コメディ・ライト小説(新)
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- フリーバトラーズ
- 日時: 2018/01/04 16:00
- 名前: MESHI (ID: sA8n45UA)
はじめましてー!
MESHI…読み方はそのまま「メシ」です、はい。
でも、そこまでご飯が好きということでも、塩にぎりさえあれば生きていけらァ!!というわけでもありません。1日3食きちんとバランスよく食べます(何の話だ)。
最近、縄跳びをはじめました。後ろとびをしていると、目に縄がバチィ!と直撃し、もう二度と縄跳びはしないと心に誓いました。開始5分のことです。
黙っていると完全に忘れ去られる圧倒的存在感のなさのMESHIがお送りします。
所々文がおかしくなったりすることがあるかもしれませんが、そこのところは生暖かい目で見守ってやってください。(MESHIは存在感が薄い故、メンタルは強いです。いくら存在を忘れられてもへこたれません。ステンレス製の心。)
この小説はオリジナルです。
そしてコメディ・異能力モノです。
たまーに作者の生活記録があります。
1話1話がちょっと長いですが、比較的サラッと読めるかなあ…と思います。
よろしくお願いします!
≪コメントありがとうございました!≫
四季さん
【追伸】
作家プロフィール作りました。書いてある小説の上の方にある「参照」から飛べます。
第1章:『ようこそ、フリーバトラーズへ!』>>1
第2章:>>30
- Re: フリーバトラーズ ( No.19 )
- 日時: 2017/02/26 17:10
- 名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
どうも、MESHIです!!
さて、なぜ小説の作者コメコーナーとは別にコメントをしたかといいますと・・・。
そう!!イメ画を!!描いて!!くださった方が!いるの!!です!!!
すごく嬉しいです!踊っちゃうぜいぇ~~。
知り合いの御笠さんが描いてくださいました。正直、弱みを握っていたので、喜んで描いてくれました(嘘です、すいません)。
それがものすごく綺麗でお洒落で、本当にこんなよく描いてもらってもいいのか・・・とちょっと心配になりました(笑)
これからも頑張りますので、見捨てないでください!
御笠さんのイカしたイラスト→http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=386.png
- Re: フリーバトラーズ ( No.20 )
- 日時: 2017/03/05 16:48
- 名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「浅葱くん、今回の任務の趣旨覚えてる?」
「空中旅行を楽しもう」
「違うよ!!!そもそも旅行じゃないし!」
比較的広い道路に出た少女達。浅葱の武器はバッグの中に仕舞われ、胸ポケットに差していた眼鏡をかけている。
黒服が追ってこないか慎重に歩く。
「鴇ちゃんは覚えてるだろう?」
うーん、と人差し指を口に当てて考える鴇。
「鴇ちゃんの能力のすごさを体験しよう」
「違うよ!!!すごいのはもうすでに知ってるよ!」
「ありがとう!」
「どういたしまして・・・って違う!違うんだよ2人共!」
「よっ、ノリ突っ込みの申し子ー。」
やる気のないわざとらしい拍手と見事な棒読み。
「正解はね、『この美少女リーダーを刺した愚かな犯人組織を消滅させよう』だよ!」
「はて・・・聞き覚えがないなあ」
「あのね、認知症かどうか分かるテストがあるらしいよ。」
少女はポケットから静かにハンカチを取り出した。
「確かにちょっと付け加えたけどさ・・・。」
コホン、と小さな咳払いをして誤魔化す。
ちなみに、少女の血だらけになった白金の髪は、結って汚れていない髪で覆っている。
「場所はさっきの青い髪の女の人から受けた弾で分かったし。」
自分の額を指さす少女。すると再生過程を思い出したのか、青くなって口を押さえる2人。
「・・・そんなに?」
無言で頷く浅葱。猛烈に首を縦に振る鴇。
「モザイクを出す修行でもしとくよ・・・。」
グーサインを出された。
「どうやら、あの青い髪の人・・・あ、名前も碧っていうそのままの名前なんだけどね、あの人も異能力持ってるらしくてさあ。」
「何の?」
「催眠。特定の呪文と衝撃を加えることによって相手に術をかけることができるらしい。まあ緋くんの場合円周率と首絞めだったわけだけど・・・。」
浅葱がふむ、と頷いた。
「まあセンスないのは確かだね。」
異論を唱える者は居なかった。
「今から乗り込む本拠地にも、その催眠をかけられて組織に吸収されたやつらがいるんだよ。もともとは空き巣とか万引きとかちっさいことをやってた少人数の組織。」
「ん?この飛行船らしきものの持ち主の組織の他に別のやつも混じってるの?」
浅葱の質問にパチンと指を鳴らす少女。ジトッとした目で見られたことは気にしない。
「ザッツライトだよ、正しくは組織・・・ややこしいから組織(親玉(かっこ おやだま))とするけど・・・」
「人のこと言えないほどのセンスだね!」
少女は鴇の無邪気な笑顔でライフポイントを削られた。
「その・・・組織(親玉)の中に複数の小さな組織が吸収されてるみたいだね。」
「親・・・そのネーミングは採用したくないけど考えてる時間ないから仕方なく使うけど・・・組織(親玉)の中のちっさい末端組織の1人に後ろから刺されたと?」
「なんかダサいねー色々。」
再びポケットからハンカチを取り出す少女。
「いいんだよ!もうこの際ダサくてもグロくてもいいから協力してよお!」
鴇と浅葱は打ち合わせでもしてたかのように2人揃ってため息をついた。
「すればいいんでしょ、すれば・・・。」
「終わったらすぐ帰るんだよね?」
少女の顔がぱあっと明るくなった。
「皆はやってくれると信じていたよ!鴇ちゃん、お礼にわたしとお揃いのスマホを買ってあげよう!」
「その話まだ生きてたの・・・?」
「鴇、いらないー。」
自分で自分を励まし続ける少女。
涙をぐっと堪えた。
「さて・・・皆の連絡を待とうじゃないか!」
そういってスマホを高々と掲げた瞬間_______________
あたり一帯に轟音が響いた。
一瞬の静寂。
「・・・その着信音ってこんなに趣味悪かったっけ?」
浅葱が遠い目をして言った。
◇ ◇ ◇
「あれぇ?瑠璃ー?ったく・・・。」
ボリボリと頭をかきながらあたりを見回すR。
「付いてこいって言ったのにさあーーー。」
日本刀を傘を振り回す小学生のように扱って遊んでいる。非常に危険である。
「まいっかー。」
フワフワと欠伸をした。
敵組織に乗りこんでいっている最中とは思えない様子である。
「あ、そうだ連絡連絡・・・・あれ?」
刀を鞘に納めて体中をパタパタと叩く。
地面に手をついて身を屈め、携帯電話の目線になって探すが、見つからない。
試しにゴミ箱の蓋を開けてみるが、当たり前のことながらない。
「うっそぉ・・・。」
「お探しの物はコレかい?」
横から、骨が張った手が伸びてきた。
その手には黒いスマホが握られている。
「おぉ!さんきゅー!・・・・・・・・・・・・・」
目の前には、ふてぶてしいパンダの顔がでかでかとプリントされ、黒い小さな耳がくっついたフード。胸には絶対に何も考えずにデザインされただろうと思わざるを得ない『まろやか』の文字。
次の瞬間、仮面男とフードを深々と被った男の動きがピタリと止まった。
Rが自分の携帯を受け取り、フードの男も自分の携帯を取り出した。
2人の指がそれぞれ3回、画面をタップする。
そして同時にスマホを耳元へあてた。
「「もしもし・・・警察ですか」」
顔を見合わせる2人。
次の瞬間、お互いに光の速さでスマホを奪い、それぞれの通話終了ボタンを押した。
「おいおいおい・・・お前なに通報してるんだよ・・・。」
「お前もだよ・・・今何の事件も起こってないだろう」
無言でスマホを取り換えた。
2人の脳内で『不審者』の3文字がチカチカと点滅している。
お互いの頭のてっぺんからつま先までを眺めた。
「だっせぇ・・・。」
Rの口から無意識に言葉が漏れた。
「この素晴らしいセンスが分からない奴は人生の90%損してるよ。アラ可哀そうに・・・。」
わざとらしく口に手を当てて嘲笑するフードの男。
「それはこっちのセリフだぞ。というかお前誰だ」
刀を抜くR。フードの男はそれを見て後ずさりをした。
「ウェイトウェイト。落ち着きなさんな。」
ふてぶてしいパンダのフードが降ろされた。
下から出てきたのは目の細いの若い男の顔。短く切られた赤髪は、右からの風に常に吹かれているようなクセがついている。
「おいらは燐、しがない情報屋だよ。」
「信用できねえな。さては、敵だな?」
Rは刀を燐と名乗る男の首元にあてた。
「えーーーーーっ!まあ疑う精神も大事だけどさあ、おいらは信じる清い心はもっと大事だと思うんだよねえ。」
「まずその喋り方から胡散臭いんだよお前。」
「おいらの個性を全否定しないでくれる・・・?」
目をウルッとさせる燐。Rは無言で刃先を首に食い込ませた。
「落ち着いてって!!おいらの首をとっても賞金は出ないよ!?」
引き攣った笑みを浮かべる燐。
Rは舌打ちをしながら刀を鞘に納めた。
「もし敵だったら容赦なく首落とすからな。」
「ははは、敵じゃないって言ってるのに。」
燐の頬に一筋の汗が流れた。
「百歩・・・いや千歩譲って敵じゃないとしたら、お前はなんでこんなところにいるんだ。・・・おい聞いてるか」
Rの手中の刀をじっと見ている燐。
「・・・あれえ?もしかしてお前、さっきの侵入者の騒ぎの原因の?」
「それがどうした」
「ん、いや別に?おいらは敵じゃないから関係ないや。」
Rは仮面の下で思い切り疑いの眼差しを向けたが、それを向けられた本人は分からないので意味がなかった。
「結構前にね、今いるこの飛行物体が食料調達のために砂漠に着陸したことがあるんだよ。砂漠には食料を積んだヘリコプターがいっぱいいたよ。その時にちょっと樽の中に入って一緒に乗り込んだんだよ。」
「昭和のいたずら坊主でもそうそうないぞ。」
「そんで、スカイダイビングしたら楽しそうだなあって!」
背負っていたリュックサックのようなものを高々と掲げる燐。
「馬鹿かお前?15000mだぞ?」
「何言ってるの、世界記録はそれの何倍もの高度だよ。」
「超人と比べるんじゃねえ!」
Rを無視してパラシュートを背負いなおした。
「じゃ、そゆことでー。」
一度背を向けてスキップをしようとした燐だが、クルリと180度回転した。
「そうそう、灰色の髪でパーカー着て眼鏡かけた男の子があっちの方うろうろしてたよ。」
Rの頭から消えかけていた瑠璃の存在が蘇った。
そして気づく。
「おい、なんで俺がそいつを探してるって・・・・あれ、いない」
どこを見渡してもレンガの地面が広がるばかりで、パンダのパーカーはどこにも見あたらなかった。
- Re: フリーバトラーズ ( No.21 )
- 日時: 2017/03/12 16:11
- 名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ああ、楓花!会えて嬉しいぞ!」
両手を広げる碧。脳内がクエスチョンマークでいっぱいになっている緋。
「楓花?どうした?」
楓花。誰のことか分からないのに、どこか懐かしい響き。
さっき自然に口からでた「アオイ」というのは目の前に立っている女性の名のことだろうが、この女性が自分にとっての何なのか分からない。
懐かしいような気もするけれど、なぜか_____怖い。
「・・・・・楓花?」
碧の笑顔が一瞬にして消えた。
ヒールの音が近づいてくる。
反射的に身構え、碧の声に耳を澄ませる。
「自分の名は分かるか?」
座り込んでいる緋の顔を覗きこむ碧。
「私の名は、」
そこまで言って、次に開こうと思っていた口が開かない。
私は、誰だ?
いつの間にか寝ていたベットから起きて、あの白金の少女に緋という名で呼ばれたから、ずっと自分の名は緋なのだと思い込んでいた。
ならば、楓花という名は何なんだ。
「名を忘れたのか?それじゃあ、私の名は分かるか!?」
声に焦りが混じっている。
そもそも、なんで初めて会ったあの少女が言った名が自分の名だとすんなり受け入れた?
「あなたは・・・・・」
目から光がフッと消えた。
「あなたは、誰?・・・私は、誰?」
分からない。
怖い。
今目の前にいるのは誰だ?知っているはずなのに、分からない。
自分は何なんだ。本当の名は何なんだ。今までどこにいたのか。
「分からない・・・」
「催眠が、消えてる・・・!?」
碧が手に持っていた銃を捨てて緋の肩を揺すった。
「おい、本当に分からないのか!?」
呆然とあさっての方向を見る緋の首に、碧の手が伸びる。
その瞬間____とてつもない轟音が響き、緋はうずくまって耳を塞いだ。
◇ ◇ ◇
地面がグラグラと揺れた。
後に続く轟音。
それを誰よりも先に感じたのは瑠璃である。
最短ルートを探しだし、音のした方へ走った。
「庚さ・・・・・どうしたの!?」
砕けたコンクリートの山のてっぺんにただ立っている庚の姿が見えた。
はっとして瑠璃の方へ顔を向ける庚。
その拍子に立っていたコンクリート破片の角から足を滑らせた。
鈍い音をたてて灰色の山に消えていく。
「ホントどうしたの!?」
「疲れが回ったんじゃないですかねえ。」
他人事のように言いながら山から這い上がってきた。
黒い中国服は薄汚れて灰色になってしまっている。
「いや、さすがにおれより先に庚さんがバテるのはあり得ないと思うよ。」
薄い笑みを浮かべる瑠璃。
「そうですかねえ。」
瑠璃の目の前をスーッと横切っていく庚。
「銃声の方に行くつもりならあっちだよ。」
庚は足を止めずにノソノソと歩いていく。
「ねえ何かあったの?!」
「いや・・・何もないですよ・・・何も。」
袖口をはたいてコンクリートの粉を落とした。
「ふうん・・・そう?あ、Rさん見なかった?」
後ろを振り返って指さす瑠璃。
「あっちの方ではぐれ・・・・」
庚の方に向き直ると、そこには庚の姿はなかった。
緩やかな風が瑠璃の頬を撫でた。
作者コメ:えー・・・。これからちょっと更新スピードが落ちると思います(笑)
- Re: フリーバトラーズ ( No.22 )
- 日時: 2017/03/19 22:53
- 名前: MESHI (ID: XwkOzEnm)
あの燃えるような緋い光を、一度見たことがあった。
目を刺すような白い雪の反射光と、それに広がる赤黒い液体。
そして今にも消えそうな緋い光。
薄紅色の唇がかすかに動く。
音もなく、色彩もどんどん失われてゆく記憶。
庚はズキズキと痛む頭を押さえた。
また地面を蹴る。コンクリートの地面にヒビが入った。
何のためなのかも分からない建物の間を縫うように走る。
ポケットの携帯電話が震えた。
「なんですか」
足を止めずに通話ボタンを押した。
『やあ、庚くん!』
「・・・切っていいですか」
少女の声に迷わず通話終了ボタンに指を伸ばす庚。
『わーーーーっ!待って待って!切らないで!!』
電話に拾われないように小さく舌打ちをした。
「なんですか」
『さっき舌打ちした!?ねえしたよね!?』
「変なところだけ耳良いんですね」
少女は明るい声で気にせず続ける。
『ねえさっきから風の音すごい入ってきてるけど今どこにいるの?外?』
「走ってるだけですよ・・・」
『で、緋くんはどうなった?引きずられて血みどろになってない?』
「そんな雑な扱いはしてません」
『今そこにいるかい?』
「・・・居ませんよ」
『えーーー!どこに落っことしたのさ!?』
「さあ?」
『そういえばさっき物凄い音したけど、庚くん何かやらかしてな・・・』
庚の足が止まった。
「すいませんちょっと切ります」
返事も聞かずに携帯電話を閉じ、ポケットに突っ込んだ。
眼下には緋に手を伸ばす碧と、逃げ場を失った緋。
◇ ◇ ◇
「楓花・・・少しの間我慢するんだぞ」
碧の長い爪が首に食い込む。
逃げようにも、足がすくんで動けない。
紫色の瞳が鋭い刃物の切先のように光った。
「そいつは放してやれ」
どこからともなく、低い男の声がした。
碧はびくりと肩を震わせ、すぐに緋から手を放す。
背後の木箱が前触れもなく宙に浮いた。
自らの髪にも負けないほど顔を真っ青にする碧。
「今すぐここを立ち退け」
「い、いやしかし・・・」
「聞こえなかったか、消えろと言っているんだ」
3mほど浮き上がった木箱が地面に向かって叩きつけられるように垂直落下した。
木の破片がそこら中に飛び散る。
その一つが、碧の頬を浅く切った。
「申し訳ございませんでした、Boss。」
碧は銃を取り落とし、逃げるように走っていった。
静まりかえる路地。
緋は力なく壁にもたれかかって丸まった。
「・・・庚?」
震える声で、耳が拾った声を頼りに呟いた。
「よく分かりましたね」
緋の頭上から、今度はちゃんと聞き覚えのある声が降ってくる。
「いくら声真似が上手くても私の耳は誤魔化せないから」
「なるほど」
ひらりと黒い影が舞った。
緋の目の前に軽い音をたてて着地する庚。
「あんた物体浮遊の能力もあったの?」
「まさか」
路地の隅に落ちた破片の1つがキラリと光った。
「丈夫な釣り糸みたいな物を途中で拾ったんですよ」
それを釘に巻き付けたものを木箱に投げてさし、腕力で引っ張っていたのである。
庚はそう言うと緋のすぐ横に膝をついた。
「大丈夫でしたか?」
緋は何も言わずに更に小さくうずくまった。
「ねえ」
「何ですか」
「お前、誰なの?・・・私は、誰?」
庚はきょとんとした顔になった。
「誰って・・・庚ですけど」
「そういうのじゃなくて・・・えっと・・・」
頭を抱える手に力が入った。
「お前はいいよな、自分にはっきりと名前があって。」
「ありませんよ」
緋は僅かに顔を上げた。
「僕の今の名前も、リーダーから頂いたものです。メンバーの皆さんだってそうです」
空を見上げる庚。
ダークグリーンの瞳がガラス細工のように輝いた。
心臓がなぜかいつもと違うリズムを刻んでいるのを感じ、目を逸らす緋。
「さっきは何かすいませんでした」
庚は小さくため息をついた。
「反省してないだろそれ」
「何で僕が心から反省しなきゃいけないんですか」
「・・・性格ねじ曲がってんなあ・・・。」
目を細める緋。
「まず人を敵か味方かだけで分別するのやめたらどうだ?」
「どうせ僕は頭カッチカチですから、緋さんのように人類皆兄弟みたいな能天気・・・失礼、柔軟な考え方はできませんよ。」
緋はふん!と鼻をならした。
「・・・そもそも僕はそんなに器用に生きられないんですよ。」
緋は、庚の自分の手を見つめる目が哀しそうに歪んだことには気づかなかった。
「それと緋さん、」
ダークグリーンの瞳が緋を見据える。
「自分のことを隅々まで知っている人なんてそうそういないんですよ。ちょっと人より分からない事が多いからって焦る必要は全くないんです。」
少し目を見開く緋。
「・・・慰めてくれてんの?」
その言葉はあえて無視して続ける庚。
「僕にとっての緋さんは貴女しかいませんよ」
庚は若干目を細めたが、それが彼なりの笑顔だということに気付くには多少の時間を要した。
「自分以上に自分の事を想ってくれている人が居ることを、忘れないでくださいね。」
不意に目頭が熱くなった。
緋は庚に見えないようにそっと手の甲で涙を拭った。
「・・・簡単にそんなこと言うな馬鹿・・・。」
「・・・なんで罵られなきゃならないんですか」
庚は心外な、とでも言いたげな顔をする。
そして立ち上がってため息をついた。
その時僅かに庚の瞳が暗く光ったことは、座っていた緋からは見えなかった。
- Re: フリーバトラーズ ( No.23 )
- 日時: 2017/03/26 17:00
- 名前: MESHI (ID: /uXIwxRd)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「え?緋くん見つかったの?そりゃあ良かった!」
『で、僕は今から何処に行けばいいんですか』
「そうだね…まずね、Rくんと瑠璃くんが何処かにいるはずだから、まずその2人と合流してくれるかい?』
庚の返事を期待してしばらく笑顔で待ち続けていた少女は、その後携帯電話を耳から離したあとに〈通話終了〉の表示を見てがっくりと膝を地面につくのであった。
何も言わずに少女の肩に手を置く浅葱と鴇。
そうしていると、3人の上に影が近づいてきた。
「よお」
3人の間にできたスペースに着地したのは朱殷をかかえた蘇比であった。
「蘇比くん!!やあやあやあ、無事だったんだね!」
「さっき飛んでたら何かでかい物が一気に壊れたみたいなすげえ音してたけどあれ何だったんだ?」
はち切れんばかりの笑顔で両手を広げていた少女はそのすぐ横をすっと抜けられた。
「さあねぇ?」
「ソッヒー!」
蘇比の背中に飛びつく鴇。
「暴れるなこら!」
「〈最近友達が冷たいんです・・・どうすればいいのでしょうか。〉…。」
ボソボソと呟きながら『なんでも解決!お悩み相談室』というサイトを開いている少女。
「そんで、何か収獲はあったのか?」
地面に降ろされる朱殷。マネキンのように手足を投げ出して地面に座った。
「あったよ、ね!」
少女は、鴇の手が自分の肩に乗ってパッと顔を輝かせた。
「あのね!!」
その後、30分に渡る少女の話が続いた。
げっそりと地面に座り込む一同。
「途中の杏仁豆腐の下りどう考えてもいらねえだろ…」
「あとなんで怪談話調で話すの…?」
輝く笑顔のまま腰に手をあてている少女。
「まあ要約すると、本拠地が分かったから今から殴り込みにいくぞってことだろ?」
輝く笑顔のまま頭が吹き飛びそうな勢いで首を縦に振る少女。
「朱ちゃん!……寝てる~!よっぽど退屈だったんだね!」
鴇の無邪気な一言で少女の笑顔が凍り付いた。
「じゃあ早く案内しろって・・・」
蘇比が立ち上がって腕を回す。
「え~、まだ主戦力の庚くんと合流できてないんだよ」
そこで狙いすましたかのようなタイミングで少女の携帯が鳴った。
光の速さで携帯電話を耳に当てる。
「もしもしっ!!」
『…』
「あれ!?もしもし!?もーしーもーしー!!」
返事がないので通話口に向かって叫ぶ。
『聞こえてますからちょっと黙ってくれませんかね。』
あは、と冷や汗をかきながら笑う少女。
「返事はすぐする!これ常識だよ!」
『むしろ反射的に電話を切らなかったことを褒めてほしいくらいですよ』
少女の後ろで神妙な顔つきで頷く蘇比と浅葱。
鴇に至っては「えらい!」と言いながら拍手をしている。
少女はゴホン、と咳払いをして誤魔化した。
「Rくんと瑠璃くんとは合流できたかい?」
『なんとかできました』
少女はパチンと指を鳴らした。
「それじゃあ今すぐわたしのところまで来てくれるかい?」
『了解』
ライラック色の瞳がキラリと光る。
「それじゃあ、最後の仕上げといこうじゃないか!」
それはまるで「遠足に行こう!」というような口調であった。
作者コメ:えー…前に「更新スピードが落ちると思います(笑)」みたいなことを書いたと思うのですが、それもなんだか気持ち悪い(?)ので、第1話が終わるまで今までの更新スピードでいこうと思います。
そう、恐ろしいことに第1話終わってないんです。
第1話だけで2ページも使ってしまっています。
しかも今の時点でまだ3分の2くらいなのです。
大丈夫でしょうか、衝撃で椅子から落ちた方、ちゃんとシートベルトを着けてくださいね。
さてさて、春休みをいただいて、ちょっとばかり暇になったMESHIですが、新しいノートパソコンを買いました。
例のごとく説明書より先に本体を開いたのですが、さすがに厳しかったので説明書を熟読しようとしました。
…コーヒーこぼした…。
奇跡的に、ノートパソコンさんは動作しましたが、部屋にある家電から『おい新入りィ~。ここではそんなこと日常茶飯事だからまあ自分の命は自分で守りなァ。』とハードボイルドな声が聞こえてきそうでした。
ごめんね、ノートパソコンさん…。
そのノートパソコンさんの練習も兼ねてこの回を書いた次第であります。
それではまた今度お会いしましょう!