ダーク・ファンタジー小説
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- Lost School【第二章準備中】
- 日時: 2016/07/24 15:11
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
初めまして、ロストと申します! 稚拙な文章ではありますが、温かく見守っていただければ幸いです^^
とある公立高校のとあるクラス。彼らが紡いだ物語は語られることなくその姿を消す。
————これは、少年少女たちの青春と恐怖の物語である。
b;ft;ot@a9h/yr.k\esdkmkt@qlw@3.→これは彼らが直面する呪いと死の物語である。
tl7/efcbie.→狩矢冥はそこにいる
目次
不知火中等教育学校4年4組名簿&キャラ紹介
>>52-53
作者コメント
>>6 >>13 >>19 >>26 >>32 >>38 >>44 >>50 >>56 >>62 >>66
作中論文
>>16 >>33-34 >>58
序章 A Peaceful Days
>>1-5 >>7-12 >>14-18 >>20-23 >>25 >>27-31 >>33-37 >>39-43 >>45-49
Before the story begins 〜A conversation〜
>>51
第一章 ある平和な日
>>54-55 >>57-61 >>63-65
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.59 )
- 日時: 2016/07/11 07:29
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日AM8:30 同所 point:楠炎真
クラスメートがほぼ全員集まった。ほぼ……というからには来てない奴がいる。それは紅崎だ。まあ、遅刻なんて誰でもするだろう。
「お、先生来たぞ」
そう誰かが言うと、さっきまでワイワイ言ってた教室内が急に静かになる。
そして、件の先生が入ってきた。
凛とした顔立ちの女性。恐らく腰まであるであろう黒髪をポニーテールでまとめていて、前髪は左が長く、右が短いという奇抜な形だ。紅崎と違って両目をきちんと出している。
彼女こそ4年4組の担任、藤谷美恵子(ふじたにみえこ)である。自称25歳。黒のレディーススーツを身に纏い——まったく、色気の無い。折角の美人アンド巨乳なのに。
ってこれ、前にも言った気がするぞ。デジャヴ?
「ほいほい、HR始めるよー」
相変わらず口調が残念だ。
「なんだみんな、元気なさそうだな」
あるかそんなもん。
さて、そこの君に問いたい。今日は何月何日だ? そう、12月23日——祝日であるっ!!
そう、祝日登校……学生へのいじめだ。オーボーだ!
「今日は休日登校ね。まあ、だからといって何か特別なことがあるわけじゃないんだけど。さ、今日も1日頑張ろう!」
あちこちからため息が聞こえる。
「ほーら、ため息吐かない。私だって給料出なかったら祝日に学校なんて来ないわよ」
俺らはその給料すら出ないんだよ!
「まあ、今日が終われば明日はクリスマスイヴ。どーせ男女でイチャつくんだから我慢しなさい。明日も学校だけどね!!」
止めてくれ、恋人いない勢(俺含む)がすんげぇ顔で睨んでるぞ。
「んじゃ、頑張ってねー」
そう言いながら、藤谷先生はウインクしながら教室を出て行った。
これが朝礼だってんだからあの教師はふざけてる。
クラスメートたちは各々自由に動き出し、自由に愚痴を言ったりしている。
「はあ、1限は何だ……げっ、数学かよ」
俺は席を立ち、廊下にあるロッカーに教材を取りに行く。
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.60 )
- 日時: 2016/07/12 16:51
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日AM9:32 同所 point:楠炎真
地獄の数学を乗り越えた俺は、机に突っ伏していた。
「つ、疲れた」
それは翔太も同じらしく、彼も机に突っ伏して目を瞑っている。
俺も寝ようかと思ったとき、教室のドアが開いた。入ってきたのは、遅刻してきた少女——紅崎凍子(べにざきとうこ)である。
相変わらず『異質』を体現したかのような雰囲気を醸し出しているが、俺は紅崎の家に行って話したこともあってか、特に気にならなかった。
いつもどおり、長い髪を後ろで1つにまとめ、その束を肩にかけて前に垂らしている。長い前髪によって隠れた右目はやはり見えないが、髪をかき上げている左側からは、綺麗な赤目が見える。
「紅崎、おはよう」
「おはよう、楠君」
彼女は微笑みながら挨拶を返してくれた。その光景が信じられないのか、翔太がこっちをじっと見つめている。
「なんで遅刻したんだ?」
「バスに乗り遅れて、ね」
うちの学校には遠くから通う生徒のためにスクールバスがある。だが、乗り遅れると次の便は無く、ローカルバスを使わなければならなくなる。それが嫌で俺はバイクの免許を取ったのだ。
「……楠君」
「どうした?」
紅崎が真剣な顔で耳打ちしてくる。正直、嬉しい。
「昼休み……ううん、放課後、時間ある?」
「ん、ああ。何か用か」
「大事なこと。貴方にしか、言えない事よ」
告白ですか。
遂に俺にも春が来ましたか。
「あ、告白とかじゃないから」
お前も先輩と同種の人間かよ。
「——もっと、重要な話」
紅崎の声色は、暗かった。
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.61 )
- 日時: 2016/07/16 00:53
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日PM12:35 同所 point:楠炎真
学生にとっての楽園(エデン)——そう、昼休みの時間だ。
「午前中はハードだったなー」
秀が愚痴をこぼしながら弁当を持って俺の席へと近づいてくる。嘘つけ、お前寝てただろ。
俺はいつも秀と翔太、そして未来と一緒に昼食をとる。何故かと言われても答えられる自信はない。なんとなく、かな。
「駄目だよ赤井、あれでハードとか言ってたら」
翔太も俺の席へと歩いてくる。
「えー、でもきつかったぜ?」
「あんな体勢で寝てたからだよ……」
どんな体勢だったかは、想像に任せよう。あれは酷かった。
こんな感じの話をしながら、各々飯を食べ始める。俺と秀は母親に弁当を作ってもらうのだが、翔太は自分で作っている。それでこの完成度だ。いい嫁になるぞ。
「楠、なんか変なこと考えてない?」
「翔太、結婚してくれ」
「僕の親友がまさかのアッチ系だった!?」
盛り上がる俺たちのところに、未来が申し訳無さそうに近づいてくる。
赤木未来(あかぎみらい)。俺の幼馴染で、気の弱い女の子。身長が高く、髪は茶色と黒の混じったショートカット。特徴的なタレ目も合わさり、非常にボーイッシュな見た目をしている。
「炎真、楽しそうだね……」
「ん、いつも通りだろ」
「……ふふっ、一緒に、いい?」
「ああ、つか断り入れなくてもいいって。俺らは気にしないし」
「ありがとう」
未来は座るなり、小さな弁当箱のふたを開けて食事を始める。
俺は、その姿を数秒間見つめていた。俺は未来のことが好きなのだろうか。いや、嫌いではないはずだ。でも、何かが引っかかる。そう……何かが。
俺の小学校の頃の記憶の違和感。あれが影響しているのだろうか。
「そういえば、ウチの学校には飛び級で入学した人がいるらしいね」
実は、5年ほど前から試験的に飛び級制度が実施されている。まだ普遍化とはいかないものの、いい感じらしい。
そんな話を翔太がしてくるとは。
「水無月先輩だったりしてな!」
秀が茶化すように言う。
「でも、強ち間違いじゃないかもしれないな」
だって、と俺は続ける。
「見た目が中学生みたいな高3なんて、信じられないもんな」
まあ、違うとは思うが。
「あ……ああああ!!」
ふと目を移すと、翔太が教室の入り口を指差して震えていた。秀は何故か弁当箱で顔を守っている。そして未来は、悲哀の眼差しで俺を見ている。
「どうしたんだよ、3人とも」
ヘラヘラ笑いつつ教室の入り口を見ると——
「覚悟はよろしーですね、このスカポンタン」
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.62 )
- 日時: 2016/07/16 01:29
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
というわけで、恒例のコメントのお時間です。
まず初めに。
参照1000突破感謝です! とはいえ、これ私の閲覧数も入ってるんですよね、確か(間違ってたら申し訳ない)。
私は修正を加えたりするために何回も入るので、実質1000突破とはいえないかなとか思ってみたり、ラジバンダリ。ちなみに、先ほどまで翔太の主人公の呼び方を修正しておりました。『炎真』から『楠』に統一しております。
何はともあれ、多くの方に見ていただけているのは本当に嬉しいことです。まあ……その割には私のレスしか見当たりませんが(笑) しかし、ただでさえ私のコメントで一時中断が入るのに、これにコメントが入るとなるとさらに物語が途切れてしまう——そこに配慮していただいているのではと勝手に解釈しております。
ほんで。
ここからは本編のお話ですね。
前回も言いましたが第一章はすぐに終わります。というのも、本来第一章に入っていた内容を改変したのが序章なのです。つまり、改変した部分はカット。これにより第一章が早く終わるわけです。
そうですね……手元の下書きを見る限りでは次のコメントの時にはもう第一章は終わっているのではないかと。
それほど短いのです。
さて。
『正義』について語ってみましたが、いかがでしたか? 有名な漫画の中に出てくる台詞を見て、疑問に思いまして。
戦いに『悪』はなく、『正義』しか存在しない。誰もが、自分の『正義』のために戦っているのです。
いやあ、難しい(笑)
あ、そういえば。
今までの論文(?)のpointの後の「?」の数が所々違うのは打ち間違えではございませんので、ご注意を。
さあ、物語はいよいよ『核』に入ります。私もワクワクしてきました。
ちゃっかり重要な伏線がさっきまでの5話の中に入ってたりして。
それでは、次は第一章終了後(変則的ですが)にお会いいたしましょう!
最後に、参照1000突破本当にありがとうございます! これからもよろしくお願い致します!!
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.63 )
- 日時: 2016/07/16 18:35
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日PM5:21 不知火中等教育学校裏庭 point:楠炎真
グラウンドから部活生たちの声が聞こえてくる。
ここに来ると、文化祭のときのことを思い出す。本当に、今考えると俺も無茶したよな。
なぜ俺がここに来たのかというと紅崎に呼び出されたからだ。
——もっと、重要な話。
告白なんかよりも重要な話とは何なのだろうか。
「まさか、いかつい人が出てきて拉致されるんじゃ……」
「そんなわけないでしょ」
後ろから聞こえた声に振り返ると、そこにはため息を吐きながら近づいてくる紅崎がいた。
「単刀直入に聞くわ」
近すぎず遠すぎず。友達同士が話すような距離まで近づき、紅崎はゆっくりと言葉を継ぐ。
「最近、ううん今までに変な『違和感』を感じたことは無い?」
違和感。
無いと言えば嘘になるだろう。だが、あれはそこまで気にするものでもないはずだ。
小学校の頃の記憶なんか曖昧で当然。寧ろ、はっきり覚えてるほうが違和感を感じるだろう。
「無いわけじゃないけど、多分、大したことじゃないと思うぞ」
「いいえ」
「紅崎?」
「貴方の記憶が『鍵』。その『違和感』に対して妥協しないで」
「……一体、何なんだよ。紅崎、何かおかしいぞ」
紅崎は少し悲しそうな表情をしていた。そして、深く息を吐き、彼女は肌と肌が触れそうな距離まで近づき、綺麗な顔を俺の顔にズイッ、と寄せてきた。
「私の目を見て」
「お、おい紅崎!?」
俺の心臓が跳ね上がる。バクバクと大きな鼓動を打つ。
だが、紅崎は真剣な眼差しで俺を見ていた。その赤い瞳で。
「見て」
そう言うと、紅崎は垂らしている右側の前髪をかきあげ、普段は隠している右目を見せた。
右目の色は左目と同じく赤色。だが、透き通るような赤の左と比べて、右は暗かった。オッドアイ……なのだろうか。
「何か、感じる?」
正直、色々な感情が湧いてきてるわけだが、恐らく紅崎が聞きたいのはそんなことではないだろう。
「いや……何も」
「そう……やはり、私が……」
かきあげている手を離し、紅崎は再び右目を隠す。同時に、近づけていた顔も離した。
「な、何だったんだ一体?」
「明日、とても良くないことが起こるわ」
少しの間ぶつぶつと何かを呟いていた紅崎は、突然こちらを向いて、低いトーンで告げた。
「は?」
「私の右目は少し特別なの。具体的には——」
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