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死神の懺悔
日時: 2011/08/11 23:08
名前: 比泉 紅蓮淡(ヒイズミ グレンダン) (ID: ID28wqen)

駄作一直線!

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Re: 死神の懺悔 ( No.13 )
日時: 2011/08/16 03:09
名前: 比泉 紅蓮淡(ヒイズミ グレンダン) (ID: ID28wqen)

だが、同時に気づいた。

雨が降っていたことに。

それも土砂降りだった。

少女はずぶ濡れになった状態でずかずかと入ってきたのだ。

そしてなぜか裸足。

なんだ。

不思議ちゃんでも装ってるつもりか?

「俺には障害児にしか見えないぜ。それか精神異常者か何か———ドゥッ!?」

近づくと思いっきりど突かれた。綺麗に溝に入って中身を吐き出しそうになる。

「まずい・・・リバースの頃合か・・・・!?」

我ながら情けない。

こんな状況下を姉に見られれば絞め殺されるほどではすまないだろう。

というか、この女ナニシテル・・・?

「・・・・・・・・・・・・・」

当たりをキョロキョロと見回している。

一向にしゃべらないし話しかけようとすると溝打ちしてくるし、今日はなんという災厄日か。

そう思った。

軽く胃液を床に吐き出した状態で自分が自然とかがんでいることに気づく。

こんな女に打ちのめされたのかと思う半分こいつが本当に死神なのか疑問視もついてきた。

「・・・・・・・・・・・・・・られる」

「は?」

不意にわけのわからないことを言ったため反応に遅れた。

「なんつったお前」

「殺される」

「・・・・あ?」

訳の分からんことを言ってんじゃないよ。

そうツッコミたくなった。

俺はボディーガードなんぞ引き受けんぞ。

選ぶところも国も間違えたんじゃないか?

日本じゃ傭兵業が盛んだと思うなよ外国人。

そう叫んでやりたかったがさっきのダメージが響いたため断念。

ああ・・・・・・・・情けねえ。

Re: 死神の懺悔 ( No.14 )
日時: 2011/08/16 03:34
名前: 比泉 紅蓮淡(ヒイズミ グレンダン) (ID: ID28wqen)

「・・・・・・・・・・・Where did the memory go?」

「おいちょっと待てや、英語なんて言ってごまかしたって俺は」

そう言って立ち上がって気づいた。

自分が生前英語に精通していたことに。

「今さっきなんつった・・・・?」

記憶の中で蒸し返す。

少女は勝手に、俺の寝室は入り込み何かを探索し始める。

(———「・・・・・・・・・・・Where did the memory go?」———)

「・・・・・・記憶はどこへ行った・・・」

おい。

咄嗟に思い当たる節があった。

同時に少女の行動が何を指しているかを理解した。

「ふざけんなよテメェ!なにやってんだ!?」

俺がベッドの裏に封印していた書類。

茶封等に入れて封印した禁書を今まさに引きずり出そうとしていた。

『絶対に見られるな』

朱書きまでされた茶封等を惜しげもなく取り出し解禁しようとする少女を思いっきり蹴り上げる。

「ふざけんじゃねえぞクソッタレ!!こんなもの他人に見せていいことなんかないんだよ!!」

蹴り飛ばされて壁に頭を打った少女はそれでも平然と近づいてくる。

「だいたいお前どこの誰だ!?勝手に上がり込んで人の家あさりやがって!?」

そこで出た言葉は、

「17歳」

という言葉だった。

「年は聞いてない。名前を聞いて———」

「Eva」

あ?

「Eva・Bleichman」

エヴァ・ブレイフマン。

そう言った。

「ロシア名・・・って」

言葉が詰まったが同時にはっきり顔を見たため見とれてしまった。

ああ・・・・・俺はやっぱ場違いな人間なんだろうか。

「記憶が足りない」

「何言ってんだよ」

「私はあと数十秒後に殺される」

「あ?わけわかんねえこと言ってんじゃねえよ」

殺される?

いきなり日本語でベラベラ喋りやがって・・・・一応しゃべれるんじゃないか。

って違う。

そんな話じゃない。

この少女は、いや違うな。

エヴァ・ブレイフマンは何を言っている?

「それを助けることはできるのか。というか、聞かせろひとつだけ」

「・・・・・・・・・・」

「お前は死神じゃないんだな・・・・俺を殺しに来たんじゃないんだいな?」

「あと二十秒」

「おい!分かったから!なんとか言え!何だ!?何が望みだ!?記憶か!?これを見たいのか!!ならくれてやる!」

目の前で女の子が惨殺されるのを観察する悪趣味はないし通報なんてこともしたくない。

汚れ役は買いたくはないのだ。誰だって。

「私と魂の契約を果たすことでそれは防がれる」

「じゃあ、お前なんでこれを欲しがってた!?」

奪い取った封筒を見せつけながら叫ぶ。

それでもエヴァは俺と目を合わせないし無視をする。

「あと十秒」

「くそ・・・・・・・・!!!」

もうヤケクソだ。

「いいぜ・・・くれてやるよ!?やるから!!魂だろ!?契約って何するんだ!!??」

ニヤリとエヴァは笑った。

端正な顔が一瞬歪んだ。

ハッキリ見えた。

今の俺の一言が鍵になったのかもしれない。

俺が考えていた契約とか言う儀式の理想論とは裏腹にマジ物の契約とやらが一瞬で発動された。

それはほんの一瞬、

一閃、

刹那———

「えっ————」

黒い閃光となって俺の胸を突いた。

貫通した。

同時に俺の死を確実なものと神様は約束してくれた、かのように見えた。

いや・・・・・これは。




「本当に馬鹿な・・・・人間」

死ぬ間際には走馬灯が蘇るとは言うが俺には残酷な少女の笑みしか見えなかった。

倒れる間際に聞いた言葉を聞いて確信した。

神様は約束はしてはくれなかった。

安寧を。



死を約束してくれたのは死神だった。


ああ。

だからこそ、

死 神


ねぇ・・・・・・。なんてこった。

Re: 死神の懺悔 ( No.15 )
日時: 2011/08/16 12:26
名前: 比泉 紅蓮淡(ヒイズミ グレンダン) (ID: ID28wqen)

「死にましたね」


唐突にそんなことを言われた。

その前に『また』とか言われた気がするが気の生徒思っておく。

「なにが」

「二回目です」

うわ・・・・。

「やっぱまぐれじゃないんだな」

何もない真っ白な空間で寝転がっていたがその重い上体も腹筋の力で持ち上げる。

「はい。あなたはまた死にました」

よりにもよって俺が聞き逃した言葉を・・・。

この女は性根が悪いんだな。

とことん。

「私の名前は・・・ちゃんと覚えてますよね?」

確か。

ヴァルキュリアだっけ。

コードネーム。

Re: 死神の懺悔 ( No.16 )
日時: 2011/08/16 12:49
名前: 比泉 紅蓮淡(ヒイズミ グレンダン) (ID: ID28wqen)

「はい、ちゃんと言えましたね」

園児を相手にするがごとく話しかけてくる。

俺の周りの人間はどれもムカツク。

「愛言葉だと言ったでしょう?」

「漢字間違ってるぞ」

漢字どころか感じが変わる。

「あなたが死んだ事については無問題ですが———」

無問題なのかよ。

そんな平凡なツッコミをヴァルキュリアは待たない。

「その肉体・・・・使い心地はどうですか」

天使が微笑んだ。

違う。天使のような、とか俺にとって、とかそんな意味でなく真面目な意味でこいつは天使だ。

そうファンタジー風に言えば職業だ。

ステータスとも言うか。

とにかくだ。

世の中にはちゃんと天界も地獄もある。

故にそれを取り仕切る奴らもいる。

その一角がこいつだ。

「最高だ」

「あらら冗談が下手ですね」

笑って返された。わかってるなら聞くんじゃない。

「前の方ならもっと嘘が上手でしたよ?」

詐欺師だろ。

「紳士ですよ」

ヴァルキュリアと呼ばれるこの女。

特徴的な銀なのか白なのか分からない長い髪。

目も白銀なのか白っぽいのかよく分からない。

穢れのないってニュアンスは伝わるが、こう何もかも白いと怖いと感じるときがある。だがそんなことは暗闇でのひととき。

こいつと接触するのはこういう場面以外考えられないから何も問題はない。

「ていうか。やっぱここって天界なのか。俺どこに行くの?」

「天界と言うより検問所ですよ」

やはり優しい笑い方しかこの女はしない。可愛いが今はそんなスマイルは求めてないんだ。

Re: 死神の懺悔 ( No.17 )
日時: 2011/08/16 13:01
名前: 比泉 紅蓮淡(ヒイズミ グレンダン) (ID: ID28wqen)

「で、俺はその検問にかかったのか?」

「ええ。今朝見てみるとビックリでしたよ」

嘘が下手だぞ。

「あれ・・・結構うまく笑ったつもりなんですけどねぇ」

いつも笑ってて不自然に思われないと思っているのか。

「それで・・・・死なせてくれるか?」

今度こそ。

「それは、無理な話ですね」

いきなり閉じていたまぶたを開き切れ長な目を開く。

この女にも仕事があるのか。

「大天使様の命は絶対なので」

上意ってやつか。

「あの子供。いえあなたと同い年くらいの子でしたか」

知りませんそんな話。

「奴は同じような手口で人を殺しまわってる死神ですよ」

聴きたくないワードが耳をつんざいた。

「あら・・・聴きたくなかったですか」

楽しむように、からかいを覚えた天使は顔を伏せた俺をのぞき込んでくる。

「・・・・・・・・・・・それがどうした」


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