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【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】
日時: 2011/11/18 18:54
名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: yE.2POpv)

<い>ったい誰の


<き>まぐれなのか知らないけど


<て>っていてきに抗ってやるよ。








はじめまして、るりぃと申します。

今回はちょっと息抜き程度に更新できる短編シリーズらしきものをかいていきたいと思います。

今回は基本等はあえて無視すると思いますのでご了承ください。

目指せ二分で読める文章。

その上、私の趣味が詰め込まれています。

以上に危険を感じた方は戻るボタンをクリックしたほうが身のためかと。




それ以外の方はどうぞお進みくださいというか読んでいってくださいお願いします。

━━━まとめ━━━
目次 >>151 >>152
オリキャラ一覧 >>153
━━━━━━━━━

ロードナイトの宝石言葉【優しさ・繊細・愛情・美・調和・穏やかな心】

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Re: 【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】 ( No.139 )
日時: 2011/08/21 17:12
名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: jklXnNcU)

今宵はなんて月が美しい夜なんだろう、そうぼんやり考えた。
他人からすれば所謂一種の現実逃避だろうが、この気持ちを是非とも察して貰いたいものだ。
飛び交う、血、肉、矢、体の一部、銃弾、砲弾、叫び声。
どこからか馬の声が、大砲の音がする。
人々が身に纏うのは軍服や鎧、それに大きな杖や剣などの武器。
背中に背負って立つは己の信じる国の国章。
交わる罵声に赤に白に黒に茶。
私はアクションゲームが好きだ。
だから、ハマったのはもはや必然だ。
しかしながら、この悪魔の様な腐臭に溢れた場所に来たいとは願っていない。
私が望んだのはみんなが笑顔の面白い世界だ。
死の悪臭満ちる陰の世界ではない。
この世界を生きる彼等にしたら、ただの理想論……否、妄想に過ぎないかもしれない。
しかし、私は信じていたいのだ。

みんなの力なら、この乱世を乗り切れるということを。

だから、今はこの目下で起きてる争いを止めなくちゃいけない。
互いが互いを罵り合って刃を交えている。
相手も見ないで目に付くものを切り付けていくだなんて……

「本当……なにしてんの……!」


手が、震えた。



「——……ッこの馬鹿共ぉぉおおっ!!」



ありったけの声量で叫んだ。
止まってくれるよう、私に気付いてくれるよう。


「……神子……?」

ふと、長身長髪の男が動きを止めた。
その男と戦っていた黒髪に赤いメッシュの入った女が動きを止めて……そして誰も動かなくなる。

「あんた達もう、いい加減にして! この場にいる全員が同じ事を望んでることに何故気付かないの!?」

私は声が良く通るようにバルコニーをつたって屋根の上に上った。

「神子!」
「神子どん! 危なかとよ!!」
「うるさい!」

この高さと風の強さにも慣れ始めたから私は四つん這いから二本足で立ち上がる。

下を見れば、いくつもの色が混じり合っていて、それらは全て私を見ていた。
あまりの高さに地面に吸い込まれるような感覚に落ちいった。


「私は昔から皆が好きだった! 皆の笑顔が好きだった! 私がこの時代に来た理由——それは私の望んだ世界を創るための、最初で最後の可能性に導かれたから!
あっちの世界では私は、雷次と風浪みたいに心から信頼できる家族はいなかった!
言葉を溜め込んでた私の心は荒んでて、一時どうでもいいと思ってた!
だけど、それでも皆は私に優しくしてくれた!
死ぬな、生きろと私に生を促してくれた!!
だから私は皆を救いたいと思った!
皆が言ったように私も皆に生きてほしい!
それが私の信念!
今、この乱世を生きる私の生きる意味だった!」

なのに、今こうして皆は傷つき、血を流している。
1番、望んでいない結末を迎えようとしている。
それは私がもっとも嫌って、桜祈が以前言っていた。
『犠牲の上の国』の結末。
それだけはなんとしても避けたかった。

「もう一度問う! 何故戦うの!? 何故この国の頂点を狙うの!? 国の長は一人じゃなきゃいけないの!?」

誰も口を開かない。答えられない。
現実主義者の前で言ったら鼻で笑われそうな台詞。
だけど、生憎私の目下に夢を見ていない奴など一人も居ない。

彼等の願いであるはずの国の平和は誰も手だししなければ良い話なのであって、国同士の関わりとかは関所を無くしてしまえば良い。


「何をややこしく考えているの?……この国々を統一するのではなくて、このまま一つの国にしてしまえば、誰も戦でひもじくなったりしないし命を落とす必要も無くなるじゃない!」

もしかしたら朔夜や鈴にまた戦場を知らぬ者の戯れ事とどやされるかもしれないな。

だけれど私は空想を実現するからこそ生きる楽しみがあるのだと思うのだ。

「……だから私は……!!」



その時




視界が真っ赤に染まった。













ニライカナイ
(何が起きたかなんて解らない)

Re: 【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】 ( No.140 )
日時: 2011/08/23 21:28
名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: jklXnNcU)


何でこうなったのかとか、どうしてこんな事にとか思ってたから、余計に信じれなかった。

魔女の館に来てみれば案の定、各国の武将と鉢合わせして勝負し始めて、後は見た感じ火野と久断と大釜……うわ、築茂も居るよ。

どんだけ高名な人たちと付き合ってたのさ。

飽きれ半分に木の上から様子を眺めていると、殺気を感じて慌てて跳んだ。
すると今まで居た木が爆発する。

「……危ないなぁ、挨拶がこれ?」
「五月蝿いわ」

高飛車なお嬢様口調に口端を吊り上げればきつくこちらを睨むアイツの姿。

「何? 僕、今回は何もしてないはずなんだけど?」
「邪魔しないよう言われたからよ」
「……八つ当たり?」
「ッ!!」

容赦なく投げられた爆弾を弾いて仕返しとばかりに短刀を投げた。
大きな舌打ちをして避ける百合原に少し心が踊る。
なんだかんだで自分もこの闇の住人なんだと自覚すると同時に少し哀しくなった。

『——飛曇ちゃんは闇の世界よりこっちのが合ってるよ』

不意にあの人の言葉が聞こえてきて僕は目を細めた。
……正直あの子は外国から来たというが本当は嘘なんじゃないかと思ってる。
外人にしては言葉は上手いし、この国の情勢に詳し過ぎる。

それに、平和を望んでいる。
今、この乱世を生きる全ての者の平和を。

でも、もし平和になったら…僕はどこに生けばいいのだろうか……


「——……ッこの馬鹿共ぉぉおおっ!!」


その声は急にふってきた。
さっきまで考えていた彼女の声に相模と紅月動きを止め、つられるように皆が動きを止めていく。
百合原が「……生きていたのね……」と小さく呟いた。


「あんた達もう、いい加減にして! この場にいる全員が同じ事を望んでることに何故気付かないの!?」


そう言いながら屋根の上にはい上がっていくシズカちゃん。彼女は暗殺者でも、武将でもなく、ただの一般人。身体能力も平均だ。


「神子!」
「神子どん! 危なかとよ!!」
「うるさい!」


火野と、火野と刃を交えていた小山が制止をかけたがうるさいの一言で片付けられた。
彼女は腰が引けながらも立ち上がる。


「私は昔から皆が好きだった! 皆の笑顔が好きだった! 私がこの時代に来た理由——それは私の望んだ世界を創るための、最初で最後の可能性に導かれたから!
あっちの世界では私は、雷次と風浪みたいに心から信頼できる家族はいなかった!
言葉を溜め込んでた私の心は荒んでて、一時どうでもいいと思ってた!
だけど、それでも皆は私に優しくしてくれた!
死ぬな、生きろと私に生を促してくれた!!
だから私は皆を救いたいと思った!
皆が言ったように私も皆に生きてほしい!
それが私の信念!
今、この乱世を生きる私の生きる意味だった!」


誰も動かない中、僕はまた、静かに目を細めた。

『あっちの世界』……? あぁ、なんだ違う世界って事か……やっぱり外人じゃなかったんじゃん。
ま、何となく分かってたけどね。

それより、あの人の思い描く世界はなんて甘いんだろうか。

神子さんがどんな世界で生きてきたのか知らないけど、ここは乱世。
そんな甘ったるい考えなんか通用しないだろう。

理想だけじゃ何も変わりはしないんだよ。考え方が根本的に違うんだから……

「もう一度問う! 何故戦うの!? 何故この国の頂点を狙うの!? 国の長は一人じゃなきゃいけないの!?」

僕は更に眉を寄せた。他人から見れば相当険しい顔だったに違いない。

戦う理由なんて人それぞれだし、何故天下を狙うのかと聞かれても困る。

僕が戦うのは食いぶちを手に入れるためだ。
自分は天下とか正直どうでもいい。

それに国の長が二人も三人もいたら政治はだれがするんだ。


「何をややこしく考えているの?……この国々を統一するのではなくて、このまま一つの国にしてしまえば、誰も戦でひもじくなったりしないし命を落とす必要も無くなるじゃない!」


なにを……が、ふと思った。
国を無くして各地方を現武将達が治めてしまえば良いのではないか。

……そうか。彼女はいつでも自分達を思っていてくれていたのだ。最善の方へ、方へと世が進むよう影を暗躍していた。

知らず知らずに俯いていた視線をゆっくり上げると悲しげに微笑む彼女の向こうに影が一つ揺らぐ。


「ッ!!」


揺らめく姿、それは魔女だ。彼は全身を血に濁らせ、魔女の右手には蒼い馬に乗った騎士が彼女に手を伸ばしていた。
彼女は魔女の姿に気付かない。



「……だから私は……!!」


「神子さん!!」


僕は叫んだ。
石動、火野、大釜が彼女の居る屋根へ乗り移る。

神子さんの瞳が光を失って糸が切れたように倒れこむ。

全て、ゆっくりとした動作だった。

彼女が、小さく何かを呟いて傾く。

それを大釜が支えた。

魔女が 嗤う。


「……ふ、はは、あははは! やった……!! やったわ……!! これで、残月の心を占める邪魔なモノは……ふふ、ふふふふ……あははははは!!」


神子さん越しに上の屋根を見てみれば屋根から滴る紅と茶髪。上向きは武器である数本のナイフは折れ、コンクリートを砕いて突き刺さっていた。
人だったそれは何も言わず無言で月を見上げている。

——……襲撃、失敗ね……



何故この女が襲撃を起こしたのか、とかどうでもいい。

それより魔女だ。
今、大釜の腕の中で血を流し、小さな命の灯を消そうとした男。


魔女の操る蒼騎士の手にかかったとなれば、恐らく生きながらえない。

悲しいという感情は湧いてこなかった。ただ、憎くて堪らない……

大釜は神子さんを支えながら剣を構えた。が、ふと切りかかることをやめた。


無地で緑色のパジャマを着た中性的な誰か……名前は確か築茂青葉。
築茂が現れた部屋から境 残月が魔女を素早く切り付けたからだ。

鈍い悲鳴をあげて魔女は倒れた。瓦を伝って鮮血が流れていく。

その血は彼女のとは全く違う……薄汚い紅だった。














消えたまえ魔女よ
(彼女の救いを断ったことが間違っていたのだろう)

Re: 【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】 ( No.141 )
日時: 2011/09/11 15:48
名前: 華京 (ID: jklXnNcU)

絶望、とはこういう事を云うのだろう。

「…………?」
「神子!」

俺が瓦の上に横たえれば、彼女は静かに目を開いた。
おそらく、魔女が死んだ事によって青騎士の能力の効き目が弱まっているのだろう。
彼女の虚ろな瞳に映るのは、まぁるい、まぁるい、白い月。漆黒の瞳にはあまりに鮮やか過ぎる白。

「……み……つき……は?」
「……失敗した。陽種……いや、魔女に、負けた……」
「そ……う……」

彼女は眉を寄せて泣きそうに顔を歪めるもどこか喜色を含んだ、という不思議な表情をすると口を動かす。

「……さん……げつ……」
「——なんだ」

珍しく、残月が眉をハの字にして懸命に話を聞こうと軽く身を乗り出す。
次の言葉を紡ごうと、彼女が口を動かす中、残月と同じ窓から二野神の弟が出て来て顔を青くさせた。

「おい、コレッ……」
「黙れ! 聞こえない!」

二野神弟を黙らせると全員で耳をすませる。

「……ざん、げつ……ありが…と」
「………!?」

残月はそれを聞いて驚愕で目を見開いた。
半歩下がって黙った残月に変わって二野神弟が口を開く。

「なんでだ!? コイツはお前を監禁してたんだぞ!?」
「………………」

ツッコミたい所は多々あるが、俺は先を促す為黙る。

「……ざんげ……つのおか、げで、わたし、生きて、みんな……止め、れた……から…………」


成る程。俺は一人納得した。
残月は魔女と協力していた訳ではなく、彼女を守る為監禁した……
まぁ、彼が魔女と手を組むなんてありえない事だったのだが、気が動転していたらしい。
神子が一人でいたら、全国の武将を戦わせて自滅させる為と、憎しみのあまり魔女ならさっさと殺していたはずだ。
それをしなかったのは、彼女の消息が、絶たれたから。

なかなか粋なことするな、アイツも。
そう思って俺は残月を見た。彼の顔は赤い。
彼が感情を取り戻したのは、おそらく、神子のおかげだろう。

「……あおばと、ひづみ、も…居るよね…………?」
「————………うん」
疑問形で問うてきたという事は目が見えていないのだろう。それを解ってか口を開いた。
嬉しそうに笑う彼女の髪を愛おし気に撫でながら築茂は言った。

「……なんか、望むもの、ある……?」
「のぞ……み?」

神子は少し間を空けて答えた。

「みん……なの……つく、た……へぃ……わの……世……」

ゆっくり目が閉じられていく。俺は一度神子を軽く揺する。

「ざ、げつ……ありが、と……」

声がとぎれとぎれで聞き取りづらい。でも、聞かなければならない。彼女の最期の言葉を。引き継がなければいけない、彼女の意志を。
限界が近いのか、口から血の泡が立っていた。



「……み……な……ごめ……わたし……たす、け、れな……か……—————」



そんなこと、ない……そう言った俺の言葉は届いたのか、届かなかったのか。

彼女は瞳を閉じきった。彼女から溢れ出た血は屋根を真っ赤に染め上げ続ける。俺の服も、なにもかも、すべて。




「———……み、こ……?」




もういきをしないかのじょはほたるのようないろのりゅうしとともにそらへとけた。










あっさりした死に生温い血だけが生々しく
(夜の空に溶けて逝った)

Re: 【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】 ( No.142 )
日時: 2011/09/16 06:35
名前: 華京 (ID: jklXnNcU)

雀声がした。

ゆっくり目を開けると、見慣れたテレビの画面に見慣れた廃墟となったビルの真ん中でリリスを抱きかかえる雀がいる。

体を起こして周りを見回すと窓から覗く太陽と照らされたコンクリートジャングル。

ついでに白いタオルと干したばかりの布団。
火にかけっぱなしのヤカンからは蒸気は出ていない。
机の上にはインスタントコーヒー、そしてシフォンケーキが置いてある。

「帰ってきた……?」

立ち上がって手を握ると爪が手の平に食い込んで痛い。そうか、私は帰って来てしまったのか。

皆を救うことも出来ず、あの世の結末を見ることも無く。
原因は解っていた。私は負けてしまったのだ。
魔女との賭けに。

『———……それで私に何を持ち掛けるのかしら?』
『……もし、私が負けたら貴方は私を狙えばいい。ただ、私が勝ったら私を、残月を諦めて下さい。』

『…………、その勝負とは何なのかしら?』
『———…全国の英雄達を私が説得できるか、否か。』



私は負けてしまったのだ。
誰でも無く、神埼美月に。
私は彼女を説得できなかった。
奇襲を起こしてしまったのだ。

だから、私は刺された。
魔女にあっちの世界の私は殺されてしまって帰ってきた。
渇いたわらいが込み上げてくる。

「ク、ハハ……私も所詮偽善者ね……!」

結局、理想を言うだけで終わってしまったではないか。
結局、誰も救えぬまま終わってしまったのだ、偽善者と罵られて当たり前だ。

『リリス、俺とともに行くぞ』

そんな雀の言葉で現実に戻った私はWiiの電源を落とした。
テレビが黒くなって私はテレビの主電源を切る。
台所でまだ沸騰していないヤカンの火を止めてついでにサランラップに手を伸ばした。
シフォンケーキにサランラップをかけると、私はリビングに背を向けて寝室へ向かう。

まだお昼にすらなっていない時間だが、酷く疲れた。
それに、

私は一度足を止め視線を下げる。

「……………」

今、KATANAをやる気が起きない。なんだか涙腺が緩くなっているようだ。
みんなの笑顔を思うと視界が濁る。

流れた涙を拭って私はベットへ潜り込んだ。










夢幻の如く也

Re: 【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】 ( No.143 )
日時: 2011/09/24 09:59
名前: 真帆 ◆130cPao4dM (ID: ozjjHAkx)

面白いです!
主人公(っていってもいいのかな?)負けてしまったのははぅあでしたけど、
思いは伝わったとおもいます♪

とかいうなぜだろう上から←


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