ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 泡沫姫—うたかたひめ—
- 日時: 2008/11/09 16:32
- 名前: ころな (ID: Mgo.shQL)
ダーク初進出ですっ!!
めっちゃ不安なんで、応援よろしくお願いしますっ
ここでは、愛と呪いと殺戮が交錯する、どろどろ系をいきたいと思います。
だめな方は、ダッシュで逃げ→
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.32 )
- 日時: 2009/03/02 23:29
- 名前: 仲矢真柚乃 (ID: Cc8cxid4)
こんばんは(_ _*)
小説拝読させていただきました。
舞台は中世のヨーロッパでしょうか?とても優雅な雰囲気が出ていて素晴らしいと思います。名前もヨーロッパらしくて場面がリアルに思い浮かびます。
続きを楽しみにしております。
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.33 )
- 日時: 2009/03/19 20:43
- 名前: ころな (ID: l6pfUsAS)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=10846
続き。。。
「ベ..シェっ!!」
ん・・・、誰か・・・の、声・・・・。
「ベクシェっ!しっかりして!!ベクシェ!」
「ぉ、ぉ、おかぁ、様・・・?」
「はぁっ!!起きたわっ!ベクシェっ、あなたいった
い何があったの!?」
ひどく寒い。
耳や鼻の中が幕を張ったように気持ち悪くて、軽く咳
をするといろんなところから水が噴き出てきた。びっ
くりした。特に肺から暴れ出てくる水は、逆流しなが
ら気管を傷つけていくようだ。
「僕たちが戻ってきたとき、ベクシェは湖の岸にぐっ
たりとなって倒れていた。でもその様子ですと、湖に
潜っていましたね?水浴びをされていたのですか?」
「え、あっの・・・」
「いや、それよりも、どうやってベクシェが岸までた
どり着いたのか疑問だ。まさか溺れながらにも岸まで
泳いで行かれたのですか?この湖は波がないから流さ
れたとは考えにくい」
つらつらと並べるアルの言葉は、水でふやけたベクシ
ェの頭になかなか入ってこない。目を開けて人の声を
聞こうとするだけでも、一苦労だ。
「アルデローニっ。ベクシェは今目覚めたばかりなの
ですよ。おまえが疑問を抱くと追究せずにはいられ
ないのは分かっていますけど、今は我慢なさい」
「あっ!・・す、すみませんでしたっ・・!」
ふいと横を見ると、マリーが半べそをかいてこちらを
うかがっている。少しほほ笑むと、ぱっと明るくな
り、そろそろと近づいてきた。
「ごめんねマリー。心配かけたね。お船は楽しかった?」
「う、あ、ぅ、ううんっ。楽しくなんかなった!!」
ずっと倒れていたベクシェに、自分だけ楽しい思いを
してきた、などと言えなかったのだろう。年齢にはそ
ぐわない身にしみる心遣いに、ベクシェはゆっくり目
を細めた。
「そんなこと言わないで。マリーが楽しくなかった
ら、ねえさまは悲しいわ」
「えぇっ。んん・・・。マリーたのしかっよ・・?」
「そうなの、よかったわぁ」
そう言うと、マリーは強くベクシェの手を握った。冷
え切った指先に、マリーの手は熱すぎる程だった。
可愛い手が握る指が、どんなに汚らわしいかも知らないで。
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.34 )
- 日時: 2009/03/19 20:47
- 名前: ころな (ID: l6pfUsAS)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=10846
いやぁ、久しぶりにPC開きますだ!!
あぁ、愛おしいキーボードの音・・・!!(感)
いつの間にかコメントまで戴いてましたっ。
仲矢真柚乃サン、喜んでいただけたら嬉しいです(^^)ノ``
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.35 )
- 日時: 2009/03/22 16:35
- 名前: ころな (ID: l6pfUsAS)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=10846
はるやすみ〜♪
続き。。。。
暖炉を開ける季節にはまだ早すぎるが、冷え切った体
のためにはこれしかない。
「お嬢様、ミルクを温めましたので、お熱いうちにど
うぞ」
湯気が立ち上るミルクからは、砂糖の甘い香りがし
た。カップを顔に近づけるだけでも、カチカチになっ
た毛穴がひらいていくようでおもしろい。
「ありがとう」
肌で暖炉とカップの温もりを感じながら、やっと一息
つく。今まで呆然とした意識の中で動いていたが、や
っと鮮明になってきた。
「気分はどう?ベクシェ」
ルシエーヌが、着替えを終え、マリーを連れて入って
きた。マリーはお気に入りの人形をしっかりと胸に抱
えている。
「だいぶ温かくなりましたわ。こんなに良くしてくだ
さったモアーネ叔母様にお礼をしたいのですが」
「ええ、そうね。でももう少しゆっくりしていなさ
い。明日はまた長く馬車に揺られるのですから、今の
うちに休んでおくことよ」
「はい。そうします」
ルシエーヌはそれ以上何も言わず、ベクシェの額にキ
スを一つ落として、一人で去って行った。
「姉さま、これ・・・」
残ったマリーは、ベッドに座っているベクシェに、抱
えていた人形を大事そうに差し出した。
「ルイーナが、姉さまがしんぱいだから、姉さまのと
ころでお泊りするって!!」
ルイーナとは、このフランス人形の名前だ。マリーは
バルトからもらったそれを、毎晩自分のベッドへ持っ
て行き、眠りにつくのだ。
「でも、ルイーナはマリーのお友達でしょう?ルイー
ナがいなかったらマリーが一人だわ」
「っ・・・いいのっ!」
一瞬マリーも、友達のいないさみしいベッドで眠るこ
とを考えてみたが、差し出した手を戻すことはなっ
た。
「マリーは大丈夫だわっ!平気よっ」
マリーの真剣で愛らしい顔に応えるべきだと思い。ベ
クシェは、優しく人形を受け取った。
「ありがとう。今日はルイーナに一緒に寝てもらう
わ。姉様もこれで安心して眠れそうよ」
「ほんとう?よかった」
マリーとも、頬でキスを交わし、何度もルイーナを振
り返る妹を見送った。
きれいにカールされた人形の髪を一撫でし、そっと枕
もとに置いてベッドにもぐった。
忘れられたミルクは、眠りが深くなるにつれて、冷め
ていった。
人形は、夢など見ない。
- Re: 泡沫姫—うたかたひめ— ( No.36 )
- 日時: 2009/04/18 00:01
- 名前: ころな (ID: NQa2PI2Y)
ぎゃぼーーー!
更新率どんだけ悪いねん!!
お馬鹿っ。
気を取り直して・・・
続き。。。。。
秋の朝は相変わらず木の葉の匂いがしていると感じ
た。
昨日は昏々と眠りに入っていたので、疲れはだいぶ取
れた。だが、なんとも言えない気だるさは、取り去れ
たきがしない。
惰眠は嫌いなタチなので、目がはっきりとしてくると
同時に、ゆっくりと起き上がる。
カーテン越しの光を伺うと、まだまだ早朝のようだ。
靴をはくと、当然のようにドアノブを握り、やがて屋
敷の外に出ていた。
朝露を含んだ小さな青草に脛をくすぐられ、自然と歩
幅が広くなってゆく。
重い体に無理を言わせながら、外庭のゲートまである
いた。
湿り気のある冷たい風が吹いたとき、急に安堵した。
自分はこれを感じるために此処に来たのかもしれな
い。この、不快とも言える風が、母のような温もりを
持っていると思えてならなかった。
それは、自分を産んだ母でもなく、献身的に育ててく
れる母でもなく、他人のものなのだ。本で読んだのか
もしれない。誰かが言っていたのかもしれない。自分
自身が、絶対的な保身が約束できる場所。そんな哀れ
な悟りを、なんの感情も持たずに、ただ弱い力で包ん
でほしい。
包んでほしい・・・・。
「そうだ・・・、朝食、たべなくちゃ・・・」
洋服の裾は、にじみ出た露をぬぐい去って行った。
「彼女・・、出会ってしまったか」
ほこりが溜まった窓越しに、彼の眼鏡は光っていた。
「気の毒だな、バルト。お前の娘は——」
絶望の結末を説いた彼の言葉は、モーニングコーヒーの香りとともに、流れて行った。
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