ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 泡沫姫—うたかたひめ—
- 日時: 2008/11/09 16:32
- 名前: ころな (ID: Mgo.shQL)
ダーク初進出ですっ!!
めっちゃ不安なんで、応援よろしくお願いしますっ
ここでは、愛と呪いと殺戮が交錯する、どろどろ系をいきたいと思います。
だめな方は、ダッシュで逃げ→
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.2 )
- 日時: 2008/11/09 17:54
- 名前: ころな (ID: Mgo.shQL)
パーティーには、ローズフレーバーがむせ返るほど立
ち込めていた。
婦人たちはここぞとばかりに流行りものを身につけた
がるものだから、どれも見栄えがしなくなる。
そこに、一輪の儚い花でもあれば、周りの薔薇などた
だの引き立て役にしかならない。
ベクシエーラ、おまえはどちらの花になりたいか
な・・・?
母上が出した選択肢の中に、主役をも曇らす引き立て
役、というものはなかった。そんなものはあってはな
らないのかもしれない。
でも私は、ホールに咲き乱れる百万本の薔薇になると
決めたんだ。
シーズン最盛期——
「まぁ!ちょっと見てごらんなさいな。ベクシエーラ
様の色美しいこと!」
「さすがマルカトス侯爵様のご令嬢でいらっしゃる
わ。身につける宝石が違う」
ホールの隅ではしゃぐ娘たちを眺めながら、男はワイ
ンを喉に注いだ。
「小貴族の娘が騒ぐのも無理はないな。マルカトス侯
爵家の中には皇族と血縁の者もいるそうじゃないか」
その男の横で、退屈そうな中年の男が横目でベクシエ
ーラを盗み見た。
「それがあのベクシエーラ様では?アーバルト殿下の
姉君にそっくりだ」
「はっはっ、そうやもしれぬな。あながち間違ってい
ないかもしれぬぞ。」
社交期真っ盛り。随分とため込んでいた噂
話を披露することで忙しい者ばかりだ。
ベクシエーラは幸せの絶頂にあった。あの伯爵が、あ
の婦人が、それが規則だと言うかのように、自分の周
りに集まり、会話を求めてくる。完全にこのパーティ
ーの主役は、ベクシエーラになったのだ。
前の家、自分が侯爵令嬢になる前にはありえなっかた
。名前すらも覚えてもらず、パーティーに参加し
ていたことすらも知られていなかったことが、まるで
悪い夢のはなしのように思えてくる。
全ては、姓がマルカトスになってから始まったのだ。
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.3 )
- 日時: 2008/11/09 18:17
- 名前: ころな (ID: Mgo.shQL)
「お母様っ、今日はお客様がいらっしゃるって聞いた
わ。どちらのお方?」
ベクシエーラの無邪気さが恐ろしいかのように、母メ
アリーは、眉をひそめた。
「だ、誰から・・・聞いたのかしら?」
「ケイリー叔母様よ。昨日、お母様が町へ出ていると
きに」
「まぁっ・・・。あの方はっ、なぜっ・・・」
ベクシエーラに聞こえぬように、失望のため息をつい
た。まだ幼いこの子のことだ。くわしく聞かされたに
しても、理解はしていないはず・・・。
「ベクシエーラ、お客様がお見えになられても、応接間に近づくんじゃありませんよ?」
「え、でも母さ・・」
「いいことっ!?わかったら自分の部屋に戻りなさいっ!!
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.4 )
- 日時: 2008/11/09 18:38
- 名前: ころな (ID: Mgo.shQL)
「っ!?は、はい・・・っ」
娘は、理解できないというような顔をして、脅えなが
ら部屋を出た。
「ベクシエーラ、ああ、なぜこんなことっ・・・!!」
前から薄々こうなるかも知れないという恐怖はあっ
た。でも、本当にこの日がくるとは・・・。
客というのは、かの侯爵家、マルカトス様。小貴族
である私たちの娘ベクシエーラを、赤ん坊の頃から気
に入って下さり、幾回か交流しました。
マルカトス侯爵夫人は、なかなかお子に恵まれず、ベ
クシエーラを、それはもう自分の娘のように溺愛され
ました。それを見かねた侯爵様が、この子を養女に、
と申されたのです。
もちろん、丁重にお断りしました。
でも、わが紋は没落寸前と囁かれている貴族のもの。
マルカトス家に逆らう余地なく、養女に引き渡すこと
になったのです・・・。それに、ケイリー義姉様は私
のことをよく思っていらっしゃらず、この件に関し
ては、一切協力の手は差し出しては下さいませんでし
た。
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.5 )
- 日時: 2008/11/09 19:16
- 名前: ころな (ID: Mgo.shQL)
メアリーはこれほどに財力のない自分の紋を恨んだこ
とはないだろう。
燭台に映る自分の顔を手で覆いながら、誰にも知られ
ずに涙を流した。
一方、びっくりしたのはベクシエーラの方だった。
普段、温厚な母が切羽詰まって怒鳴るのは、珍しいこ
とだ。まだ、朝方だというのに外に出てこない
ベクシエーラを、メイド達が心配したほどだ。なに
せ、寝室の向こうからは物音ひとつ聞こえてこないの
だから。
ベクシエーラは考えた。母の憂いは、きっと今日来る
お客様にあるに違いない、と。自分のせいかも知れな
いという不安もあったが、そこは母を信じたかったの
であろう。
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.6 )
- 日時: 2008/11/09 19:27
- 名前: ころな (ID: Mgo.shQL)
素通りなしねー。
コメントください!!
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