二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか?第二章突入!
- 日時: 2011/12/18 11:00
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
はじめまして。冒険者といいます。ここでは書くのが初めてです。
二次創作が好きなので、最近初めて遊んでいるととモノというゲームをオリジナルを踏まえて書きたいと思います。
これまで多くのキャラ、ありがとうございました!必ず出します!
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- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.21 )
- 日時: 2011/11/06 12:27
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
どもども、冒険者です。
しまった感想コメント無視してたwごめんなさい。
夏蜜柑さん遅くなりました。もう杏樹さんはゆうのにとっては相棒です。心の友です。ですからこれからも副主人公として彼女を支えていくでしょう。
spadeさん、どうもです。レイスはこれからもちょくちょくいいとこどりしていきます。忍者ですから。ちなみに明かされてませんが、あの木偶人形を倒したのはレイスくん一人です。ゆうのが動力炉に致命的なダメージを与えられなかったのに、彼は一人で倒しております。まぁ、次の話辺りで語ろうと思います。カメさん更新ですが、これからもよろしくお願いします
- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.22 )
- 日時: 2011/11/06 13:08
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
第十四話 療養一日目 その一
「……杏樹、別に、いいのよ?看病しなくても」
「私の専攻は薬学。治療はお手の物なの。大丈夫、授業は免除されてるし、私もパーティの仲間だから。ちゃんと先生に許可も得てるわ」
「だけど……」
「私の責任もあるの。だから、ゆうの。お願い、なにかさせて」
「……分かった」
療養一日目。自室ベットで動けないゆうのに代わり、杏樹が色々と世話を焼いてくれた。何でもいいからやらせろ、とせがまれる。
自分の食事から介護まで。人間をフェアリーが看護すると、体格の差があり、どうしても限界がある。それでも杏樹は弱音すら吐かず、ずっと手伝ってくれている。
「杏樹、この薬」
「大丈夫、低使用の鎮痛剤。かなり効いて、なおかつ使用回数が極限まで減らしてみたわ。これで体の負担も少ないし」
「作ったの!?」
「そうよ?ちょっと昨晩は寝てない位だもの。平気よ」
「ちょっ……」
何だか杏樹の顔色が悪い。くまが出来てる。ふらふらしてるのを、気力だけで動いているようだった。
「杏樹、あんた……ぶっ倒れるわよ?寝なさいよ」
「ゆうのが寝たら仮眠する」
といって言うことを聞かない。
更に。
「勉強は?」
「私が分かる範囲だったら手伝うわ」
「いやいいから」
「やらせて」
「ちょっ」
「や、ら、せ、て」
一句ごと区切ってまで迫る杏樹。逆らうと何かやられそうで怖い。
実際杏樹は非常に優秀だった。モンスターの生態から、武器の扱い、地図の正確な取り方、迷った時の復帰方法、魔法の扱いまであやゆる分野を幅広く勉強しているようだった。
「あんた……すごいわね」
「そう?こんなの必要だから学習しただけ」
薬師というのはそれだけ大量の知識が必要なのだと説明してくれた。
そしてふと、杏樹が聞いていた。
「ゆうのは何を専攻してるの?戦士科?魔法科?」
「あたし?普通科だけど」
「普通科!?普通科って……特にやることない暇人の学科でしょ!?」
「そうねぇ……。あたしの場合、戦士にも魔法にも分けられなくて取りあえず普通科に放置されたって感じよ」
「……ゆうの、学科の名前は?」
「魔法兵」
「魔法兵?」
魔法兵とは、いつかも説明したが、ここで少しだけ詳しく説明しよう。
つまり、白兵と、魔法を両方を特化させ、戦士、魔法使いの攻撃面を極限まで上げたものらしい。急きょ作られた学科なので、いまいち分かりにくいが、そういうことだ。攻撃特化の学科と言える。
「属性魔法は?回復魔法も、回復技も使えないの?」
「そうね。無属性の攻撃魔法をいくつかと、あとは単純に蹴る殴るだけ。余計な技術がない分、それは基本性能でカバーするタイプだってさ」
身体能力、魔力感応能力、魔力総量がどの種族よりも極端に高く、しかも攻撃に関してだけ言えば学園最強のイリーガル。そして学科自体基本スペックは他のどの学科よりも高い。
「……ゆうのってほんと、普通じゃないわね……」
「まぁね。イリーガルだし、一応」
「イリーガル……?突然変異種?人間の?」
「そ。やっぱり知ってた?通称変異種。本当は亜人っていうらしいわね」
杏樹は渋い顔をした。ゆうのはさらりと言ったが、これは大問題なのだ。種族間の差別よりもっとひどい差別を受けると、昔読んだ書物には記されていた。
それは根本的な能力の優劣。圧倒的な強さ、知力をもつイリーガルは、どの時代でも支配者にすらなれることが出来る程強かった。だが。その強さゆえ、憎まれ、恨まれ、妬まれる対象になる。本人も強さゆえ、孤独になる。救いのない悪循環。
「ゆうの……」
「あたしは今まで強さを恨んだことはないわ。どうせこうなっちゃたものは、運命と諦めてるわ」
「だけど……それじゃ、ゆうの。貴方は……」
「そう。知ってると思うけど、あたしの寿命はあと3年以内。20行く前に確実に死ぬわ。衰弱死でね」
イリーガルの宿命。それは極端に短命であること。人間は元々短命だが、その4分の一すら生きられない。20年以内に生を終わらせる——それが亜人の宿命だ。
「医者にもお手上げだって言われた。リリィ先生も、それだけは無理だって。元々、前例が少なすぎるのと体のつくりが他種族と極端に違うから。延命だってまだ不可能なのよ?お笑い種よね」
「ゆうの、怖くないの?死ぬことが」
「え?何で?」
杏樹は笑いながらそう告げるゆうのを本気で怯えていた。彼女は、死を受け入れている。どこかで死ぬことを認めて、生に縋ろうとしていない。生を捨てているとすら言える。
「どうせ死ぬことが決まってるもの。未来は、覆すことは不可能。知ってる杏樹、無理と不可能は違うらしいわ」
「?」
「無理は、道理を押し通せば可能になるということ。不可能は、理の逆らうということ。杏樹、この世界にいる種族で、空気の無い真空で生きていける種族は、いると思う?」
「……いないわね」
「でしょ?それと同じ。理は変えられない。神でもない限り。そしてこの世界に神はいない。いるのは神と思い込んでいる愚か者だけ」
と告げた。
- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.23 )
- 日時: 2011/11/06 13:50
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
第十五話 療養一日目 杏樹の闇
「ゆうの、私疑問なんだけど」
「なに?」
「死ぬことを受け入れるって、どんな気分?」
「気分?んー……そうね、例えるなら、うん。諦念の境地かしら。末期の病気とかの人なら多分分かるんじゃない?後悔したくないことはやり終えてさ」
「ゆうのは?」
「え?」
「ゆうのはやりたいこと、ないの?」
うつむき、震える口で紡ぎだす言葉。何で。なんで、私の大切な人は、信じてる人はみんな、死ぬことを受け入れているの?嫌だよ、一人ぼっちなんて、嫌だよ。
杏樹はかつて、3人暮しの珍しくもないフェアリーの一家だった。
幸せだった。あのときまでは。母が、旅立ってしまったのだ。永遠の場所に。二度と返ってこない場所に。
当時の杏樹には何が起きたか分からなかった。病気だったと今なら分かる。治療法がない、不治の病。一度かかると、全種族が死に至る、伝染病。
父は手を尽くした。彼女の父親もまた有名な薬師だった。彼は当時治せぬ病などない、と豪語してたが、まさかその言葉が己の妻によって打ち破られるとは、神は残酷である。
二度と笑わぬ妻を前に、彼は簡単に壊れてしまった。後を追うように自害。薬物を爆発させ、綺麗な花火になった。
杏樹はその光景を目の当たりにしてしまい、それが原因で心を閉ざし、ずっと一人で死に物狂いで勉強した。死んでほしくなかったから、もう他の人に。
あの時の、旅立つ前の二人の言葉。それが杏樹を狂わせた。
『杏樹、お母さんがいなくなっても、お父さんをよろしくね』
『母さん、私が、そっちで寂しくない様に、逝くよ』
何で。何で簡単に死を受け入れてしまったの、お母さん。
お父さん、私だって寂しいよ。置いていかないで。
言葉にならない言葉。伝える相手のいない言葉。そして、ようやく見つけた、仲間と言ってくれた存在の少女。なのに。
『どうせ死ぬことが決まってるもの。未来は、覆すことは不可能』
ゆうの、貴方まで。酷いよ、また私を置いていくの?
この金髪は、母と同じだ。母は差別などされていなかった。それは母がみんなに受け入れてもらっていたから。杏樹は違う。自分からみんなを拒んだ。どうせ死んでしまう。どうせい置いていく。
「……だけどね」
とゆうのは天井を見上げて言った。俯いた顔を上げる。
「抗うつもり。あたしは」
「え?」
驚きの声を上げてしまった。
「今までは、まぁ死んでも運命かな、て思ってた。でも、今は違う。あたしは生きたい。生きなきゃいけない理由が出来た。戦い続けなきゃいけない理由が出来た。命を失いたくない理由が出来た。運命と戦う理由が出来た」
「……」
「あたしは、こんな運命認めない。こんな理不尽押し付けられて、はいそうですか、って死ぬほどあたしは悟ってない。この世界にいるであろう、神様ってやつを見つけて、この世の理不尽代表として、ぶっ殺す」
「……え?」
「杏樹に言われるまでもないわ。生きて、神様ぶっ殺してから、死ぬ。この体が死んでも幽霊として復活してノームの入れ物乗っ取ってでも生き返る」
「……あはははははは!!」
「ちょっ、まじめに話してるのに笑うって何!?」
杏樹は笑ってしまった。ゆうのは最初から死ぬつもりなんてなかったのだ。全ては自分の杞憂。彼女が運命に抗うなら。
「いいよ。私も付き合う」
「へ?」
「ゆうのが、運命に抗うっていうなら、そのそばでお薬作る。神様をぶっ殺すなら、抵抗できない様に毒薬でも投与する。理不尽を跳ね除けるなら、そのお手伝いをする。それが私の、仲間としての役目」
「杏樹……」
「それが、私の目標。死を受け入れる人に、希望を分けてあげて、生きる意思にかえることだから」
ゆうのが一緒なら、きっと達成できると思う。彼女は死なない。死なせない。薬師として、彼女の仲間として。
- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.24 )
- 日時: 2011/11/08 14:42
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
第十六話 療養二日目 戦術指南
「戦い方を、変えたい?」
「そ。暇つぶし兼ねて、戦術を練りたいと思うのよね」
二日目、魔力活性化による鈍痛と熱さの夜を超えて、朝ご飯を食べている時だった。一応、ゆうのの足は歩けるレベルくらいには回復していた。一日絶対安静していただけでこの回復力は凄まじい。杏樹の回復促進薬のおかげで、活性化して暴走を始めようとしていた魔力も落ち付いている。まぁ、少しだけ寝不足だが。
朝ご飯は泊りがけでいてくれる杏樹が手伝ってくれた。朝なので一緒に軽めにしておく。
バタートーストと、それに杏樹はオレンジジュース、ゆうのは紅茶だ。
「念のため聞くけど、今までどうやって戦ってたの?」
「相手んとこぶっ潰す的なノリで怒りにまかせて力づく」
「戦術すら出来てないじゃない……」
「まぁねぇ。でもそれだけで今まで生き残ってるのも事実だし」
「今回の敗因はやっぱり力づくのせい?」
「一番は油断と慢心ね。あたしって意外に馬鹿だったんだわこれが」
「自覚することじゃないわよ?」
「デスヨネー」
トーストを齧りながらゆうのはため息。
「やり方を変えたいのよ、ほら」
と人差し指を立てる。
「攻撃特化、防御特化、速度特化、みたいな感じで」
「ふぅん……」
杏樹はジュースを飲みながら肘をついて考える。
「あたしてきにはさ、攻撃特化だけでいいんだけど、これからは一人で戦うこともあんまりないと思うんよ。だからサポートも出来るようにしたい訳」
「なるほどね」
杏樹は思いついたことを言ってみた。
「だったら、フレアの使い方を変えてみれば?」
「フレアのやり方?」
そもそもフレアの使い方は、武器ないし体に魔力を纏わせる魔法。ならその魔力を纏う場所を変えればいいのだ。あとやり方そのもの。
「たとえば、防御特化。それなら、鎧をイメージするような感じで、全身に分厚く纏う。んで、ゆうのは右利きだから、左手に大楯をイメージするの。そして右手には槍なり剣なり武器をイメージして、魔力を練る。速度は全部捨てて、防御と一部の火力を残すのよ。どう?」
「あぁ……なるほど。いいかも」
ゆうのもうなづく。それならゆうのでも出来そうだ。単純な魔力だけなら彼女は規格外だから問題ない。だが。
「でもあたし武器なんて使ったことないわよ?」
「それはこれから見たり使ったりすればいいでしょ?」
「それもそうね……」
一つ目決まり。
「これで防御特化は決まり。それじゃ、次は攻撃特化ね。これは……今までどおりでいいんじゃない?」
「両手両足に纏うだけ?それじゃ防御が全くないわ。捨て身じゃない」
「だったらこの際両手だけにすれば?」
「え?何で?」
意外なことを杏樹は言いだした。
「連続で魔法を撃てるようにするのよ。ゆうのなら、バースト連射くらい出来るでしょ?」
「出来るけど?」
「それでいいじゃない。攻撃特化は魔法特化。そうすれば遠距離支援も出来るわよ。そのかわり接近戦は切り替えないと危ないけどね」
「……そっか!杏樹、頭いい!」
「これくらい普通よ」
ただしこれには、味方も誤射される可能性があるということ(ゆうのの遠距離魔法射撃は致命的に下手くそ)と、魔法合戦になると属性魔法を使える方が有利になることに杏樹もゆうのも気づいていない。が、そんな常識が通用するほどゆうのの魔力は低くないので無問題。
「じゃあ、最後は速度特化か。これは、接近戦をベースにいれましょう」
「速さでかく乱?」
「速さと手数、あとは回避」
「手数ってことは白兵戦よね?」
「そうね。獣をイメージしてみて。ネコ科の動物。あんな感じ」
「両手に爪とか、両足にターボとか?」
「爪はともかくターボは違うわよ……。四足が基本よ。常に加速させるの」
ライオンより、チーターとかヒョウとかをイメージする。
爪で華麗に仕留め、牙でえぐる。
「え?噛みつくの?」
「何思い浮かべてるのちょっと!?」
……頑張れ、杏樹。ゆうのはちょっとおバカだ。
- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.25 )
- 日時: 2011/11/09 15:14
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
第十七話 療養最終日、復学 手合わせ予約
次の日。朝、ゆうのの部屋を訪れたリリィ先生は信じがたい光景を目の当たりにした。何とゆうのの足が全快していたのだ。傷跡すら残さず綺麗に完治していた。
そんなこったで杏樹の薬とゆうの自身の回復力のおかげで僅か三日で復学することになった。
そんでもって。
「先生、話があります」
「ん?なんだいゆうの?それに杏樹まで。どうかしたのか?」
「戦士科の先生で、一番強いの誰ですか?」
「……?一番強い先生?」
「そう。先生と戦いたいって。ゆうのが」
「え?それはいくらなんでも……」
「いいから教えて。じゃないと先生で試すよ今すぐここで」
「……分かった。分かったから荒ぶるのは待ちなさいゆうの」
職員室で復学の報告のついで、ゆうのと杏樹はエルフの担任に尋ねた。
戦士科で一番強い先生と腕試しし、それで昨日の戦術指南を試そうということになったのだ。ゆうのは戦う気満々。杏樹も支援で参加するつもりだ。
「そうだな、これは私の偏見であるけど、グラジオラス先生は元英雄と呼ばれるほどの冒険者で、今でもその実力は落ちていないと言われているね。腕試しなら頼んでみるといい」
「グラジオラス先生ね?分かった、挑戦状書いて叩今すぐきつけてくる」
「……ゆうの、それはどこの風習かな?」
担任は苦笑しながらも微笑ましいと内心思った。あのころとは違う。
あの頃、と言ってもまだ入学してそんなに経過していないが、ゆうのがなにか目標を見つけていることを、彼は見抜いていた。最初のころのゆうのはただ暇つぶしの目的だけで入学してような印象を受けていた。
「杏樹、戦士科ってあっちの病棟の近くだったわよね?」
「そうね。ほら、行きましょう。喧嘩吹っ掛けてその場で叩きのめすのと勝手が違うんだから慎重に行くわよ」
「分かった。もしかして杏樹、緊張してる?」
「……ご名答。緊張してるわ、この上なく」
「杏樹は魔法科だもんね。普段顔も合わせないか」
「お堅い先生じゃなきゃいいけど」
「杏樹になんかしたり言ったらその場でそいつを潰すから大丈夫」
「また謹慎ものよそれ?」
二人は話しながら頭を下げて職員室を出て行った。
「……なにかありましたか?あの二人」
同期のエルフの先生が担任に尋ねた。訝しげな顔は尤もだ。
「丸くなった、というかもとに戻っただけですよ。あるべき姿に」
「はぁ……」
先生は首をかしげるだけだった。
「挑戦状?ということは、手合わせの手続きか?」
「そう。あたしと、杏樹。戦士科で一番強いんでしょ先生って」
「魔法科と普通科の生徒でも教師との手合わせはいいんですよね?」
「う、うむ?誰がそう言ったが知らんが、手合わせはいいぞ。大丈夫だ」
戦士科の職員室。机で事務をこなしていた彼のところに、二人の生徒が強襲したのは休み時間のときだった。グラジオラスは羽ぺんをおいて、二人をみる。金髪の珍しいフェアリーに、真紅の髪の人間。確か、紅い神の少女は謹慎騒ぎを起こして、この間はドラゴンを一人で倒したと教師の中でも噂になっていたはず。名は、ゆうの、といったか。
「先生、戦術の指導も聞きたい。お願いできますか?」
「戦術?ほぅ……その年で戦術の大切さを理解するとは」
素直に感心した。戦術は最近の若者は学ぼうとしない。力づくで何でも解決しようとし、安易な答えで命を落とすということが後を絶たない。
「あたしは力づくじゃ勝てないってことが身に染めて分かった。だから、頭に戦い方を叩き込みたいの。あたし一人じゃないから、命が危険に晒されるのは。あたし一人が戦ってるわけじゃないもの」
「……」
彼女はどうやら、本気で学びたいと思っている。言葉から分かる、命を絶たれるという状況に陥ったことのあるということが。死の恐怖を味わったことのあることが。そういえば、療養明けと聞いていたが、その療養は足に致命傷を受けたから、と保健室の先生は言っていたことを思い出す。
「……。うむ、では本日放課後。特別補習をやろう。私が責任を持って君たちの相手役を務めよう」
「ありがとう先生!」
「ありがとうございます!!」
二人は素直に喜んでいた。頭を下げてどしようか?とか先生に有効な戦法を考えるわ、とか言いながら出て行った。
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