ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 包帯戦争。
- 日時: 2009/12/05 08:37
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
……ぬーがー。
もうダメだ。消えてしまったぁ……。死亡。
あー、じゃあ続きから。
コピるの大儀なんで、
http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=12380
ここで読んでからどうぞ。
- Re: 包帯戦争。 ( No.37 )
- 日時: 2009/12/14 20:14
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
気づけば、僕らは存在した
ヒナトが満面の笑みで僕を起こした。あー、だっりぃ。肩を揺するなー。あああああ。
「どしたの?」「あたし、少年の睡眠を守ったぞ」「・・・・・・・・あー、そう」
意味がわからないけど、警察がいるから何かあったんだろなぁ。
「・・・・・・・・・・おい」「はい」「何でバッドの先端が赤いわけ?」「だから、少年の睡眠を守ったぞ」
顔が引きつる。どういう守り方したわけよ。
「あ、正当防衛なので今日はもう帰っていいですよ。パトカーが来てますから」
警察さんが何か言っているけど・・・・正当防衛とか言ってるけど・・・・・・聞き流そうか、うん。
訳もわからずにヒナトと一緒に仲良くパトカーへ。バッドは鑑識に回すとかで奪われ、少々グレている。
「バッド・・・・・」「諦めなさい」「ぬー」「ぬーじゃない」
ヒナトが頬を脹らませながら警察官を睨みつける。
まーたこの子は何したんだか。興味ないけど。
「二泊三日のはずだったのにー」
「まぁ、いいじゃん。またウチ来なって」
「いいのか?」
「いいけど」
「わかった!」
やれやれ。
本当にこれで、いいのやら。いいんだろうねぇ。
ヒナトが最終的に笑顔だったら、何でもいい。何でもやる。
それで一件落着だ。
今日出会った奴らの事は、忘れよう。
これから、再会する事もないだろうし。
僕の左側に座っている一人の女の子が、呟く。
「ねっみー」
- Re: 包帯戦争。 ( No.38 )
- 日時: 2009/12/14 20:43
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
第十一章
記憶の残骸は暗闇
「おい、聞いてるか?」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
返答はない。死んでるんだろうか。いやいや。
『アイツ』がいなくなってから、こいつは人間のルートを脱線している。
虚ろな目。痩せたよな。髪もボサボサだ。
左手には真新しい包帯が巻かれている。昨日、ナイフで皮膚を切り刻んでいるのを発見され、暴れるのを精神安定剤で押さえつけたばかりだ。
「もっしもーし」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
無理だ。
もうコイツは、治せない。
「ヤシロ、いい加減にしろ」
名前を呼ばれても、反応なし。こういうやり取りが何度も続いている。
ヤシロが依存し、誰よりも何よりも全世界よりも必要としてきた『ノリト』がいなくなってから、確実に壊れたコイツは、本物の人形みてーだ。
壊れた。完全に。
でも、俺はあいつを咎めない。責めない。怒らない。叱らない。
あいつだって、それなりに重いものを背負っているから、他の奴らの世話なんてしないのが普通だろう。
まぁ、ヒナトは別として。
ヤシロが愛していた『ノリト』はとっくの昔に死んで、自覚症状は無いがヤシロが殺して、紅桜なんて洒落た名前で。
ヤシロは『永遠』にノリトを愛する為に、自分の手で『永遠』にしたが、気づけば彼と話す事も触れる事もできない。
当たり前の事だ。死んでしまったんだから。殺されたんだから。
でも、ヤシロにとってそれは、世界の崩壊と同じだった。ノリトがヤシロの世界だったから。
だから、同じ名前をもつ彼を『ノリト』として接していたんだが・・・・・・。
あいつは自らでヤシロに現実を突きつけ、自ら去った。
後始末ぐらいしろよー。いやいや、冗談です。
「おい、今日はぜってー食わすからなっ!」
丸めたパンを俺の口に入れる。ある程度噛んで、ヤシロに口移しする。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
飲み込んだ。反応はないけど。
今の光景を「男同士で気持ち悪い」とか抜かす奴らがいたら、俺は遠慮なくそいつらをぶっ殺す。
男だろーが女だろーが、爺だろーが婆だろーが、関係ない。
精神を壊してきたのなら、誰かが安定させてやらねーといけねーから。
- Re: 包帯戦争。 ( No.39 )
- 日時: 2009/12/15 17:04
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
ヤシロが少年に「俺はノリトではない」宣言を受け、発狂しあえなく少年を殺害しそうになったあの日から、目を覚ました彼は全てのものに興味を失った。
食べる事も、寝る事も、ましてや愛するノリトを探す事もしなくなった。
病院のベッドでじっと座り、呆然としている。
時々首が動き、外の景色を見てはまた元に戻す。
「ヤシロ、外行くか?」
返事ぐれーしろ、とは言わない。こいつにとってノリトがどんな存在だったか、あいつと一緒に居た時のこいつを見ればわかる。
どこに行くにも一緒で、ノリトに近づくもの全てを排除しようとしてたよなー。
「ノリトと、会えるかもよ〜」
嘘だった。会えるわけない。少なくとも紅桜ノリトには。
でも、ヤシロの肩がぴくりと動いた。
止まっていた歯車が、音をたてて動き出す。
「・・・・・あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
長々長々と、何かを求めるように久しぶりにヤシロが声を発する。
両手で頭を抑え、歯軋りに似た声。
スイッチが上手く入らないのか、再生が困難する。
ピタリと一致しない。
「外、行くか?」
もう一度聞いてみた。ヤシロの首がこちらを向く。
「ノリトは・・・・・いる、かななあああああ」
「いるんじゃねぇの?・・・・・多分」
俺は『多分』と言いました。
これでノリトがいなくても、俺のせいじゃありません。ってヤシロに言っても無駄なんだろうけど。
「いるなら、いく。行って、ノリトは、必ず僕を・・・み、てくれ・・・・・・ぎいぃぃぃぃっ」
かみ合わせに不利は生じたけど、大丈夫だ。きっちり納まった。
「立てれるか?」「立つっ!・・・・立てないっ!」
変なテンションになったヤシロを支える。ほっせーな。何キロなんだよ。40ないんじゃね?
「ノリトノリトノリトノリト〜♪♪」
イッちまったヤシロを車椅子に乗せ、押して歩く。あー、どうかいませんように。
これであの少年がいたら、こいつは絶対に再認識するだろうなぁ。
エレベーターから降り、裏口から外に出る。
風がヤシロの長髪を躍らせ、何だか少しだけ見とれてしまった。
「ノリト、いる?いる?いない?いるかな〜♪」
完全に恋する乙女になっている。いや、男だけど。
でもそれは決して尋常じゃない。
「ノリト〜ノリト〜ノリノリト〜」
変な作曲作詞を始めてしまった。何か振り付けも作っちゃってるし。
そうこうして、四時間。
「今日はノリト、いなかったみてーだな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また、来る」
ボソリとヤシロが決意する。そのたびに俺は仕事ホッポリ出さなきゃいけねーわけか。
ま、適当にやってんだけど。
あれから、ヤシロは毎日毎日一人でも外に行くようになった。
ノリトがいなくても、あんまり表情を変えず、自ら作った曲を鼻歌交じりで歌っている。
それはそれで、いいんだと思う。
お願いだから、少年。
ヒナトとツーショットでヤシロの目の前に現れないでくれよ。
- Re: 包帯戦争。 ( No.40 )
- 日時: 2009/12/15 17:22
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
♪
夏休みも終わり、用意してくれていた補講にも全く行かず、授業がホントにやべー状況になった秋の中旬。
僕の隣で、呑気に欠伸なんかしちゃっている茅野ヒナトが、警察から戻ってきたバッドをズルズル引きずって涙目になっている。
只今学校に遅れての登校中。
遅刻の原因はヒナトです。僕は責められる律儀がわかりませーん。なんて、ね。
気温も落ち着いてきて、過ごしやすい(ヒナト曰く殺しやすい)日々になってきた。
ふはー、眠い。
「少年」「はい」「もう、学校行きたくない」
ちょっとー、不登校宣言しないでくれよー。
「何で?」「面倒くさいから」「だよねぇ」それしかねーもんなぁ。
でも困った。
今更ヒナトに授業云々を説明しても、絶対に脳みそに刻み込むのは不可能。
「大学なんて、行きたくねーし」
「これから、どーするわけ」
「・・・・・・・・・サボろーっ」
おーっ!ってやるか。
あーでもヒナトは言い出したら聞かないんだよなぁ。
「しゃーない。サボろっか」
「うぬ」
「んじゃー、電話」
携帯の液晶をしばらく眺め、学校の番号って何番だったかと記憶の引き出しを引っ張り出す。
「一条?」「・・・・・・・・え、あ?」
反応に遅れてしまった。
液晶から目を上げ、前を向く。志乃岡がいた。
何で?
「何で、こ、こにいる?」
「サボり。つーかお前、学校の番号わかる?」
「わ、かるよ」
「んじゃー、教えて。かけるから」
ごそごそと鞄から携帯を取り出し、
「いくよ。848の・・・・・・・・・・・・」「はい、繋がった。あんがと」
発信音の後、聞き覚えの全くない先生の声。用事があって行けないと適当に答え、ぶちぎった。
どうせ、あんまり学校に来ないでくれって思ってるはずだからねぇ。
「んで、志乃岡は?」「遅刻。でも、事前に知らせてあるか、ら」「そうか」
ヒナトが志乃岡をマジで睨んでいる。
退散しましょー退散。
「あ、じゃあまたな」「は、はい」
学校の方へ向かう志乃岡を見送らず、僕らは間逆の道を行く。途中、志乃岡がこっちを振り返った事には気づいていた。ミラーで確認ずみ。
でも、気づかないふりをした。だって、ねぇ。
「どこ行く?」「駄菓子屋」
僕ん家かぃ!
あー、もう。家まで戻るって面倒くさい。
♪
捕まえる。ナイフを頬に押し付け、脅す。
こくこくと、恐怖で顔を歪ませてソイツは頷く。
再現しようと思った。
再現して、完全にもう一度壊して、嘲笑ってやろう。
楽しみだ。
ズルズルズル。
あ、監禁する場所、どこにしよう。
- Re: 包帯戦争。 ( No.41 )
- 日時: 2009/12/15 20:01
- 名前: 藍羽 (ID: L1bEpBtf)
リアル鬼ごっこって・・・怖ッ!!
少年の睡眠を守ったぞ、って何かいいですね。
バットの先端赤いですが。汗
監禁する場所ー?!
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