二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 薄桜鬼 沖田総司
- 日時: 2011/01/30 17:20
- 名前: さくら (ID: w/qk2kZO)
初めて書きます。
下手ですがどうぞ読んでやってください。
こういう方はお断り。
荒らし目当て
沖田好きな方はぜひどうぞ。
基本的沖田ですが、時々他のメンバーも出てくるかも…?
温かい目で読んでやってください。
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- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.120 )
- 日時: 2013/02/14 09:45
- 名前: 副管理人 ◆qMxJS2Fu4U (ID: QYM4d7FG)
テスト投稿です。
これはテスト投稿です。
作業後に消すのでこのコメントに対する返信は不要です。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.121 )
- 日時: 2013/02/20 12:41
- 名前: さくら (ID: MmCaxbRG)
「どうしたのさ、千鶴ちゃん?」
細い腕に精一杯力を込めて総司を逃がすまいと抱きついてくる千鶴に、小首を傾げた。
だが総司の問いかけに答える様子はなく、総司の背中に顔を埋めて、押し黙ってしまった。
このままの体勢で居続けるのも自分がつらい。総司はそっと千鶴の腕に手を伸ばす。
「千鶴ちゃん。そんなことしたら僕が動けないし、話も聞けない。ちょっとこの腕放して?」
優しく語りかけると、千鶴はおずおずと手を離した。開放された総司は千鶴に向き直り、膝を折る。こうすると自分が千鶴を見上げるかたちになって、彼女の顔が良く見えるからだ。
「どうしたの?千鶴ちゃん」
千鶴は切なそうに目を細めて黙したまま総司を見つめるだけだ。
彼女が一体何を思い、こんなことをするのかまだよくわからない。だが、彼女が何かしら自分を想っていることだけは理解できた。
口を真一文字に引きつぐんで、千鶴は言葉を発しない。
彼女はあまり我がままを言う性格ではない。そのためか素直に自分の思いを言葉にすることを躊躇っている。
それを悟った総司はそっと腕を伸ばした。
「僕は何を言われても構わないし、何を言ってもいいんだよ?誰もそれを咎めないし、僕は怒ったりしない。ねぇ、千鶴ちゃん。たまには言いたいこと言ってみなよ」
酔ってしまった今だから言える。素面の彼女であれば絶対に拒んだはずだ。
千鶴の頬にそっと手を添えて総司は優しく微笑む。
ずっと押し黙っていた千鶴は総司の手の温もりを感じて、強張っていた表情を和らげた。
「…夢を見たんです」
「夢?」
千鶴はその場に座り込んで唐突に語りだした。
「沖田さんがいなくなっちゃう夢…」
「…千鶴ちゃん」
寂しそうに総司の指に自分の手を絡めて千鶴はぽつりと呟いた。
その呟きは総司の胸を確実に貫いた。しばらく総司は動けなかった。
その夢はいつか正夢になるときが来る。
それは遠い未来かそれとも近い未来かはわからない。けれど必ず訪れる将来だ。
戦火に身を投じて死んでしまうかもしれない。闘いで負傷して死にいたるかもしれない。または羅刹化の際に狂ってしまうかもしれない。危険に身を置く自分は死と常に隣りあわせだ。
それは今に始まったことではないし、昔の総司であれば「そうだね。だから?」と切り返せた。
だが今は大切な人ができてしまった。目の前の彼女を一人残して逝くことなどできない。
「…千鶴ちゃん」
二人の間を詰めて、総司は彼女をそっと抱きしめた。
「君にはつらい思いをさせてばかりだね。僕は駄目な男だよ…どうしたって君の不安を全部消してあげることはできないかもしれない」
千鶴は総司の肩に顔を埋めて、背中に腕を回した。そうまでして互いの温度を感じていないと不安なのだ。
微かに震えている千鶴を更に強く抱きしめて、総司は言葉を尽くす。
「けど、幸せをあげることだってまだできる。ねぇ、千鶴ちゃん。先を心配するのもいいけど、たまには今を幸せにしようって思わない?僕は毎日君のご飯を食べられて、毎日笑ってくれて幸せだよ。千鶴ちゃんは?僕と居て幸せじゃない?」
問いかけられて千鶴は顔を上げた。
そうして花のように満面の笑みを咲かせて言った。
「幸せですよ。時々意地悪されますけど、でもそれを含めて沖田さんと一緒に過ごせる時間全てが幸せです」
酒も抜けたのか、千鶴の呂律が徐々に戻っていた。
その言葉に嘘はない。互いが隣に居て幸せを感じている。
「じゃぁその夢はただの悪夢だよ。僕はいつだって君の傍にいるし、君もいてくれるでしょ?」
こくりと頷いて千鶴は総司の言葉の続きを待つ。
「夢は夢。僕はずっと君の傍から離れない。もう離さない。僕が君を一人置いて逝くとでも思ってるの?」
もちろんこれは嘘だ。いつかは千鶴より先に命を終えるだろう。この病に蝕まれた体に最近弾丸を受けて命を削ってしまっている。
発作もいつ起こるかわからない。保障などどこにもないのだ。
だけど今の彼女の不安を取り除くにために優しい嘘も吐こう。
それで彼女が安心するならば。それでいい。
「僕はいつでも君の傍にいるから…」
「はい…」
総司はそっと千鶴の唇に己のを重ねる。それでも足りないと千鶴の指先が総司の掛襟を掴んで訴えかける。それを察して総司は唇から頬、瞼、耳へと口付けの雨を降らせた。
「千鶴ちゃん…」
「…ん」
顔を離して千鶴の顔を覗き込む。
酒の酔いではなく単純に顔を赤らめている彼女は切なそうに目を細めている。
だからか。
総司はこの時悟った。酒を飲めば素直になる彼女は不安を取り除きたくて総司を押し倒したり、別れを拒んだのだ。
もう少し早く気付いてやれば良かった。どんな些事でも気に留めてやるべきだった。
総司は居たたまれなくなって、もう一度だけ口付けを交わした。
今度は深く、長く、優しく。
唇で互いの思いを確かめるように。熱い吐息に震えて、優しい感触に揺蕩う。
そっと唇を離すと総司はしまったと後悔した。
「千鶴ちゃん?大丈夫?」
「は、はい…」
夢中になりすぎて彼女の息継ぎをさせてやるのを忘れていた。
酸素不足でくらくらと眩暈を起こす彼女をそっと抱き上げて布団の上に寝かせてやる。
「おやすみ、千鶴ちゃん。もうこんな時間だからね。眠るまで…眠っても傍に付いてるから…」
総司の言葉に安心したのか、千鶴は素直に従った。
総司は白い手を握って唇に寄せた。
「今だけは優しい嘘を吐いても赦してね…」
後々残酷な現実となっても。それはまだ先かもしれない。今だけは安堵の温もりで包んであげたい。
罪を背負い、償っていくのは自分ひとりだけでいい。
「そんな僕をまた意地悪だって言うのかな」
総司の問いかけに眠りの淵へ落ちていった千鶴は答えることはない。
総司は今だけ、こうしていられることを生まれて初めて神に願った。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.122 )
- 日時: 2013/02/25 18:19
- 名前: さくら (ID: MmCaxbRG)
「はぁ…」
総司は見慣れた天井見上げて溜息をついた。
視線だけを動かせば時刻はまだ昼のようだ。部屋に日差しの光が溢れている。
自分が布団に横になっていることを自覚したと同時に強烈な虚無感に襲われた。
「なんて夢をみたんだろう…」
自分が嫌になるくらいの悪夢だった。
都合が良すぎる夢だった。千鶴が甘酒に酔うなど考えられない。夢の中でよく起こりうる非現実的な出来事だ。
だが、その後。千鶴が吐いた言葉。
『沖田さんがいなくなる———』
夢の中でも自分は死に行く定めなのだ。その事実は現であれ泡沫であれ変わりはしない。そのことを再確認させられたようで気分が重く沈む。
「…欲求不満みたいで嫌だな…」
総司は上体を起こして吐き捨てるように呟いた。
夢は自分の欲を映し出すと聞いたことがある。あれが自分の欲情ならなんて猥らで卑猥な姿なんだろう。
酒に酔った彼女を押し倒したいだの、彼女にはまだしたことはないが深い口付けだの。結局は自己満足でしかない夢の自分の行為が腹立たしくて仕方が無い。
虚無感の次には罪悪感が襲い掛かる。
彼女は夢の中でも寂しがっていた。それを慰めるために自分がとった行動は正しかったのだろうか。
嘘までついて彼女を安心させたいか。
違う。
本当なら彼女が更に泣きはらそうが、傷つこうが真実をともに受け止めて前に進むことを選択したはずだ。
夢の自分が自分ではないようで嫌気が差す。
「言いたいことは僕はちゃんと言うよ…それが残酷なことだって。真実を偽って君を騙したって結局は最後に悲しむのは目に見えてるから…」
悲劇を回避できないならその事実をありのまま君に話そう。泣き崩れる君を抱きしめて泣き止むまで傍にいよう。
いつかは先に逝くことを隠すつもりはない。そのときが来れば必ず彼女に打ち明ける。最後のときは君より先に迎える、と。
「眩しいなぁ…」
昼間の日差しは体を蝕むように悪質に思えた。羅刹に身を落としてしまった業は日々こうやって自分を追い詰めてくる。
総司は腰を上げて立ち上がった。くらりと眩暈がしたが、それはこの日差しのせい。
体に襲い掛かる負担と戦いながら、総司は羽織を肩にかける。
障子に手を伸ばそうとしたときだった。
激しく鼓動が脈を打ち始める。急に立っていられなくなっり、その場に膝を折った。
「っ…ぁ…!!!」
苛烈な発作が全身に表れ、喉が干上がる。いくら生唾を呑み込んでもそれは収まらない。
髪は次第に白亜に。目は血の色に染まる。
「あ…っ……はっ…!!」
収まれ。静まれ。
総司はただ懇願しながら時が過ぎるのを待つしか出来ない。
吸血衝動は日を増すごとに増え、その衝動時間は回を重ねるごとに長時間化していった。
その衝動を抑える方法は知っている。簡単だ。人の血を飲めば良い。
そうとわかっていながら苦悶するしかできない。血を飲めば自分は人ですからなくなる。
「はぁ…はぁ…っ」
息をするのも苦しいほど、吸血衝動は強烈な激痛を与える。
しばらくすると髪と目が元の色に戻り、発作はなりを顰めた。
何とか収まった衝動に大きく息をついて、総司は足に力を込めて立ち上がる。
「千鶴ちゃん…」
千鶴に会いたい。変な夢を見たせいか、千鶴が心配になってきた。
会って声が聞きたい。声を聞いて安心したい。怖い夢を見たときに胸に渦巻くあの恐怖にも似たこの感情を取り去りたい。
総司は廊下に出てさらに目が回った。
強烈な日差しの眩しさに体が拒絶反応を起こす。体が重い。言うことをきかない。
何とか自分を叱責して、千鶴がいるであろう自室に足を向けた。
一歩一歩と前に足を踏み出し、中庭に差し掛かった。さらに眩しい日光が体に強烈な痛みを与える。
「っ……!!」
思わずそこに座り込んでしまった。息を整えて総司は視線をさ迷わせた。
目を細めてみれば、憎たらしいほどの日光が照らし出す中庭に愛しい人が居る。
「ちづ…ちゃ…」
声が思うように出ない。言葉は虚しく空に霧散する。
千鶴ちゃん、千鶴ちゃん。
動けなくなった総司はただ心の中で祈るしかなかった。
その小さな背中は総司の思いが伝わったのか、くるりと振り返った。
「沖田さん?…っ沖田さん!!」
本来昼間に起き上がることがない総司を見て驚いた。そしてすぐさま駆け寄って総司の頬に手を添える。
「大丈夫ですか?どうして起き上がってるんですか?早く部屋に入って———」
「千鶴ちゃん…」
総司は何とか力を込めて千鶴の手に触れる。自分とは違い温かい彼女の手は心地が良かった。
「沖田さん…?」
「千鶴ちゃん…僕は幸せ者だよ…」
愛しい人が傍にいて。笑って。声を聞けて。見落としがちな日常に本来の幸せがある。総司は夢を見た今だからそう思えた。
「とにかく、部屋に戻りましょう」
「もう、あんまり無理しないで下さい。傷もまだ完治した訳じゃないんですよ?」
「ごめんごめん…」
部屋に戻って横になった総司は落ち着きを取り戻した。青かった顔も今は赤みを帯びている。
千鶴が用意した茶を飲んでから総司はほっと息を吐いた。
「急に千鶴ちゃんに会いたくなって…」
「私なら毎日会ってるじゃないですか」
「そうじゃなくて、今会いたかったんだよ」
夢を見て君の顔を見たくなった、などと言えない。
総司は笑って千鶴を見つめた。
「千鶴ちゃん…僕に何か言いたいこと、ない?」
「え?」
夢を見たとき思った。どんな些事でも彼女のことを気にかけるべきだと。千鶴は我慢性だ。不安や不満っがあっても決して口にはしない。
それを気遣ってやるべきだ、と夢で学んだ総司はと問うてみた。
「何でもいいんだ。思ったこと…特に寂しかったりしたらいつでも言ってほしいんだ」
「沖田さん…」
総司の痛切な言葉の響きに彼に何かがあったことはすぐにわかった。けれどそれを問いたださず、総司の目をまっすぐに見つめて微笑んだ。
「じゃぁ…一つだけ」
彼女の口から一体何が紡がれるのだろう。総司が身構えていると。
「私は沖田さんの鞘になりたいと思っています…でも私はその自信がまだありません…私は、沖田さんの鞘になれていますか?」
「千鶴ちゃん…」
健気な告白だった。寂しがるのではなく、不安を口にするのではなく、千鶴の口から出た言葉は自分を気遣うものだった。
総司はあぁと感嘆した。
「好きになったのが千鶴ちゃんで良かった…」
「え?え?」
「鞘なんて物みたいな言い方しないで…君は僕の大切な人なんだから」
「沖田さん…」
千鶴は初め総司の言葉に顔を赤くしたが、その後は嬉しそうに頬を染めた。
「千鶴ちゃん」
「えっ…」
「えっ、じゃないよ。はい」
総司は布団から両手を出して広げた。そこに飛び込めという無言の動作だ。
千鶴は一瞬戸惑って総司の胸に身を預ける。まだこういった行為に慣れていない。
「どうしたんですか、沖田さん。今日の沖田さん何だか変ですよ?」
「具体的に言うと?」
「甘えん坊さん…みたいな」
「あはは。甘えん坊さんかぁ。うん、そうだね。僕は今君に甘えたい」
総司は千鶴の肩に顔を埋めて呟いた。
「何かあったんですか?沖田さん」
「…うん…でもそれ、明日話ちゃだめ…?」
今は眠りにつきたい。温もりをこのまま感じながら。
明日になれば話そう。夢のこと。吸血衝動のこと。そして未来のこと。
「何を言っても…君は受け止めてくれる…?」
「もちろんです。私は沖田さんの鞘…大切な人なんですから」
「ありがとう…」
子守唄のように優しい彼女の決意の言葉を聞いて安心して総司は再び眠りについた。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.123 )
- 日時: 2013/02/25 18:31
- 名前: さくら (ID: MmCaxbRG)
—余談—
千鶴は眠る総司の胸からどうやって抜け出そうか必死に考えていた。
動けばこのまま総司を起こしかねない。
しっかりと腕を回されて、身動きひいとつできないこの状況をどう打開すればいいのだろう。
千鶴は規則正しい寝息をたてて眠る総司を見つめた。
「また、何かを抱え込んでいるんですか…?」
総司がたいてい自分を求めるときはそういうことが多いとわかった千鶴は心配になっていた。
強い人ほど抱え込むものは大きくて重い。それを支えるのが自分の役目だが、自分はそれを受け止めきれるだろうか。
「沖田さん…一人で悩まないで下さいね」
起こさないように小さな声で千鶴は言った。言わないといけないような気がして。
明日話すと言ってくれた。それを信じるしかない。
そのときに何を告げられても良いように心構えをしなければ。
千鶴は総司の寝顔を見つめて呟いた。
「大好きですよ、沖田さん」
自分で言って恥ずかしくなった。顔を真っ赤にして総司の様子を窺う。
目を覚ます気配はない。そのとき総司が少しだけ身じろいだ。
覚醒かと思ったがそうではなくただの寝返りだったらしい。少し腕の力が緩んだのを確認してから、千鶴はそっと身をひいた。
何とか呪縛から介抱された千鶴は眠り続ける総司を見つめる。
「まつ毛…こんなに長かったんですね」
よく見れば切れ長の眉も美しかった。薄い唇も形がよく整っていて、自分との違いに驚く。
「ってどこ見てるんだろう、私」
仕事に戻らなくてはいけない、と千鶴は一瞬だけ腰を浮かせたが再び膝をついて、総司の額に口付けをした。
「良い夢を…」
自分の大胆な行動に赤面しながら千鶴は総司の部屋を後にした。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.124 )
- 日時: 2013/02/25 20:57
- 名前: さくら (ID: MmCaxbRG)
はい。ここまでが番外編でした^^
何だか結局また暗く終わってしまったような…
夢オチかいっ!と思った方ごめんなさい
乏しい作者の想像力の限界でした←
ここから先に話を進めていきたいと思います
何せやっと五章に入ったところなので…
ペースが遅いさくらですがどうぞ見守ってやって下さい
それでは本編です
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