二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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夏のヘクセ【イナズマ短編】
日時: 2011/09/03 18:31
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: g/rqr0JS)
参照: リク受付中♪

—forget-me-not.あなたのことを覚えていたいから

一言
オリキャラ追加したよ!女の子だよ!

●いつだってこんんとぁ!試練の戦いを書いているしずくと申すものです。
神がかったイナズマイレブンの短編集を拝見させていただくうちに、みなさま(の足元)に及ばない筆力ながら書きたい衝動に駆られ、この結果です!いえ〜。小説の宣伝やコメントも大歓迎なう。人様に声をかけるのは、なかなか緊張してしまうのです。あうあう……ですので、コメントを下さったら、マジゴートゥへブンです。どれくらいすごいって、カオスブレイクとザ・ハリケーンを一変に受けるほどすごいことだよ!?ちなみにこの作文たちは、妄想が八割、語りとか俺得二割で構成されています。

☆注意事項☆嫌な人は戻るなのです☆
●駄文の展覧会。文汚い。部屋が汚い。

●キャラ崩壊はよくあること。あとキャラによっては、扱いが不遇だったりすることがあります

●更新スピードはかなり遅いです。年に数センチ動くと言う地面のごとくさ!

●真似・暴言・あらしは止めてください><

●③より、リクエストを受けても完成までに、早くて3日、遅いと一週間以上はかかると思います。かなり気長にお待ちいただくことが多くなると思います。

●時々試練の戦い番外や、ファイアードラゴンどたばた短編が増えまふ。なお童話パロディやその他アニメパロディ季節ネタ多し。

●カップリングもマイナーのものが多いです!完全に妄想の塊多し。オリキャラ【蓮)とのが多い。

夢リク&その他リクエスト用紙>>3

雑記
新しい蓮の紹介>>74
丹下里沙の紹介>>136
オリキャラバトン>>161->>162
○短編一覧
①tears of marmaid>>2(ウルビダ/シリアス・童話パロディ)
②無題【ガゼル&蓮(白鳥の湖パロ)】>>19
③いうこと聞かせたい症候群>>22(アフ&蓮/ギャグ)
④けんかはまたこんど(ガゼル&バーン幼少期>>33
⑤嫉妬の詩(とあるキャラからキャラへの感情捏造>>44-)
⑥光の証明(ひぐらし賽殺しパロ。蓮両親健在Ifの世界)>>58,>>67
⑦幸せの彼方>>166

②シリーズ作品
女神のお仕事(円堂と女の子たちの日常ドラマ)
morning>>76(円堂と秋。朝の日常)
noon    (私得。円堂とウルビダ。昼の日常)
night   (円堂と冬花。夜の日常)
お題(ひふみ。様に頂きました^^)>>109

■リクエスト完成品
Ⅰ.いじわる(ドロップ様リク/)>>10
Ⅱ.湯気の向こうに(ルカぴょん様リク/>>18
Ⅲ.きみとふたりなら(春華様リク/>>21
Ⅳ.パーティやろうぜ(林檎さんリク/>>28
Ⅴ.それはきっと夕日のせい(MiNiさんリク/>>30
Ⅵ.可愛いキミに花冠を(桃李さんリク/>>38->>39
Ⅶ.韓国のどたばた日常(星沙さんリク/>>>47->>48
Ⅷ.本当の勘違い。(風風さんリク/>>51
Ⅸ.天然なあなた (紅闇さんリク/>>62
Ⅹ.真夜中のヒト騒動(ヒナ♪さんリク/>>73
⑪.蓮と疑惑と過保護(桃李さんリク①>>97-98
⑫きっと来ないその日(風風さんリク>>129

お客様(書かれていなかったらすぐに申し出を!)
ドロップs ルカぴょんs 春華s ああs 林檎s マリンs Minis 桃李s 星沙、紅闇s、ヒナ♪s,ふぁいんs、梨花さん、ゆうさん、まい

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Re: 夏のヘクセ【イナズマ短編】 ( No.105 )
日時: 2011/07/17 20:53
名前: 携帯しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: l0i1WlFj)
参照: しずくさんは変態なようです。

「いらっしゃいませっ!」

明るくお客様に挨拶する春奈さんの後ろから、

「い、……いらっしゃいませ」

僕はいつもより声を高くしながら、恐る恐る挨拶をした。——まさかのメイドの姿で。

あれから僕は、春奈さんが手に入れた情報を元に、とある場所へと連れていかれた。そう、何故か”メイド喫茶”だったわけだ。店の外見とかこじゃれたカフェってなのに、入ってみればカオスな楽園とかしていた。中も趣は、西洋風のカフェって感じ。が、働いているのはメイド服を着た女の子だし、店の客は野郎共だらけだし。萌えー!とか、マナちゃんとか、野太い声で叫んでいる。こんな場所は僕のような一般人がいるべきではない。そう入店僅か数十秒で決めつけた僕は、帰宅しようとしたが。——そこに小太りな男が立ちはだかり、困ったように笑った。

「キミもこのメイド喫茶一日体験会に参加するんだろう?」

メイド喫茶一日体験?……まさか。と思いながら後ろを振り向くと、眩い笑顔を顔に宿した春奈さんがこっちを見ていた。そしてこちらに駆け寄ると、僕の腕に絡み付いてきた。……春奈さんが女性だと思わせる感覚が腕をくすぐり、羞恥心と戸惑いで頭が真っ白になる。

「はい、そうなんです!」

それからしばらく意識が飛んでいた僕は、春奈さんが何を話したかは知らないが——気づけばこの様だ。採用するのか面接もあったが、見事に通過してしまったわけだ。この顔立ちは男らしいと思うし、第一胸がない時点でわかりそうなものなのに。どうも僕の顔立ちは中性的で、勘違いされやすいようだ。……顔は、男らしいと思っていただけにショックでたまらない。

今日の僕の服装は、黒髪に映えない、白いレースで飾り付けられたカチューシャ。それに袖と裾がやはりレースで縁取られた黒いワンピースに、フリルがいっぱいの白いエプロン。とどめに……ああ、これ以上は認識したくない。男である僕に女装の趣味はないのにとアンニュイにため息をついてみる。後ろで、リンちゃん萌えとか言われてなんかいない。気のせいだ。

ちなみにリンと言うのは、春奈さんに作成された、僕の偽名。さすがに蓮の名前だと男だと見破られると思ったらしく、店には白鳥リン(しらとりリン)とどっかの双子アイドルを連想させる名前を申告したようだ。
「リンちゃーん」

と、そんなことを考えていると、カウンターの方から男の嫌らしい声が耳に届いた。ああ、男が男に鼻を伸ばすって気持ち悪いったらありはしない。でもトラブル起こしてもいみないし。内心吐き気を覚えながらも、顔の筋肉は笑顔で固定したまま、控えめに返事をする。

「は、はい。な、なんでしょう……?」

さすがに大声だと男だとばれそうなので、内気な女子のふりをしている。声はかろうじて聞き取れる程度。世間体からすれば、接客業には向かないのだろうが——内気な子萌えとか変態が数名いるようだ。今だって、春奈ちゃんとリンちゃんのどっちが可愛いかと白熱した議論の声が聞こえてくる。足が自然と店の出口の方角へと一歩踏み出そうとして、誰かに腕を捕まれた。肩を跳ねさせて振り向くと、僕と同じ衣装を身にまとう春奈さんの姿。ああ、やはり本物の女の子は違うと痛感させられる。青い髪に黒地のスカートがよく映えていて非情に可愛い。さらに今は、きちんとかけている赤いメガネのせいか、知的なイメージかな。立派な館で働いているメイドさんと言うより、喫茶店とかにいそうな素朴な感じがする。
僕がメイド春奈さんに見惚れていると、春奈さんはスカートのポケットから携帯電話を取りだし、開くと、ボタンを数回押し、ボタンに親指を当てた。そのまま僕からやや離れた場所に立って、携帯電話を自分の方に近付けたり、遠ざけたりしている。……嫌な予感。

「先輩、前を見て、笑ってください!」

そんなことは頭から消え失せ、言われた通り真っ正面を、つまりは春奈さんの方を見ながら僕は笑う。その瞬間、カシャッと何かどっかで聞いたことがある音がした。血の気が一気に引く。が、春奈さんは、携帯の画面を見ながら満足そうに微笑んでいる。僕は、息を整えながら春奈さんに近づき、恐る恐る彼女の携帯の画面を除き混んだ。

Re: 夏のヘクセ【イナズマ短編】 ( No.106 )
日時: 2011/07/19 22:26
名前: 携帯しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: KoErH5Nm)
参照: いちぺーじっ!

あの日のセグレート〜sideB〜

 ふわり、と私の茶色い髪を涼しい風が撫でていった。何となくだけれど、秋が近いことを感じさせる。風が運ぶ草木や空気の香りが、秋の匂いを漂わせているかな。ちょっと外に目をやれば、色づきかけた木々が目に入ってくる。
 そういえば「ニュースで、日本のどこかが紅葉している映像をやっていたの」って珠香ちゃんが昨日言っていたかな。それから、「合宿ってことにして、学校を休んでみんなで紅葉見に行こーっ」て、珠香ちゃんがサッカー部のみんなにしれっと提案していて、とりあえず曖昧に話を保留にしていたことをふっと思い出す。あ。昨日、明日までに考えておくからって、しっかり明言していたんだ。……いけない、珠香ちゃんは変に記憶力がいいから、多分覚えている。うぅ、どうしよう。何も考えてない。学校を休むことに罪悪感はあるし、かといってみんなと外出できると言う話は魅力的だ。
 今さらだけれど、冗談かもしれないし、でも。珠香ちゃんはあまり冗談は言わない子だし——ああ、どうしよう。頭の中は、しっちゃかめっちゃかになっていて答えが出てこない。私は、頭を整理するためにふうっと息をはき、屈んだ。
 慣れた手つきで、ケースから艶のある茶色をしたバイオリンを取り出す。頭を切り替えたい時には、やっぱりバイオリンかな。演奏していると、どんな気分でも吹き飛んで、必ず元気になれるから。
 ふっと、辺りを見渡すけれど、グランドには誰もいない。今日のサッカー部の練習時間を、私が勘違いして一人だけ早くきちゃったからだ。ああ、珠香ちゃんや士郎に確認しておけばよかったな、と遅い後悔をする。誰もいないグランドは、私一人には広すぎて虚無感を覚える。このまま演奏しても、観客<スペクタトゥール>なしの、独り芝居<モノローグ>になってしまう。ちょっと悲しいけれど……。演奏していれば、いつか誰か来るよね。そう自分に言い聞かせると、演奏の準備をして、何を弾こうか数秒迷ってから、目を閉じ、ゆっくりと弾き始める。明るい調子の緩やかな旋律が、豊作を喜ぶ村人たちを連想させる。ほら、まぶたの裏には黄金色に輝く麦畑が——。

『ももちゃん!』

 そんな声が耳のふかいふかいばしょから聞こえて、

『もも!』

 また声がした。あれ、士郎にアツヤの声。それもかなり幼いような——。
 私はそれらに構わず、演奏を続けるが、声はたくさん聞こえてくる。——泡が生まれては消えていくように、たくさんの声が耳のそこから蘇っては消えていく。
 曲のイメージは、豊作を喜ぶ祭りへと変わっていく。明るく、力強いメロディーだけれど、私の脳が生み出すのは、豊作を喜ぶ村ではなく。過去の世界だった。声の後から、せきをきったように過去の映像が再生される。同時に関連する事柄がいくつも暗闇の中に思い出される。心の奥底から暖かいものが浮かび上がり、顔が緩んでいくのがはっきりとわかる。まるで夢心地のような快感に、現実と思いでの区別が曖昧になった。それでも、身体が動いているのだけはわかる。もう、止めようとも思わなかった。明快なヴァイオリンの音は、私を過去へと誘っていく——

***
 それは、今のような秋が近付いた日のことだった。私がいつもの遊び場に向かい、驚いた。なんとアツヤと士郎が口喧嘩をしていたのだ。互いににらみ合い、ものすごい剣幕で捲し立てあってる。小さい私は、怖くて足がすくんでしまった。

「ぼくだよ!」

「いいや! オレだ!」

 二人は互いに自分だ、自分だと何やら我を張り合っている。普段は穏和な士郎が、ここまで強く言い返すのは珍しかった。だからか、当時の私は、二人の剣幕に押されてしまい会話を遠目に見ることしかできなかった。

「ぼくのほうが、アツヤよりもあたまがいい。ぼく、たしざんできるもん」

 議論が止み、士郎が得意気に言った。胸を張ったりして、ペンギンみたいで可愛らしい。一方のアツヤは、不機嫌そうに士郎を睨んでいる。……返す言葉がないみたい。口元が悔しさで弾き結ばれている。

 あ、少し空気が和らいだ。そのことを感じた私は、恐る恐る二人に近付いた。すると、同時にアツヤがはっとした顔であーっと大声を出した。瞳が勝利を確信したような光を宿す。

「にいちゃんは、たしざんできないってこと思い出したぜ。このまえ、『りんごがひとつ、みかんがひとつあります。たすといくつになるかな?』ってもんだいで、『三』ってかいただろ」

Re: 夏のヘクセ【イナズマ短編】 ( No.107 )
日時: 2011/07/19 22:25
名前: 携帯しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: KoErH5Nm)
参照: ひらがなだらけでーす。

 アツヤがからかうように指摘すると、士郎はしかめっ面でそっぽを向いてしまう。アツヤはますます調子にのって、笑っている。そんな態度に士郎は、横目でアツヤをにらむように見つめ、当たり前だと言った調子で反論した。

「だって、たべるんだったらももちゃんもいるから、みっつになるでしょ?」

 当時はわからなかったけれど、今となっては嬉しい思い出になる。ただの問題でも私やアツヤを忘れない優しさ。それを、士郎はもう持っていたんだ。本当に士郎らしいなあ。

「くだものはぜんぶおれのもんだから、こたえは”ひとつ”だ!」

 ……それを否定したアツヤの言葉も、非情に彼らしいけれど。ちょっぴりわがままな性格がよく出ている。

「こたえは”に”じゃないの?」

 ちなみに当時の私は、横から当たり前のことを呟いた。
 二人は急に沈黙した。今ならわかる。私たちの間には、非情に気まずい雰囲気が数秒は流れていたと思う。しかし、アツヤと士郎は気を取り直して言い合いを再開する。

「ぼく、アツヤとちがってにんじんたべれるよ。ももちゃんのつくった、おかしもだいすきだよ!」

「オレはにいちゃんのきらいなピーマンをたべられる?それにオレだって、もものおかしだいすきだ!」

 今度は好き嫌いの話題。
 ほとんどの食べ物、アツヤが嫌いなものは士郎の好物で、アツヤの好物は士郎の嫌いなものになっている。二人が喜んで食べるのは、二人のお母さんの手料理と私が作るお菓子と相場が決まっていたかな。けれど、

「すききらいはだめって、せんせいいってたよ。ふたりともだめよ!」

 好き嫌いはよくない。だから、私は二人を叱った。……最後の嬉しい言葉は、恥ずかしいことに幼い私の耳には入っていなかったみたい。聞いていなかったみたい。二人は何故か私に頭を下げ、再び沈黙が流れる。
 が、唐突にアツヤが口を開いた。

「でも、オレはにいちゃんよりせがたかいもんな。せがたかいほうが、おとこはかっこいいよな」

 アツヤは士郎の頭に手を奥と、その手を自分の方へと引き寄せ、身体にぴったりと当てた。その位置は、アツヤの額の位置。つまり、アツヤの方が士郎より背が高い——なんとことはない。私は、アツヤが背伸びをしているのを目撃していた。地面につま先立ちになった足がぷるぷると震えている。

「うそだ。アツヤは、せのびしてるからおおきいんだ。ぼくのほうが、たかいよ」

 さすがの士郎もわかっていたみたいで。アツヤの真似をして背伸びをすると、アツヤの頭に手を置いて、自分の身体に引き寄せてみた。士郎の手は、なにかに当たることなく士郎の頭を撫でていった。アツヤと士郎の身長差は、たいしてないみたい。あ、士郎のつま先立ちした足も震えている。
 だけど、話し合いは平行線をたどり、いつまでたっても終わりそうにない。痺れを切らした私は、思いきってアツヤと士郎に話しかける。

「アツヤ、しろう。さっきからなんのおはなししているの?」

「ももちゃんには、かんけいないよ」

「ももにはかんけいねえ」

「またふたりでないしょのおはなし? ずるい!」

 二人に速攻で仲間外れにされ、私は怒った。二人は、私など視界にいないらしく、また悶着を起こしている。大好きな二人に無視され、悲しくなり、大好きな二人が喧嘩をしていることにいっそう悲しみが募る。気がつけば、私の視界は霞んでいた。いつのまにかアツヤと士郎が、喧嘩を止めていた。

「しろう、アツヤ……けんかはだめだよ……やめて……」

 霞がその濃さを増そうとするなか、私はアツヤと士郎に涙声で訴える。すると、二人は狼狽しながらも私の近くに駆け寄ってきた。

「あ、な、なくな。もも。オレがわるかったよ」

「ごめん、ももちゃん。ぼくたちがわるかったよ」

 アツヤと士郎は、交互に詫びをいれながら、二人で私の涙を人差し指で拭ってくれる。小さいけれどぬくもりを感じる指先に、私の悲しみはとられていった。

「なかなおりしてくれる?」

 確認するように私が聞くと、アツヤと士郎は笑顔で、はっきりと頷いた。二人の曇りのない表情は私を安心させすぎるのに十分だった。よかった、と私が溢すとアツヤと士郎は顔を見合わせた。この時の会話は、昔の私はすっかり聞き流していた。

「……なあ、しろう。だったら、ももにきめてもらおうぜ」

「うん、それでいいよ」

 アツヤと士郎は密談をしたあと、喜んでジャンプをしていた私に向き直り、

「ももちゃん」

「もも」

 いつになく真面目な声で、私の名前を呼んだ。幼い私は、あどけない笑みを浮かべながら振り返った。

「なあに?」

 ます士郎が、私を見据える。なんでかな。顔が真っ赤に見える気がする。私とまともに目が合うと、びくっと震えた。が、決心したように言葉を吐き出す。

「ももちゃん、しょうらいぼくとアツヤ、どっちのおよめさんになりたい?」

 私に、考える暇を与えず、アツヤが矢継ぎ早に質問してきた。

「もも、オレとにいちゃんどっちがすきなんだ?」

 今この言葉を言われたら、とても恥ずかしい。……やだ、昔のことなのに動悸が激しくなる。顔全体が異様に発熱している。鏡で見たら、情けないほど真っ赤になっていそう。
 っと、違う。今は、思い出を楽しむのが先。ちなみ に、当時の私はなにも考えずにこう答えた。

「わたし、しろうのおよめさんになりたくって、アツヤがだいすき!」

 要するに、どっちも大好きなんです。今も昔も揺るがない思い。

「やったー!」

「よっしゃー!」

 ……って、当時の二人は喜んでいたっけ。
 でも、もし。神様があの時に私を戻してくれるなら、私は必ずこう言う。「アツヤも士郎も、私の大切な友達だから、どっちが一番なんて決められないよ」今なら、自信を持ってそう答えられる。
士郎もアツヤもいつも私の隣にいた。いつも、みんなで笑ったり、泣いたりしていた。みんなで時間を共有してきたから。だから、一番なんて決めたくない。決めたくないよ。——たとえ、片方がもうこの世にいなかったとしても、絶対。

 ヴァイオリンが最後の一音を奏で終わると同時に、私の意識は現実に戻った。暖かい懐かしさと激しい動悸、異様な発熱が体内で同居している。しかも、顔が勝手に笑ってしまう。表情は緩み、口角が上がる。顔の筋肉でいくら正しても、また戻る。幸い、辺りには誰もいないし、大丈夫かな。ふう、と息をはくと熱が少しだけ冷めた気がする。
 そこでようやく頭が動き出す。

「二人が喧嘩していた理由は、何だったのかな……」

 士郎に聞いてもだめ。「知らないなぁ」って、いかにも知っている笑顔で曖昧にするんだもん。士郎に聞こう、と決意を新たにした私だけど。
 それからすぐに珠香ちゃんが来てしまい、合宿の話でまだ聞けずにいる。……いつになったら、聞けるのかな。


〜FIN〜
パソコンで修正wがっかクオリティ!しかも携帯はよみずらいとかorzちなみにちびっと続きます吹雪サイド、短いですが書く予定です。桃李さんをお待たせしてしまったので、区切りであげておきます。謝罪は次ので^^;

Re: 夏のヘクセ【イナズマ短編】 ( No.108 )
日時: 2011/07/19 22:29
名前: 携帯しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: KoErH5Nm)
参照: なんか三頁め

あの日のセグレート〜sideA〜

 この前、桃ちゃんがこんなことを聞いてきた。「ねえ、あの時、士郎は、どうしてアツヤと喧嘩していたの?」……普通なら、わかるんじゃないかな。
あのあと、僕とアツヤは、子供ながらキミに告白したから。だから僕たちが何を争っていたのかって。でも、わからないのは桃ちゃんらしい。ふふ、もし僕が本当のことを話したら、彼女はどんな顔をするのかな。顔を熟れた林檎のように赤く染め、微笑んでくれれば最高だけれど。何となくだけど恥ずかしさのあまり黙りこんでしまいそうだ。まあ、困った顔の桃ちゃんもとても魅力的だし、僕は、十分に満足できるだろうなあ。

 え、桃花ちゃんにばかりいじわるばかりしていないで答えを教えろ? だって? 全く、キミは桃ちゃんが絡むと、何でも根掘り葉掘り聞くよね。女の子ってそういうものかな?
 まあ、いいや。素直に話しておくよ。簡単だよ、どっちが桃ちゃんの結婚相手にふさわしいかってそのことで喧嘩していたんだ。えっと、きっかけはね……あの日、幼稚園の先生が僕とアツヤに、「どっちが桃花ちゃんのお婿さんになるのかな?」って聞いてきたんだ。確かに結婚できるのは、一人だけ。で、僕もアツヤも桃ちゃんが大好きだったからね。すぐに口喧嘩をしていたんだ。どっちがあたまがいいとか、下らない内容。相手よりちょっとでもすごい方が、お婿さんになれるんだ〜って、二人して思ってたんだ。
大きくなればわかるけれど、どっちがすごいかじゃなくて。桃ちゃんが好きなのはどっちかって言うのが答えなんだよね。あの時は、二人とも好きって言ってくれたけど、今はどうかな。え、何でそんな意外そうな顔をするのかな? そんなの、ただの子供の約束だって? やだなあ。僕は、昔から冗談は言わないよ。あの時の告白は本気だ。今も、本気で信じている。だって、今だって僕は桃ちゃんを、いや。桃花が——大好きだからね。ん? 私も桃花ちゃんが大好きだから、吹雪くんには渡さないって。あはは、恋敵が珠香ちゃんになるなんて思いもしなかったよ。……でも、負けないからね?

〜FIN〜
はい、駄さクオリティだいにだんっ!吹雪サイドのお話でした^^最後に、珠香ちゃんとの会話方式にしてみました。だって、珠香ちゃん可愛いんですもん←全体的な反省として、桃花ちゃん演奏させたり無駄にフランス語を乱用したり……妄想の嵐でした。待たせておいて、本当に面目ないorzこれからも、楽しく語りまショーという意味も込めて桃李さんに捧げます!リク、ありがとうございました^^

Re: 夏のヘクセ【イナズマ短編】桃李さんリク完成^^ ( No.109 )
日時: 2011/07/19 22:35
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: KoErH5Nm)
参照: 円堂のお嫁さん、夏未さんだったんですね^^びっくりです。

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お題シリーズ。やっぱどころか蓮関連。(BLはないよ!)思いついた順に更新されていくと思います

・わん、つー、すりー、ふぉう!
 (踊れや楽しめ!)


・ありったけの言葉をきみに
 (ありがとうだけじゃダメなの、)
→蓮&晴矢&風介の定番コンビ。ちょっとツンデレ気味な蓮を書きたいとしかり。

・蒼天クリームソーダ、
 (しゅわしゅわ、ひゅうん!)
→吹雪&蓮コンビで何か。ほのぼのな予感しかしない←

・あそこにあるのは何なの?
 (ジャンプして掴め、笑え!)


・笑うのなんて簡単、
 (笑ってみれば良いの。)

・クローバー、クローバー、
 (ありったけを貴方へ!)



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ひふみ。様に頂いたセンス溢れるお題です^^落ち着いてきたので、上げてきます。


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