二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 薄桜鬼 沖田総司
- 日時: 2011/01/30 17:20
- 名前: さくら (ID: w/qk2kZO)
初めて書きます。
下手ですがどうぞ読んでやってください。
こういう方はお断り。
荒らし目当て
沖田好きな方はぜひどうぞ。
基本的沖田ですが、時々他のメンバーも出てくるかも…?
温かい目で読んでやってください。
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- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.125 )
- 日時: 2013/02/25 22:47
- 名前: さくら (ID: MmCaxbRG)
次に総司が目を覚ますと、部屋は真っ暗だった。
もう時分は夜なのだろう。総司は自分の腕を見つめた。
眠る前に抱いていた彼女がいないことに若干寂しさを覚えながら上体を起こす。
いつもこの時間なら二人のどちらかが起床を告げに部屋にやって来るが、今夜は珍しく誰も来ない。
不審に思いながら総司は着物を着替えて居間に向かった。
「おはよう」
「あ、おはようございます。もうそんな時間だったんですね。すみません、まだ夕餉の支度が出来てなくて…」
「どうしたの?」
居間に山崎の姿がないこと、いつも準備されている夕餉ができていないこと。そして何より千鶴がぼぅっとしていることなど滅多にない。何かあったことは明らかだ。
千鶴の前にかがんで総司は彼女と正対する。
「山崎君は?」
「松本先生のところに…」
「何で?まだ僕の薬あったよね?取りに行ったの?」
「いえ…怪我をされたので診てもらいに…」
「どうして怪我したのさ?何かあったの?」
総司の問いにとうとう千鶴は押し黙ってしまった。その表情は迷いと疑念に彩られ、言葉を探しても声にならない。
「千鶴ちゃん、昨日言ったよね?何でも良いから僕に言ってほしいって」
千鶴はその言葉を聞いて弾かれたように顔を上げた。
しばらく逡巡した後、千鶴は意を決したように口を開いた。
「沖田さん、沖田さんは———」
千鶴が言葉を続けようとしたときだった。
総司が突然腰を折って身をかがめた。
両腕で自分を抱くように総司は何かに耐えている。
「お、沖田さん!?どうしたんですか!?まさか———」
「大、丈夫…ッ・・・大丈夫…だから…ッ!!」
額に汗をかき、総司は荒い息をしながら必死に言葉を紡ぐ。だが、以前から見ている発作より酷いように千鶴の目には映った。
小刻みに体は震え、呼吸も難しい。ただ必死に自分の体の中の痛みと衝動に耐えている。自分の喉を掻き毟りそうな総司の手が何とも痛々しかった。
「沖田さん、本当に大丈夫ですか!?」
「っ…だい……ぅ…ッ!!」
言葉も口に出来ないほどの衝動が襲い掛かる。総司は声を上げてそれに耐えた。苦痛から逃れようと畳に爪を立てて総司は悶絶する。
しだいに総司の髪は白く、瞳は赤く変貌した。
今までに見たことがない彼の発作状態に千鶴は視線をさ迷わせた。
そして意を決したように自分の小太刀に手を伸ばす。
千鶴の行動を目の端で捉えていた総司は目を見開いた。
「ちっ…づる…ちゃ」
「大丈夫です、沖田さん」
そう言って千鶴は自分の小太刀を抜いた。そして刃を自分の手の上を滑らせる。
「ぁ…」
軽く斬っただけでも鋭利な刃は掌の上に鮮血が溢れ出す。
それを目にした総司の喉が我知らず鳴った。千鶴の掌から目が離せない。
千鶴は総司の前に膝をついてその手を差し出した。
「飲んで下さい、沖田さん」
香りのよい甘い芳香が鼻腔をくすぐる。飲みたい。飲みたい。飲みたい。
けれどそんなことをしたら自分は人ではなくなる。その固い意志が総司の少ない理性をかき集めて首を横に振った。
「でも、飲まないと沖田さんが…!」
悶え苦しむ総司をただ見ているだけなどできない。千鶴はそっと手を総司の目の先に持っていった。
「飲んで下さい、沖田さん。私は沖田さんの役に立ちたい…っ」
「っ…!!」
もう我慢の限界だった。目の前に果実のように見えるその鮮血を前にして、総司の理性は消えてしまった。
恐る恐る千鶴の手に自分の手を添え、総司はゆっくりと舌を伸ばす。
鼓動がうるさい。早く飲みたい。本能が歓喜に絶叫しているのがよくわかった。
そっと血を舐めた。その味に総司は目を見開いた。
血などおいしくないものと思っていた。だが、どうだろう。舌に触れた瞬間甘美な香りと、果物のようなみずみずしさが喉を一気に潤おした。
これが羅刹に身を落とした者だけが味わえる人の血。
血の味を覚えた羅刹が暴走する理由が今ならわかる。こんなものを知ってしまったら欲したくなるのは無理もない。
「痛くない…?」
総司は千鶴の傷口を避けてそっと血を舐め取る。彼女に苦痛を与えまいと神経質にそっとそっとその血を舌ですくった。
「大丈夫です。もう傷は塞がっているので…」
総司はそれを聞いて安心した。
血を与えてもらう総司と千鶴の姿は燭台の光に淡く照らし出され、妖艶な空気が流れている。
そして掌に残る最後の一滴を舌で舐め取った。
千鶴の掌から顔を離して、総司はその瞬間罪悪感に襲われた。
「千鶴ちゃ…」
「大丈夫です。沖田さんが落ち着いて良かった…」
千鶴は微笑した。自分が総司の役に立てたことが嬉しかったのだろう。
それでも総司はいたたまれなくなって目を伏せた。
「ありがとう…千鶴ちゃん」
千鶴は首を振る。役に立てた、それだけで十分だった。
落ち着いた総司は千鶴に向かい合う。
「それで…?話の続きだけど山崎君は?」
「それが…あの、今日山崎さんと私の実家に行ったんです…何か羅刹について父が残したものはないか…それで家を出たときに薫に会って…」
「薫に!?」
総司は驚いて声を上げた。思わぬ人物の再登場に嫌な予感がする。
「それで山崎さんが私を庇って…怪我をされたんです」
「…」
沖田は腕を組んで考え込む。どうして今薫が現れたのか。何か裏があるように思うが、千鶴に危害を加えていないところを見るとまた現れるに違いない。
「それで…今日わかったことが二つ…一つは変若水を飲んだ人は自分の寿命を使ってその強靭な力を手にしていること…もう一つは私の、鬼の血を沖田さんに与えれば沖田さんの怪我も病気もなくなると…」
「それ薫が言ったの?」
千鶴は大きく頷いた。
薫の目的がわからない。何故突然現れてそんな大切な情報を与えたのか。その情報は本当に事実なのだろうか。
総司の頭の中に様々な疑問が浮かんでは消えた。
黙りこくって思案していうと千鶴の心配そうな顔が飛び込んできた。
「沖田さん…大丈夫ですか?その、命を削って…っていうのは父の書物に書かれていたことで…多分…真実だと思うんです」
総司が千鶴の話を聞いて衝撃を受けたと心配したのだろう。千鶴は総司を慮るようにおずおずとその旨を伝えた。
だが総司は笑ってみせた。
「大丈夫だから。僕もおかしいと思っていたんだ。羅刹が得る力の源は何だろうってずっと気になってたし。わかってすっきりしたよ」
その笑顔は決して作ったものではなく、総司の本意なのだろう。
「命ならもうっとくの昔から削ってる。今更驚くことじゃないよ」
だから君が心配することじゃない。総司がそう言うように千鶴の頬に手を添えた。
「でも、もう命は削って欲しくありません」
「うん、そうだね…」
千鶴の悲しい呟きに総司は困ったように笑った。彼女を安心させたいのに上手くいかない。
すると千鶴が急に顔を上げた。
「あの、昨日沖田さん何があったんですか?」
「あぁ。それを話そうと思っていたんだ…」
総司は千鶴を真っ直ぐに見つめた。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.126 )
- 日時: 2013/03/08 18:47
- 名前: さくら (ID: MmCaxbRG)
「千鶴ちゃん、僕は君に言わなくちゃいけないことがあるんだ…」
総司はゆっくりと語りだした。これから話すことはきっと千鶴を悲しませる。それでも受け入れて欲しい。千鶴だから受け入れてくれると思って口を開いた。
「僕はずっと君に隠していたことがある…もうわかったと思ったけど僕は吸血衝動が起こっていた。でも君に言えなかった…言えば君が泣いてしまうと思ったから…それを隠すために僕は君を心配させたときがあったね」
目を伏せて思い出す。いつぞやの夜。吸血衝動が彼を襲って、悶えているところに千鶴がやってきた。その時総司は彼女に会えないと思った。会えば必ず千鶴は変若水を飲ませた自分の責任だと悲しむことが目に見えていたからだ。
咄嗟に総司は彼女にきつく当たってしまった。そうまでして彼女を遠ざけないときっと泣いてしまう。
「どの道、僕は君を悲しませることしかできていないけど…それでもあの時は知られたくなかった…ごめんね」
総司は顔を上げて千鶴を見つめた。真摯に総司の話に耳を傾けていた千鶴は首を横に振った。自分を思ってとった総司の行動に悪気などないことを知っていたからだ。
「でも…今日君に見せたそれが、吸血衝動…羅刹になった者の業だよ」
ありのままの真実を。偽りない事実を今伝えなくては後々千鶴を泣かせてしまう。それは自分が死んだ後かもしれない。そうなる前にちゃんと伝えておくべきだ。
「知っていました…沖田さんが苦しんでいたこと…」
唐突に千鶴は呟いた。驚いて目を丸くする総司に、千鶴は悲しみと愛しさを込めた複雑な笑みを浮かべた。
「でも…沖田さんに私は何も言えなかったんです…羅刹にさせたのは私なのに、何て言葉をかければいいのかわからなくて…あの夜も———」
総司が浪士の挑発に乗って羅刹となり狂ったあの晩。ともに傷ついたあの夜。
総司の気の狂い方は異常だった。血を前にして嬉しそうに舌を伸ばそうとしていた場面を目の当たりにして、千鶴は戦慄した。
総司の体は確実に羅刹の波に飲まれている———
とてつもなく悲しかった。総司の苦しみに気付いてやれず、一人のうのうと日々を過ごしていたことが。自分のせいだ。自分のせいでやはり総司を苦しめてしまった。
「被弾した沖田さんを見つめてただ泣くことしかできない私が憎かった…沖田さんの抱えているものに気付けなかった自分に…」
「…そっか…僕のために泣いてくれたんだね…」
総司はそっと千鶴の冷え切った手を握った。小さくて細い指が微かに震えている。総司は労わるようにその手を撫でた。
「ありがとう…」
「沖田さん…っ」
涙までは見せないが、千鶴は顔をくしゃくしゃに歪めた。
「私のせいなのに…私がっ…」
「まだ言ってる。それは前からずっと言ってるでしょ?羅刹になることは僕自身が望んだことだよ。どの道病気の体じゃ闘えないし。僕は羅刹になって後悔したことはないよ。だから、ね。君が気負うことはないんだから」
総司の言葉が嘘ではないと揺るがない真っ直ぐな瞳が示していた。千鶴は何度も頷いた。わかっている。以前からそうやって諭されてきた。総司の優しさや、労わり、思いやりを痛いほど感じる。
「君のそういう真っ直ぐで生真面目なところも好きだけど、たまには僕にも甘えて欲しいな」
総司は悪戯っぽく笑って千鶴の顔を覗き込む。
「もう一つ、君に言いたいことはね、千鶴ちゃん。君も僕に甘えてほしいなぁってこと」
「甘える…ですか?」
目を瞬く千鶴を見て総司は呆れた。
いつも総司ばかりが千鶴に甘えて千鶴から甘えられたことは一度もない。いつも気丈な彼女が甘えることなど一切なかった。それが最近寂しく感じられる。
「僕は昨日夢を見たんだ。君の夢だよ、千鶴ちゃん」
「私が沖田さんの夢にですか?」
「そう。夢の中の君はすごく寂しがってた…僕はそれに気付いてあげられなかった…夢の中の君は僕がいなくなることを悲しいって言ってた」
総司の言葉に千鶴の肩がびくっと震えた。視線を揺らめかせ、千鶴は目を丸くした。
「…やっぱり現実の君もそう思ってたんだね」
予知夢というやつだろうか。現の千鶴も泡沫の千鶴も同じ不安を抱えていた。
言い当てられた千鶴は感情を悟られないように努めたが、総司にはお見通しだった。
「千鶴ちゃん…君はいつだって僕に甘えて言いし、何を言ってもいいんだよ?」
夢の千鶴にも言った言葉。どうか届いて欲しい。自分がどれほど千鶴を想っているか。頑丈で強情な千鶴の心の楔を解きたい。自分ばかり溜め込んで気負ってしまう彼女の寄り辺になりたい。
「僕は何を言われても構わない。僕は千鶴ちゃんにありのままを言ってるつもりだし、思ったことはいつも君に伝えてるつもりだよ?」
千鶴の顔が迷いで揺らいでいる。今まで人に頼ったりすることに慣れていない千鶴にとって、総司の言葉は身に余るものだった。
「はぁ…これじゃ僕が一方的に君を想ってるだけみたいで、寂しいなぁ…」
「え、あ、の…沖田さん?」
当然嘘だが総司は目元を押さえて泣いているふりをしてみた。
千鶴は動転しておろおろと視線を泳がせる。そうして逡巡してからそっと総司の肩に触れた。
「クス…もっと色々してもいいのに」
「きゃっ!沖田さんっ!!嘘泣きだったんですか?」
千鶴が近づいたと同時に抱きしめる。総司のあっけらかんとした顔を見て千鶴は怒りか羞恥心かはわからないが、頬を真っ赤にした。
「もう何年の付き合いだと思ってるのさ?もうそろそろ心開いてくれると嬉しいなぁ」
「沖田さん…」
よくよく考えればこれまでの二人のいざこざはお互いにちゃんと言葉で想いを伝えていないことが原因だ。総司が暴走した一件然り。互いが告白する以前の騒動然り。
もっと言葉を尽くすべきだ。そうすることで少しでも彼女の背負う負の感情を拭えるのなら、どんな言葉だって捧げよう。
夢を見て総司はそう自分を振り返った。
「甘えても…いいんですか?」
千鶴は小さな声で呟いた。
「私…迷惑かけてしまうかも…」
「お互い好きなんだからいいんじゃない?」
「沖田さんの重荷になったり…」
「一度も君を重荷だなんて思ったことない。僕たち恋人同士なんだし」
“恋人同士”という明確な関係名を言われて千鶴は耳まで顔を赤くした。
「こ、こいっ…」
「違うの?」
「いえ、えっと…」
今まで総司の方が切羽詰っていた。病であったり羅刹であったり。千鶴には心配ばかりかけてきた。そのせいで千鶴が感情を押し殺すようになったのも原因のひとつだろう。
「僕は君の気持ちを知りたい。その唇で、ちゃんと伝えて欲しい。何を言ったって、何をしたって僕は君を受け止める…千鶴ちゃんの言う『鞘』だね」
「っ…!!」
その言葉を聞いて千鶴はどっと涙を零した。堰を切ったように溢れてとまらない彼女の涙は頬を伝い、袖に、総司の肩口に吸い込まれていく。
「…今まで僕のために頑張ってくれてありがとう。つらかったよね…苦しかったよね…ありがとう、千鶴ちゃん」
千鶴はまるで子供のように声を上げて泣いた。総司は何度も何度もその小さな背中を撫でてやる。
「でも、これからもきっと君を悲しませるし、泣かせることだってある…」
総司はしがみつくように泣き咽ぶ千鶴の顔にかかる髪を払いのけて、そっと呟く。
「僕は必ず君より先に逝くしね」
「っ…!」
千鶴は弾かれたように顔を上げた。
「つらい事実だけど、僕はたぶん君より先に逝くよ。それだけは君にわかってほしいんだ」
「そん、な…こと…」
この体に潜む羅刹の力は病弱した総司の体を容赦なく蝕んでいくだろう。
「うん。僕もつらいよ…君ともっといたいし、もっと…」
総司はそこで言葉を切った。千鶴が涙ではらした目で総司を見つめた後、きつくきつく総司に抱きついた。
「生きましょう…一緒に…何か方法はあると思うんです…二人で探しましょう…だから…っ……そんなこと言わないで下さい…」
振り絞るように紡いだ言葉は総司の胸に染み渡り、奥深くに斜陽のような温もりを与えてくれた。
「うん、うん…そうだね。そうしよう。二人で一緒に探そうか…」
悲しい未来を受け止めることも大事だ。現実を見なければ後に傷つくのは目に見えている。だが、先を憂うだけではなく、その運命に抗うことも諦めない。千鶴のその姿勢に総司は胸が熱くなった。
「ありがとう、千鶴ちゃん…」
千鶴の髪に顔を摺り寄せ、二人はその後しばらく抱き合ったまま動かなかった。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.127 )
- 日時: 2013/03/29 19:03
- 名前: さくら (ID: MmCaxbRG)
「千鶴ちゃん、大丈夫?」
「はい…何とか…」
月を背に振り返る総司の姿が美しくて、千鶴は一瞬息を呑んだ。
伸ばされる手を握り返して再び歩き出す。
洋装に身を包んだ総司にまだ慣れない。シャツというものを着て、それからベストと袖の無い羽織を着用したとき、総司の第一声は『窮屈』だったことを思い出して千鶴はくすりと笑った。
「何笑ってるのさ?」
「いえ。何でもありません」
「お二人とも。置いて行きますよ」
先行して荒れた山道を踏み固めている山崎の声に二人は歩調を速める。
江戸の隠れ家を出発して総司たちは道無き山中にいた。
総司の傷が完治したのはつい先日。松本の診察を受け、もう動き回っても良しとの了解を得られた。
それを聞いた総司はすぐさま近藤のところに行くと言い出した。
実際近藤や土方から完治すれば新撰組の復帰を言い渡されていた総司は、待っていましたと言わんばかりに出立を即決したのだ。
新撰組が甲府城の警護を幕府から命じられ、近藤はその途中に故郷の日野を通るためか総司を同行させたいらしい。
となれば総司は居ても立ってもいられない。
甲府城を目指す一行は新政府軍に見つからないようにあえて道の無い山中を突き進むことを選んだ。
先を歩いていた山崎が総司を振り返る。
「自分は今から情報を収集して来ます。近くに幕府軍がいるはずなので…」
「そう。それじゃ僕ら先に進むよ。別にいいよね?」
「構いません。では合流場所をあの山の麓としましょう」
近くに見える山を指して山崎は鉢巻を翻すと森の影に消えていった。
「あの、大丈夫なんですか?山崎さんを一人行かせて…」
「大丈夫だよ。彼は足が速いし。何よりほら、あそこ見てごらん」
総司の指差す方向を千鶴は目で追った。今居る山の隣の山に小さな光が見える。総司たちが登ってきた場所とは反対方向だったため、その光に気づけなかった。
「あれは多分幕府軍だと思うよ」
「じゃぁ…」
「うん。甲府城の近くまで来てるんだよ、僕ら」
頷き返す総司は高揚が抑えられないのだろう、山崎の帰りを待つのではなく先に進むことを選んだ。
千鶴の手を引いて総司は再び歩き始める。
鬱蒼と生い茂る草を踏み固めながら進んでいると山道を通るより時間がかかった。けれど今はどこに布陣しているかもわからない新政府軍を警戒して歩くしかない。
しばらく黙り込んでいた総司が唐突に口を開いた。
「後悔してる?」
「え…?」
総司が先を歩いて歩くことに苦は感じないが、何しろ緩やかな斜面を登り続けている。息を整えてから千鶴は総司の背中を見つめた。
「僕が君を連れてきたこと」
総司が何を言おうとしているのか、すぐにわかった。
それは先日のこと。世話になった松本に甲府に向かう旨を伝えると、千鶴を残して行くなら面倒を見ようと提案された。
千鶴が答えるより先に総司は即答した。
『連れて行きます。目の届くところにいてくれないと、落ち着かないし』
そのとき千鶴はとてつもなく嬉しかった。戦場に赴くのだ。総司について行きたい気持ちはもちろんあったが、それはあまりにも危険が伴う。総司に引き止められるとばかり思っていた千鶴は喜んだ。
「どうして、そんなこと言うんですか?」
「んー…気分?」
前を向いたまま歩き続けている総司の顔は見えない。だが千鶴にはわかる。彼が何故そんなことを口にするのか。
「大丈夫です。私、あのときすごく嬉しかったんです…今まで戦場から遠ざけられていた私を連れて行ってくれるって聞いたとき…何というか、傍にいても良いんだって言ってもらえた気がして…」
「気がしたじゃなくて、実際そうなんだけどね」
総司は立ち止まると千鶴を振り返った。つられて千鶴も立ち止まる。
「僕はもう君無しじゃ無理なのかもしれない…今まで濃い時間を過ごしてきたから。でも…」
総司の顔が曇る。千鶴は何も言わずにその先の言葉を待った。
「そう思ってるのは僕だけなのかなぁ、って今ちょっと思っただけ」
再び歩き始める総司に手を引かれて千鶴は慌てて足を動かす。
無理に連れてきたのではないかと総司は一抹の不安を抱いているのだ。それを理解した千鶴は総司の手をぎゅっと握り返した。
「私も…沖田さん無しでは、多分…生きていけない、と…思います」
「え?」
尻すぼみになってしまった台詞は最後は聞き取れないほど小さい声だった。
足を止めて総司はにっこりと微笑む。
「よく聞こえなかったなぁ。今何て言ったの、千鶴ちゃん」
腰を屈めて千鶴と視線を合わせる総司の顔には愉快の文字が書いてあった。
千鶴は顔を赤らめながら首を横に振る。
「ちゃ、ちゃんと言いました!」
「へぇ?じゃぁもう一回言ってよ。僕の耳にも聞こえるように」
「意地悪しないで下さいっ!」
耳まで真っ赤にして千鶴は総司を睨む。いくら凄んだ視線を送られても、赤面されていてはその効果も薄い。可愛いとさえ思えるその表情を総司は楽しんだ。
「そうやって言葉にしてくれることはすごく嬉しいよ。でも、もう一息ってところかな。次は僕の耳元で言ってね」
「そんな恥ずかしいこと出来ませんっ」
くすくすと笑いながら総司はまた道なき道を歩く。からかわれた千鶴は羞恥心でいっぱいだ。なけなしの勇気を振り絞って言った言葉は総司の耳にもちゃんと届いていたはずだ。
何だか納得できない千鶴は黙って歩いていると、銃声が木霊した。
「っ…今の…」
「結構遠くから聞こえたね」
「もう戦いが始まったんでしょうか」
「わからない…」
微かに聞こえた銃声はそのあといくつも聞こえた。甲府城に近づいている。そして同時に戦場に近づいている。
千鶴は不安を口にした。
「近藤さんは大丈夫でしょうか…」
近藤が肩を狙撃され、その後遺症で刀を握れない体になったと聞いた。回復はそれ以上見込めないらしい。そんな近藤を戦場に借り出して大丈夫なのだろうか。
「土方さんもどうかしてる。闘えない近藤さんを戦場に送り込んで…新撰組ばかり慮って近藤さんを気にかけていない…」
総司の顔に苦痛の色が浮かぶ。近藤に会っていない分、不安が募っているのだ。状況もわからない。情報も少ない。新撰組の動向を聞いているだけでは土方の考えがわからないのだろう。
「土方さんはきっと僕を新撰組に戻したくないんだよ。怪我が治っても安静にしていろ、なんて言ってたし…」
近藤が総司を同行させたいと望んでいたらしいが、土方はそれに反対していた。
千鶴からみればそれはただ単に総司を気遣っているのだとわかるのだが、総司はそう受け取れないらしい。
「でも…それは…沖田さんを思ってのことだと思います」
「どうかな。あの人の頭の中は新撰組のことだけしかないんだよ」
冷たい声音に千鶴は目を細める。
きっと寂しかったのだ。怪我が治るまでとはいえ、新撰組から離れていた総司は土方を恨むことでその気持ちを紛らわしてきた。新撰組の刀である自分がそこを離れることは想像以上に辛かったはずだ。
不憫に思える千鶴はぎゅっと総司の手を握った。大きくて骨ばった手はそれに答えるように優しく握り返す。
「着いた…」
山崎との合流地点に着いた総司と千鶴はふっと一息ついた。
辺りを見渡しても山崎の姿はない。まだ到着していないようだった。
「しばらくここで待ってようか」
総司がそう言い募ろうとしたときだ。またも銃声が山に木霊する。今度は大きな音だった。
「一足遅かったのか…」
はっきりと聞こえた銃声はすぐそこで鳴っているようだった。恐らくこの山の中腹あたり。総司は山を見上げて歯噛みした。今すぐにでも駆けつけたい気持ちを必死に抑える。
山崎の情報を聞いてから動かねば状況もわからず動くのは危険だ。
「ただ今戻りました」
木々から姿を現した山崎は二人の元に駆け寄ってくる。
「戦況は新政府軍の優勢です」
山崎は素早く報告する。
「近藤さんと土方さんの居場所は?」
「近藤局長は本陣に。場所は山の中腹辺りだそうです。副長は援軍要請のため、江戸に戻られたと聞きました」
「江戸に戻った!?」
山崎の報告に総司は声を上げた。だがすぐに冷静さを取り戻し、怒気と失望を瞳に浮かべる。
「不利な戦況に近藤さんを残してひとり江戸に逃げ帰ったのか…」
「援軍要請は局長命令だと聞きましたが」
総司の言い方に黙っていられなかった山崎は眉根を寄せる。
「近藤さんを口車に乗せて言わせたんじゃないの?」
山崎と総司の視線がぶつかり合う。
「いい加減にして下さい!私達がこんなところで言い争ってどうするんですか…!」
土方を攻めても何も変わらない。悲しくなって千鶴は二人を見つめた。
ややあって総司は落ち着いた声音で呟く。
「…近藤さんと合流しよう」
「了解です」
二人の間から少しだけ険悪な空気が薄まる。ほっと胸を撫で下ろした千鶴は物音を聞いて目を瞬いた。
「合流する前に———」
木々の陰から人の姿が見えた。ゆっくりとこちらに近づいてくるその人影を見て、千鶴は目を見張った。
「僕と遊んでよ———」
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.128 )
- 日時: 2013/03/29 23:44
- 名前: さくら (ID: MmCaxbRG)
青いマントを翻し突如現れたのは千鶴の兄、薫だった。
薫の登場に一同は目を丸くする。
「生憎、お前一人のために時間も人も割いてやれないんだよね」
総司はそう言うと山崎に目配せする。その視線の意味を瞬時に理解した山崎は一つ頷くと駆け出した。
薫の横を走り抜けても引き止める様子は無い。総司と千鶴に用があるらしい、薫はうっそりと微笑んだ。
「見捨てられたの?人望ないんだね、沖田って」
「彼とは昔から馬が合わないんだよ」
今度は千鶴に目配せをした。恐らく後ろに下がれという意味だろう。千鶴は黙って沖田の背後に隠れる。
「調子はどう?羅刹になったんだよね。やっぱり日の光は眩しいの?」
「世間話をしに来たの?相変わらず口が多いね」
すっと抜刀して静かに構える。それでもなお薫は嗤っていた。
「僕は君が大嫌いだ。今日、今ここで、お前の息の根を止めてあげる」
総司は千鶴が十分に後ろに下がったことを確認して地を蹴った。剣先はまっすぐに薫の胸を狙う。ひらりと事も無げにそれをかわして薫は腰に提げていた大通連を抜き放った。
突きから無駄のない動きで薫が飛びずさった方向に一閃する。それを受け止めて薫の顔が少し歪んだ。
思い一撃に手が震えている。休む暇も与えず総司は先攻した。あらゆる角度から剣撃を浴びせ、薫を圧倒する。総司の猛攻に千鶴は目を瞬いた。
「沖田さんが強すぎる…?」
千鶴は呟いた。
形勢を見れば誰でもわかる。総司が薫を圧していた。力を増して総司は羅刹へと変貌する。
髪を白く染め、血のように赤い瞳で薫を睨み据えた。
「どうしたの?口ほどでもないね」
「ふふっ…くくくっ…」
追い詰められているというのに、薫の顔から笑みが消えない。
むしろこの状況を愉しんでいるようにも見える。気味の悪さを感じて千鶴は我知らず自分の肩を抱いた。
総司はさらに追い詰めるべく刀を握り直す。すっと間合いを詰め、薫の頚動脈を狙って一閃した。
咄嗟に腕をかざしてその一撃を食らった薫はうめき声をあげる。
「っうわ…!」
腕からは血が流れ、地面を染め上げる。相当の深手を負っても彼も鬼だ。その傷はすぐに癒えてなくなった。
傷が塞がる前に新たな深手を与えるために総司は更に刀を振るう。
薫の服が点々と血の色に染まり、体が傷だらけになった。
「いくら鬼でも、出血多量じゃ死ぬんじゃないの?それとも羅刹と同じで心臓を突けば息の根も止まるのかな?」
追い詰められた薫木の幹に背中を押し付けた。これ以上は後ろに下がれない。後ろに下がれば急斜面になった山肌が見える。崖淵に立たされた薫はそれでもなお余裕を含んだ笑みを湛えていた。
「くくくっ…」
「いつまで嗤ってるの?それとも、出血しすぎて頭がおかしくなった?」
刀の切っ先を薫に向け、総司は構えをとる。
「面白いよなぁ…本当に…」
「何が言いたいのかさっぱりわからないんだけど…」
口元を歪めながら薫は悠然と総司を見上げる。その目には余裕と愉悦に満ちていて、総司の不快にさせた。
「変若水を飲めば強靭な力を得る。だけど同時に血を求める化け物になってしまう」
わかりきったことを語り出した薫に総司は苛立ちを覚えた。この回りくどい言い方が癇に障って仕方が無い。
「苦しみに耐えかねて血を口にすれば今度は血を多く求めるようになる。もっと、もっと、もっと…そうして血を味わっていくうちに人ではなくなっていくんだよ。最後は狂い死にしていくんだ…」
「黙れよ。その喉からさきに掻っ切ってあげようか」
薫の喉元に刃を沿わせ、総司は睨んだ。それでもその余裕の笑みは消えない。薄気味悪ささえ感じるその笑みに総司は眉根を寄せる。
「労咳は治った?傷は塞がった?動き回ってるところをみると、飲んだんだね。千鶴の血」
向けられた刀を掴んで薫は刀ごと総司を引き寄せた。
「おいしかっただろ?もう一度、もっと飲みたいって思っただろ?」
「何が言いたい…」
くすりと口端を吊り上げて今度は千鶴に視線を投じた。
「『鬼の血を与えれば吸血衝動も傷も治る。沖田が血に狂うことはない』。そんな嘘にも縋ってみたくなるだろ」
「えっ———!?」
鼓動が大きく跳ねる。薫の言葉が頭の中で何度も木霊した。
嘘?あれは、嘘だったの?
千鶴は言葉を失くしたように口を開閉する。その反応が可笑しくて、薫はさらに笑みを深くした。
「鬼の血だろうが、血は血だよ。人間と何ら変わりない。僕の言葉を信じたお前は、沖田をこれからもっと苦しめるんだ」
驚いていたのは総司も同じで、後悔と失念に打ちひしがれた。その隙を薫は見逃さなかった。
その僅かな隙に薫はひらりと身を翻す。一瞬の速さで千鶴と距離を詰めた。
「っ!?」
「お前はもっと苦しめばいいんだよ、沖田と一緒に」
薫の手には赤く光る液体が握られていた。月を背にこちらに向かってくる薫の目だけが爛々と光っている。
千鶴の肩を横から押さえ、そのままの勢いで彼女の口に液体を放り込んだ。
「っけほけほっ!!けほっ」
「ふふふっ…」
「薫———っ!!!」
総司が駆けつけて薫に一閃したころには既に遅かった。
千鶴はほとんどを口から吐き出したが、微かながら飲み込んでしまったのだ。ざわざわと血が騒ぎ、胸に渦巻く吐き気に千鶴はその場にしゃがみこむ。
「お前、今っ…!!」
千鶴の前に立ち、薫を睨み据える。
「沖田ひとり苦しむのは可愛そうだろ?お前も一緒にしてあげたんだよ」
その笑みの残虐な眼差し。言葉からは心からの憎しみがこもっていた。
千鶴は早鐘を打つ胸を押さえて薫を睨む。
「そんな…っこんなの…酷い!」
千鶴が憂いているのは自分の身ではなく、総司の体だ。薫の嘘を信じて総司に血を与えてしまったことだ。どうしてもっと警戒しなかったのか。自分が憎くてたまらない。
「酷い?酷いのはこれからだよ。鬼が変若水を飲むとどうなるのかな?どう狂うのか楽しみだね」
「黙れよ、薫———っ!!!」
間合いを詰めて総司は鋭い一撃を見舞った。だが、それをあっさりとかわすと用は済んだといわんばかりに刀を収める。
「次に会うときは血に狂ったお前と…沖田。二人の変貌を心から楽しみにしてるよ…」
薫は至極の笑みを浮かべてすっと木々の陰に消えていった。
総司は薫が消えた後を睨んでいた。できることなら追いかけたかったのだろう。だが、千鶴を置いて行くわけにもいかない。
総司は力を戻して元の姿になると、刀を収めて千鶴に駆け寄る。
「大丈夫、千鶴ちゃんっ…ごめん。僕が躊躇ったから…早くあいつに止めをさせば、こんな…」
「大丈夫です…まだそんなに強い変化はありませんから…」
気丈に笑って答える千鶴を見て、総司は更に悔やんだ。薫の言葉に耳を傾けるべきではなかった。
歯噛みする総司の腕を千鶴が引く。
「これから、近藤さん達と合流するんですよね…」
「…もう戦いは終わったのかもしれない」
耳を澄まして総司は辺りの様子を窺った。あれほど鳴り響いていた銃声も今は聞こえない。
「それじゃぁ…」
負けた新撰組は敗走したのだろうか。総司は立ち上がると決意したように強い眼差しで千鶴を見つめた。
「僕たちは一旦江戸に戻ろう。負けたのなら、近藤さんたちと合流するのは難しいかもしれない…」
総司は千鶴に手を差し伸べて立ち上がらせる。
「ごめんなさい…」
「どうして君が謝るのさ?」
「それでも…ごめんなさい…」
顔を俯けて謝罪する千鶴には何の責任もない。千鶴は薫にただ踊らされただけのこと。そうわかっていた総司は首を横に振った。
「君が謝る必要はないよ。僕はあのとき苦しかったから君が心配して血をくれた…僕はそれを自分の意思で飲んだ…薫に騙されただけだよ。大丈夫、僕は狂わない、絶対に…」
総司はそっと千鶴の頬に手を添える。そろそろと視線を上げて千鶴は瞬いた。
「行こう。夜が明ける前に帰れるところまで帰ろう」
「はい…」
二人は暗闇のなか山を降り始めた。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.129 )
- 日時: 2013/03/30 00:04
- 名前: さくら (ID: MmCaxbRG)
はい。
とうとう薫がでてきました
私自身、双子なので薫の気持ちはわかりますね笑
どちらか一方が優遇されるとすっごく寂しくなります
薫もきっと寂しいんでしょうね
おっと話が脱線しました
話も盛り上がってきましたが、さくらはこれから少し忙しくなります汗
ちょっとばたばたするので更新は少しの間できなくなると思いますが、
その間皆さんに質問したいと思います
これから総司は吸血衝動に襲われていきますね(薄桜鬼を知らない人にはネタバレになってしまうかも知れませんが…汗)
そこで皆さんはどうしますか?
血を与え続ければバッドエンド
我慢させればハッピーエンド
総司は二つの結末を持っているキャラなので、ゲームをプレイしたとき皆さんどちらにキュンとしましたか?
べったべたの甘い結末が私は好きや!
二人で花畑に寝転んで穏やかに、ラブラブの結末を迎えるハッピーエンドが好きやねんっ
という方もいれば…
羅刹化した千鶴と総司が血を啜り合う、あれにめっちゃ萌えんねん!
最後は儚く散る総司のあのシーンが泣けるわぁ
という方もいるでしょう
なので折角読んで頂いている方たちに聞いてみたいと思います
貴方はハッピーエンドがお好きですか?
それともバッドエンドがお好きですか?
作者自身は甘いあのハッピーエンドをもっと甘くしてそのもう少し先を書きたい衝動と(子供とか出来たらいいよねっ←)
あの暗くて悲しくて重い、バッドエンドをさらに悲哀にさせてみたいともおもっています(ただし、バットエンドはすごく重くなること間違いありません。作者自身重い話は得意なので)
読んでくださっているそこの貴方はどちらがお好きですか?
読者に結末を任せるのはどうなんだ、と思うかもしれませんが、折角ここまで読んでいただいたので何かそれに答えたいと思ったんです
意見がないようであれば作者の独断と偏見でどちらかの結末にしたいと思っています
それでは、皆さんのご意見、お待ちしております
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