ダーク・ファンタジー小説
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- Lost School【第二章準備中】
- 日時: 2016/07/24 15:11
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
初めまして、ロストと申します! 稚拙な文章ではありますが、温かく見守っていただければ幸いです^^
とある公立高校のとあるクラス。彼らが紡いだ物語は語られることなくその姿を消す。
————これは、少年少女たちの青春と恐怖の物語である。
b;ft;ot@a9h/yr.k\esdkmkt@qlw@3.→これは彼らが直面する呪いと死の物語である。
tl7/efcbie.→狩矢冥はそこにいる
目次
不知火中等教育学校4年4組名簿&キャラ紹介
>>52-53
作者コメント
>>6 >>13 >>19 >>26 >>32 >>38 >>44 >>50 >>56 >>62 >>66
作中論文
>>16 >>33-34 >>58
序章 A Peaceful Days
>>1-5 >>7-12 >>14-18 >>20-23 >>25 >>27-31 >>33-37 >>39-43 >>45-49
Before the story begins 〜A conversation〜
>>51
第一章 ある平和な日
>>54-55 >>57-61 >>63-65
- Re: Lost School ( No.39 )
- 日時: 2016/06/03 23:51
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日PM3:26 同校グラウンド point:楠炎真
俺のシフトは終わった。地獄のような時間だった。なんだろう、思い出そうとすると涙が出てくる。
ちなみに、瀬戸は今がシフトの時間だ。よって、現在俺一人で巡回している。
田舎の学校とはいえ、うちの文化祭の盛り上がりは凄い。そもそも、県外から来ている生徒がいるため多方面から人間が集まるのだ。もちろん、俺の小学校時代の友人も来ているはずだ。
「まあ、まだ出会ってないけどな」
田舎の町興しになる一方で、心配事はある。もちろん去年の事件のことだ。周りを見渡すとチラホラと有名な不良校の制服が見える。だからといって、そいつらが犯罪行為をするとは限らないのだが、やはり心配だ。
「もし、5年生はどの辺りにいるのですかな?」
「ああ、5年生のエリアはこのまま真っ直ぐ進んでいただければありますよ」
巡回と言っても監視だけが仕事ではない。案内も仕事だ。
緑色のセーターを着たおじいさんは軽く会釈をすると、俺が指し示した方へと歩いていった。
「にしても、今年は多いな。去年あんなことがあったのに……」
客が多いのは良い事だ。しかし、その分危険は増す。教師までもが巡回しているとはいえ、やはりどこかに穴はあるはず。
(巡回経路を考えたのは水無月先輩だし、大丈夫だとは思うが……)
そういえば、朝会ってから一度も先輩を見てないな。忙しいのだろうか。
そう思いつつも、俺は自分の巡回経路を歩いていく。
誰もが楽しんでいた。
笑っていた。
だが。
次の瞬間——
全てが変わった。
- Re: Lost School ( No.40 )
- 日時: 2016/06/07 17:37
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日PM3:28 同所 point:楠炎真
——喧嘩だっ!!
何人かの人間が口々に叫んだ。
俺の場所からは現場は見えないが、声が聞こえた方向、そして喧嘩を見ようと動く人たちの動きから、喧嘩の場所は分かる。
俺は人ごみを掻き分け、現場へと向かう。
「どいてくれ! 実行委員だ、どいてくれ!」
走りながら、俺はふとある疑念が浮かんだ。
——去年もこんなことがなかったか?
焦り。
不安。
あらゆる感情が俺の中を駆け巡る。額からは大量の嫌な汗が流れ落ちてくる。
喧嘩の現場は体育館だった。やっとの思いで中に入ると、すでに数名の教員と風紀委員が仲裁をしていた。
どうやら軽音部と他校の生徒がもめていたらしい。
「ふざけんなっ! あいつらが先に!!」
「離せよクソッ!!」
怒号が飛び交う。
ここで、俺は違和感を感じた。
今、ここにいるはずの人物がいない。
教師、風紀委員。そして傍らで野次馬を引き止めている実行委員——その中に、『彼女』がいない。
「……何が起こってるの?」
俺の後ろから声をかけてきたのは制服に着替えた紅崎だ。勿体無い。
「喧嘩だ。なあ紅崎……」
違和感について尋ねようとした瞬間、紅崎の顔色が変わった。相変わらず右目は隠れているが、その表情は手に取るように分かる。彼女も違和感に気づいたらしい。
「なんで沙織がいないの……?」
「お前も先輩を見てないのか!?」
「ええ、朝挨拶したくらいで……」
「ふ、ふざけんな……!」
次の瞬間、俺は銃から放たれた弾丸のように走り出していた。
- Re: Lost School ( No.41 )
- 日時: 2016/06/10 14:22
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日PM3:20 不知火中等教育学校裏庭 point:水無月沙織
風紀委員の仕事は楽じゃない。
今回の仕事は見回り。言い換えればパトロール。要するに裏方の仕事だ。
もちろん風紀委員は普段表立った仕事をする。だが、こういう行事の際は私たちよりも輝く存在がいる。だから裏方なのだ。
「はあ、そう言えば楠さんがメイド服を着てたとか凍子さんが言ってましたね。……見たかったです」
いやいや、そこまで見たかったわけじゃなく、まあ少しは見たかったけど……って、なんで私は心の中で言い訳してるんでしょうかね。
大体、裏庭に私しか見回りが来ないってのはどうなのだろうか。確かにここは見通しがいい。だが、それは人がいればの話。私1人しかいないのならば、見通しが良くても意味がない。
「あの、すいません」
私に声をかけてきたのは3人の小柄な男性。男性というか、恐らく高校生だろう。1人は眼鏡をかけている。
度々見かける不良どもよりよっぽど無害な人種だろう。
「どうしたんです?」
「えっと、道に迷っちゃって。体育館ってどっちですかね」
「……? 体育館ならここに来る間にあったはずですが。なーんか怪しいですね」
「い、いや! えっと……」
明らかな挙動不審。無害と思ったのだが、そうでもないのだろうか。
「(おい馬鹿! めっちゃ怪しまれてんじゃん)」
「(うるせえよ! どうする?)」
何をごちゃごちゃと……。
「はいはい、ナンパならお断りです。そーいうのは夜の繁華街ででもやっててくだせー。ウチは仕事がありますんで」
「あ、まま、待ってください! その……ご、ごめんなさい!!」
眼鏡をかけた男子が、謝りながら私の方に近づいてきた。
「いや、だからですね——っ!?」
その直後、私は目の前が真っ黒になった。
- Re: Lost School ( No.42 )
- 日時: 2016/06/13 21:48
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日PM3:28 ??? point:水無月沙織
体が重い。
目を開けると、そこは薄暗く少し広い、汚れたマットなどが置いてある場所だった。察するに、廃棄物倉庫だろう。裏庭にある倉庫だし、間違いないはずだ。
む、手を縛られているらしい。後ろに回された手は動かない。
「お、起きたか」
声がしたほうを向くと、そこには私に接触してきた3人組みのうち2人が立っていた。眼鏡の男子が見当たらない。恐らく見張り役だろう。
「スタンガン……ですか」
私が意識を失った理由。それは眼鏡の男子が私にスタンガンを当てたことだ。腹部が痛い。
「去年のやつらとは制服が違うよーですね」
「はっ、俺たちはあの馬鹿たちとは違うぜ。きちんと計画を練ってきたんだ。喧嘩で気を引こうだとかそんな面倒くさいことはしない」
「やってることは一緒ですよ、クズども」
「何とでも言えよ」
こいつがリーダー的な存在か。顔はよく見えないが、背はかなり高い。
しかし、何か引っかかる。
こいつらの言動、変だ。もしかしたら——
「おい、大変だぞ!」
扉が勢いよく開き、光が差し込む。そして、眼鏡の男子が焦った様子で、
「喧嘩だ。喧嘩が始まったぞ!」
「は? おい嘘だろ。それじゃ、去年と同じ状況じゃねぇか! ここもすぐにばれちまう……」
「ど、どうする!?」
「いや、もうこの女には顔を見られてんだ。どうやっても逃げ切れない。くそっ!」
やはり、おかしい。
これで確信が持てた。さっきの言葉は嘘だ。
『きちんと』計画を立てたわけがない。だったら、もっとばれにくい場所を選ぶはずだし、去年の二の舞にならないようにするはずだ。
それに、私に尋ねる場所も、
——体育館ってどっちですかね。
——おい馬鹿!
つまり、こうしようという計画はあったものの、場所や襲う人間までは計画していなかった。だから『偶然』人がいなかった裏庭を選び、『偶然』1人だった私を襲った。
だとしたら、発見は早いはず。
「なあ、SNSって知ってるか?」
リーダーの男が私に尋ねる。
「知ってますよ。それがどーしたんです」
「そこにアップした写真は一生消えないんだぜ」
こいつは何を言っているのだろうか。混乱しすぎて正常な会話が出来なくなっているらしい。
「特に。エロい写真は拡散が早いんだ」
「——まさか」
そして、彼は私の制服に手を伸ばしてきた。
- Re: Lost School ( No.43 )
- 日時: 2016/06/19 01:06
- 名前: ロスト (ID: wJ5a6rJS)
同日PM3:30 同校グラウンド付近 point:楠炎真
どこだ。先輩はどこにいるんだ!
野次馬の間を縫って飛び出してきたはいいが、どこに行けばいいのか分からない。大体、先生たちも動くのが遅すぎる。去年のことがあるのにここまで動きが遅いだなんて!
「楠君!? どうしたの息切らして!」
俺の方へ駆け寄ってきたのは、村上姉。屈みこんで俺の顔を見ながら、
「喧嘩って、去年と同じ状況だよね……もしかして、誰かいなくなったの?」
俺は渇いた喉から何とか声を絞り出す。
「先輩……水無月先輩が、いないん、だ」
「風紀委員長? だったら、さっき裏庭の方に行くのを見たよ! 多分、5分くらい前!」
「裏庭!? 確かに見回りルートだったけど……くそっ! ありがとう、村上、姉! 今度、お礼す、るか、ら!」
「ふぇえっ!? あ、うん。わ、私、先生呼んでくるね!」
俺と村上姉はお互いに別々の方向へと走り出す。正直、帰宅部の俺の体力は限界に近い。
裏庭。
教室の場所によってはここを使うことが近道になることもあるが、それ以外の用途で使われる場所ではない。強いて言えば、不用品を集める場所か。
あまり手入れをされていないため雑草が生い茂っている。特に大きな障害物もなく、かなり見通しがいい。こんな場所で拉致なんかされるわけがないと思うが、実際先輩は見当たらない。
「はー、はー……可能性は、あの倉庫か」
裏庭の隅にぽつんと置いてある錆びた倉庫。あそこには壊れた器具や破れたマットなど、文字通り廃棄物が入れられる。
「先輩……」
——覚悟を決めろ。
誰かがそう言った気がした。
村上姉が先生を呼んだはずだから、もうすぐで大勢の人間が駆けつけるだろう。それを待つのもいいが、それでは間に合わなくなる気がする。今動けるのは俺しかいない。
俺が、助けるんだ。
——後悔だけはしたくねーんだよ。
まただ。また、誰の声がする。
いや、これは俺の内側から沸きあがってくる声なのか。ふっ、こんな時に……。
息を整えるのも忘れ、俺は倉庫へと突進した。
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