ダーク・ファンタジー小説

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イギリスからの使者
日時: 2013/08/09 09:39
名前: 牟川 (ID: tgcfolY3)

普段は複雑・ファジーで投稿させてもらっている者です。向こうではレメリアンズムと言う小説を書かせてもらっていますがネタ切れに陥りちょうど原稿用紙に書いていた本作を投稿することにしました。向こうの作品も時々更新しますし,こちらもできるだけ早く更新するのでよろしくお願いします。

尚,本作には歴史が絡んできますが3分2は作者の考えた架空のできごとです。ですので,実際の史実どうりの場合もありますが,ほとんどがまったく関係の無い出来事です。

簡単な作品説明 本作は途中分岐があります。A編,B編,C編があり,それぞれ主人公が違います。ですから,A編だけ読むの良いし,B編だけ読むのも結構です。A編は序章の100年後で,序章には直接関わっておりません。B編も序章の100年後ですが序章の主人公の100年後の姿がB編の主人公です。つまり,序章とB編の主人公は同じです。(A)−がA編で,(B)−がB編です。


序章はB編が始まったら読めば話がまとまるかもしれません。(一応A編の序章でもあるのですが。)

 

Re: イギリスからの使者 ( No.41 )
日時: 2013/12/13 20:44
名前: 牟川 ◆mgGfGI6Kaw (ID: hQv1ULP5)


(A)− 第17話①  犠牲 「上」←(最近ネタが・・・)

「と言うことで、彼ら陸圧隊に部屋を貸してあげて」

 メアリー会長はラメリー校長にそう命じた。それからすぐにラメリー校長の案内で陸圧隊の面々は自分らの部屋へ向かった。俺としてはまだいろいろと陸圧隊に聞きたかったことがあったのだが、俺はこれから探偵部の部室で今後の対応についての会議に参加しなければならないので、またの機会に話すことにした。

「とり合えず、殲滅鬼が動き出したと言うことはかなりやばい事態よ」
「メアリー会長はこれからどうするんです? 」
「それを今から話し合うのでしょ」

 メアリー会長の表情を見るとかなり疲れきっているようだった。それほど、今回の事件は重大な危機であることが改めてわかる。とり合えず、ちょっとした話でもしながら探偵部の部室まで移動することにした。

「殲滅鬼に弱点って無いのですよね」
「無いわよ」

 俺が殲滅鬼の弱点について聞くとメアリー会長は「無い」と即答した。しかし、

「でも弱点の1つや2つくらい有ってほしいわ」

 メアリー会長も俺も殲滅鬼に弱点でも有ってほしいと言う気持ちは同じだった。

「時間があれば殲滅鬼の弱点でも探ってみたいところだけど、私は近いうちに殲滅鬼は何かでかいことをすると思うわ」

 今、メアリー会長が言ったことに俺は何か嫌な予感がした。

「どういうことですか? 」
「後で会議で話すつもりだけど、・・・殲滅鬼は世界を滅ぼすつもりなのよ。そろそろね」
「・・・世界を、滅ぼす? 」

 ・・・ 。

「そうよ、突然すぎだけど私は知っているのよ」


第17話①  犠牲 「上」 完
次回 第17話②

Re: イギリスからの使者 ( No.42 )
日時: 2013/12/15 16:50
名前: 牟川 ◆mgGfGI6Kaw (ID: hQv1ULP5)

(A)− 第17話②  犠牲 「下」 


「そうよ、突然すぎだけど私は知っているのよ」
「何を・・・ですか? 」

 気づけば、メアリー会長は手をぎゅっと握り締めていたうえ、目からは涙を浮かべていた。



 ※ ※ ※


 まだメアリーが日本の制度であれば中学1年生くらいのことである。メアリーと妹のメイリンの母は1年前に亡くなっており、メアリーの家族にとってはようやく悲しみが落ち着いてきた頃でもある時だ。

「メアリー、魔法騎士団入団おめでとう! 父さんはうれしいあまりだ」

 この日、メアリーはロンドン魔法騎士団から入団許可書が届いたのである。それを聞いたメアリーの父は涙を流すほど嬉かったらしく、結局その場で、メアリーの前で大泣きしてしまったほどだ。

「これでメアリーとも一緒に仕事できるな、父さん嬉しいよ」
「お父さん、そんなにうれしすぎだよ2回も嬉しいって言ったね」

 メアリーの父は魔法騎士団の上級正騎士で、そのため、メアリーは父の勧めがきっかけで魔法騎士団を志願したのである。この時、メアリーとメイリンに悲劇が起こるとは誰もわからなかった。

「さて、メアリーは今からメイリンを迎えに行ってくれないか? 」
「えっ? どうしたのお父さん、もしかしてメイリンに何かあったの」
「いや、特に何も無いと思うよ。ほれ、たまには姉妹で仲良く話しでもしてくれば良いだろう。メイリンはそろそろ駅に着く頃だしな」

 この日、妹のメイリンは祖父の家に日帰りで行っており、夕方に帰ってくる予定であった。そして今日は珍しくメアリーの父はメイリン迎えに行くようメアリーに言ったのである。別に、メイリンは1人で家まで帰ってこれるのだが。

「メイリンはまだお前が入団することは知らないのだし、迎えに行って教えてやれな」
「うん、わかったわ」



 ※ ※ ※



「それで、メアリー会長は駅まで行ったのですか」
「そう、そして後で家に帰ったら・・・いや、今日はここまでにしましょう。もう探偵部の部室まで着いたし」

 メアリー会長はそう言って、部室のドアを開けた。

「ほら、タチニチもボーっとしないで部室に入りなさい」
「はい」

 そして、殲滅鬼に対する作戦会議が始まった。

第17話②  犠牲 「下」 完
次回18話

Re: イギリスからの使者 ( No.43 )
日時: 2014/03/17 16:13
名前: 牟川 ◆mgGfGI6Kaw (ID: GgxfwrUK)

(A)−第18話 作戦会議

「では早速、先ほど現れた殲滅鬼に対しての作戦会議を行います」

 メアリー会長の言葉で、会議が始まった。

「正直なところ、殲滅鬼を倒すことは不可能・・・そして、ロシア魔法軍団の動向も気になるから、殲滅鬼だけを相手にすることも出来ないのよ」

 この時点で、俺は会議にすらならないと感じていた。つまり、会議なんてしても殲滅鬼をどうにかできる案など出るわけが無いだろうと思ったからだ。だが、以外にもローレンスが挙手した。

「殲滅鬼の弱みを握るとか・・・どうよ」

 弱点ではなく、弱みを握る。仮に、殲滅鬼に何か後ろめたいことがあったとしても、普通の人間なら焦るとは思うが、恐らく殲滅鬼はその程度のことでは動じないのではないかと、俺は心の中で、反論した。

「仮に、ローレンス君の言うとおりに、殲滅鬼に何らかの弱みがあっても、奴は気にしないと思うわ・・・すでに、破壊するだけが快感っぽいからね」

 メアリー会長も俺と同じ考えだったようだ。ローレンスは、まだ意見があったようで、

「それが、血のつながる妹を人質にとっても・・・い、いや、こんなこと言うべきじゃないな」
「妹を人質にしても、無視するわよ。それは、妹本人がよく知っていることよ」

 と、メアリーの即答によって、とうとうローレンスには意見もなくなったようである。因みに、殲滅鬼の妹はラメリー校長であることは、皆さん知っているようだった。

「で、では何か交渉で済ますとか・・・」

 次に発言したのは、美紀だ。

「奴にとって良い条件が揃えば、もしかしたらいけるかもしれない。でも、今はあまり時間がないのよ。そんな条件をゆっくり探している暇はないわ」
「そ、そうですか・・・」 

 そして、探偵部部長のシャル先輩が口を開いた。

「では、私に彼女の弱みを探すことを許可してください」

 シャル先輩は、前の2人とは違って、案を言うのではなく実力行使の許可願いであった。意外と参謀よりは部隊長向きだったりするのかもしれない。

「そうね、じゃあシャルともう一人くらい、そっちの調査の担当に付けさせても良いわ」
「ありがとうございます」

 メアリー会長は、何故かあさっりと許可したのであった。そして、その担当はシャル先輩と、メアリーの会長の妹であるメイリンに決まったのであった。

「じゃあ、タチニチ。何か良い案ない? 」

 そして、メアリー会長は最後は俺に意見を求めた。とりあえず俺も短時間、頭の中で思考錯誤した結果、

「・・・殲滅鬼に対して、奇襲攻撃するのはどうでしょうかね? 」
「一般的には良い案かもしれないけど、殲滅鬼に対しては愚策としか言えないわね」
「・・・そうですよね」
 
 結局、俺の思ったとおり良い案など出ずに、会議など茶番で終わってしまったのである。

「みんな、今日はありがとう。あまり良い案は無かったけど、こうやって何度も会議を重ねることによって意外といけそうな案とか出てくるものだから、今後も続けていくわ」

 ということで、解散したのであった。




第18話 作戦会議 完

次回、第19話



Re: イギリスからの使者 ( No.44 )
日時: 2014/04/17 00:49
名前: 牟川 ◆mgGfGI6Kaw (ID: GgxfwrUK)

番外編 ・・・・老人と少年(本編とはあまり関係ない・・・話はつながっていませんので短編としてお読みください)



 老人と少年がいた。少年は、魔法と言う特殊な能力を使うことができ、「魔法組合」と言う組織の構成員であり、「魔法組合」とは、慈善活動などを行うことを目的とした組織である。その少年は、老人へ質問をした。
 

「じゃあ、あなたはロンドン魔法騎士団という組織の方なのですね? 」
「そうだよ。今ではあまり知られた組織ではないが、昔から続いている由緒ただしい組織であることは間違いないよ」

 老人は「ロンドン魔法騎士団」の騎士である。イギリスのロンドンを本拠地とする魔法騎士団で、かつては、魔法と言えば「ロンドン魔法騎士団」と言われたぐらいだが、今ではその組織を知るものなど、「魔法組合」の人間でもほとんど居ない。

「そうなのですか、じゃあ、魔法組合とは何も関係ないのですか? 」
「組織的には関係ないけれど、魔法組合が結成された背景には、ロンドン魔法騎士団も関わっている。魔王はね、存在しないのだよ」
「えっ? 」

 老人は、昔のことを思い出すかのように、空を眺めていた。


 
番外編 完

Re: イギリスからの使者 ( No.45 )
日時: 2014/04/24 00:29
名前: 牟川 ◆mgGfGI6Kaw (ID: GgxfwrUK)


第19話 前夜の来客

 茶番といえるであろう探偵部の作戦会議は、すでに3回目に突入しようとしていた。最初の作戦会議から、すでに5日経っていたのだ。だが、今回ばかりは茶番ではなく、本格的な会議になるかもしれないという期待があった。なぜかと言えば、今この探偵部の部室には、俺の義父である新木太平、その人がいるからである。

「しかし、魔法を使う組織が本当にあったとはね、たまげたものだよ」
「父さん・・・・・・今はそれどころでは無いんだけれど」

 メアリー会長が、陸上制圧隊の総司令たる俺の義父と会談を行いたいと申し出たため、義父は遠路はるばるこのロンドンへやって来たのであった。因みに、メアリー会長も義父も、お互いに組織のトップであることには違いなく、国同士の首脳会談に近いものとも言える。

「さて、ええ・・・・・・ロンドン魔法騎士団騎士団統括団長のメアリー魔法伯爵閣下でしたよね。およそのことは判りますが、今回はどのようなご用件で私を呼んだのでしょうか」

 と、空気は真面目なものへと一気に変わっていった。そしてメアリー会長が言う。

「内閣付き陸上制圧隊総司令の新木太平殿、本来はこの件をお話しするわけでは無かったのですが、緊急事態のため、ご容赦ください。これを言うと話が長くなりますが、最近になって殲滅鬼と呼ばれている者が再び行動を始めたのです」
「殲滅鬼? 」

 メアリー会長は、俺の義父に殲滅鬼について長々と説明を始めた。一瞬でワルシャワの基地を破壊したこと、そして殲滅鬼には弱点がないことなど等々である。だが、義父が最も興味を引いたのは、あの旧日本軍の基地を襲撃事件のことである。あの事件は義父が特高警察時代に捜査して、今の義父の立場の「原点」ともなったものだ。そして、その襲撃事件の犯人は、殲滅鬼である。

「長い間捜査して来て、このロンドンにあると思われる何らかの組織、もしくはロシアにあると思われる何らかの組織に関与しているとは思っていたよ」
「ええ、殲滅鬼の名ははレメリーといいますが、その双子の姉妹のラメリーはこの学校の校長です」
「なるほどな・・・・・・それはともかくだ。これを知った以上は私も決断しなければならない。もしその殲滅鬼が日本に現れるとしたら、陸上制圧隊はそれを排除、もしくは捕獲することになるであろうが、キミらが言うにはその殲滅鬼には弱点がないと言うことか」

 殲滅鬼に弱点がないのは、メアリー会長やラメリー校長の話を聞く限り、恐らく事実であると俺も思う。仮にその話しが噓だとしても、取り合えず俺が敵う相手ではないことだけは確かだ。

「ところで、イリィ=シュタイナーと言う者は知らないかな? 」

 突然話は変わり、何故か義父のイリィの名前が出てきた。

「イリィは私の専属の部下です・・・・・・」
「なるほど、実は陸圧隊のほうで身柄を預からせて貰っていたが、先日、解放したからご安心を」
「そうですか、ありがとうございます。恐らく今頃、彼女は他の騎士とともに日本でロシア魔法軍団の動向監視に復帰していると思います」

・・・・・・。

 それから、少しして、会談は終わった。今回、この会談に参加していたのは、俺、ローレンス、シャル先輩、美紀、メイリン、そして俺の義父の大平とメアリー会長だったが、義父とメアリー会長以外、誰も喋らなかった。

「あら、噂をすればイリィからだわ」

そう言ってメアリー会長が、連絡用に使われる魔法アイテムを取り出した。
・・・・・・そのころ、日本では緊急事態になっていたのだ。


※ 日本国神奈川県横浜市

「大変だ! ロシア魔法軍団の連中と思われる大勢の魔法使いたちが動き出したぞ」

 今、この横浜にはイリィを筆頭に30名ほどのロンドン魔法騎士団の従騎士たちがいた。ロシア魔法軍団の動向を監視していた矢先、そのロシア魔法軍団と思われる一団が動き出したのである。

「私はすぐに、メアリー先輩に報告します。他の方たちは応戦の準備を」

 イリィは連絡用の魔法アイテムを使って、メアリーの現状を詳しく丁寧に伝え、指示をあおった。そのころメアリーたちはちょうどのタイミングで会議を終わらせていたころであり、幸いにも運がよいとも言える。

「了解、一度撤退ですね。わかりました」

 メアリーからの指示は、現場から少し離れたところへ撤退することであった。戦術的にも人命を考えても、ほぼ当然の判断である。

※横浜市某所

 ロシア魔法軍団の大規模な拠点が、この横浜にはあった。その拠点の中で、第2軍団長(司令)のスタリンコフは部下から報告を受けていた。

「第2軍団長スタリンコフ閣下へ、報告します。全軍団総裁ウラジミル閣下より、3日後には第3軍団、6日後には第4軍団の増援が到着するとのことであります」
「報告ご苦労。ところで、イギリス紳士どもの動向は? 」
「はっ、現在のところ小規模な集団をここ横浜で察知しました。それと、これはあくまで予測の域ですが、例の魔女も横浜に紛れているという話しもあります」
「・・・・・・そうか、ならば予定通りことを起こすのは増援が来てからにしよう」

 
第19話 前夜の来客 完

次回、第20話



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