏らすと、陸の横顔を見やった。

「陸……最近、調子はどうなんだよ」
「聞いてくれるかっ!」

いきなりその場で立ち止まる。
僕はびっくりして思わずコクコクと頷いた。

兼人かねと、聞いてくれよ! 最近オレさ、調子良くってさ!」

満面の笑みで眼前まで迫られたら、ここはひたすら相槌あいづちを打つしかない。
そうしてシュート練習だとか、練習試合がどうとか、一通りの近況報告を終えた後で、陸は急に真剣な顔つきになった。

「それにしても兼人、オマエ……またやっちゃったな」
「何を」
「ーー三船 小夜子」

ドキッ。
聞き慣れた名前に思わず胸を押さえる。

「放課後、呼び出されてただろ。さっき校門前ですれ違ったけど、泣いてたぞ、彼女」

ドキッ。
再度強く胸を押さえつける。
それにしても、突然話題をそっちの方向に持ってくるなんて、厄介な野郎である。

「あー、まあ、色々あったんだよ」
「あーらら。モテる男は辛いねえ〜」

冷やかすように言って、陸は僕をみる。

「で? 自分は三船ちゃんフッといて古郷先輩に走ったわけ?」
「誰がっ!」

自分でもビックリする位、大きな声が出た。

「あれは、向こうから絡んできたので……!」
「ほーお?」
「そっ……それでっ……だな、って……陸!」
「あっははは、そんなマジになんなって。分かってるよ、そのくらい」
「それなら良いけど……」
「だから、オレ、お前にボールぶつけてあの場の流れを断ち切ってやったろ?」
「……感謝してるよ」

ぼそりと呟く。

「…………けどっ、やっぱり納得いかないっ! なんでわざわざ顎に当てるんだよ!」
「面白いから、だな。ウンウン」
「お前なあ……!」
「あ、でも」

ポンッと手を打って、陸が途端に真面目な顔つきになる。

「やっぱ姫様のお顔を傷つけたら、お前のファンクラブの連中に怒られるよな。もしくは夜道で背後から刺されるかも……おお、怖ぇ」
「加賀見ぃ……オマエ……」
「悪りぃって。冗談」

先ほどから冗談に思えないのは僕だけなのか。


Re: 僕とアリスと白ウサギ ( No.20 )
日時: 2014/08/06 16:16
名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: lyw636O3)

そんなこんなで話をしているうちに、陸の住んでいる一軒家が見えてきた。典型的な建売住宅で、陸の母親の趣味なのか、玄関先から内装に至るまでカントリーな雰囲気である。
陸は少し足早に玄関先まで駆けていくと、そのままきびすを返して僕に手を振った。

「んじゃ、ま、末長くお幸せに」
「誰とだよ!」
「じゃあな〜」
「陸のヤツ……冗談に聞こえないっての」

別れを告げ、僕はまた一人道をゆく。
今日はさすがにこれ以上、何が起こることもないと思っていた。
ーー否、ただ単に高をくくっていただけだ。
自宅まであと少しーー
僕は角から曲がってくる人物に気がつかなかった。
きっと、気が緩んでいたのだろう。
刹那の出来事に対応出来なかった僕はそのままその人物と鉢合わせすることになる。その際、相手の身長が僕よりも低かったこともあり、ちょうど相手の側頭部が僕の顎にクリティカルヒットした。
二度あることは三度あるーー昔の人の教え様々だよなあ、などと考えつつ、僕はその場でよろめいて両手を地面についた。
しかしてーー
僕と【不思議の国の住人】との出会いは、とある夏の夕暮れ時のことであった。
まさかあのような出来事に巻き込まれるだなんて、この時の僕は微塵みじんも思ってもいなかった。

これが僕の『序章プロローグ』ーー

【第一章:僕のための序章 完】

Re: 僕とアリスと白ウサギ【第一章 完】 ( No.21 )
日時: 2014/08/03 21:55
名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: nA9aoCfQ)

【幕間 女王様のためのうた


 The Queen of Hearts
 She made some tarts,
 All on a summer's day;
 The Knave of Hearts
 He stole the tarts,
 And took them clean away.

 ハートの女王
 タルトつくった
 夏の日 一日中かけて
 ハートのジャック
 タルト盗んだ
 タルトを全部もってった

『それからジャックはどうなったの?』
『悪い子は×××××だよ』

Re: 僕とアリスと白ウサギ【Chapter2 更新】 ( No.22 )
日時: 2014/08/06 16:24
名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: lyw636O3)

Chapter2『アリスと白ウサギ』


Ⅰ.

「——ねえキミ、【アリス】を知らないかい?」

理解不能なことを問われると思わず身構えてしまうのが人のさがってものだ。
問うてきた当の本人は、まるで気にしていないようであったが。
しかし所詮しょせん僕も人の子。
思わず疑問符を浮かべて聞き返していた。

「あの……【アリス】って?」
「【アリス】です。【不思議の国】の」

血のように赤く染まった夕焼けの空を背景に、目の前の人物は真剣な表情で僕を直視した。
夕暮れ時の帰宅路で出会ってしまった"彼"ーー

("コイツ"は今、何て言った?)

【アリス】……? 【不思議の国】……?
聞いたことのあるような、無いような……

そこまで考えてから達した答えに、僕は我ながら呆れ返っていた。

ーー馬鹿らしい。こんな得体の知れない少年の妄想癖に付き合ってられるか。
それとも、ぶつかった衝撃で頭のネジが飛んでってしまったのか……

僕はヒリヒリと痛む顎をさすり、今一度、目の前の人物をよくよく観察してみた。
僕の胸元に飛び込んできた"彼"は、僕の肩あたりまでの身長であった。
僕もそこまで高くない身長ではあるが、彼は僕よりも更に低かった。
150センチあるか無いか。
そのような背丈に、だぼだぼの白衣を着て、彼は出会い頭こう言ったのだ。

「——ねえキミ、【アリス】を知らないかい?」

やはり、何度考え直しても同じだ。
はっきり言って耳を疑う。
否、彼の神経を疑う。

「えーっと、そういうボクは、なんてお名前なのかな?」

思わず子どもを諭すような言葉をかけてしまった。
案の定、彼は少しむくれたようだった。

「私は、【白ウサギ】です」

その名前を聞いて、僕は名前を聞いたことを後悔していた。
……たちの悪い人物と出会ってしまったようだ。


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