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スパイは荒事がお好き——第一章完結
日時: 2010/11/14 21:21
名前: agu (ID: gzQIXahG)

スパイ物です。
舞台は1940年代のフランス。ナチス・ドイツに占領されています。

一応、現実の歴史ではなくそのパラレルワールド設定しておりますので、
現実の歴史とは色々と違う場面が出てくると思います。


そこら辺はご容赦ください。





【スパイ名簿】

*持ち出し厳禁!


・ハンニバル・アンダーソン

・ニコラス・ブロウニング >>2

・クラウザー・シューダー >>4

・イヴァン・カルメフスキー >>9

・メル・アルス・エネルス >>38

・サミュエル・ジョンソン >>43

・テレーゼ・ライリー >>65




「序章」>>11



一章【スパイ・コネクション】

>>13 >>19 >>20 >>24
 >>28 >>49 >>59 >>64
 >>68 >>69 >>72 >>88



二章【大西洋からの来訪者】

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Re: スパイは荒事がお好き—スパイ募集— ( No.20 )
日時: 2010/08/10 18:18
名前: agu (ID: zr1kEil0)


パリ郊外の物資集積所。

そこに一台の自動車がやって来た。

道なりに走っていた自動車は、集積所前に設置された検問で止まる。
検問所に詰めていたドイツ軍兵士が、確認の為、自動車の側に寄った。

兵士は運転席の窓ガラスを叩く。

スモークガラスが少しずつ下げられ、おぼろげにしか見えなかった輪郭が段々と明確になっていく。


軍帽からちらりと見えるトウヘッドの髪に、碧い目。
シャープな感じの顔は、どこか子供の無邪気さを感じさせた。

彼は書類を取り出し、兵士に突きつけた。

「アプヴェーアのリッターセン中尉だ。他に3人乗せている。詳しくは書類を見てくれ」

兵士は突きつけられた書類を戸惑いながらも、受け取った。
別のドイツ軍兵士が近寄ってきた。軍曹の階級章を付けている。

兵士、軍曹はチラリとトウヘッドの男の階級章を見て、問いかけた。

「中尉殿。ここには何の御用でこられたので?」

トウヘッドの男は顔を顰める。

「軍曹、私はアプヴェーアだ。そして君の部下が今持っている書類には、ハンス・オスター長官直々のサインが書かれている」

彼は一度、言葉を切った後、言った。

「これは非常に重要な任務だ。詳細は話すことは出来ない。分かるだろう?」


軍曹は強張った顔を兵士に向けた。
兵士は青い顔をしながら書類を指差し、頷く。

軍曹は最敬礼をしながら言った。

「失礼しました、中尉殿」

トウヘッドの男は微笑しながら言った。

「いい心構えだ、軍曹。君は出世するぞ」

彼はスモークガラスを上げると、アクセルを踏む。
自動車は敬礼している軍曹を残して、走り去っていった。

Re: スパイは荒事がお好き—スパイ募集— ( No.21 )
日時: 2010/08/10 18:20
名前: agu (ID: zr1kEil0)

更新終了。

疲れました〜。
参照がいつの間にか100突破。
感謝です。

Re: スパイは荒事がお好き—スパイ募集— ( No.22 )
日時: 2010/08/10 23:12
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


・・・・・上手い!!上手すぎる!!
なんだお前!!(失礼

ナチスって聞いてひゃっほいってなって、文才とかありまくりくんだし!?←?

外国を舞台にして、しかもスパイとか・・・世界設定まで完璧だなんて聞いてない!!(泣)

うう、思わず常連になってしまいそう・・・。

スパイ募集は、(まだやってるか分かりませんが)今日は時間がないので・・・。そして私は想像力がないので・・・。出来たら、出したいと思います!!

とりあえず更新頑張って下さい&100突破おめでとうございます!!

Re: スパイは荒事がお好き—スパイ募集— ( No.23 )
日時: 2010/08/10 23:23
名前: agu (ID: zr1kEil0)

神無月s

ありがとうございます!

上手すぎるのは神無月さんの小説です。
凄い文章で感心してしまいました。

スパイは絶賛募集中です。
ぜひぜひ、ご応募ください。

Re: スパイは荒事がお好き—スパイ募集— ( No.24 )
日時: 2010/08/29 17:11
名前: agu (ID: zr1kEil0)

先程、走り去った自動車。その内部では四人の男が言葉を交わしていた。

「皆、聞いたか?“アプヴェーアのリッターセン中尉だ。他に3人乗せている。詳しくは書類を見てくれ”だと」

「ごめんね、ニコラス。僕もう無理・・くくく、ははははは」

「ハ〜ンス・オ〜スター長官直々のサイ〜ンが書かれてい〜る。ぷぷっ」

「Shit!Shit!Shit!お前ら後で覚えてやがれ。ケツにショットガンをお見舞いしてやるからな……」


賑やかな車内。
先刻、ニコラスがドイツ兵士に言い放った一連の言動が、他の三人によってからかわれているらしかった。

普段は紳士的、冷静沈着などという言葉とは無縁のニコラス。
真面目な、堅苦しいとも言える先刻の台詞は、普段とのギャップがとても際立っていた。

普段の彼を知っている者から見れば爆笑物だろう。

実際に彼を笑っている者も三人程、すでに存在している。
ニコラスはそれを苦々しく聞いているのだった。


不意に、からかわれていた彼、ニコラスが真剣な面持ちで言う。

「もうすぐ第27物資集積所だ。準備は良いか?」

その言葉と同時に彼らの雰囲気がガラッと一変した。
先程、冗談を言っていた口は真一文字に堅く締まり、にやけていた顔は、いかにも“軍人”と云った厳格な顔立ちになっている。

その双眸に、狩人の光を宿すハンニバルが告げた。

「AM6:34分、サプライズ・アタック作戦を開始。各員の奮闘に期待する」



様々な種類の物資が置かれ、“軍の物置”とも呼ばれる物資集積所。
武器や弾薬、食料、そして兵士への手紙から機械の交換部品など、集積されている物は多岐に渡っている。

その中でも、第27物資集積所は物資を保管している比重として武器と弾薬が8割を占めている。
集積所司令官はゴードン・ゴロプ中佐。優秀な補給士官だが、少々気が弱い所が難点であった。



スパイ達を乗せた自動車は、集積所に到達した。
作業をしている兵士達は、その黒塗りのロールスロイスを怪訝そうに見るが、すぐに目を逸らす。
彼らには理解できているのだ。ロールスロイス、しかも黒塗りとなれば、中にいる人間はSDかアプヴェーアしかいないという事を。


ロールスロイスはやがて、集積所の中心にある野外管理所の前に止まった。
運転席と助手席から、アプヴェーアの制服を着た男が一人ずつ出て来る。

助手席から出てきた男は、すぐに周囲を警戒し始めた。
まるで何処かの国家元首を護衛するSPと云った様子である。

そして、運転席から出てきた男も、後部座席のドアを恭しく開いた。

開かれた後部座席から姿を表したのは————

正に、巨人、熊、そう言い表すしかないその体躯。
2mはあろうかというその身長に、鍛え上げられたな大柄な身体。
ドイツ国防軍の将校用軍服を着たその男は、まさしく歴戦の勇士と云った風体であった。




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