コメディ・ライト小説(新)
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- フリーバトラーズ
- 日時: 2018/01/04 16:00
- 名前: MESHI (ID: sA8n45UA)
はじめましてー!
MESHI…読み方はそのまま「メシ」です、はい。
でも、そこまでご飯が好きということでも、塩にぎりさえあれば生きていけらァ!!というわけでもありません。1日3食きちんとバランスよく食べます(何の話だ)。
最近、縄跳びをはじめました。後ろとびをしていると、目に縄がバチィ!と直撃し、もう二度と縄跳びはしないと心に誓いました。開始5分のことです。
黙っていると完全に忘れ去られる圧倒的存在感のなさのMESHIがお送りします。
所々文がおかしくなったりすることがあるかもしれませんが、そこのところは生暖かい目で見守ってやってください。(MESHIは存在感が薄い故、メンタルは強いです。いくら存在を忘れられてもへこたれません。ステンレス製の心。)
この小説はオリジナルです。
そしてコメディ・異能力モノです。
たまーに作者の生活記録があります。
1話1話がちょっと長いですが、比較的サラッと読めるかなあ…と思います。
よろしくお願いします!
≪コメントありがとうございました!≫
四季さん
【追伸】
作家プロフィール作りました。書いてある小説の上の方にある「参照」から飛べます。
第1章:『ようこそ、フリーバトラーズへ!』>>1
第2章:>>30
- Re: フリーバトラーズ ( No.1 )
- 日時: 2017/04/02 16:59
- 名前: MESHI (ID: /uXIwxRd)
【前奏曲】
おかしい・・・。
資料片手に首をひねる少女。サラリと白金の長い髪が動く。
蝋燭の火が、ライラック色の瞳を照らす。
ほんの500年前までは、やる気に満ち溢れた武士や侍共が集まっていたはずだ。
しかし、今となっては。
◇ ◇ ◇
三日月の、夜だった。
リン・・・
鈴の音がどこからともなく鳴り響く。
男たちは、その音の元を探すが見つからない。
錆びついた工場跡地。
男たち——―街を騒がす銀行強盗のグループだった。
リン・・・
「誰だ、出てきやがれ!」
20人を超える男たちは一か所に集まって武器を持つ。
一瞬の静寂。
「〈祇園精舎の鐘の声〉」
ひとりの声が響く。男たちはすぐさま、その声の主を探そうとするが、その必要はなかった。
「〈諸行無常の響きあり〉」
先ほどとは別の声がする。
「〈沙羅双樹の花の色〉・・・」
反対方向からの声。
「〈盛者必衰の理をあらは(わ)す〉」
ザッ!!
建物の中に、一陣の風が吹いた。
埃が舞う。
「〈おごれる人も久しからず〉」
「〈ただ春の夜の夢のごとし〉」
「〈たけき者も遂にはほろびぬ〉」
薄暗い建物内が、一気に光に溢れた。
思わず目を覆う男たち。
「———〈ひとへ(え)に風の前の塵に同じ〉」
次に男たちが目の当たりにしたのは、光と、そして、長く伸びた8人の影。
「お前たちは・・・!!」
爆発したような悲鳴が広がる。一目散に逃げてゆく男たち。
しかし、誰一人として逃げ延びることができた者はいなかった。
8人は、風の如き動きで男たちの動きを封じる。
5分もしないうちに、あたりは再び静寂に包まれた。
「安心して、僕たちは殺しはしないよ。」
影の一人が言った。
「それが私たちのモットーだからねえ。」
マシンガンを持った腕は、ゆっくりとおろされた。
「あなたたちは、在るべき居場所に帰るだけです。よい監獄ライフを。」
一言も喋れない男たちは、力なくうなだれた。
この街には、得体の知れない化け物がいる。
その化け物達は、ただ「たたかう」ために集まる。なぜ戦うのか?
そんなことは誰も知りはしない。
◇ ◇ ◇
少女はため息をついた。
どこで間違えたのだろう・・・?
私はこんなびっくり人間コンテスト出場メンバーガチ勢みたいなのを集めたかったわけではないのに。
化け物達は、集う。
「たたかう」ために。
でも、世界を救うとか、そんな大層な集団でもない。
正義を気取っているわけでもない。
しかし悪でもない。
街に溶け込んでいるように見えても、完全に溶けきってはいない。
街の底に溜まっているようなそんな集団。
何をしているのかもわからない、謎の8人は。
神出鬼没の、しかし暇そうな8人の化け物たちは。
街の人々はこう呼ぶ、
「自由戦士」
- Re: フリーバトラーズ ( No.2 )
- 日時: 2017/01/21 17:30
- 名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)
【#001】
アナログ時計の針が動く音だけが響いている。
長い長い静寂。
茶髪の男がゴクリと唾を飲んだ。
震える腕を伸ばす。
男の向かい側に座っている黒髪の男も、息をひそめてその腕の行く先を見つめる。
黒髪の男の表情は見えない。 面をつけているからだ。
妙な面だ。目のための穴が開いていない。
カタリ・・・・
軽い音が部屋に響いた。
ふーっと息をはく2人。
男の手の中には、1本の木のスティックがあった。
「次、お前の番だ」
面をつけた男が静かに頷き、慎重に手を伸ばす。
前が見えているのか、迷いなく1本のスティックに触れた、その時。
勢いよく開かれるドア。そして揺れる部屋。
テーブルの上に積み上げられた不安定極まりないジェンガは、どうなったか?
言うまでもなく。
2人が声にならない悲鳴を上げることとなった。
「何すんだよ!!」
「そうだぞ!どうしてくれるんだ、俺の最高記録!!」
開かれたドアの前に仁王立ちをしているのは、黒い中国服を着た青年である。
「『どうしてくれるんだ』じゃないです!なに人の部屋で勝手にジェンガなんてやってるんですか。不法侵入もいいところです」
ダークグリーンの邪眼ににらまれ、目をそらして下手な口笛をふく2人。
面をつけた男―――Rと、もう一人の茶髪の男———蘇比である。
中国服の青年はせっせと床に散らばったジェンガを燃えるゴミの袋に入れてゆく。
「庚くーん、それ、俺の。俺の物、なん・・・」
Rの言葉は邪眼によってさえぎられた。
「まったく・・・皆さん暇さえあれば僕の部屋に集って・・・。」
蘇比とRがいそいそと庚の足元にすり寄る。
「いいじゃないっすか~、居心地いいんっすよ~。」
「そうだ、ですよ~、冷蔵庫漁れば美味しいものがもら・・・オホン、居心地いいんっすよ~。」
無言でゴミ袋の口を結ぶ庚。そして新しいごみ袋を2枚持ってきた。
「お二人とも、明日は何の日か知ってますか?」
顔を見合わせる2人。
「粗大ゴミの日です」
- Re: フリーバトラーズ ( No.3 )
- 日時: 2016/12/09 18:20
- 名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)
殺風景な部屋の中心のテーブルに湯気が立ち昇る茶が3人分おかれた。
必要最低限のものしか置かれていない庚の部屋は、カーペットもないので冷えるのだ。
「よってたかって年下の家に押しかけるなんて、恥ずかしくないんですか。」
肩をすくめる成人男性2人組。
「まあ、あれだよ、メンバーとの交流さ。」
「そうそう。」
はあ、とため息をつく庚。
静寂。しかしそれは一瞬で破られた。
小さな電子音が部屋に響く。
「誰の電話?」
Rが庚と蘇比に目配せをした。
「俺のじゃねえな。」
蘇比は派手なケースがついた携帯電話をポケットから取り出す。音はなっていない。
「僕のでもないんじゃないですかね」
いつにもまして死んだ顔で投げやりに答える庚。
「いや、あの机の上で鳴ってるのどう見てもお前のだろ?」
「なんのことです?」
しらを切って頑なに電話を取ろうとしない。
しばらく続いた電子音は途絶えた。
ふう、と一息つく一同だったが、それもつかの間。
再び、同じ電子音が鳴る。
パリン。
庚の手の中のコップが粉々に割れた。
「おい、どうした庚・・・」
蘇比がそう言うころには、ステンレス製の机の上に置いてあった黒い旧式携帯電話は原型をとどめないほどに大破していた。
「いやはや、電話をとろうとしたらつい癖で砕いてしまいましたよ。」
見事なまでの棒読みのセリフは、Rと蘇比の耳に焼き付いて離れなかった。
◇ ◇ ◇
3時間前。
後ろ髪だけを伸ばした黒い髪。肉食動物のように無駄のない体つき。そして筋の通った鼻と、薄い唇。
申し分のない容姿の庚だが、今ばかりは眉が吊り上がり、額には青筋が浮かんでいた。
「で」
「なんだい、庚くん。」
「いつになったら帰ってくれるんですかね」
視線の先には、カップラーメンをすする少女。
そのカップラーメンは湯を入れて1分も経っていない。単に待ちきれなかったのだ。
立っていても床につきそうなほど長い白金の髪と、ライラック色の瞳。
少女は、不意に立ち上がってキッチンから七味の瓶を持ってきた。
瞬く間に真っ赤になっていくカップラーメン。
庚の眉がまたピクリと動いた。
「はやく、そのもうカップラーメンとも言えないような赤い物体ごと出て行ってください」
「ひどいな、リーダーである私の扱いを見直すべきだよ。」
ズゾゾゾ、と勢いよく麺を啜る。直後、盛大に咽た少女を心配する素振りも見せず腕を組む庚。
「リーダーなんて名ばかり、何もしてないじゃないですか」
はやく出て行ってください、と付け足すのも忘れない。
「・・・外は雪なんだよ?」
「だからです」
一瞬考える少女。すぐにポンと手を打った。
「なるほど!つまり君はこの美しい私と、その心のように真っ白な雪との奇跡のコラボレーションを写真におさめたいという強い希望からの発言なんだね!!」
「発想力が豊かすぎますね、それもいい方向ばかりに。」
庚は時計を見上げ、少女をにらむ。
「だから、出てってくださいって言ってますよね?耳まで悪いんですか?老化現象ですか?」
フッ、と鼻息をハク少女。その息で、カップラーメンのフチについたネギがテーブルに飛ぶ。庚はまた顔をしかめた。
「今回、ここに来たのは仕事の伝達さ!!」
「・・・本題に入るまでの前置きが長すぎるんですよ、いつも。」
強引にカップラーメンの容器を取り上げ、窓から放り投げた。
雪に血が流れたようにスープが広がる。
「あーーーーーーーーーーー!庚くん!何してるんだい!?私の晩御飯が!」
「あれはもともと僕の家にあったものです、お気になさらず。」
沈んだ気分で座布団へ戻る少女。
「冷たいよもうー、ドライアイスなんて生温いよー。」
「それはそれは。」
ウッ、ウッ、と下手な泣きまねをしてみるが、庚は心配するわけがない。
「仕事の内容をサッサと言ってサッサと帰ってください」
無表情のまま少女の正面に座る。
「あのね、刺されたんだよ。」
「・・・刺された?」
「そう、背中からね、ナイフで一突きよ。」
「どこで?」
「パチンコ屋の横の狭い裏路地。」
「自業自得ですね、というかあなた死なないからどうってことないでしょ」
席を離れようとする庚。少女はそれを慌てて引き留めた。
「待って待って、話はこれから!!」
「というか、パチンコ屋なんて行ってたんですね」
スーッと目をそらす少女。
「でね、そいつら、結構ヤバイ奴らなのさ!」
「ふうん」
「私の能力は信用するんだろ?!」
「まあ、はい、信じますよ、一応。」
少女の能力は、ある条件がないと発動しない。
例えば、その身にナイフを突き立てられたとき。
ナイフを握っている人物と、感覚を共有することができる。
視覚、聴覚、痛覚。そして記憶までも。
自分を殺そうとしたのはどんな人物なのか?なぜ殺そうとしたのか?
全てがわかるのだ。
そのうえ、少女は死なない。
老いもしない。病気にもかからない。
いわゆる、不死身である。
「アレだよ、とにかくヤバイやつなんだよ。」
「語彙力ないんですか、もうちょっとわかりやすく言ってくださいよ」
コホン、と咳払いをする少女。
「フリーバトラーズ任務No.028、私を殺そうとした組織の壊滅を命ずる!!」
「えぇ・・・・・」
庚は露骨に嫌な顔をする。
「まったく・・・いつも君たちは任務を嫌がるよね。」
「ええ、そうですね、今までの任務のうち13個はあなたの私情が発端ですからね。」
「また電話するよ!携帯電話に!!5時間、みっちり会議しようね!!」
庚は電話がかかってきたら無視しようと堅い決心をした。