ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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包帯戦争。
日時: 2009/12/05 08:37
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

……ぬーがー。
もうダメだ。消えてしまったぁ……。死亡。
あー、じゃあ続きから。
コピるの大儀なんで、

http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=12380

ここで読んでからどうぞ。

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Re: 包帯戦争。 ( No.22 )
日時: 2009/12/10 15:39
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

女三人に男一人。すごく居心地が悪いし、早く誰か来ねーかなー、特に男希望〜と心の奥底でムンムンと唱えていると、襖が開いた。
現れたのは、さっきのカップルの女の方。
俺らを睨みつけ、「言っておきたいんですけど」と前置きした。
何を?と聞く前に、「自殺するんだったら、あたしと少年の居ない所でしてください。それだけです」
淡々と注意事項、主に自分と相手の安全を確保するための項目を言い出した。
ピシャリッと襖を閉め、足音が遠ざかって行く。
つめてー声。
『少年』の前だと猫被ってるんだな。うーぬ。
にしても彼氏の事を名前で呼ばずに『少年』と呼ぶのはどーかね。欲求不満?『少年』くんと是非お話をしてみたい。
「うー。ねみー」
イナミが目をこれでもか!と思うほどくすりながら、口癖のようになってしまった『ねみー』を繰り返す。
「つかー、はーら減ったー」
「コンビニのおむすびあるけど、食べる?」
美人中学生の心優しい問いかけに、イナミもすぐさま反応する。
「うんー。食べますよー。にょほほほ」
「イナミ、お礼言えよ」
「あっちゃーす♪」
まったく、上司はこの子をどう躾けたんだ。不思議だ。上司はあんなにキビキビしてるっつーのに。ったくよー。

「イナミちゃんっていうの?」
両目の無い高校生が反応した。イナミはその歪な顔にも全く動揺も見せずに、
「おうともさ。イナミだよー」「いい名前だね」「にょほほほ」
嬉しそうだ。嬉しそうなのは、良い事だ。
俺はちっとも、何とも思わないけど。
「んで、今日集まるのってこれだけか?」
「さー。もうすぐで集合時間ですよね。バスでないから、もうこれだけじゃないんですか」
さすが現役美人中学生。クラス委員でもしてそうな感じの受け答え。よくできましたー。
「しっかりしてるね」
両目ない奴が感心しているように言った。
「何年かなー。もうずーっと学校行ってないの。だから、勉強もわっかんない」
不登校かー。両目のことでからかわれたんかーい?イナミが米粒をナメ取っているのを横目で見ながら、話の続きを待つ。
「私ね、両目事故で潰れちゃった。だから、目がある子が羨ましくて羨ましくて」
「そういえば、こーゆーのありましたよね」
美人中学生が思い出したように、
「十代中頃の少女の目を潰して殺害するっていう事件」
あー、あったような気がするな。これも犯人は確か高校生だか中学生だった気がする。
「犯人、逮捕されてよかったですよ、「あ  あ」
「ん?」

「ああああああああああああ、あああああああああああ あああああああああああああああああああああああ    ああああああああああっっ、ああああああああああ   あ? ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ   あっ、 あああ」

壊れた。
痙攣を起こしながら、ガリガリと自分の空洞になった目を掻き毟る。血が指先に付着した。
「ああああああああああ? あああああっ あああああああああああああああああああああああ」
暗示にかかったように体を震わせて、
人目も気にせずよだれを垂らして、
イナミは知らん顔で窓の外を見ていて、
美人中学生は驚いたように呆気に取られている。
「ああああ…………、あ、ごめんなさい。少しだけパニックになっていしまいました」
正常に戻ったのか、ニコッと笑う両目ない奴。てか、空洞から血が流れてちょーこえーんだけど。
まぁ、自殺したいっつー事だから気が狂ってるんだろうな。納得。
にしても参った。
目の前で人が壊れても俺は何とも思わない。
どうすればいいんだよ、ったく。つかイナミも別に何ともないくらいにしか考えてねーだろ。
早く誰か死んでくれないかなぁ。

Re: 包帯戦争。 ( No.23 )
日時: 2009/12/11 17:09
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

…向坂謳歌…


まるで、小学生が算数の難題の答えを導き出したかのように、私の脳細胞も発達する。
ナゴミさん、事件に関わってんだなーって。
すっごく関わりたくない。やっぱ自殺したいって思うだけあるわ。
私の向かい側でボーッとしてる子、何。
さっきから眠たそうだけど睡眠時間足りてる?何だか夜行性っぽい印象を抱くんだけど。その子のお連れらしき男の人もお、ヤバげな感じだし。
絶対に個人情報はこれ以上蒸し返さないようにと決意する。
「あの、これからどうしますか?」
一応、敬語で聞いてみた。
「んー。まだ揃ってねーかもだしな。一応解散で、それぞれ部屋決めてゆったりしてりゃいいんじゃねぇの?そんで、全員揃ったらオーケーみたいな」
「どう死ぬ?」
ナゴミさんが男に聞いた。
一瞬だけ、男の顔が嬉しそうに見えたのは、気のせいか?ま、いいや。
「それはそれぞれの死に方で」「私は、できるだけあっさりと死にたいわね」
それなら一般市民の前で堂々と飛び降り自殺すればいいのに。
そういえば、さっきから無言で私たちの話を聞いてるけど、そっちのお嬢さんは死ぬ気、あるの?

「私ー、どーでもえーしー」
どうでもいいらしい。まだ半分寝ぼけているんだろうね。子供だから。ふふふ、私もだけど。
「そちらさんは?」
男が私に聞いてくる。透明感のない、濁った目の色が不気味だった。
「私は………セミのように死にたいです」
「??」
明らかに頭に疑問符が浮かんだ顔。面白い〜。でも、普通そうだよね。『セミ』みたいに、なんて誰も思わない。私の姉以外は。
「えっと、具体的に……」「潰されてみたい。短い人生を簡単に、あっけなく、キレイにぐしゃりと」
そういえば、セミって潰しても血も内臓も出ないよね。ふっしぎ〜。
「さっき一緒したおねーさんとおにーさんはあ?」
「あー、あいつらは死ぬ気ねぇよ。むしろ旅行気分だ」
さっきの、人形みたいな子か。
「じゃあ、ここでギュウギュウも嫌だから、自分らの部屋に移動しましょうか」
「それいい」
ナゴミさんが私の意見に賛成して、勢いよく立ち上がる。足がふらついた。
「あいつらどの部屋にいるんだろうな」
「ねみー。ちょーねみー。死ぬー」
「部屋は沢山あるから、ビンゴになる事はないと思いますよ」
「私は、誰も来れない所を希望するわ〜」
唯一常識の通用しそうな男と、眠たがりやの少女、妙に張り切っているナゴミさんと、片割れの顔をまだ見ていないカップル。
さてさて。何が起きるんだろうかねぇ。
無事、全員死ねれば文句ないんだけど。

Re: 包帯戦争。 ( No.24 )
日時: 2009/12/11 21:05
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

<二人のつぶやき>

「少年、なんかかび臭い」
「我慢しなさい。ヒナトがここにしようって」
「ぬー。少年は全部あたしのせいにするか?」
「……まぁ、全力で止めれなかった僕の責任でもあるけれどもだね」
「だよな」
「…………すんません」
「あーあ。泊まりに来てみてはいいものの、サービス何もないじゃないか」
「元々、自殺志願者たちの集いだからねぇ」
「まーねー」
「で、さっそく誰かが死んだりはしないのかね」
「さーねー」
「……ふざけてるでしょ」
「ふざけないのか?」
「…………………」
「おなかすいた。何か食べたい」
「ここに、寿司コンビニだけどがあるよ」
「いる。寄こせ」
「どーぞ」
「エビは嫌い」
「はいはい」
「卵は嫌い」
「そーですか」
「イクラ、好き」
「………………そう」

Re: 包帯戦争。 ( No.25 )
日時: 2009/12/12 08:51
名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)

…木庭里ナゴミ…


両目を事故で失って、利用していた妹も失った今年。私はあらゆる意味で何もかもを失っていた。
私が警察に連行されていないという事は、前に出会ったあの少年が、私の事を誰にも言っていないという事。
感謝するべきなのか、それとも罪悪感で押しつぶされるべきなのか、わからないけど。
でも、でもね。
輪廻のことは大好きだったの。ホントに。
私の願いを受け入れて、ソレを実行してくれたから。あの子には感謝するべきなのでしょうね。いえ、きっと。
この集まりの事を知ったのは、単なる成り行き。
そろそろ死にたいなーって思ったから、適当に自殺サイトを見ていたの。
ん、『見ていた』って言ったら変よね。前言撤回。
『読んでもらっていた』の。

病院内で『変わり者』だとか『ヤンキー』だとか噂されている精神科の医者に。
「自殺サイトを探してもらいたいんです」って正直に話したら、「本当に、死にたいと思うか?」って聞かれて。
「当たり前です」そう答えたら、簡単に教えてくれたのよ。
驚き桃の木山椒の木。
さっすが変な名前してることだけはあるね。
なんか、「死にたいという自覚があって自殺するのは、別に構わない」んだって。ほへー。ホントに精神科医かしらん。

そして私は現在、なかなかの美人とみた謳歌ちゃんと一緒に、人生の終止符を打つとされる廃墟の屋敷を冒険中。
あとの二人は知らないわ。適当に部屋を見つけたのよ、きっと。
「どの部屋にします?」
「そーねー。死に場所に相応しい部屋ね」
「希望とか、ありますか?」
「孤独を感じる所がいいわねぇ」
謳歌ちゃんは、どんな顔をしてるんだろうって、こんな時に考えちゃいます。テヘ。
声からしてかなりの透明感がある子だとは思うけど。
澄んでるし。
「ここ、なんかどうです?」
手を誘導されて、ドアノブを握ってみる。冷たいドアノブが心地いい。
開くと、少しだけ湿り気のある匂いがした。
「……気に入ったっ。ここにするわ」
「一応、どこに何があるのか、知らせておきましょうか?」
あら、家具があるのかしら。導かれるまま、手で物を触る。固かった。
「これが、椅子です。こっちがベッド。……これが机。でもくもの巣が張ってます」
「ありがとう。もういいわ。これだけで充分よ」
「はい、まぁこれくらいしか家具ありませんから」

なんとも殺風景な部屋ね。でも、これぞ私が求めていた孤独。
「じゃあ、私は隣の部屋に」「ダメよ、最低三つは部屋をあけて?私は孤独がほしいの」「…………わかりました。では、失礼しました」
謳歌ちゃんが戸を閉める音がして、静寂が生まれた。
先ほど教えてもらったベッドに横たわる。荷物なんて、財布くらいしか持って来てないしなぁ。
空洞の目。
事故で両目を失ってから、どうしてかしら。不可能なことが可能に思えてならないの。
自分は死なないとか、自分は世界で一人ぼっちだとか、孤独とお話ができるとか。
どうしてかしら。
もう二度と、あの少年には会いたくないわ。嫌い。
何だか、声でわかったけれど、何かを強く拒絶するような、とても濁った雰囲気だった……はず。
伸びた髪をすいてみる。
何色をしているの?確か、少し茶色がかかった黒だったと思うけど。水泳をしていたから、色素が少しだけ抜けたのね。
……にしても退屈ねっ。
誰か先に死んでくれないかしら〜しら〜。

Re: 包帯戦争。 ( No.26 )
日時: 2009/12/12 09:10
名前: ラビ ◆bIXnO7zfJs (ID: gqZQq2JR)

こんにちわ(゜×゜*)
ヒナトちゃんは卵は好きだと思ってますたー
そしてまさかのイクラ……!

ナゴミさんは声で雰囲気わかっちゃうなんてスゴイです
更新おつかれさまですー


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