コメディ・ライト小説(新)

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フリーバトラーズ
日時: 2018/01/04 16:00
名前: MESHI (ID: sA8n45UA)

はじめましてー!

MESHI…読み方はそのまま「メシ」です、はい。

でも、そこまでご飯が好きということでも、塩にぎりさえあれば生きていけらァ!!というわけでもありません。1日3食きちんとバランスよく食べます(何の話だ)。

最近、縄跳びをはじめました。後ろとびをしていると、目に縄がバチィ!と直撃し、もう二度と縄跳びはしないと心に誓いました。開始5分のことです。

黙っていると完全に忘れ去られる圧倒的存在感のなさのMESHIがお送りします。

所々文がおかしくなったりすることがあるかもしれませんが、そこのところは生暖かい目で見守ってやってください。(MESHIは存在感が薄い故、メンタルは強いです。いくら存在を忘れられてもへこたれません。ステンレス製の心。)


この小説はオリジナルです。
そしてコメディ・異能力モノです。
たまーに作者の生活記録があります。

1話1話がちょっと長いですが、比較的サラッと読めるかなあ…と思います。

よろしくお願いします!








≪コメントありがとうございました!≫
四季さん


【追伸】

作家プロフィール作りました。書いてある小説の上の方にある「参照」から飛べます。









第1章:『ようこそ、フリーバトラーズへ!』>>1
第2章:>>30

Re: フリーバトラーズ ( No.14 )
日時: 2017/01/29 17:32
名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11655



「何だこれ・・・」

Rが呟く。

「どうしたんだい?」

「この乗り物、ガス袋の部分が存在していない・・・」

乗り物の天井・・・青い空を見上げてポカンと口を開けている。

背中に背負っているのは日本刀。頭に柄の部分が当たって痛そうな音を立てた。

「いてっ」

「何で分かるの?」

アケが後ろから尋ねた。7人は道路をゾロゾロと歩いている。

「えーそれ今説明しなきゃダメー?」

面倒くさそうに頭の後ろで手を組むR。さりげなくぶつけた後頭部をさすった。

「別にいいよ・・・べっつに。」

「まあ、簡単に言うと目の能力的な?」

コンコンと穴の開いていない面を指で叩いた。

「透視と、遠視。バードウォッチングとかに便利だぜ」

「バードウォッチングなんてしたことないですよね」

「そこは突っ込まないでくれカノエ・・・。」

浅葱アサギの後ろを歩いていた緋が、目の前に揺れる大きなバッグをつついた。

「何入ってるんだこれ?」

コツコツと硬そうな音がする。

「あ~触んないでよ~」

浅葱は大事そうにバッグを抱えた。



そんなことを言い合いながらしばらく歩いていると、トキが音を上げた。

「ねーーーーーーまだぁ?ちょっと休憩しようよーーーーーーーーーー!!」

Rの長いマフラーを引っ張って猛抗議している。

首を絞められる形になったRは声にならない声を発しながら鴇の頭を押さえた。

「殺す気かお前!!」

「うひぇえ」

髪を掻きまわされた鴇は瑠璃の後ろに避難する。

「登山中の家族かよ・・・」

ため息をつく瑠璃ルリ

「ほら離れろ、というかそんなに大声出したら侵入したことバレる・・・」


瑠璃が鴇を引き剥がそうとした瞬間、狙いすましたかのようなタイミングでけたたましい警告ベルがなった。


赤い光があたりを満たす。


「うわあああ、なんかなんかなんか大変だああ」

オロオロとあたりを見回す少女。

「え?どうする?とりあえずチャーハン食べる?!」

「とりあえず落ち着いてください。」

少女がどこからか持ってきた中華鍋を取り上げる庚。

「その中華鍋ほんとどこから持ってきたの?」

浅葱が不審な目を向ける。

その隣で庚は中華鍋を丸め、棒状にしてしまった。


7人はいつの間にか黒服の男達に囲まれていた。

「まあこんな怪しげな7人絶対すぐ見つかりますよね。」

「久々に暴れるかー」

Rが肩を回しながら言う。

「めんどくさー・・・」

小銃を取り出して弾の確認をする瑠璃。

「浅葱さん、そこの小さい人達をお願いしますね。」

庚は少女と鴇と緋を指さす。

苦虫を噛み潰したような顔になる鴇と緋。

「3人は厳しいって。そこの新入りの小さい人宜しく頼むよ。」

「えー」

「何だその嫌そうな顔は!」

頭に手刀をお見舞いされた。

「なんでそこの2人じゃダメなのさ」

瑠璃とRを指さす緋。

「俺は自分ひとりで精一杯だから人を守るなんて無理だし。」

「隣でちょこちょこついてこられると首が飛ぶぞ?」

無言で庚の方へ後ずさりした。

「本来は蘇比ソヒの担当なんだけどなあー」

浅葱が肩に背負っていた大きなバッグを開けた。

中に入っていたのはマシンガン。赤い光に照らされて鈍く光っている。

「ごついーこわいー」

鴇が少女の後ろに隠れた。

「怖がるんじゃないよ、これはあくまでも威嚇用だから。」

浅葱がマシンガンを手に持ち、空になったバッグを鴇に投げた。

Rは背負っていた日本刀を抜く。長さ70㎝を超える立派な日本刀。

瑠璃は小銃を両手に持って構え、ふう、と息を吐いた。

「ここの人々何者だよ・・・」

そういう緋は折り曲げた中華鍋をどう処理するか悩んでいる庚の背後に隠れている。

少女と鴇は手をつないで浅葱の隣に立つ。

「合図と同時にスタート、10分後に連絡。OK?」

少女が7人にだけ聞こえる大きさの声で呼びかけた。

静かに頷く一同。

浅葱が眼鏡をはずし、胸ポケットに差し込んだ。

「3・・・2・・・1・・・GO!!」








作者コメ:えーと・・・今回は短めにしたつもりです。え?短くなってない?そこは生暖かい笑顔で何事もなかったように画面右上のバツマークを押すんですよ!(小声)

次回、いよいよ戦闘開始です。はっきり言います、めっちゃ不安です。

時々何やってるのかわからないような描写になってしまうかもしれませんが、是非想像力で補ってください。

それではまた来週!じゃんけんぽん!!(パー)  うふふふふふ!

(何がしたいんだ)

Re: フリーバトラーズ ( No.15 )
日時: 2017/02/05 14:43
名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)


「なんかお兄さんかわいそうだねー」

「慰めなんざいらん」

翡翠ヒスイはそっとカメラを仕舞った。

「笑ってなかったのあの中国服着た中分けのお兄さんだけだったじゃん。・・・よかったね、1人は心配してくれて。」

蘇比ソヒは深くため息をついた。手を縛っている縄がギシギシと音を立てる。

「あいつの笑ってるところなんて見たことねえよ・・・あの中で一番性格が悪いのはあいつだ。」

「・・・なんかかわいそうだね。」

「それ3回目。」


突然、けたたましいベルが鳴った。

座ったまま3cmほど飛び上がる2人。

「何だよこれ?!」

窓から赤い光がさしている。


翡翠が窓際に駆け寄った。

「侵入者じゃない?よかったね、お兄さんのお仲間が助けにきてくれたみたいだよ。」

そして身を乗り出し、一番近いスピーカーを撃って黙らせた。

しかし遠くでまだベルは鳴っている。

「どうだかねえ・・・いきなり見つかってるみたいだし。」

蘇比が呟くと、入口のドアが勢いよく開かれた。

「翡翠!いるか?」

大股で入ってきたのはアオイ

「誰ですかーーー」

蘇比の素朴な質問は見事に無視された。

「いるよ。どうしたの碧さん。」

「侵入者だ」

「うん、分かるよ。」

「なかなか手こずってるんだよ。ちっ、使えない奴らめ・・・応援に行け!」

翡翠の背中を叩いた。

しぶしぶ入り口のドアに手をかける翡翠。

「はいはい・・・そいつ見張っててよ・・・」

「早く行かんか!!」

「はいはいーーーーっとぉ」

足取りが重いのか軽いのか分からない妙なスキップで出ていく翡翠。

碧はその背中を見てまた舌打ちをした。

「誰ですかーーー」

蘇比の素朴な質問はまたもや華麗に無視された。

窓にもたれかかって外の様子を眺める碧。

しばらくそうしていると、コツコツとヒールの音を立てて蘇比の背後へ歩みよった。

「だから誰だって・・・は?」

碧が蘇比の腕を縛っていた縄をほどいた。

「おい、見張ってろって言われてたじゃねえかあんた」

手首を回して自分の手の安全を確認する蘇比。

碧は人差し指を口に当てて蘇比を黙らせた。

「静かに・・・。」

その声は、今までの碧の声よりもか細い鈴のような声。

「もしかして朱殷シュアンか?」

碧・・・碧に変装した朱殷は着ていた服を引っ張った。服の下から現れたのは体全体を覆う包帯。

隙間から墨のように黒い髪が流れている。

「話は移動しながら・・・」

窓の鍵を開けて外の様子をうかがう朱殷。蘇比は足首を縛っていた縄をほどき、床に投げ捨てた。

「向こうの方にみんないる」

包帯の隙間から出てきた細い指が右の方を指した。

「了解!」



  ◇  ◇  ◇



「3・・・2・・・1・・・GO!」

少女の声と共に、弾かれたように飛び出していく7人。

浅葱のマシンガンの弾丸は黒服の群衆の中心に突破口を作る。

「こっち!」

少女は鴇の手を引っ張って浅葱の背後にぴたりとくっついた。

一方の庚は合図と共に緋の手首を掴んで高く跳躍した。

「ひぇぇぇ?!」

情けない声を上げる緋。

「・・・もしかして高所恐怖症とかないですよね?」

涙目になりながらブンブンと音がなりそうなほど首を縦に振る緋を横目に見ながら処理に困っていた中華鍋を正面に立っていた黒服の男の銃口に向かって投げた。

「まあ・・・・・・」

刃物のように銃口に突き刺さる中華鍋。

庚はそのまま口をつぐんだ。

「えぇ?!まさかの解決法なしなのかよ?!」

派手な音を立てて着地してそのままの勢いで群衆に突っ込んでいく。

「あああ!浅葱さんの方がよかったあああ!!」

引きずられるようにして走りながら叫ぶ緋。

右側の敵には右手の手刀、正面の敵には蹴り、左側の敵の顔には回し蹴りが繰り出され、緋の悲痛な叫びは無視したまま次々に進んでいく庚。

「文句言わないでくださいよ、死ぬよりましです・・・」

そう言うと、庚は緋の手首を握っていた手を大きく振りかぶった。

「はっ?!」

「肩外れたらすいません!」

次の瞬間、緋は空中をボールの如く飛んでいた。

「後で絶対殺すーーーー!!!」



「何やってんだ庚は・・・」

なぜか空中を舞っている緋を呆然と眺めながら刀を構えるR。

その隙に殴りかかろうとしてきた黒服の男は拳を振り上げる前に地面に倒れた。

刀に括りつけられた小さな鈴がRが動く度鳴る。

「ぼーっとしないでよRさんー」

そう言っている瑠璃に向かって銃弾が飛ぶ。

「こっちも手伝ってよ。」

右手に持った小銃の引き金を引く。

放たれた銃弾は、敵からの銃弾を弾いて地面にめり込んだ。

「向こうの方までよろしく」

恐れをなして後ずさりをしている群衆の溝を指さす。

「自分でやれよ・・・」

「俺非力だからさあー」

瑠璃はわざとらしく腕を胸の前で交差させた。

ため息をする声と鈴の音が瑠璃の前を通りすぎた。



  ◇  ◇  ◇



「潜入中に聞いた話。メンバーの誰かを攫って敵を自分たちの領域におびき出す・・・そして皆殺し。」

蘇比に抱えられて移動している朱殷。

「まんまと引っ掛かってるじゃねえか!!」

全速力で走っている蘇比。周りの景色が止まっているように見える。

「それくらい少女リーダーは把握しているはず・・・だからメンバーは武器を持ってきた・・・つまりここを破壊してまででも生きて帰る・・・。」








Re: フリーバトラーズ ( No.16 )
日時: 2017/02/12 16:59
名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11655


「ふう・・・さあて、乱闘現場はどこかなあ~?」

頭の後ろで手を組んで口笛を吹く翡翠ヒスイ

「こら翡翠!こんなところで何をしている!」

「げ。アオイさん?!」

曲がり角から飛び出してきたのは左手に銃を持った碧。眉間に深い皺が寄っている。

「あれ?さっきお兄さん見張っててって言ったよね?」

「何の話だ」

碧の黄色い目が殺気のこもった光を発する。

「ふうん・・・こりゃやられたね」

翡翠はニヤリと笑った。



  

  ◇  ◇  ◇





カノエは小さく舌打ちをした。

「キリがない・・・」

襲いかかってくる黒服の男たちの顔面に容赦なく蹴りを入れる。

一方で空中を舞っているアケはバタバタと一人で暴れながら庚に罵詈雑言を大声で浴びせている。

しかしそこは無重力ではないので緋は緩やかな弧を描きながらそびえたつビルの壁に向かって突進していっている状態である。

「ちょ、おい!!おおおおい?!」

迫りくる壁に成す術もなくただただ目をぎゅっと瞑った。

その様子をチラリと見上げ、正面から突っ込んでくる黒服の腹部に拳をめり込ませる庚。

大きなため息をついて地面を強く蹴った。足から青白い雷が散る。

「世話の焼ける・・・っ」

緋が衝突する寸前の建物の壁まで跳ぶと、方向転換をしてその壁を蹴る。

「ひぃぃぃっ・・・うごっ」

「あ、すいません」

抱きとめられた衝撃で緋の首が一瞬90度に曲がった。

そのまま緋の膝の裏と肩に手を入れて地面に向かって落下する庚。ちょっとしたバンジージャンプよりずっと過激である。

「あああああ!一番残酷なやり方で殺すぞ手前てめぇ?!」

「何ですか、せっかく壁と正面衝突して肉片になるところから救って差し上げたと言うのに。」

庚の息は全く乱れていない。やれやれ、とため息までついた。

「もうちょっとあるだろう!?そもそも私を投げるな!」

緋がそう叫んだ瞬間、着地による第2の衝撃が緋の首を襲った。

アスファルトと思しき地面に派手なヒビが入る。

首をさする間もなく地面に降ろされてまた引きずられるように走る緋。

目で追えないほどのスピードで庚の拳と蹴りが黒服の男達を襲う。

今まで黒服の集団で満たされていた広場での視界は、大分開けてきていた。




  ◇  ◇  ◇





「向こうに逃げたぞ!」

「追え!」

数人の足音を背後に聞きながら手榴弾のピンを抜く。

「とりゃっ」

トキの小さな手から放たれたそれによって、細い路地が目に刺さるような光に満たされる。

そして煙で視界が完全にさえぎられた。

混乱する声。

「こっち!」

浅葱アサギが少女の手を引く。同時に少女は煙にむかって舌を出して笑っている鴇の腕をつかんだ。

鴇はいくつかの手榴弾を持ち歩いている。

しかしその大半は殺傷能力がないものである。

「ねえーなんか行くとこ全部予測されてることない?」

「じーぴーえす でもついてるのかなあー」

ぶちぶちと不満を漏らす少女と鴇。

「違うよ鴇くん。それを言うなら じーぴーえぬ だよ。」

「いや、GPSであってる」

胸を張る少女にすかさず突っ込みを入れた。

曲がりくねった路地を何回も曲がって敵をまこうとするが、なかなかうまくいかない。

「くそ・・・っ」

銃弾の残りも少ない。

浅葱は次の手を考えながら角を右に曲がった。

「止まれ」

走る3人の足を、女性の落ち着いた声が止めた。

体のラインにぴったりと沿ったグレーのスーツと、風になびくウェーブのかかった青い髪。

碧である。

浅葱はハイヒールの音を立てながら近づいてくる碧を睨みながら鴇を自分の背に隠した。

碧の手には銀色に光る銃が握られている。

後ろを振り返るが、行き止まり。浅葱は唇を噛んだ。

「残念。さて、誰が一番に撃たれたい?私が上手にここを狙ってやろう。」

碧は自分の眉間を指さした。

勝ち誇った笑みを浮かべている。

「はーい!はいはいはーい!わたしを撃ってみてよ!!」

「おい・・・!」

少女がぴょんぴょん跳ねながら手をあげる。

慌てる浅葱に、少女は碧に見えないようにウィンクをした。

黙り込む浅葱。

「ほう・・・?良いのだな?」

碧の腕が上がり、銃口が少女に向く。


_________一際大きな銃声があたり一帯に鳴り響いた。





  ◇  ◇  ◇




「おい!さっき銃声聞こえなかったか?結構近いぞ」

Rの刀についた鈴が鳴る。

「うん、聞こえたよ。でも敵が威嚇程度に撃っただけじゃない?」

そう言って右手に持った銃の引き金を引く瑠璃ルリ。銃弾は路地の角で銃を構えて2人を狙っていた黒服の太ももを打ち抜いた。

声を上げて倒れこむ黒服の男。

「そうだといいんだがな・・・っ」

刀を振り下ろすR。飛んできた銃弾が真っ二つに割れて音を立てて地面に落ちた。

「・・・1発分しか聞こえないね」

「そうだな・・・誰か撃たれたか?」

敵をあしらいながら顔を見合わせる2人。

「Rさん後ろ!」

はっと瑠璃の目が見開かれる。弾かれたように振り返るR。

すぐ後ろに、警棒を大きく振りかぶっている男が立っていた。

反射的に刀を横に持って攻撃を防ごうとする。

しかしその警棒は刀とぶつかることはなかった。それどころか、一向に男の腕が動く気配はない。

「どんくせえなあR。その変な面のせいで周りが見えてねえんじゃねえの?」

「なんだ蘇比ソヒか・・・。」

降ってきた声の方を見上げるR。

蘇比は瑠璃に襲いかかろうとしていた男の頭を踏むように着地した。

「生きてたのかお前。」

「あ、おかえりー。」

「あっさりしすぎだろお前ら!」

警棒には、長い白い布____包帯が巻き付いていた。上空から投げ縄の要領で警棒をとらえたのだ。

「おう、朱殷シュアン!」

「無事だったんだ、良かったよ。」

無言で警棒に巻き付いた包帯を引っ張る朱殷。

それは男の手からするりと抜け、鞭のようにしなりながら朱殷の手に収まった。

「扱いの差激しすぎるだろうが・・・。」

頭を抱える蘇比。

「相変わらずその都合のいい包帯らしき物、便利だねー。」

瑠璃が蘇比と朱殷の方へ近づく。

Rも刀を振って敵を遠ざけながら3人のもとへ駆け寄った。

「そんなことより、メンバーの誰かから連絡あった奴いるか?」

蘇比の声に首を縦に振る者はいなかった。

「そうか・・・。」

「あ、蘇比さん。さっきの銃声聞いた?」

瑠璃が話している間にも、朱殷の包帯が飛んできた銃弾を弾く。

「聞いたぜ。あれお前のじゃなかったのか?」

「うん」

眼鏡を親指で押し上げて頷いた。

眉間に皺をよせる蘇比。

「探してみる」

Rにも目配せをして地面をけった。

「頼むわー」

跳んで行く蘇比にのんきに刀を持っている手を振るR。

ふう、と一息ついた瑠璃は戦闘を再開した。

するとRの背後から包帯が蘇比に向かって勢いよく伸びていく。足に巻き付く包帯。朱殷はそれを縮めながら地面を蹴った。

そして布の擦れる音を立てながら蘇比の方へのぼっていった。

「スパイダーマンかあいつは・・・。」

Rはそれを見上げて苦笑した。









作者コメ:どうも、MESHIです。不定期開催(?)の作者コメコーナー。読み飛ばしOKです。本編に何ら影響ありません。ほとんど作者の生活記録です。

この前、家でちょっとした異臭騒ぎがありました。

友達が家に泊まりに来るというとこで、掃除をしました。・・・鉛筆削り器を落として削りかすが床一面に綺麗に敷き詰められたこと以外は順調に進んだ、と思われていたのです。

あれは、丁度キッチンの掃除に取り掛かった頃のことでした____

どこからか、何かしらが腐った匂いがしてきたのです。

棚にしまい込んだまま約3週間放置していた食べかけのクッキー、食べようと思って冷蔵庫から出して結局食べなかった炊飯器の横の納豆、心当たりのあるものはすべて確認しましたが、それらはそれ相応の匂いしかしませんでした。

一体何なんだ?!

そう困っていたら、予定よりも友達が早く家に到着し、結局結論には至りませんでした。

「のど乾いたーお茶頂戴」

友達は家にあがった途端、私の家の冷蔵庫を腕全体をフルに使って開け放ちました。

・・・その瞬間、地獄のような異臭があたり一帯に広がりました。

そう、原因は冷蔵庫に入れていた冷凍サンマだったのです。なんで冷凍していなかったんだ。

まさか、安全圏に思えた冷蔵庫からの異臭だったなんて・・・。

私はショックで2週間寝込みました(大嘘)。


食べ物を腐らせるともったいないですし、異臭を放つし処理に困るし、色々大変なので食品の保存には気を付けましょう。




・・・本編もどうでもいいコメントも長くなってしまいました。すいません(笑)

それでは次回お会いしましょう。

Re: フリーバトラーズ ( No.17 )
日時: 2017/02/18 17:56
名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11655


「乗る時は事前に言えっていつも言ってるじゃねえか・・・」

いきなり包帯に足を引っ張られて予定より低い高度を跳んでいる蘇比。

「・・・」

抱えられている朱殷は黙って黒髪を風になびかせているだけである。

蘇比はため息をついた。

着地しては地面を蹴り、空中を移動する。

「向こう・・・」

目の前に細い指が現れた。人差し指は10時の方向を向いている。

「銃声の聞こえた方か?」

蘇比が朱殷の方に目を向けると、静かに頷くのが見えた。





  ◇  ◇  ◇





庚と緋は走っているうちに、廃屋のようなところにたどり着いた。

ぜえぜえと息を切らしている緋に対して、庚は涼しい顔で下を見下ろす。

「もうちょっと・・・ゆっくり・・・走れねえの・・・?」

「死にたいのなら一緒に銃弾が飛び交う中楽しいピクニックでもなんでもしますよ。サンドウィッチの具は卵でいいですか?」

「お前は・・・皮肉混じりにしか・・・ものが言えないのかよ・・・。」

上を見ると、雲の浮かんだ青い空が見える。

「飛行船のはずなのにガス袋がなかったり、建物や道路や空が見える・・・どうなっているんでしょうね。」

「もはや飛行船じゃないな」

「何かしらの能力で作り出したのだとすれば説明がつきますけどね。」

庚も腕を組みながら空を見上げる。

生暖かい風が2人の間を通り過ぎた。

「外は夜のはずなんですけどね・・・。」

庚は休憩がてらごろりと仰向けに寝転んだ。

こんな状況で寝転ぶ余裕はどこから出てくるのだろうか、とあきれたようにため息をつく緋。

しかし、そうのんびりとしている暇はなかった。

いきなり緋がびくりと震えてキョロキョロと周りを見わたし始めた。

「どうしたんですか?」

その言葉を無視してフェンスに張りつきながら下を見下ろす緋。

「なんか・・・聞き覚えのある声がした」

「メンバーの誰かではなく?」

庚もなんとなく廃墟の下に伸びる道路を見下ろした。

「違う、誰だっけ・・・女の人の声・・・。」

再び、緋の耳に同じ声が届いた。

庚には心当たりがあった。聞きおぼえのある、でも声の主が分からない。

おそらく、緋が楓花として活動していたころの組織の誰かだろう。

催眠が解けて、いくつか組織に関する情報が記憶から飛んでいるのだ。

「向こうの方!」

フェンスにこびりついた錆が手につくのも構わず、身を乗り出して前方を指さす緋。

「落ちますよ」

興奮している緋をなだめるように言うが、それも無視して無我夢中に聞き耳を立てる。

「なんか言ってる・・・『誰が・・・撃たれ・・・』」

庚がハッとして身を起こした。

「他の声は聞こえますか?」

「あの・・・リーダー?の声が聞こえる。」

それを聞いて庚は一気に興味を失ったように息を吐いた。

「それならまあ大丈夫ですね。」

再びごろんと寝転がった。

身を乗り出して前方を見据える緋。

「なんかヤバそうな感じだけど?」

後ろの庚を振り返って尋ねるが、ひらひらと手を振りながら足を組んで欠伸をしているだけだった。

聞き耳を立て続ける緋。

「全然大丈夫じゃないっぽいぞ?なんか『わたしを撃ってよ』とか意味の分からないこと言い出してるぞ!?」

「頭がおかしいのはもとからなので安心してください。」

手を後頭部の後ろで組んで目を閉じて本格的に寝ようとしている庚。

「なんかお前らのグループ、メンバーへの関心低すぎないか?」

「自分の身は自分で守る、基本中の基本ですよ。どうしても必要な時にだけ助けを呼べばいいんです。」

体内の空気が無くなるのではないかというほど長く息を吐いた。

目を閉じた庚は、緋の足音が近づいてくるのを察知して片目を薄く開いた。

仁王立ちをした緋が真上から庚の顔をのぞき込んでいる。

「・・・なんですか。」

「行こう」

「どこへ?」

「助けに行くんだよ!」

庚は再び目を閉じた。

貴女あなたはなぜほとんど初対面の人にそこまで尽くそうと思えるんです?」

しばらくの沈黙の後、庚は頭の下に敷いていた手を無理矢理掴まれ、身を起こさざるを得なくなった。

「逆に聞くけど、なんで初対面だから助けちゃ駄目なんだよ」

「助けるのになんて理由は要らない的なことですか?」

緋は庚を真っすぐ見据えながら頷いた。

「僕達が敵でも?」

「お前は・・・私を敵だと思ってたのか?」

何言ってるんだというように頷く庚を見て、緋は力なくつかんでいた手を放した。

「敵だと思っていたのなら、なぜ私を守っていたんだ。すぐに殺せばよかったじゃないか」

「リーダーの命令があったからですよ。・・・あと、死ぬ勇気もないのに殺せだなんて言ったら駄目ですよ。」

緋は俯いて庚に背を向けた。

「なんでそんな冷たいこと言えるんだよ・・・。」

「事実ですからね。守りもの全てを守ろうなんて馬鹿な真似はできるわけがないんです。必ず代償が必要ですから。」

「それなら簡単なことだ・・・」

下へ繋がる階段の錆びた手すりに手をかける緋。

「自分の命を代償にすればいい」

そう言う緋の手は震えていた。

「私はどっかの頭カッチカチの冷徹男とは違うからな!」

大声でそう吐き捨てた後、緋の姿は消えた。

残された庚は静かに横になった。

何も考えてなさそうにただただ風に流されている雲を見上げて目を細める。

「・・・・・・。」






  ◇  ◇  ◇






瑠璃は、どこかも分からないところを走りまわっていた。

「もー、Rさんおいていかないでよー」

走り出してからすぐ、Rを見失ったのである。

追ってくる敵は随分少なくなり、さっき肩を打ち抜いた黒服が追ってきた集団の最後の1人だった。

「ここどこだよー・・・」

「飛行船の北西部。君たちが見つかったところから585m離れたところだよ。」

いきなり、上から少年の声と共に銃弾が降ってきた。










作者コメ:すいません・・・ズルズル引きずってて・・・・・・。反省しております。

Re: フリーバトラーズ ( No.18 )
日時: 2017/02/26 17:05
名前: MESHI (ID: 7aCRDkL4)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11655


約440m/sで進む弾丸は、瑠璃ルリの肩を撃ち抜く予定だった。

しかしそれはあくまで道に迷う瑠璃を高みの見物をしていた翡翠ヒスイの憶測である。

「あっぶなー」

眼下の瑠璃は無傷。

翡翠にとって不幸だったことは、瑠璃が道端に転がっていた鉄パイプに気が付いたことである。

瑠璃の上半身を隠すように、曲がった鉄パイプが何本も絡まっていた。

それらはミシミシと音をたてて小刻みに動いている。

「なっ・・・」

鉄パイプは盾の役目を果たし、1つの弾丸が深く食い込んでいた。

「もうちょっとこう・・・綺麗なドーム型にしたかったな・・・」

腕で何かを上から押し潰すような動作をする瑠璃。

それと同時に、突き出ていた数本のパイプが粘土細工のように曲がった。

「物体操作・・・!?」




瑠璃の能力は視線に入る金属を操ることができる。

金・銀・銅・アルミニウム・鉄など、対象は多岐にわたる。

対象の金属の含まれる量が多ければ多いほど消費する体力は少ない。

弾丸もその対象外ではないが、スピードが速いので操りにくいのだ。





「不意打ちはやめてよねー」

瑠璃が腕を下すと鉄パイプの塊は派手な音をたてて地面に叩きつけられた。

あっけにとられている翡翠に右手の銃を向ける。

「俺は今から仲間っぽい何かを助けに行かなといけないのー。だから俺が向こうに行ってる間に背中狙うのナシだよー、カッコ悪いよー。」

そう言われた翡翠は陽気なアメリカ人のように肩をすくめた。

「返事が聞こえないなー」

特に標的を狙う素振りも見せず引き金を引く瑠璃。

適当に放たれたと思われた弾丸は、翡翠の目の前の柵に当たった。

煙をあげる柵を見てヒュウ、と茶化すように口笛を吹く。

「お見事・・・はいはい、今銃撃戦をしても君には勝てないだろうからね。」

瑠璃に見えるようにバラバラと銃の中の弾丸を地面に落とした。

「お前、なんか俺を年下みたいに扱ってるけど多分同い年くらいだからな?」

「へえ、それは知らなかったなあ。」

ジトッとした目で翡翠を睨む瑠璃。

「もしかして、君が瑠璃ちゃ・・・くんかな?」

「ちゃん って呼ぼうとしたかさっき?脳天ぶち抜くぞ?」

再び銃を構える瑠璃。翡翠は物騒だなあ、と呟きながら軽く両手を挙げた。

「さっきまで捕まえてたお兄さんに聞いたよ、すごいらしいね、君。」

「あーそー。もう行っていいかなー。」

「興味なくすの早いなあ・・・。」

瑠璃は返事も聞かずに歩きだした。

それを見下ろす翡翠は試しに銃を遠ざかってゆく瑠璃の背中に向けてみる。

「はいーーー!!撃とうとしたーーー!カッコわるうううううう!!!!!!!!!」

待ってましたというように露骨に煽られた。

「うるさいなあ、銃弾は抜いてるよ」

銃を振ってアピールしたが瑠璃はもう向こうをむいて歩いているところだった。







  ◇  ◇  ◇






放たれた銃弾は、確かに少女の眉間を貫いたはずだ。

道路に飛び散った赤黒い液体が何よりの証拠である。

なのに、なぜ____

「ふぉっ!本当にここにキたよー!!」

目の前に完全に場違いなテンションの標的が立っているのだろうか。

「再生現場はいつ見てもグロいわ・・・」

口を押さえる浅葱アサギトキは既に涙目になっている。

「情報もありがとう!ついでに君のとこのアジト荒らして帰るね!」

ライラック色の瞳がキラリと光った。

アオイは言葉を発することもできなかった。

ものの10秒の間に目の前で起こった事は、碧の情報処理能力をはるかに超えている。

「せめて自動モザイク処理機能付きにしてくんねえかな、その能力・・・食欲完全に失せるわ・・・。」

「鴇、もう3日くらいお肉食べれない・・・。」

「し、しょうがないじゃないか・・・。」

謎の罪悪感に見舞われる少女。

「じゃあ!ぐっどらっくだよ!」

碧に向かって血みどろになった白金の髪を揺らしながら親指をたてた。

「・・・・・・!?」

酸欠の金魚のように口をパクパクさせることしかできない碧。

「さあ、行こう行こう~。昔緋くんがいた本拠地アジトはこちら~。」







  ◇  ◇  ◇






目の前でその光景を見た碧よりも衝撃を受けていた人物が1人、物陰に身を潜めていた。

「・・・・!?・・・・・・・・・・・・・・・・!?」

アケである。

大口を叩いて飛び出してきたにも関わらず、道を覚えていなかったので半分迷子になりかけて泣きそうになっていた。

そうしていると、銃声が聞こえた。

すぐにそこに行くと、少女が頭から血を流して倒れるところだった。


そして今に至る。

地面に仰向けに倒れた少女がゆっくりと起き上がる映像が頭の中で何回も何回もリピート再生されている。

この世のものではない。緋の脳内で『化物』の2文字がグルグルと回っていた。

目まいがする。

緋は近くの物にもたれかかろうとした。

____壁に立てかけてあった木材が大きな音をたてて倒れた。

緋は座ったまま10㎝ほど飛び上がる。

反響する音を聞きながら息を潜めて震えた。

「・・・そこに、誰かいるのか・・・・・?」

やっと声を発することができた碧。

緋は、その声を聴いて動きが止まった。

さっき、聞いた声。

ヒールの音が近づいてくる。

楓花フウカ・・・・・・・?」

声の主は逆光でよく見えない。

でも、この声は______

「碧、さん」

自分の意志とは関係なく、勝手に知らない人の名が飛び出してきた。









  ◇  ◇  ◇








カノエの大きなため息は広い空に吸い込まれていった。

さっきから、緋の声が何回もこだましている。

音もたてずに起き上がると、固めた拳を見る。軽く頭痛がした。

パリパリと小さな雷が散る。

肩ほどの高さに腕を上げ、すぐに振り下ろす。本人にとってはスローのつもりだが、カメラに撮るとスーパースローでもよく分からない。

コンクリートで固められていた廃墟に、蜘蛛の巣状にヒビが入った。

爆発がおきたかのような轟音を立てて崩れていく。

「そんなに簡単に言うことじゃない・・・」

落ちてゆくコンクリートの塊を蹴りで跳ね返しながら呟いた。

「自分を犠牲にする覚悟があったのなら、僕はここにはいないんですよ・・・。」

誰にも聞こえない庚の声。自分自身に言い聞かせているだけだ。

「何も救えやしなかった」

上から降ってきた身長を優に超える破片が、手のひらを頭上に突き出すだけで真っ二つに割れた。

「僕は、弱いから・・・。」

ダークグリーンの瞳には、何も映っていなかった。



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