コメディ・ライト小説(新)
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- 黒猫と女剣士
- 日時: 2017/08/10 20:16
- 名前: 幼音アリア (ID: a0p/ia.h)
コツ、コツ、コツ・・・・・
おや?お客様ですか、珍しい・・・こんな森の奥の図書館に入るなんて、
相当の変わり者とお見受けしました・・・・・
いえいえ、悪い意味で言ったのではございません、そうだ、変わり者の
お客様にぴったりの「変わり者が出てくるお話」をご紹介します・・・
と、その前に・・・
お客様は、昔からある「言い伝え」をいくつご存知ですか・・・?
夜には口笛を吹いてはいけない、や、黒猫に横切られると不幸になる、
等の言い伝えは有名です・・・・・
今回ご紹介するお話は、今話した言い伝えの後者に関係のある
お話でございます・・・・・
では、どうぞごゆっくり・・・・・
- Re: 黒猫と女剣士 ( No.34 )
- 日時: 2018/06/22 18:50
- 名前: 幼音アリア (ID: QxkFlg5H)
朝食から数時間が経ち、私は例の魔方陣を調べに出かけることにした・・・・・
行く時、ルーが一緒に行きたそうな表情で訴えているのを見て私は負け、一緒に外へ行くことに
なった、子供には勝てない・・・・・
「私から離れたりしたら駄目だぞ?わかったか?」
「わかった!」
・・・にしても、本当にルーの手は小さい、冗談抜きで力を入れたら潰れてしまいそうなほどに・・・
こんな子が今まで、天敵が溢れる世界の一角で毎日怯えながら生きていたことを考えるだけで、言葉に
表せないほどに胸が痛くなる・・・・・
私がこの子のことを理解しただけで、この子の心の傷が消えないことぐらいはわかっている、でも誰かが
理解しなければ、もっと悲惨なことになる・・・・・
私やラシアが理解者になった、数多くいる人間の中でこの子の理解者はたったの二人だけ・・・・・
小さな変化だとしても、この灯火を消してしまうようなことがあっては絶対にならない・・・・・
以前のように振り出しに戻ってしまっては、この子の未来への歩みに「次」があるかどうかは、
わからないのだから・・・・・
「・・・これか」
《・・・まだ魔法は発動していないようだ、恐らくこの魔法陣を描いた人物は、これから何らかの
魔法を発動させる為に、ここへと来るだろう・・・・・)
「・・・ルー、あっちの野原には花が沢山咲いているんだ、行ってみようか?」
「うん!」
《・・・こうしていれば、怪しまれずに張り込むことができる・・・・・何だかルーを私の好き勝手に
利用しているような気がしてならない・・・・・この方法は最適だが、もっと他に方法はあった
のではないか・・・・・?》
- Re: 黒猫と女剣士 ( No.35 )
- 日時: 2018/07/01 11:25
- 名前: 幼音アリア (ID: XnbZDj7O)
その時だった・・・・・少し離れた場所に、紺色の服の少年が現れた・・・・・歳は大体私と同じくらい
だろうか・・・・・・
まさか、この魔法陣を作った張本人か・・・・・?
「・・・ん?」
《・・・こっちに気づいたか・・・だがこうしてここに遊びに来ているように見える以上、怪しまれたり
しないと思うが・・・・・》
「・・・・・」
《無言でこっちに来た・・・何だ・・・?》
「・・・珍しいですね、その子」
「・・・・・え?」
「貴女と一緒にいるその子は、黒猫族でしょう?」
「・・・あぁ、そうだが・・・?」
「あぁ、すみませんね、いきなり話しかけられても警戒されるのは当たり前ですよね、初めまして、
私の名前はノワールと申します、貴女は・・・?」
- Re: 黒猫と女剣士 ( No.36 )
- 日時: 2018/07/08 20:57
- 名前: 幼音アリア (ID: v8Cr5l.H)
「・・・・・ハンナだ」
「ハンナさんですか、素敵なお名前ですね・・・」
「私を口説く気なら悪いが通用しないぞ?」
「口説こうとはしていませんよ、ただ、同志を見つけただけです・・・・・」
「・・・・・同志?何のことだ?」
「貴女と同じように私も一緒に生きているんですよ、黒猫族の女の子とね・・・・・」
《・・・・・!》
「・・・詳しく話が聞きたい、続けてくれ」
「丁度一年ほど前です、あったでしょう?殺人鬼ベイト事件・・・・・」
「・・・凶悪な死刑囚が刑務所から脱獄したあの事件か・・・・・」
「事件当時、町の店の大半は殺人鬼の襲撃を恐れ、早い時間に閉店していました、私は食料を買いに
町へ出たのですがその時、見つけたんですよ・・・・・鉄の首輪をされて、全身痣と傷だらけの
黒猫族の女の子をね・・・・・」
「・・・そんなことばかりだ、黒猫族に限っては・・・・・」
「そんなんですよ、恐らく、心の腐った人間に奴隷同然のように飼われ、虐待をされ続けていた
のでしょう・・・・・」
「酷い話だ・・・・・」
「世の中、本当に物騒ですからね・・・・・ついこの前も、裕福な暮らしをしている地主が殺される
事件があったばかりでしょう?」
「・・・ベイトか?」
「ベイトはもう他の町へと姿を消しているでしょうねぇ・・・にしても、物騒な世の中でも、その
物騒な出来事が誰かの救いになることもあるのですから、世の中はわかりませんね・・・・・」
「救い・・・・・?」
「だってそうでしょう?もし仮に貴女の家族が殺されたとします、貴女は耐えられぬ怒りを抱え
それを恨みとし、家族を殺害した張本人を見つけたとします、貴女は迷わずにその人物をズタズタに
斬り殺しました、事情を知らない人がそのことを知れば貴女はただの殺人鬼ですが、貴女とその
家族からすればその人物が哀れな最後を迎えたのですから、救いになるでしょう・・・・・?」
「・・・・・もしお前がその立場だったら、救いになるのか・・・・・?」
「さぁ・・・?死んだ人間は生き返りませんから・・・・・」
「なら私も同じだ、もしそんなことがあったら怒りに身を任せその張本人を殺したい気持ちになる、
でもそれをやってしまえば例えどんな凶悪な殺人鬼でも命は命だ、どの道その殺人鬼と同じ罪と
血に染まった手で一生を退ごすことになる・・・・・それは誰かの救いになんてならない、無論、
自分の救いにも・・・・・」
「・・・貴女、すぐに死ぬような人間の考えですね、まぁ、考えだけならまだ救いはある・・・・・
どの道貴女と私、そしてあの黒猫族の男の子とシャノ、私達は同志ですよ、この過酷な世界の
数少ないね・・・・・」
「・・・シャノ?」
「私が保護した黒猫族の女の子の名前です、シャノって名前なんです」
「・・・そうか」
「シャノはつい最近とうとう目的の一つを達成して、今ルンルン気分なんですよ」
「・・・・・目的?」
「自分を奴隷のように飼い、散々虐め、心にも体にも深い傷を負わせた地主を、斬殺したんです、
死体は私が処理しました・・・・・」
「・・・・・は?」
「物騒な出来事が誰かの救いになることもあるんですよ、わかります?」
「・・・お前達が犯人だったのか!?」
「えぇ、そうですよ・・・何か問題でも?」
「子供に誤った道を歩ませてはいけない、親代わりなら尚更だ・・・!わからないのか!?」
「親代わりなんて言葉を、簡単に使わないでください・・・・・」
《表情が急に冷徹な感じになった・・・何だこいつは・・・・・?》
「私はあの子の親代わりにはなれない、何故ならあの子にとって親に代われる者なんていないから、
ですが私はあの子のパートナーにはなれました、黒猫族にとって不自由せず暮らせる世界を共に
創るパートナーに・・・・・」
「・・・何が言いたい?」
「今こそこの魔法陣で、この町の人間から根絶やしにする時なんです、協力してください・・・?」
- Re: 黒猫と女剣士 ( No.37 )
- 日時: 2018/07/13 21:10
- 名前: 幼音アリア (ID: 9yNBfouf)
━━━━━遡ること、数分前・・・・・
「・・・あ、蝶々さん!」
ノワールとの会話に集中していたハンナは、ル━がその場から蝶を追い、いなくなっていたことに
気づいていなかった・・・・・
「待って━!」
本来の黒猫であれば、蝶は獲物の一種だと思われるが、黒猫族にとっては人間の子供同様、好奇心を
動かす要因の一つなのかもしれない・・・・・
その時・・・・・
「・・・貴方、そこで何しているの?」
見た目は猫の耳や尻尾が生えていて、人間ではなかった・・・・・ルー同様、黒猫族の女の子
だった・・・・・
「だ、誰・・・・・?」
「何?まさか怯えているの?同種族なのに・・・・・」
「同種族・・・・・?」
「・・・あんまり知識豊富じゃないようね・・・・・」
「・・・・・?」
「・・・ねぇ、せでかくこうやって黒猫族同士で会えたんだから、何か話そうとかこう・・・・・
したいんだけど?」
「何か・・・・・?」
- Re: 黒猫と女剣士 ( No.38 )
- 日時: 2018/07/18 21:16
- 名前: 幼音アリア (ID: w4lZuq26)
「・・・はぁ・・・アンタ、子供ね・・・」
「き・・・君だってまだ子供でしょ・・・・・?」
「そうだけどアンタよりかは知ってることは多いわよ!」
「お・・・怒らないでよ・・・・・」
「・・・アンタ、そんなにウジウジしていてよく今まで死ななかったわね、
真っ先に人間に見つかって殺されそうなのに・・・・・」
「僕一人じゃないよ?お姉ちゃんがいるの!」
「じゃあその姉が相当優秀なんでしょうね」
「人間のお姉ちゃんだけど、優しいんだよ」
「・・・・・人間?アンタ、人間と暮らしているの?」
「そうだよ?」
「・・・アンタ忘れたの?人間が今まで私達黒猫族に対してどれだけの
酷いことをしたか・・・・・」
「・・・覚えているよ・・・でも、お姉ちゃんは優しい人だよ!食べ物
だってくれるし、飲み物だってくれるし・・・・・」
「・・・私の連れと似たような人間なのかもね、その人間・・・・・」
「似たような・・・・・?」
「私も唯一、信用している奴が人間でいるのよ・・・・・最初に会った
時は何をどうしても殺してやろうと思うくらい敵視したけどね・・・」
「・・・・・」
「過ごしていてわかったわ、あぁ、この人間は他の人間とは明らかに
違うんだって・・・・・」
「違う・・・?」
「人間なのに、人間を恨みの対象にしていただけの話よ・・・・・」