ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 泡沫姫—うたかたひめ—
- 日時: 2008/11/09 16:32
- 名前: ころな (ID: Mgo.shQL)
ダーク初進出ですっ!!
めっちゃ不安なんで、応援よろしくお願いしますっ
ここでは、愛と呪いと殺戮が交錯する、どろどろ系をいきたいと思います。
だめな方は、ダッシュで逃げ→
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.17 )
- 日時: 2008/12/16 15:04
- 名前: 紫水 琴音 (ID: Z807Ua8T)
馬車に揺られて2時間。
最初は、舗装されたレンガの道だったが、街から離れ
るにつれて小石が車輪にあたり、楽しいドライブも苦
痛がともなうようになった。
ずっと林道が続き、深い緑のコントラストにもそろそ
ろ飽きてきたころ、ポプラ並木を境に、輝く湖面が姿
をあらわした。目を傷めるほどの眩しさも、萎えてい
た気持ちを高ぶらせる糧となる。
「ほら、見えてきたわ。あそこがジャヌー叔父様の家ですよ」
ルシエーヌが指さす先には、丘の上の家、という印象
をくつがえすほどの立派な邸宅がかまえていた。だが
ちゃんとそれらしく水車小屋がある。
ベクシェ自身も、このような田舎に来たことはあまり
ない。マリーには及ばないが、ひそかに楽しみにして
いたのだ。
「よくきたな、ルシエーヌ、久しぶりだ。・・・お
や?もしかするとそちらのレディ達は、ベクシエーラ
にマリアーヌかな」
馬車を降りていたベクシェと、ルシエーヌの裾元で恥
ずかしがっていたマリーに気づくと、たちまち優しい
紳士の笑顔になった。
「ようこそ我が可愛い姪たち。会えて嬉しいよ」
彼の名は、ジャブーア・マルカトス。バルト・マルカ
トス(ベクシェ達の父)の叔父、つまりベクシェの義
大叔父ということになる。
彼は若い頃に議員として活躍し、今は穏やかな隠居生
活を送っている。隠居、と言っても、本人は60には
なっておらず、都会の忙しなさから逃げるために、こ
こに移り住んだとか。
「お久しぶりです、叔父様」
後ろを走っていた馬車に乗っていたバルトが、帽子を
片手に降りてきた。
「バルトも来ていたのか。また一段と当主らしくなっ
ているじゃないか」
「それは光栄です、叔父様。ところで、兄様は今どう
ていますか?」
「ああ、相変わらずの研究三昧だ。今も奥のラボにい
るよ。後で、顔を出していきなさい。そうだ、兄と言
えば君の長男、小川の方へ出かけてしまったんだ。正
午までには帰って来いと言ったのだが・・・」
そう。ジャヌーには彼の妻のほかに、2人の家族がい
る。一人は、バルトの兄、ベクシェの叔父にあたる人
で、もう一人は・・・・・、
「ベクシェ、小川の方に行って、あなたぐらいの年の男の子を連れてきてちょうだい」
「男の子ですね?わかりました!」
ベクシェは足取り軽く、コートを翻しながら行ってし
まった。
「あらいけない、どんな子か伝えてなかった」
でも、きっと分かるわ。
だって、
主人と同じ瞳の色をしているんですもの。
わたしとは違う、ライトグリーンの・・・・
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.18 )
- 日時: 2008/12/16 15:09
- 名前: ころな (ID: Z807Ua8T)
うえの記事、作者が紫水 琴音ってなってるけど、正確には、「ころな」です;;
琴音が使った後にそのまま使っちゃったってやつです(^^;)
琴音とは仲いいので^^
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.19 )
- 日時: 2008/12/23 14:50
- 名前: ころな (ID: Z807Ua8T)
続き。。。
絵画でしか見たことのないような秋晴れの下を気持ち
よく走る。よころどころに紅葉が落ちていて、緑と
赤、黄のコントラストが、より気持ちを高ぶらせるよ
うだ。
ルシエーヌは、自分と同じくらいの年の男の子だと言
っていた。使用人の一人か何かだろうか。
しばらく歩くと、さらさらとした水の音が聞こえてき
た。鳥達が集まって行く方向へ向かうと、なんとも可
愛らしい小川が流れていた。小川のほとりには、背の
高い草が生えていたので、遠くからではどこにあるの
か分からなかったのだ。
ドワーフでも出てくるんじゃないかと思うようなその
光景に見とれていると、上流の方から激しい水しぶき
の音がきこえてきた。びっくりして、しばらくそちら
の方を見ていると、人の頭がむっくりと草の間から現
れたのだ。思わず逃げ出そうと思ったが、背格好は自
分とあまり変わらず、少年のような身なりをしていた
ので、不信感はなくなった。
「ちょっと、」
呼びかけてみる。
「ねえ、あなたよ、聞こえないの?ねえ、きゃぁっ!?」
ふとした拍子にぬかるみに足を滑らせてしまった。幸
い、しりもちはつかなかったものの、注意散漫な自分
に恥ずかしくなる。
「お怪我はありませんか?」
驚いた。さっきまで上流のほうにいた少年が、いつの
間にか自分のいる場所に来ていたのだ。
「え、ええ。ありがとう。大丈夫よ」
仮にも貴族の娘。長い間みっともない格好を見せたく
なくて、差し出された手をあまり頼らず、何事もなく
起き上がって見せた。
「あなた、さっき上流の方にいた人よね?さっきは何
をしていたの?」
身なりは、ちゃんとしているのだが、全身ずぶぬれで
寒そうだ。あと、遠くから見たよりかは背が高かっ
た。
「ああ、この川底の土壌の成分を調べていたところで
した。ここに中規模ほどの農園を計画していまし
て・・・」
よくしゃべる男だ。そこから先は難しくてよく分から
なかったので、じっと顔を眺めていた。
ライトグリーンの瞳・・・。お義父さまと同じ色だ
わ。
「・・・・そして、足を滑らせた次第です」
「えっ?あ、そ、そうなの」
自分と同じくらいの男の子・・・・。
あ。
「ねえあなたっ、もしかして丘の上のお屋敷に住んで
る方かしら?」
「は、ええ。そうですが・・・?」
この人だ。
「ジャヌー様がお呼びよ。あなたを連れて来いと頼ま
れたの」
「あれっ、もうそんな時間ですか?それは申し訳な
い。すぐ支度しますのでっ」
濡れた髪から落ちる滴が、いっそう金色の髪を輝かせ
た。
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.20 )
- 日時: 2008/12/23 15:31
- 名前: つかさ (ID: D71pwe7j)
おおっ!
なんか、サラサラ読んでしまいました^ ^
続きが楽しみです〜♪
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.21 )
- 日時: 2008/12/30 18:06
- 名前: ころな (ID: Z807Ua8T)
きゃーっ!つかささんだぁ^^
見にきてくださってありがとうございます。
つかささんの話もちょくちょく見にいってます。
今度行ったら、コメント残していきますね〜。
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