二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか?第二章突入!
- 日時: 2011/12/18 11:00
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
はじめまして。冒険者といいます。ここでは書くのが初めてです。
二次創作が好きなので、最近初めて遊んでいるととモノというゲームをオリジナルを踏まえて書きたいと思います。
これまで多くのキャラ、ありがとうございました!必ず出します!
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- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.16 )
- 日時: 2011/11/02 16:29
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
第十話 ドラゴンデス
————ギャォォォォォォォォオォォォ!!!!!
「!?」
突如、校舎の方から、おぞましい咆哮が聞こえた。獣ではない。
そもそも校庭の隅であるここまで聞こえる声など、単なる動物じゃあり得ない。
振り返り、目を凝らした。校舎の隅に、黄色い羽。
コウモリのような羽に、爬虫類のような黄色いうろこ。裂けた口。巨大な体躯。
「……ドラゴン!?」
「ゆうの!」
杏樹が飛んできた。かなり焦っている。息が切れてはぁはぁ、と荒い呼吸を繰り返す。
「あれ、ドラゴンデスよ!今みてきたけど、術師の一人が何か間違えて召喚しちゃったって!」
「……チッ」
舌打ちを隠そうとしないゆうの。ドラゴンなど、今では滅多に出ないS級モンスター。サモナーの一人が魔法陣からなにかの弾みで召喚してしまったと、杏樹は言った。ドラゴンは口から炎を吐き出しながら、ゆっくり飛翔。校庭の方に向かって重たそうな体躯を揺らしながら飛んできている。
「杏樹、そこのバカ治療して。あと、あたしが足止めしとくから、先そいつら連れて逃げて!というか、先生呼んできて!」
「ゆうの、一人で戦う気!?」
ゆうのは対象を睨んだまま怒気を強めて言った。
「そこでぶっ倒れてる馬鹿をぼこしたのはあたしで、そしてあの化け物レベルを相手出来るのはあたしだけ。だから、行って!そこのガチムチも、フェアリーも、分かった!?」
「「……」」
エルフもどきも、フェアリーも、治療の終わって気絶したレオを背負って、一目散に逃げて行った。
「杏樹、早く!」
「ゆうの。その前に、これ」
杏樹はなにかをゆうのに投げた。それは例の丸薬だった。
「一個につき、一回!時間制限ありで、長時間の使用は絶対だめ!それだけは守ってね!」
「了解!」
数は5つ。ならば使うのは1つ2つ。それ以上は体が壊れる。
「ありがと、杏樹!」
「駄目そうだったら逃げてね!」
杏樹もすごい速さで、校舎に向かって飛んで行った。ドラゴンは足元の雑兵には興味も示さず、まっすぐゆうのを目指してる!?
(あいつ、あたしを目指してる!?)
ゆうのが気づいたときは、ドラゴンの炎がゆうのに向かって発射されていた。範囲が大きすぎて回避できない。
「ええいっ!」
一粒、口に放り込み、噛み砕く。途端、辛い味が口の中いっぱいに広がり、思わず吐き出しそうになった。が、その前に胃の中にすとんと落ちた。
一気に体が熱くなる。あの、魔力暴走のときと同じ、体が火照ってくる。
ゆうののブラッドアイが紅く、紅く、煌めき始める。ゆらゆらと、髪の毛も勝手に動き始める。紅い煌めきを纏って。魔法兵は覚醒した。
「……フル————バーストォ!!」
右手の魔力を暴走寸前で乱雑に集め、目の前に迫る炎に向かって突き出す。それは巨大なレーザーのような大きさになり、ぶっ放される。
炎の勢いを完全に殺し、更には空中のドラゴンの右翼を撃ち貫いた。
—————ギャォォォォ!?
大音響で悲鳴をあげながらドラゴンは墜落。ドシーン!と地響きが校庭に響く。
「————」
ゆうのはゆっくり歩き出す。土煙が舞う校庭の中、墜落したドラゴン相手に、薄ら笑いすら浮かべて、ゆっくりと、幽鬼のように。合わせて、紅い煌めきがふらふらと、動く。
————グォォォォォ……。
ドラゴンは地面に沈み、くぐもった声をあげながら、もがく。不意に、ゆうのを姿が目に入る。
その時本能が警鐘を鳴らした。あれは危険だ。逃げろ、と。
だが脚も、腕にも、翼にも力が入らない。恐怖で体が硬直している。
ゆらゆらと歩く幽鬼の目は、爛々と、負の位置にある魔力を纏い、放出し、口には薄ら笑い。今にもケタケタと笑いだしそうなほど。
「……リミット、フレア」
微かに呟いたその祝詞のような言葉に、ドラゴンの死が決定した意味が乗っていた。
————ギャォォォォ!!!!
ならば、せめてと口の中の残炎をと、口を開いた瞬間。
視界にいたはずの小さき捕食者の姿が忽然と消えていた。
それが地面の目の前にいたときは全てが終わっていた。
何の予備動作なしで大きく跳躍。垂直に飛び上がり、
「バースト」
上に向かって、魔法弾を放ち、空中での方向転換および下方向に加速させる。そして高速で自分の頭めがけて蹴りを放とうとしている!
「くたばれェェーーーーーーーーー!!!!!」
両足には、信じられない位の魔力を感じた。その瞬間には、到来した小さき者によって頭をぐちゃぐちゃに砕かれ、粉砕された後だったが。
- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.17 )
- 日時: 2011/11/04 11:40
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
第十一話 負の破片
魔洸、というものを聞いたことがあるだろうか?
簡単にいえば、体内に宿っている魔力のことを示すことが多い。
これが強ければ単純に強い、と言えないこともない。ある意味、強さを図る値のようなものだ。それは、魔力感知の能力が高いセレスティアやエルフ、フェアリーなどはすぐにわかる。だから杏樹はすぐにわかったし、担任もエルフ故に分かってしまった。
校庭に静かに佇むゆうのから、人間としては破格すぎる程の負の魔力を感じてしまった。目は虚ろ、光がなくただ虚空を見つめていた。茫然としていたといえば分かりやすいだろうか。
ただゆらゆらと髪の毛は風のないのに勝手に動き、瞳は真紅のきらめきを保ったまま、たっていた。ドラゴンなど、どこにも見当たらない。当たり前だ。ゆうのが消し飛ばしてしまったのだから。
「ゆう、の……?」
「……」
杏樹は担任の止める言葉を無視して、恐る恐るゆうのに近づいた。彼女は無反応。杏樹の姿を確認しようとすらしなかった。
「ゆうの!」
「…………」
ゆうのの口が僅かに開いた。言葉が漏れたが小さすぎて聞こえない。
「え?」
「……………………」
「!?」
その瞬間、杏樹は強烈な魔力の動きを感じた。ゆうのの右手に魔力が宿る。紅い煌めき。
「杏樹、逃げなさい!」
担任の鋭い声。だが反応が遅れた。その前に驚くことがあった。
「あんじゅ、だいじょうぶ、てき、ぜんぶ、やっつける」
片言で、ゆうのが、虚空を見ながら言った。相変わらず、杏樹の姿は目に入ってない。
「ゆうの?」
「あんじゅ、仲間、だから、あたし、戦う」
「ゆうの!何言ってるの!?」
「杏樹、大丈夫だから、あたし、化け物だけど、杏樹だけでも、守る」
言ってることが意味不明だ。いったい誰から杏樹を守るというのか。
まさか、と杏樹は悟った。敵って先生たちのことか?
確かに今、少し離れた場所に、先生たちがいる。だが、何故敵?
というか、先生たちの姿を、みてすらいない。誰か、この場に他にいるのだろうか?
辺りを見回すも誰もいない。緊迫した空気でゆうのをにらむ先生たちと、校舎のほうで何やら生徒たちが集まっているくらいだ。
「ゆうの、誰をみてるの?」
杏樹は落ち着いて聞いた。彼女は色々と特殊だ。もしかしたら自分たちに見えてないものが見えているのかもしれないと思った。
その考えはどうやら正しかったらしい。彼女は、虚空を見つめていたが、ゆっくりと視線を動かす。
「見つけた……」
「え?」
「杏樹!」
叫ぶがいなや、ゆうのは光の戻った瞳で浮遊していた杏樹を捉え、左手で鷲掴みし、思い切り後ろに下がりながら誰もいないその場所を攻撃した。爆発。
「!?」
声を上げる間もなく視界が一気に動く。後方で爆音に紛れて刃物が空を切るような音が聞こえたのは気のせいか。
「あいつ……」
ゆうのの忌々しそうな声で呟く。
「ステルス機能付きの木偶人形みたい。さっきのドラゴンといい、何なのよもう……。杏樹、大丈夫?」
「…っ。……っ!!!」
パクパクと口を動かしながら必死に鷲掴みしている手をたたく。容赦なく体を締め上げられて軽く死にかけていた。手を離す。
「あ、ごめん。大丈夫?」
「大丈夫じゃない!殺すつもり?!」
「ごめんごめん。あたしならもう大丈夫だから。それよか、あれ見て」
「え?」
振り返ると、奇妙な形のなにかが浮いていた。基本は木製人形なのだろうが、両腕がロングソードに変形している。ところどころ機械化しているのか配線らしきものも見える。のっぺらぼうで顔には何もない。
そんなのが浮いているのだ。人と同等のサイズで、だ。今の技術力にしては時代遅れだが、あれは誰かが操っているようには見えない。
「恐ろしいわね。次元のハザマにいたのよあれ」
「次元のハザマ?」
「簡単に噛み砕いて言えば幽霊のいるところ。それが杏樹を後ろから切り刻もうとしてたわけ」
「……全然気付かなかった」
「気づく訳ないでしょ。幽霊なんて、バハムーンくらいしか見えないわよ普通。しかも何気にあいつもう物理固定終わってるみたいだし、もう一戦くらい戦っておくか」
「?」
「敵なら倒す。冒険者の基本、ほら。先生たちも事情説明。あたしなら大丈夫だから、あれ何とかするの手伝ってって言ってきて」
「??……分かったわ」
何だかわかんないが、どうやらまだ戦うらしい。杏樹先生たちのところに戻って行った。
- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.18 )
- 日時: 2011/11/05 15:24
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
第十二話 ゆうのの敗北、助っ人
銀のきらめきが幾重にも重なり、連続する斬撃が舞のように襲いかかる。ゆうのが紙一重で避けるものの、いくつかの攻撃がゆうのの腕やら頬やらに傷を作っている。
この木偶人形、意外に固い。物理的にというか、殴っても蹴っても崩れない。フレアで強化してあるのに。それもそのはず。相手の体もまたフレアで包まれており、攻撃時に互いに相殺しあって、結局が物理的なぶつかり合いになっていた。木材を殴って壊せるほどゆうのの力は強くない。そこまで頑丈なら、白兵でゆうのには勝ち目などなかった。
ならば魔法戦。しかしインバリルという技術のせいで、魔法も使えない。インバリルというのは、対魔法の無効化技術。魔法が当たったら即座に反応、いかなる魔法でも消し去る失われた技術のはずだ。
「っ……」
蹴り飛ばしても、よろけすらしない。浮遊移動と高速移動しているせいで、攻撃を避けにくい。
「……」
逃げることも視野に入れておこう。このままやりあっても、時間稼ぎすらまともに出来やしない。先生たちも、加勢する準備はできてるようだ。だが、感情がそれを許さない。
頭では冷静に分析している。退け、ここは任せるべきだ。と。
でも、現実は戦っている。それは許せないから。杏樹に不意打ちして、殺そうとした、こいつが。
憎いとすら言ってもいい。本当なら死んでも倒す相手だけれど、薬の副作用か体が重い。意識した速度についてきていない。こんなときに、と内心悪態をつきながらバックステップ。乱舞がようやく止まったらしい。のっぺらぼうはゆうのの方向に標準を合わせ、突進。ゆうのは横に避けるが追撃。そしてついに終焉は訪れた。
最初は熱さだった。次は突然力が抜け、倒れた。次なるは凄まじい痛みだった。そして最後は目に入った鮮やかな紅。自分の目と、髪の毛と同じいろ。鮮血。血を纏う銀色の刃。血の出ている場所は、両足。視線を下げると、足からだくだくと血が濁流のごとく流れ出ていた。斬られたのだ。
逃げ損ねたばかりか、明らかな致命傷。足に力が入らない。
「っっっあああああああああああああ!!!!」
気づけば絶叫を上げていた。すれ違いざまに両足を無残に切り刻まれて、痛みと熱さが足を蹂躙する。痛い、痛い、痛い————
「ゆうの!?」
「来るな!」
咄嗟に杏樹が自分に駆けよろうとしているのは理解できた。だから止めた。あいつは杏樹を狙っている。だから、あたしが足止めしたのに。
それすら出来なかった自分に強い嫌悪。嫌になる、全く。
「こんのぉ……木偶人形がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ブチ切れた。我慢の限界だった。いきなり現れるレオノチス、ドラゴン、木偶人形。みんなこっちの事情などお構いなしだ。自分勝手にもほどがある。理不尽だ、とも。そんなやつらが、あたしを。
コロシテヤル、コワシテヤル!
振り返るのっぺらぼう。両手のロングソードを交差させ、今度は首でも跳ね飛ばすつもりだろう。出来るもんなら、やってみろ。
あたしの切り札は、まだある。
その時だ。
「大丈夫じゃなさそうだな。人助けなんて柄じゃねえが、見てらんね。助太刀してやるよ」
どこからか、男の声が聞こえた。
「え?」
「俺に任せろ。食らえ!」
突如地面が隆起した。なにか出てくる?
その前に地面から出てきた何本もの黒い鎖が、のっぺらぼうを素早く捕らえた!
「魔法も白兵も効かねえ、ならそれ以外で壊せばいいだけだろ?」
なぜかあがる砂埃でゆうのは咳こむが、お構いなしに声の主は続けた。
「噂は常々聞いてるぜ、まさか同じクラスとは、意外だったがな」
見上げ、驚く。彼は。
「あんたは……確か」
「俺のこと知ってるのか?光栄だね、学園一の問題児に知られてるの」
ディアボロスだ。砂埃に混じって現れたのは、レイスという少年。
ゆうのも名前くらい知っている。忍者という特殊な術を行使する、学園でも稀に見る逸材。ゆうのが不良なら彼は希有ゆえの変人。いつもどこにいるか分からず、現れたらそれで仕事だけしてどこかに行く。黒い左目と目つきの悪さが特徴と言えば特徴。
「知ってるわよ、ディアボロスにしてはやたらお人よしの、孤高とは程遠いお人よしだってね」
「……誰がそんな噂流したんだ……?」
種族の間に溝をつくらないとも聞いている。
「あたしはまだ戦える。あんたの手なんて借りない」
「けが人は黙ってみてろ。ここからは俺がやる番だ」
ぴしゃりと言われ、黙った。仕方なく、血の流れる足を引きずって、匍匐前進で校庭の上を進む。痛いのも限界に達していた。視界が歪み、辿り着く間もなく、ゆうのの意識はブラックアウトした。
- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.19 )
- 日時: 2011/11/06 10:44
- 名前: Spade ◆1R8FyXsIeY (ID: PMzvo2iV)
どうもこんちゃです!
ボランティアで4日家を空けていたので久々に来てみましたw
相変わらずの良質文章ですね、楽しみにしてたかいがありました^^
そしてこのタイミングでレイスがでておる…だと…!
っちょめっちゃ嬉しいです、ご自由に使ってやってください(`・ω・´)
更新お疲れ様です、続き楽しみにしてます!
- Re: 剣と魔法と学園モノ 一緒に冒険しませんか? キャラ大募集 ( No.20 )
- 日時: 2011/11/06 12:10
- 名前: 冒険者 ◆6ITp4OKtkc (ID: Y8BZzrzX)
第十三話 泪の理由
「……」
「ゆうの?覚えてないの?」
「……」
「……。足、痛くない?」
「……」
「……痛みどめ、作る?」
「ううん。大丈夫」
「そう……」
「……ねえ、あたし、どうなったの?」
「え?」
気がついたときは、見慣れた天井だった。自室の部屋で、ベットの上で寝ていた。傍らにいた杏樹が泣きながらゆうのに飛び付いた時は混乱した。両足には包帯。太股の辺りまでぐるぐる巻かれていた。
杏樹が泣きながら事情を説明してくれた。ゆうのはあの後、すぐに保健室に運ばれた。並みの病院より施設のいいのがこの冒険者育成学校だ。
保健室のリリィ先生も、大怪我だと慌てていたらしい。
結果、ゆうのの足はかなりの大怪我だったそうだ。足の大事な部分にまでダメージがあり、下手すれば一生歩けない足になっていたとか。だが処置が早かったのと、リリィ先生の手術の腕が良かったことで、約一週間の絶対安静でまた戦えるようになると言われた。これでもゆうのだからこそ一週間という超短期間で完治するのだという。流石は突然変異種といったところ、と感心していた。ちなみに意識がなかったゆうのには治療中の記憶はない。
「そうなんだ……」
「ゆうの、絶対次はあんなことしないで!!」
「え?」
「何であんな状態になるまで戦おうとしたの!?死にたい訳!?バカじゃないの!?」
「あん、じゅ?」
杏樹の剣幕に、たじろぐゆうの。涙目で、必死に、ゆうのを責める杏樹。
「ゆうの、貴方は確かに化け物かもしれない!正直、あの時のゆうのは怖かった!だけど、ゆうのは自分の力を過信しすぎ!貴方の体はゆうのが思ってるほど頑丈じゃないの!」
「……」
ゆうのは悟る。あたしは杏樹の「闇」に触れた。だからこの剣幕なのだ、と。
「薬師の私からみれば、あれはもう完全な自殺行為よ!足があんなになっても戦おうとすれば、どうなるかくらいわかるでしょ!?」
「……そうね、今回はうかつだったわ。ごめんなさい」
「……私たち、仲間でしょ?仲間は、助け合うものよ」
「そうね」
「それに、私だって悪いもの。私も、安易にあんなものを取りに行ったりしたからこんなことになってしまった……」
「あんなもの?」
「ごめんね、ゆうの。あれは、私が歓迎の森で採取してた場所にある、祠を守ってた古代の自律兵器なの」
「は?」
「あれはね、祀ってあった薬草を私が奪取してきて、それを取り戻しに来たんだと思う」
鳴き続けながらも、杏樹が順々に説明してくれた。あの機械は、初めて杏樹を助けようと思ったあの夜、あの時にあの自律兵器に襲われて逃げきったという。
あれは守る番人のような役割があり、杏樹は神様としての薬草を奪ってしまったのだ。
「あのあと、モンスターの群れに遭遇して、あとはゆうのが助けてくれたの」
「……そうだったの」
「理由、聞かないの?」
「別に。結果としてあたしは大怪我したけど、それでもあの時の杏樹にとっては必要なことだったわけだし。まあ盗人行為はいけないけど、この際あたしのこの怪我でお互いさまでいいわよね」
「せめ、ないの?」
「いいわよ、あたしだって勝手に戦ってこの様だし、人のことどうこう言える立場じゃないわ」
「……謝って済むことじゃないってわかってる。でも、ごめんなさい」
「いいわよ」
ゆうのはけらけらと笑って責めすらしなかった。こんな一歩間違えれば将来がなくなるような大怪我をしたのに。自分勝手な理由だったのに。また、理由すら聞かずに。察してくれたのだろうか?
杏樹は死にたいほど後悔した。仲間をどうこう言う前に、自分の行動がゆうのをここまで追い詰めたこと、そして自分の行為を棚上げして責めてしまったこと。
私は、ゆうのの仲間として、いていいのだろうか?
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