ダーク・ファンタジー小説
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- Lost School【第二章準備中】
- 日時: 2016/07/24 15:11
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
初めまして、ロストと申します! 稚拙な文章ではありますが、温かく見守っていただければ幸いです^^
とある公立高校のとあるクラス。彼らが紡いだ物語は語られることなくその姿を消す。
————これは、少年少女たちの青春と恐怖の物語である。
b;ft;ot@a9h/yr.k\esdkmkt@qlw@3.→これは彼らが直面する呪いと死の物語である。
tl7/efcbie.→狩矢冥はそこにいる
目次
不知火中等教育学校4年4組名簿&キャラ紹介
>>52-53
作者コメント
>>6 >>13 >>19 >>26 >>32 >>38 >>44 >>50 >>56 >>62 >>66
作中論文
>>16 >>33-34 >>58
序章 A Peaceful Days
>>1-5 >>7-12 >>14-18 >>20-23 >>25 >>27-31 >>33-37 >>39-43 >>45-49
Before the story begins 〜A conversation〜
>>51
第一章 ある平和な日
>>54-55 >>57-61 >>63-65
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.54 )
- 日時: 2016/07/01 17:12
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
第一章 ある平和な日
2015年12月23日AM8:15 不知火中等教育学校4-4組教室 point:楠炎真
「今日も今日かて寒い寒い……」
俺は教室に入り、自分の席に着くと手を擦り合わせながら呟いた。バイクで登校しているから、余計に手が冷たい。手袋変えようかな。
二週間ほど前に、うちの学校では文化祭が開かれた。
順風満帆に見えた文化祭だったが、最後の最後に大事件が起こってしまった。
風紀委員長である水無月沙織(みなづきさおり)先輩が他校の生徒に拉致され、暴行を受けた。
すぐに事態を察知した俺は水無月先輩をなんとか助け出し、事件は収束した。
あの事件について詳しく知っているのは、俺と先輩、紅崎そして村上姉。あとは教師くらいだろう。
事件があったことはすぐさまSNSで拡散されたりしたようだが、誰が襲われたかは明らかになっていない。それが、せめてもの救いか。
先輩は事件の翌日から登校し、教師陣を驚かせた。もちろん、俺も驚いたよ。まさかあれだけの行為をされておきながら、立ち直れるとは……。
事の顛末はこんな感じだ。
あれから、先輩は余計に俺に絡むようになってきた。挙句の果てには風紀委員に入れといわれる始末。やっぱりあの先輩は凄い。
「よお炎真(えんま)、おはよう!」
元気な挨拶をしてきたのは、俺の親友の1人である赤井秀(あかいしゅう)だ。相変わらずの坊主頭(毎日手入れしてるのか?)だ。
「おはよう、秀」
「なあ炎真、今日の現文——」
「断る」
「なんでだよ! まだ現文としか言ってねぇよ!?」
こいつが朝っぱらから科目の話をするときは決まって課題が終わっていない時だ。
「お前……俺の心が読めるのか。結婚してくれ」
「ふざけてんのか、殴るぞ」
「ああ、やめて! 目が怖いから!!」
笑顔で言ったつもりだったが……どうやらアホの申し子も少しは俺の気持ちを理解できるらしい。
「ったく、分かったよ。ほれ」
「ありがとう! 感謝するぜ!!」
仕方なく課題のプリントを渡すと(俺は宿題をやってるんだよ)、秀は嬉しそうにスキップしながら(教室でやるな、響く)自分の席へと戻っていった。
こうして、俺の平和な1日は幕を開けるのだった。
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.55 )
- 日時: 2016/07/16 01:00
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日AM8:18 同所 point:楠炎真
この時間帯ともなると、部活の朝練も終わり生徒が教室に集まってくる。
瀬戸薫子(せとかおるこ)もその1人だ。セミロングの黒髪を今日も忙しそうに揺らし(胸は揺れないらしい)ながら、教室に入ってくる。走ってきたのか、息切れをしているようにも見える。
学年成績2位と優秀な頭を持っているが、運動神経は悪い。息切れしているといっても、そこまで走った距離は長くないはずだ。
彼女とは文化祭の実行委員を一緒にしていた。
事件があったときはちょうどクラスの出し物のシフトが入っており、駆けつけるのが大幅に遅れたらしい。
本人はそのことを悔やんでいたが、逆にいなくて良かったのかもしれない。あんな光景、見たくもないだろう。
「あら楠君、おはよう」
「おう、忙しそうだな。今日も生徒会か?」
瀬戸は生徒会に属しており、確か副会長じゃなかったっけ。
「ええ、次の選挙に向けて色々やらなければならないことがあって……」
「もちろん、出馬するんだろ?」
「ええ」
やはり、真面目人間だ。だが、こんな人間がクラスに1人はいてくれたほうがいい。
数分後、俺のもう1人の親友が入ってきた。
「おはよう楠」
「おはよう翔太」
牧村翔太(まきむらしょうた)。秀とは逆に華奢な体、優しそうなタレ目、なによりその柔和な表情。男ではあるが癒しといっても過言ではなかろう。
「今日も寒いね」
「まったくだ。バイク通学勢をいじめているとしか思えん」
「あ、そういえばほらお客さんだよ」
翔太が指差したのは教室の入り口。そこには仁王立ちをしている小さな女の子がいた。
黒髪でツインテール。見た目は中学生か。身長も低く、なんだろう、黙っていればこの学校のマスコットキャラといわれても不思議ではない。
それでも、やはり顔だけ見ると超絶美少女といえるだろう。吸い込まれそうな大きな瞳。
「さっきから何をジロジロと見てやがるんですか。懲罰房にぶちこみますよ」
酷い。
彼女は水無月沙織。前にも言ったが、風紀委員長を務めている。
見た目に反して、生徒からは恐怖の対象とされており、『鬼の風紀委員長』だの『教師の最終兵器(ファイナルウェポン)』などと影で呼ばれている。
「何考えてるか、少し分かる気がしますよ。懲罰房です」
「いやおかしいでしょ!」
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.56 )
- 日時: 2016/07/02 18:36
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
ほいほい、本編でも続けます。5話ごとのコメント。ルーブレですので!
さて、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、一番最初のレスにのっけてる暗号の上段部分の答えを提示いたしました。これをヒントにして下段部分の暗号に挑戦していただけると、解けるかもしれませんよ? ヒントはキーボードです。
ほんで、ようやく始まりました本編。
いやいや、序章と殆ど雰囲気変わんねぇじゃねーですか……ですか? そりゃ、第一章のタイトルを見ていただければ察しがつくかと。
序章のタイトルの和訳が第一章のタイトルですので、雰囲気は殆ど変わりません。つまり、まだ『平和』です。今後が『平和』とは限りませんのでご注意を。
加えて。
第一章は比較的すぐに終わります。序章ほどダラダラは続けません。皆様もそろそろ平和状態に飽きてきたころでしょうし、そもそもこの小説のタイトルは『Lost School』。そろそろ何か起こってもらわないと私も困ります(笑)
そして、本編でも論文調の文章が出てきます。
序章よりもさらに踏み込んだ領域まで論じようと思いますので、ノートをとる準備を(授業ではございませんが)。
というか、この論文、現実に照らし合わせると矛盾だらけの論文だと思うんですね。あくまでこの作品の中の論文ですので、その辺はご勘弁を。
長くなってしまいました。
それではまた5話後にお会いいたしましょう。
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.57 )
- 日時: 2016/07/09 00:48
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日AM8:20 同所 point:楠炎真
「んで、何の用なんですか先輩」
懲罰房だ、と未だにふんぞり返っている最終兵器(ファイナルウェポン)に対して、俺は恐る恐る尋ねる。
だが、返ってきた言葉は——
「いや、特に用はねーです」
ふざけてんのか。
とは言えず、俺は唖然としたまま動けずにいた。
「じゃ、じゃあなんで翔太に?」
「清く正しくない男子がいると言っただけですが」
うわそれ、翔太にも清く正しくない男子だと思われてるってことか!?
ばっ、と翔太を見ると、彼はうずくまりながら笑いを堪えているように見えた。
「あ、風紀委員になれば清く正しくなれますよ」
前にも言ったが、あの一件以来、先輩は俺を風紀委員に勧誘してくるようになった。先輩曰く、
「あんたさんなら、ウチの後継にふさわしいと思うんですけどね」
ちなみに、風紀委員のメンツからは恨まれているらしい。濡れ衣だ。
「先輩、俺は清く正しい男子ですので入る必要はないかと」
「……さいですか。じゃあ、ウチの裸体を見たことでも言いふらしましょーかね」
「あ、ちょっ、それはやめっ!!」
小さな最終兵器(ファイナルウェポン)は、俺を殺すための魔法の言葉を携えて、スキップしながら教室から離れていった。
「せんぱぁぁぁぁい! カムバァァァァック!!」
今日は一日、ビクビクしながら過ごさなきゃならないようである。
- Re: 【序章完結】Lost School【本編始動】 ( No.58 )
- 日時: 2016/07/09 02:24
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
????年?月?日時刻不明 ??? point:????
正義。
よく聞く言葉だが、では正義とは一体何なのだろうか。
『正義の味方』を軸に考えてみよう。
『正義の味方』……まあ、戦隊ヒーローや何とかライダーなどを思い浮かべてくれればいい。彼らは私たちにとっての正義であることは間違いないだろう。
ならば、悪者たちにとってみれば?
さて、ここで考えなければならない。通常、悪者にとってヒーローは『邪魔者』という存在だと解される。
だが、『正義』の反対は『悪』。つまり、悪者にとってのヒーローは『悪』の存在であるはずなのだ。
ではなぜ、『邪魔者』だと解されるのか。答えは1つ。矛盾が生じるからだ。
そう、『悪』者にとってのヒーローは『悪』。ここで2つの『悪』が存在してしまうわけだ。矛盾があるということは、前提が間違っているということ。
間違っている前提は?
それは、『悪』者という前提。これがおかしいのだ。
ここで先ほどまでの悪者を、正義の味方と言い換えてみよう。そうすれば、正義の味方にとってヒーローは『悪』である——矛盾は消えた。
矛盾が消えたということは、そこに間違いはないということ。
だが、違和感を感じないか?
ここで出てきた正義の味方は、一体誰にとっての正義の味方なのだろう。
もう分かったかな? そう、他でもない悪者たちだ。
私たちにとってのヒーローは『正義』であり、悪者にとってのヒーローは『悪』である。ここで矛盾が生じるのは、すべてを私たちの目線から語っているからである。
つまり、何が言いたいのかというと。
この世に『悪』など存在しないということだ。
もちろん、『正義』の反対は『悪』なのだがそれは語句的な意味であり、考えなくてもいいだろう。今論じているのはもっと踏み込んだ領域——人の心なのだから。
要は、マイノリティーかマジョリティーかの問題なのだ。
マイノリティーが『悪』でマジョリティーが『正義』。それが今の社会の構造である。
だが、だからと言ってマイノリティーが本当に『悪』なのだろうか。
いや、逆を考えてみたほうが早いか?
つまり。
マジョリティーが本当に『正義』なのだろうか。
答えは、イエスだ。
厳密に言えば、マジョリティーもマイノリティーも『正義』なのだ。先ほどのヒーローの例と同じだ。
そう、視点を変えればすべてが『正義』。
すべてが、『正義』。
『正義』と『正義』がぶつかりあい、争いが起こる。逆に言えば、争いの中に『悪』などないのだ。
君が『正義』だと思ってした行為でも、別の人間の視点からは『悪』だと思われているだろう。
この例を先に出せばよかったと少し後悔している。
さあ、答えてくれ。
君は、自分が『正義』だと胸を張って言えるかい?
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