二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 《銀魂》アルバイト剣士、月詠壱里参上! 七夕騒動篇
- 日時: 2011/02/25 19:46
- 名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)
ポルタと申します。
二次小説を書くのは初めての初心者です。
さて今回は「銀魂」の二次創作小説となります。
文章っていうか、文才が死ぬほどない奴なので、どうか手加減をお願いします……。
この小説を見て下さったあなたは偉人です。
コメントを下さった方はマジ神様です。
どうぞ、ごゆっくりしていってください!
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- Re: 《銀魂》万事屋銀ちゃん、バイト募集中!! ( No.15 )
- 日時: 2011/01/19 20:07
- 名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)
第六話『人間が欲望に打ち勝つのは難しい』
「——あ?」
銀時の口から漏れたのは、そんな声だった。
実に、頓狂な響きを含んでいる。
後ろにいたのは、血みどろの死体でもなければ、幽霊でもゾンビでもない。輪廻再生とかではない。
銀髪に——琥珀色の瞳をした、少年だった。
なかなか美しく整った顔立ち——にっこりと笑顔だ。
「驚きましたか?」
「驚くわボケ! なんで原チャに轢かれて助かってんだよ!」
「慣れが大事ですね」
自分で轢いておきながら、その突っ込みはないが——少年のしれっとした答えにも問題があった。『慣れ』て、あんた。
「何? お前、死んでないわけ?」
「ええ。この通り、ぴんぴんですよ」
少年は、走りつつ腕を回す。
触れれば折れそうな細腕だった。
原チャリの横に張り付いて、スピードも落とさずに走れるというのは、なかなかの体力の持ち主だと銀時は思った。
どうやら、無事らしい。
安心した銀時は、ほっと胸をなでおろす。
銀時は、甘いものもジャンプもない牢獄で生きていく自信も覚悟もない。
「まあいいか……で、何の用だ?」
「轢いておいて何の用ですか……まあいいや」
少し呆れたように肩を竦めて、少年は苦笑する。
懐から、紙切れのようなものを取り出し、銀時に見せた。
「……ん? 写真か?」
「ええ。妹なんですが」
首を傾げる銀時に、少年は軽く頷く。
星柄のファンシーな短い着物に、元気そうな少女が写っていた。
これが、少年の妹らしい。
「あなた……『万事屋銀ちゃん』の経営者様ですよね?」
「知ってるのか?」
「ええ。あなたたちの仕事ぶりは知れ渡っていますよ、広い範囲でね」
「いや、それほどでもねえけどよ……」
まことに、デレデレした表情である。
まんざらでもなさそうで、にやにやと気持ち悪い笑みを浮かべる銀時。
「そんなあなたたちに、頼みがあるんです」
「頼み? なんでも請け負うぜ?」
完全に調子に乗っている。
いつも、調子に乗って失敗しているのだけれど、全く懲りない男だ。
「この妹を、探してほしいんですが」
「ふうん? 行方不明か?」
「まあ、そんなもんですね。別々に暮らしていたんですが、妹がどうやら江戸に来ているということで」
「兄を追って江戸まで、ね。はん、美しい兄妹愛じゃねえか」
茶化すような口調で、銀時は言う。
少し面倒くさそうな様子だ。
「一応お金は、これくらいです。前払いってことで」
「ん? どんくらいだ?」
銀時は、少年を見た。
少年の手には、何百枚もの札束が握られていた。
それを見て、銀時は固まる。
いかにもかったるそうだった表情を引き締めて——、
「原チャで轢いちまったお詫びってわけじゃねえが——その仕事、請け負おう」
- Re: 《銀魂》万事屋銀ちゃん、バイト募集中!! ( No.16 )
- 日時: 2011/01/20 17:49
- 名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)
第七話『
「万事屋……犬の散歩から屋根の塗り替えまで、何でも請け負います。働きたいという強い意志のある方は、歌舞伎町まで——か」
壱里は、電柱に貼られた紙を読み上げた。
資格はなし。
何でも請け負う。
そして、給料欄に目を向ける。
「……給料安いな」
少し呆れたような響きを含んだ声で、壱里は嘆息する。
コンビニでも、もうちょっと高いんじゃねぇ?
しかし、壱里の所持金が五円なことにも、多少というか、大きな問題があった。
「んー……どうしよ」
兄から離れて自立したい、という思いはあった。
「そこのねーちゃん、バイト希望アルかー?」
「へ?」
壱里は、声のした頭上を見上げる。
上に『万事屋銀ちゃん』の看板が掲げられていた。
二階建ての建物で、『スナックお登勢』の二階に位置した物件。
二階の玄関から、チャイナ服の少女が手を振っていた。
「ああ、うん。そうなんだけど」
「おおーっ、定春、アルバイトアル!」
「わん?」
定春、というらしい白い犬は、少し、というか、ヘビー級のでかさだった。
「ここが、『万事屋銀ちゃん』なの?」
「そうアルよ! もう面接とかいいから上がるアル!」
「え、面接免除!?」
「……アル」
えっへん、と少女は頷く。
話し方に、独特のなまりがある。
もしかしたら、外国人かもしれない。
というか、面接免除なのか。
「私は神楽言うアル。よろしくアル」
「私は月詠壱里って言うんだ! よろしく」
「えへへ」
「あはは」
壱里は、『万事屋銀ちゃん』の戸の前に立つ。
玄関前に立ったところで、少女——神楽ちゃんは、
「今、お客さんが来てるアルよ。札束持ってきたから、銀ちゃんも張り切ってるネ」
「へー」
銀ちゃん、というのが店主かな? と、戸を開く。
「銀ちゃん、バイトアルよ!」
「うっせえ! 今、それどころじゃねえんだよ!」
銀ちゃんと呼ばれた男は、その名の通り、銀髪に着崩した着物を着ていた。腰には木刀を差している。
「ああ、いえ、お構いなく……」
と、客らしい少年が銀髪の男をなだめた。
少年。
その少年は、銀髪に琥珀色の瞳。
やせた体型だった。
そして、少年と壱里は固まる。
驚いた表情のままで、空気が固まったかのように。
「……兄ちゃん?」
「——壱里?」
少年——月詠零。
それは、壱里のたった一人の兄だった。
- Re: 《銀魂》左手にいつも救われてきた。 ( No.17 )
- 日時: 2011/01/20 17:54
- 名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)
やっと、兄妹の再会まで書けました!
ふう……。
アドバイスとかコメントとか、お願いします。
それと、『万事屋銀ちゃん、バイト募集中!』から、『左手にいつも救われてきた。』に改題しました!
- Re: 《銀魂》左手にいつも救われてきた。 ( No.18 )
- 日時: 2011/01/20 19:59
- 名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)
第九話『宴会のときに間違えて部屋に入ってこられたらテンション下がるアレだよね』(壱里視点)
「いやあ、まさかこんなところで会うとは思いませんでしたね」
「あはは、私もまさかとは思ったんだけどさあー」
「三年ぶりですか? いや、四年かな」
「三年だよ。すげー、兄ちゃん格好良くなってる!」
衝撃の兄との再会から、一時間。
今は、歌舞伎町の高級料亭にて——万事屋さんたちと私は、は食事を取っていた。金の出所は兄ちゃんだ。さすが、『裏の仕事人』である。
「これ、めっちゃ美味しいアルよ!」
「神楽、それ取るな! 俺のだその肉は!」
「銀さんにも神楽ちゃんにも負けませんよ!」
銀髪の男の名は、坂田銀時。
チャイナ服の少女の名は、神楽ちゃん。
眼鏡の少年の名は、志村新八と言うそうだ。
新八から聞いたが、万事屋は万年金欠らしい。
この食いつきっぷりも無理はないかな。
肉を両手に持ったまま、談話している私が言えないけれど。
「しかし、壱里さんと零さん、兄妹だったんですね」
「そうだよ! むご、げふっ!」
肉を喉につまらせた私に、兄ちゃんが説教する。
「壱里、口を一杯にしたまま話さないようにと、昔注意したでしょう」
「今は今だもーん」
「口達者になりましたねえ」
呆れたかんじに、兄ちゃんは呟く。
なんというか——変わらない。
あまりにも三年前と変わらなさ過ぎて、ほのぼのした雰囲気も変わっていない。
ただ、少し——それに安堵した。
兄ちゃんが変わっているんじゃないかって、心配していたから。
「なんでこんなお金持ちアルか! 大富豪アル!」
「まあ、色々とね……」
含み有り気な、薄い笑みを浮かべる兄ちゃん。
まあ、『裏の仕事人』やってます、なんか言えないけどさ。
その表情を気にすることなく、
「なんで離れて暮らしてたんだ?」
銀さんが、パフェ(特注のでかいやつ)を幸せそうにほおばりつつ、私達に訊いた。
「壱里をこんな冷たい都会にいけないから、って言ってくれたんだよ。一人で出稼ぎに行ってくれて……忙しくて、もう三年も会ってなかったんだ」
私も、負けじと鶏の丸焼きを口いっぱいに放り込みながら答える。
それを受けて、銀さんは肩をすくめた。
「兄の鏡だなぁ、お偉いこった……十七だろ? まだ」
「僕は妹を守るためなら何でもしますよ」
何でもね——と兄ちゃんは繰り替えした。
うん、変わってないなあ。
そんな風に、私は目を細める。
「けれど、壱里。なぜこんなところまで?」
「そ、れは……」
バイトをしに来たとかいったら、絶対田舎に送り返される。
兄ちゃんは、死ぬほど過保護だ。
「おいィ、この女だ!」
誰かが、私を指差して言った。
個室なのに、何故か人が入って来ている。
どたばたと、振動で銀さんのパフェが倒れた。
「ああっ、俺の特大パフェェーーーっ!!」
銀さんは、ぎゃああ、と悲鳴を上げる。
大の大人には見えなかった。
「何だ、てめえら?」
銀さんが、ゆらりと立ち上がる。
これは殺る気だ。
間違えたやる気か。
そして、怪しい奴らが、叫ぶ。
高らかに——、
「俺達は、天人——そっちの女を殺しに来た!」
- Re: 《銀魂》アルバイト剣士、月詠壱里参上! ( No.19 )
- 日時: 2011/01/21 17:39
- 名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)
そっちの女——そう言って指さしているのは、私だった。
一瞬、沈黙する。
「……え、私?」
思いの外、素っ頓狂な声が口から飛び出る。
というか、引きずり出されてきた感じなのだけれど。
「忘れたとは言わせねえぞ!」
と、天人たちは怒鳴る。
いや、忘れました。
「うーん……素晴らしい思い出の一ページに君の姿はない?」
「中二臭いおっとこまえな台詞はよそで使え!」
「ええー、忘れたっていえないから考えたのに」
なんていうか、緊張感なさすぎ。
というか、天人って……意外とノリいいな。
「お前が真っ二つにした車、覚えてるか?」
「……真っ二つ?」
その言葉に反応したのは、私ではなく兄ちゃんだった。
無機質だった空気が、がらりと淀んだものへと変化する。
「壱里……? あなた、何やったんです……?」
「わーわーわー! で、その車ってのは何なのかなっ!?」
完全に殺る気(間違えたやる気)の兄ちゃんを遮って、天人の話を聞く。
「覚えてんじゃねえかよ。お前の真っ二つにした車にはなあ、大量のヤクが積んであったんだ! 運び屋だったんだよ、あの車は! でも、駆けつけた警察に見つかっちまったじゃねえか!」
「あんたが悪いんじゃねえかよ!」
新八が突っ込む。
ごめんね……ちょっと忘れてたよ。
ていうか、なんかヤバイことした雰囲気だなあ。
あの車……麻薬やら覚せい剤やら積んでたのかあ。
「んなこたどーでもいいんだよ」
木刀を手に持った銀さんは、殺気を体中から噴出させつつ、一歩一歩、天人と距離を詰めていく。
ヤバイよ!
本当にヤバイよ!
この人、まだパフェのこと根に持ってるよ!
本当に大人かっつーの!
「お前……宇宙中で指名手配されてる銀髪野郎じゃねえか」
あれえ?
天人にも知れ渡る甘党だったりする?
「はいそうですよ指名手配犯銀さんですよー。痛くないように殺してあげますよぶった斬ってあげますよー」
今、殺すって言ったよね。
完全に発言しちゃったよね。
「う、うわあああ! ヤバイ! 早くそっちの女を殺せ!」
「きゃっ!」
銀さんに気を取られていたので、天人が腕を拘束してくるのに抵抗できなかった。声をあげる。
素早く天人が刀を振り上げ、私の首を飛ばす気だろう——しゅんっと、振り下ろした。
「……っ! 壱里!」
「壱里、危ないネ!」
「壱里さんっ!」
そんな声が、頭の中に、まるで遠くのことみたいに響き渡る。
あー、私死んだわ。
そんな、半ば諦めた気持ちになったとき。
「うわあああああっ!!」
血しぶきが、空間に乱舞した。
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