二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

  アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説)
日時: 2012/06/10 18:35
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: http://nanos.jp/10sakura/page/19/


( 馬鹿だねアリス。お茶会は君が死んでしまってからさ、 )



『私、真実が知りたいの・・・!!』「大好き。・・・いや、愛してる」3期最強少女連載中。

『サッカーなんて、とっくの昔に捨てたわ、』「お前1人だけが全て背負わなくて良いんだ。1人だけで、戦うな」
『もう私、何も失いたく無いのよッ!!!』GOの超最強少女も連載開始。


*参照、さくらの小説一覧。



...............................................................................................................................................................................


Hello.‖0504
 綺麗だった桜の季節も散ってしまい、今では緑の若葉が芽を覗く季節となりました。皆さん如何お過ごしでしょうか。
 私も今年の4月から中学二年へと進級し、先輩という立場の恐ろしさを知りました。後輩に怖い子が居てチキンな私はビビりまくり。其の子の将来がとても心配です。やだあの子怖い。
 相変わらず亀更新ですが、自分のペースを保ちながら気ままにやって行こうと思ってます。
 主スレは二次創作(紙ほか)の「アリスと兎の逃避行」、副スレは同じく「金木犀で創るシャングリラ」です。覗いてみて下さい。



...............................................................................................................................................................................


 アリスと兎の逃避行|menu


 About(注意) [>>01]
 sakura(自己紹介) [>>02]
 Thread theme tune(テーマソング) [>>183]
 




[inzm|long.]
--------------------------------------------------------------------------------

inzm11/原作沿い
 ( World in melt*. )

op [>>04]
ed [>>06]


主人公 [>>09]
重要人物 [>>10]
重要人物声優イメージ [>>11]


○世界編(※続きからです。)
episode.22 『ムゲン・サ・゛ハンドを超えろ!』 >>23 >>25 >>26 >>28 >>30 >>36 >>72
episode.23 『帝国の呪縛!・前編』 >>112 >>118 >>132
episode.24 『帝国の呪縛!・後編』 >>133 >>153 >>158 >>162
episode.25 『戦慄 もう一人の“鬼道”!』 >>180 >>214 >>220 >>222
episode.26 『最強対決!ペンギンvsペンギン』 >>225 >>239 >>240
episode.27 『立ち塞がる要塞!』 >>242 >>279 >>299 >>339 >>369 >>372
episode.28 『一之瀬!最後のキックオフ』 >>398 >>400 
episode.29 『全力の友情 一之瀬vs円堂』 >>401 New!!





inzmgo/原作沿い
 ( 悪戯schalkhaft*. )

予告 [>>373]
主人公想像曲 [>>015]

op [>>265]
ed [>>267]

主人公 [>>268]
親友 [>>283]
女医とSP [>>251]


episode.01 雷門に吹く新しい風! >>274 >>282 >>286 >>298 >>305 >>361 >>364


[all|short.]
--------------------------------------------------------------------------------
‖短編
○夢小説(名前変換小説)版 >>87

|inzm/go
『でも、本当はちょっと寂しかった』 >>113 「それは違う。断じて違う」
『幼い日の幻影』 >>203 「・・・何だ。喧嘩売ってんのか」
『Lost』 >>295 「大丈夫じゃなかったら、どうする?」ユキナ書き
『Lost』 >>296 「・・・・・・お前、何してるんだ」ユキナ書き
『夏の日の私達』 >>301 「ならその残りのパワーとやらで踏ん張れ」
『遠き彼に花を捧ぐ』 >>334-336 「だから、お前には、待っていて欲しい」
『世界が消えてなくなるまでの3秒でキスを交わそう』 >>356-357 「良い訳ねぇだろ馬鹿か」
『ワンコイン、プリーズ!』 >>360-361 「10円貸せ。」

|Host
『甘く蕩ける誕生日の10時頃』 >>378 「じゃあ、どれ位好き?」



|企画/シリーズ
卒業の春、また巡り合える事を願って。 (円豪鬼) >>374-376


[inzm|捧げ物,頂き物.]
--------------------------------------------------------------------------------

|捧げ物
『毒舌姫と七人の狼君』>>16  りむうへ
『ラーメンと君』>>17 風風へ
『君不足。』>>18 りむうへ
『オルフェウスの皆と。』>>19 星兎へ
『恋は残酷』>>297 風風へ
『王牙学園の日常。パターンD』>>332 漆黒へ
『ハッピーエンドはまだこの先』>>392 りむうへ
『雨色不知火が視た幻想』>>397->>398 りむうへ
『指揮者はそのタクトを祈りのように描いたのです』 >>426 誕生日を祝ってくれた皆様へ

|頂き物
『彼氏の事、』>>20 りむうから。
『校則違反です、それ。』>>21 りむうから。
『春桜心中。 〜heart of blossom〜』>>228 漆黒から。
『誕生日に、君に捧げる物は 俺からの君にしか言わないこの言葉で』>>408 ミミから
『その一瞬を』>>412 海穹から
『桜色ラバー』 >>422 漆黒から
『君にこの言葉を』 >>423-424 アーシェから



[Others.]
--------------------------------------------------------------------------------
|memo.
>>241 >>344

| バトン
 バトンの説明 >>260
・愛してるんだけどバトン >>261
・柄風教えてくれバトン >>366

|遊んでみた。
・オリキャラに100の質問! >>94 >>95 >>96 >>106
・オリキャラに100の質問!第二弾 >>363



+up (更新履歴)
0504’お礼短篇+1
0429’3長篇+1
0427’3長篇+1
0426’3長篇+1



230326 スレ作成記念日

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95



Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.375 )
日時: 2012/02/28 21:19
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: 卒業の春、君を攫って一生逃げられたら良いのに。








色々な進路。豪炎寺は海外へ、鬼道は帝国に戻り、俺はまだ此の町でサッカーを続ける。サッカーが、俺の生きがいだから。サッカーを失いたくない。初めて愛した、モノだから。
でも、今は。

同じ位に“親友”も失いたくない。
永遠に会えない訳じゃない。豪炎寺とは電話もするし鬼道とは週末遊びに行く約束をすればいい。でもやっぱり、二人と別れたくない、二人を、失いたくないと思った。


「卒業おめでとう、円堂」


豪炎寺が俺に声を掛ける。後ろで鬼道が笑っていた。
二人共とても良い表情をしていた。さっきの秋と同じ位だ。二人はこのままで良いと思っているのだろうか。こんな大切な仲間と離れるなんて、絶対に嫌だ。
サッカーで築いてきた親友だ。勿論仲間が居ないとサッカーだって楽しくないはず。あはは、自然と笑いが込み上げて来た。俺は何て自分勝手なんだろう。二人が自分で決めた道なのに、俺が自分で決めた道なのに、もう卒業しちゃって其処に進むしか無いのに。今更、俺は何て自分勝手なんだろう。

でもやっぱり俺は、この二人を失いたくない。そう思う気持ちが更に強まった。


「円堂、何泣いてんだよ」

「鬼道、お前だって泣いてんじゃないか」


鬼道と豪炎寺が口を揃えて言った。え、泣いてる?そんなバナナ。
絶対泣いてない。泣く訳無いだろバーカ。卒業式の時も泣かなかったんだぜ?サッカーやってる時に教室の硝子割ってめっちゃ怒られた時も泣かなかったじゃん。
今更泣く訳、…………泣いてる?
俺、泣いてる?何で?指が冷たい。溢れ出した冷たい水が、手に落ちた。やっぱり俺、泣いてんのか。


「おれ、ないて」

「ああ。豪炎寺だって泣いてるけどな」

「鬼道、お前もだろ」


俺が泣いてるのにも関わらず、こんな時にも関わらず、もう暫く一緒にサッカー出来なくなるかもしれないのに、こんなにふざけて笑い飛ばしている二人。
やっぱり俺、二人が大好きだ。死ぬほど好きだ。
だから、分かれたくない。何時までも一緒に居たい。今更だって事は分かってる。でも俺、如何しても!!


「お、俺っ!」

「「お、おう。」」

「俺、お前等を失うのゼッテー嫌だ!会えなくなんのも、ゼッテー嫌!」


此処から先、言っても良いのか、少し戸惑ったが、自分の胸の内全てを明かしてしまおうと思った。


「だから、今から俺は誘拐犯になる!暫く一緒にサッカー出来なくなるくれえなら、俺、今から二人を攫って何処までも逃げてやる!」


一緒にサッカー出来なくなるのが嫌。一番嫌。死んでも嫌。そんな俺のワガママは、すっぽり空気の中に消えていった。
「円堂、」重い沈黙の中、豪炎寺が暗い表情で俺の名前を呼んだ。

だけど俺はそれから先の言葉は聞きたくなくて、殆ど衝動的に二人をかつ挙げた。二人の体重よりも今の俺の中にある此のザワツキの方が重かったからなのか、二人を重いなんて事は全く感じなかった。


「円堂、」

「そうだった!攫ってくんだから此れだけ大胆にしないとな!」


今度は鬼道が俺の名前を呼ぶ。
嫌だ。聞きたくない。どうせ言われる事は分かってる。何なら二人の最後の時間、俺にくれよ。

俺が、地球の反対側まで攫ってって逃げてやる。

円堂、円堂、円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂円堂

俺は何回名前を呼ばれただろう、二人に。そして、何回無視して無理に話しを切り出してきたのだろう。


「円堂!」




←|→

Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.376 )
日時: 2012/02/28 21:20
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: 卒業の春、君を攫って一生逃げられたら良いのに。

突然、豪炎寺が叫んだ。
それは、こんな状況に呆れてから出た叫びなのか、怒りを含んだ叫びなのか分からない。

俺は突然の言動に吃驚して今までみたいに、


「ご、豪炎寺!今から何やる?サッカー?サッカー?それともサッカー?何やる?暇だよな!んじゃサッカーしよ———」(笑うところ)

「円堂!!」


続けて鬼道までもが叫び声を上げた。
何だよ。そんなに俺と居るのが不満かよ。そう零すとちゃんと聞き取っていてくれていた二人が口を揃えて言った。


「「円堂、俺達はもう卒業したんだ」」


それは、俺にとって重過ぎる言葉だった。重量オーバー重量オーバー。
先程の秋や豪炎寺や鬼道の笑顔より、朝の日光よりも、重くて、そしてとても残酷な言葉だった。

涙が、溢れ出した。それはもう滝の様に、止まらない止まらない止まらない。雨の様にボタボタと大粒の涙が服を揺らす。
“卒業”このワードが耳に入って言った瞬間、吹っ切れた様に頑張って堪えていた涙が溢れ出した。

ポツ、ポツ。そんな俺を覆い隠す様にあんなに晴れていた空は忽ち雨雲で覆いつくされ大粒の雨が降ってきた。
此れは、二人を攫った誘拐犯に対する神様からの罰なのか、贈り物なのかははっきりしていない。


「俺、俺俺俺えっ!!!」

「円堂、」


豪炎寺は相変わらず俺の言葉を聞いて、その返事に「円堂」という言葉をお借りしている。
鬼道は黙ったまま俺の話しを聞いていた。の前に、円堂と呟く豪炎寺を黙らせる。


「俺さ、また、…みんなでサッカーしたいん、だ、よねっ!!」


俺は、幼かった。
歳は年を重ねる毎に一つずつ増えてゆき、現在15だ。もう直ぐ高校生。成人も近く、俺はすっかり「大人」になった気分でいた。
だからあの時、俺は泣いている事を認めなかった。意地でも泣いて幼く見られたくなかった。子ども扱いされたくなかった、と言うのは思春期で良くある事だが、それとは少しばかり違う。

俺は、幼かった。とても、とても。幼稚園児よりも、もっと。
今までサッカーで築いてきた仲間達が離れ離れになって、何かが恐かったんだと思う。その“何か”はまだ詳しく分からない。
独りになる事?それとも、この最高の仲間でサッカーが出来なくなる事?…友達が、変わってしまうかもしれない事?うーん。考えても答えは出てこない。
前にもあったな。

俺は、まだ幼い。だから此の3人が離れるのが嫌で、とても嫌で、自分のワガママで此処まで攫ってきた。…誘拐犯よりもタチが悪いかもしれない。
俺は幼かったから、先程大粒の涙を零して、雨に隠れて目いっぱい泣いた。


「お前達と別れたくない。お前達と3人でサッカーしたい。でも、俺の我侭でお前達が決めた道を壊したくない。」


最初は、そうするつもりだった。
どうせならこのまま、って。二人が自分で決めた道を壊してまで俺は二人と一緒に居ないといけない、そんな考えが生まれていた。やっぱり俺は、幼い。


そうだ。幼いんだ、俺は。だからこそ、大人にならなければいけない。
早く、大きく、


「…戻ろう、円堂、」


手を差し出してくれたのは豪炎寺だった。
何時でもそうだ。コイツには、俺の考えてる事が手に取る様に分かっている気がする。何時でも、最初に俺に手を差し伸べてくれるのは、豪炎寺だ。
あの日の河川敷でも、今も。豪炎寺との出会いが俺を狂わせた。鬼道に出会い、雷門サッカー部が成長して行き、フットボールフロンティアで優勝して、本当は人間だった癖に宇宙人とかと無駄に言い張る訳の分からんエイリア学園が地球を侵略しようとして来たり、世界に行って色んな世界の変態なサッカープレーヤーと競い合って、世界一になったり。

別れも、コイツか。


「………ッ、ああっ!」


だけど俺は、大きくなる。もっともっと、世界一になって自分に自惚れて、願えば努力すれば何でも叶うと決め付けて。
大きくなって、先へ進み続けるんだ。此処で人生が終わる訳じゃない。こんな所で立ち止まっては居られない。

大切な人と会えないのは、不安だし心配もするし、そして何より、恐い。
でも、会えないからこそ先に進まなければいけない。もう一生会えない訳じゃ無いし、此れはチャンスだ。そう思えば良い。
…俺は、やっぱり幼かったんだな。自分の都合に合わせて駄々捏ねて。何度も言うけど、こんな幼い自分が恥ずかしい。だから、大きくなる、早くおとなになるんだ。







 +







何時も部でサッカーをしていたグラウンド。少しボロ臭い部室。大きな稲妻マークのついた綺麗な校舎。
今まで使ってた教室。黒板に落書きをしていた跡は綺麗に消されていて、在校生からのメッセージで装飾されていた。
俺達は、一度学校に戻り、もう式も終わり誰も居ない校内を廻る。

最後に、昼休み皆と一緒に遊んだ校庭に来た。
先程学校に戻って来る前に買ってきた若木を、其処に植えた。


「この木が大木になっている時には俺達は何歳になるんだろうな」


俺は、黙ってその若木を眺める。
まだ若くて弱弱しいが、其処にはしっかりとした葉が生えていた。太陽の様に眩しい。


「9年後…。9年後。また此処に、集まろう」


やっと出た言葉が、それだった。
この小さい木は、俺達が集まる時にはどんなになっているだろうか。大木になってくれてれば心強いが、若しかするともう無くなっているかもしれない。
でもこの若木に、俺は小さい願いを託した。此の二人と再会出来るのは、何時になるか分からない。俺達が24になるまでもう会えないかもしれない。だから、俺は今この若木に小さな願いを託した。


「また、サッカーしような」


酒でも飲み交わしながら、酔っ払って、サッカーしよう。
余りにもの容姿の変わり具合に笑いあったり、懐かしい思い出話をして盛り上がろう。

“またサッカーしよう”。そんな俺の願いを込めた囁きは、青空に消えていった。あ、もう雨が止んでいる。
だが二人はまた、ちゃんと聞き取っていてくれていたらしく、小さく、


「「ああ。」」


と零した。


「俺、お前達に巡り合えた事に、すっげー感謝してる。有難う」

「何を格好良い事言ってるんだ、円堂。それは俺も同じだ」

「そうだぞ円堂。行き成り潮らしい事を、如何した?珍しくシリアスモードか?」

「今まで充分にシリアスモードだったろ」


でも、本当に嬉しいんだ。こんな、攫ってまで一緒に居たいと願った仲間に出会えた事。
俺にとってこいつ等の存在がどれだけ大きいかは、もう言葉にならない位だ。
大好きなんだ。

俺はもっと中身も成長して、此処に帰って来る。
また会おうな、


「24歳の春。また此の木の下で」





 (( 何時かまた巡り合える事を、願って。 ))
(9年の月日が流れて季節は春。遂に其の時は、やってくる)

「なんだ円堂、遅いじゃないか!」
「ははっ、ごめんな遅れた!」



240228
卒業企画。
オリキャラは出て来ませんでしたすみません。
嗚呼ブレイク組可愛いよhshs



←|→

Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.377 )
日時: 2012/02/28 22:02
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: すみません。何か神文ハントしちゃう体質なんです。

円 堂 と 基 山 で 、会 話 ( ギ ャ グ )



「円堂君!好きだよ!」
「俺は嫌いだけどね」




「円堂君!恋のジンクスなんだって!円堂君の可愛い髪の毛一本貰っても良い?」
「お前の髪の毛全て毟り取っても良いんなら」




「円堂君!此れも恋のジンクスなんだって!此処に99個僕が書いた『円堂守』っていう文字があるでしょ?最後の一つは相手に書いて貰わないといけないらしいんだよ。
 面倒だけどごめんね。書いてくれるかな?」
「お前が書いた99個の俺の名前を全て消してくれるんなら」




「円堂君!君の為にクッキー作ったんだよ!お菓子作るの初めてだったからちょっと失敗しちゃったけど、良かったら食べて!」
「不味そうだからヤダ」




「っ、気持ち良いよ、円堂君!」
「そうか?良かったな。何ならもっと踏んでやろうか?」




「好きだよ円堂君!(あ、言っちゃったっ。ど、どどどど如何しよう、恥ずかしいよ、変な誤解されたら如何しよう、うわあああああ)…き、君のその目!」
「()の中見えちゃってるんだけど」




「今日可愛い仔から告白されたんだけど、僕は円堂君一筋だから断ったよ!如何する?惚れた?この俺の愛を如何受け止める!?」
「そうだなー。まず全力拒否する。で、如何してもコッチに来るんだったらその腐れ切った愛を即処分するかなー。そんな野糞みたいな愛俺要らないもん、汚すぎて」




「最近円堂君俺に冷たいよね。俺なんか悪い事したかなあ。全く持って心当たりが無さ過ぎるんだけど如何しよう。あ、惚れちゃった?遂に惚れちゃった感じ?円堂君実は恋愛にはツンデレちゃんなんでしょ?やっだー可愛いなあもう!そうかそうか、惚れちゃったんだー」
「 お 前 も う 死 ね し 」




「円堂君!結婚しよう!」
「嗚呼もう直ぐネタが尽きていく…。あ、え、結婚?あー壁山か栗松がしてくれるだってよ」

Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.378 )
日時: 2012/03/01 15:01
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: 桜蘭高校ホスト部。ハニー先輩お誕生日企画。一日過ぎちゃったけど。


「サークラちゃーん!」

「光邦、」


4年に一度、巡り来る今日は2月29日。オリンピックが開催される年、閏年として知られている今日は、朝起きてから雨の雫が冷たかった。
昨夜、降り続いたのだろう。明け方になって止んではいたが、やはり雨の香りもするし地面もぬかるんでいる。花や葉に付いた雫がポツリ———今、地面に落下した。

単刀直入に言うと、景色は絶景。とても綺麗。昨夜の雨が嘘の様に晴天へと変わった青空には、綺麗な虹のアーチが何個も連なっている。
とても、清々しい気持ちだった。

だが私には、この今日の日が勝負に思えて堪らないのだ。先程も言った様に、今日は4年に一度しか来ない珍しい日。
こんな日が誕生日や何かの記念日な人は、とっても辛いだろう。———そう、光邦もその一人だ。

光邦の誕生日は2月29日。つまり今日だ。閏年では無い年は光邦の誕生日は無いので、2月28日か3月1日にしていた。


「ねぇねぇ、サクラちゃん」

「何?光邦、」


だが先程からずっとこの状態なのだ。

光邦が私の袖を引っ張るなり肩を叩くなりさり気無くボディタッチをしながら私に問いかけ、それを私が聞き返す。
だが彼は私が幾等「何?」と聞き返してもまた直ぐに「ねぇねぇ、」と戻ってしまうのだ。流石に私も疲れてきた。誰か、こやつを如何にかしてくれ。


「如何したの、光邦?さっきから呼んでばかり」


好い加減この状況を脱出すべく、今度は光邦が口を開く前に私が話を切り出す。
すると光邦はニッコリと笑顔を貼り付けて言う。


「あー。もう、やっぱ良いよー」

「え?何それ、教えてよ」


「良いってばぁー」そう言いながらその小柄な身体を自由自在に操り、巧みな動きで光邦を捕まえようとする私を翻弄。
でもそんな所も可愛いな。蝶々さんみたい。…なら私は差し詰め、その光邦蝶を捕って喰おうとする蜘蛛だな、蜘蛛。

あ、もしかして今日誕生日だから祝えと?でも今先程ホスト部の皆で誕生パーティーしたしな。その時に「お誕生日おめでとう!」何て100回も言ったし。否、それ以上かもしれない。


「だってさ、僕がサクラちゃんに言っても、全部伝わらないんだもん」

「伝わらない、って?如何いう事?」

「だーかーらあ、伝わらないの!」

「……?」


伝わる?行き成り何を言い出すかと思えば私には伝わらないだの如何のこうの。私にはその言動自体が伝わっていないみたい。ごめんね。
私には伝わらないなんて、若干失礼な気もするが。ちょっと頭悪いだけで、伝わらないなんて事は実際やってみないとわからないし。


「サクラちゃん、僕の事好き?」

「うん、好きだよ?大好き!」

「じゃあ、どれ位好き?」

「どれ位、かあ。うーん、分かんないなあ、言葉に表せ無い程大好き!自分の身より光邦の身を優先する位、光邦は大事だよ!もう、言葉に表せないけどね、」


えへへ、なんて照れ笑いを浮かべる光邦の笑顔は、どんな高級五つ星スイーツよりも甘くて蕩けてると思う。
どうしてそんなに可愛いのか。どうしてそんな笑い方をする事が出来るのか。光邦と付き合っていて私の女としてのプライドがズタズタになった時、一度彼に聞いてみた事がある。
そると彼は「うーん、毎日甘—いお菓子を食べてる所為かなあ」と可愛く首を傾げて来たからもうプライドなんて物捨ててやった。最初から、この人と付き合うには、プライドなんて幾等でも捨てる覚悟はして置かなければいけなかった。


「愛してる?」

「えへへ、勿論!愛してるよ!」


何故か何の恥じらいも無く言えた言葉に今になって驚く。
普段はこんな事恥ずかし過ぎて絶対に言えないのに。今日が光邦の誕生日だから?誕生日パワーって最強なんだね。


「何か、今日サクラちゃん素直だね」

「だって光邦バースデーなんだもん。私だって、毎日恥ずかしくて俯いているだけじゃつまんないし」

「可愛いなあー」

「光邦がね」


「でも急に如何したの?少し心配しちゃったよ」そう言葉を紡げばまた照れ笑いを浮かべる光邦。本当、女の子の私より可愛いからとても困る。

ぐいっ、すると行き成り光邦が腕を引いた。細いのに何時も鍛え上げられて筋肉質なその腕は、たったの腕一本で私を倒させた。
辿り着いたのは、光邦のふわふわしたカーディガンから覗く春色のVネック。頬を光邦の胸版に押し付けられ、私は抱きしめられた。

ドク、ドク、ドク、心臓の脈打つ音が次第に速くなる。
光邦の、心臓の音だ。


「分かる?僕ね、サクラちゃんと二人で居るといっつもこうなっちゃうんだ。とってもドキドキして、たまに言おうと思ってる事が言えなかったりする時もあるんだよ」


光邦の、私を求めて抱き締める腕の力がもっと強くなった。

私は、頭の中が真っ白になる。純白で、汚れ無き真っ白。先程まで見えていた色が、全て失われた。きょとん、そんな表現が一番相応しい位に。
だけど、私は光邦の今は大きく感じる身体の上から、光邦を丸ごと私の腕で包み込んだ。私も光邦に、此の速く脈打つ心臓の鼓動を知って貰いたかったからなのか。

光邦は一瞬驚いた表情をしたがまた直ぐに、ふふっ、と笑って蕩ける甘い表情に戻っていった。


「光邦、…私も同じだよ?」


光邦より速く脈打つ心臓の音。ドクンドクンドクン、それはやがて次第に速くなっていく。、
もう私の顔は真っ赤だ。先程の光邦の言動でもう既に真っ赤になっていたのに、まさか勝手に自分の身体が動いて、抱き締め直させるとは。
私の心臓は、タコさんもびっくりのオーバーヒート状態である。


「…本当、だ」

「でしょ?」


えへへ、とまた照れ笑いしながら私を抱き締め返す光邦。私も負けたくなくて、つい勢い余ってぎゅううううっと抱きついてしまった。
でも、良いと思ってる。今日は光邦の誕生日だし、お互いに気持ち全部をぶつけ合おう。


「私、二人で居ると光邦がこんなになっちゃってたなんて、全然知らなかったよ。だって、光邦何時も自然に甘い言葉囁いて来るし。アレだけで私の心臓持たないのに、」


私はそう言って光邦の首筋に顔を埋めた。
別に疚しい気持ちが働いたからでは無くて、只純粋に光邦に今の私の顔を見られたく無かったからだ。
今、絶対にこれ以上無い程、顔が紅潮してる。恥ずかしい。


「僕もだよ。サクラちゃんがこんなにドキドキしてるなんて思わなかったなー。サクラちゃんだって、何時も僕に平気で抱きついたり“大好き”なんて言葉使ったりしたたからねぇ」


光邦は本当に可愛い。そして、たまにどんな男の子よりも格好良いと思えてしまう時がある。
それは、計算なのか天然なのかは分からないけれど。
でもやっぱり、ドキドキしてしまうのだ。病気では無い。


「サクラちゃん、顔真っ赤だねえー」


あれ程見られたくないと隠しておいた顔は、今、明らかに光邦にバレていた。
なので自分だけ恥ずかしい思いはさせまいと、私も負けず言い返す。


「光邦の顔も真っ赤だよ?」


馬鹿みたいに照れ笑いを浮かべる私達は、傍から見れば地球上のどんなバカップルよりも馬鹿らしいだろう。
私達二人が醸し出す、ケーキよりも甘い雰囲気は、空気の中に酸素と一緒に融けていく。


「僕、サクラちゃんを愛してるー!サクラちゃんの全部を愛してるー!!」

「なら私も光邦の全部を愛してる。今日生まれて来てくれた事全てに感謝してるよ」


4年に一度、巡り来る今日は2月29日。オリンピックが開催される年、閏年として知られている今日は、朝起きてから雨の雫が冷たかった。
今日から丁度18年前、今みたいな雨上がりの綺麗な午前中に光邦は生まれたという。

光邦と出会い、お互い愛し合えること。私にとっては、どんな高価なドレスよりも最高な神様からの贈り物だった。
光邦が生まれてきてくれて、本当に良かった。
私が光邦をどれだけ愛してるなんて、本当は言葉に収まり切れない位なんだ。
宇宙より広いなんて、私の気持ちのこれっぽっちも無い位だ。

でも此れだけは言える。


「光邦、お誕生日おめでとう。そして、




 (( こんな素敵な男の子を生んでくれた光邦のママ、本当にありがとう ))
(貴方をどれ位好きかなんて、本当は分からない位なんだけど)
(でも、貴方が此処に生まれて来てくれた事に感謝しているのは、良く分かる)




240301
二月二十九日はハニー先輩の誕生日でした。
おめでとう御座います!


補足
うわああああああ、間違えたああああ!!
コッチイナズマだったあ!

( World in melt*. ) episode.27 ( No.379 )
日時: 2012/03/03 13:31
名前: さくら (ID: te9LMWl4)


「———え、誰?」

「おねえちゃん」


純白の病室。其処に舞い降りた、蜂蜜色の髪の毛を持った天使の様な幼女。
先程まで目の前にいた幼女とは何処か違う、彼女には優しさ、暖かさ、小さい子特有の可愛らしさも兼ね揃えていた。単刀直入に言えば、「可愛い」。

でも待って。此処は純白の汚れ無き部屋と、少々臭うアルコールが、此処が病室である事を差していた。
何で、こんな所に居るんだろう。
あ、私倒れたんだったな。其れで病室に居るんだ。でも、この子は誰なんだろう?


「大丈夫?どこか痛くない?」

「え、うん。あ、貴女は誰なの?」

「わたし?わたしは虹彩だよ」





 +





如何やら、私が道端に倒れているのを病人か怪我人だと勘違いしたこの女の子が、此の病院に連れて来てくれたらしい。
でも凄く力持ちだな。私をおぶって此処まで来たと言われた。重くなかったんだろうか。

因みに、此処はライオコット島にある病院で、虹彩は私でも知っている“七瀬”と“シーウェル”の御令嬢だそうだ。
まだ幼いが、将来は彼女が会長の席に座るらしい。ヤバい、如何やらビックな方とお会いしてしまったらしい。

だが驚いた。今日は休業日らしいが、“七瀬”の名前を出したら直ぐに診てくれたらしい。
流石である。


「軽い脳震盪なんだって。急に動いたら危ないから、まだ安静にしててね」

「あ、はい、」

「お医者さんがね、まだ明日は寝てた方が良いって。でも、この状態だともう大丈夫みたいだね」

「え、其れは駄目よ!明日は大事な試合なの!アメリカとの、大事な試合なんだよ。如何しても出なきゃいけない。絶対、安静にしていなきゃ駄目?」

「身体の方が大事。」


そう言って、目の前の天使な女の子はカルテを持って病室を出て行った。
あ、悪魔だ。天使だと思ってたのが、悪魔だ。
だがこうしては居られない。ドクターストップが掛かってしまったのだ。

彼女は七瀬の財閥令嬢で、医者では無いが、“お医者さんがね”と付足した事に寄ると多分医者から伝言を預かったんだろう。
それにしても、何故虹彩に伝言する必要があるのだろう。シャイなのか!?実はお医者様めちゃくちゃシャイなのか!!??


「嗚呼、如何しよう。軽い脳震盪だと言われたけど、実際の所は違うと思うし」


何故脳震盪という事になっているかは分からない。
だが、私が先程の様にたまに卒倒する事は良くある事なのだ。そう、———黒姫と、会っているんだから。
如何やら黒姫は、私の中に居るらしく、外には出られない為こうして私が気を失っている間しか面会出来ないらしいのだ。

だから、表面上“軽い脳震盪”という事にしてあるが、実際は違う。なので頭痛もしないし気分も悪くない上、今からサッカーみたいに激しい運動をしても如何もならないのだ。
だがこの事は誰にも言えない。予め知っていた兄やジュリア他は置いておくとして、円堂やフィディオ、監督やチームの皆にも言えない。況してや堆先程出会った虹彩という名の女の子やまだ面会すらされていない医者に言える訳が無い。

だから実際身体の方に支障は無いのだ。
でも今は本当にドクターストップを掛けられてしまった身。インフルエンザに掛かって解熱後二日は安静にとか言われる身なのは確かだ。インフルエンザに掛かった事は無いが。
如何やって此の状況を回避しようか、迷うのである。


「——————————………、脱走、」


この時、既に狡賢くなっていた私の脳裏に浮んだ二文字の言葉は、是からの私の言動を狂わせた。
良くアニメやドラマとかで見る、アレだ。





 +





先程抱えて来た茶髪の少女を思って、医者と話を付けて来た幼き少女は、病室のドアを開けた。


「———っうわぁ、」


途端に暴風と化した風。
中から吹いて来た風は、幼き少女の身体毎包み込んだ。甘い蜜色の髪の毛が、揺れる。

こういう事は何回か経験して来た。しかも今回はとんだじゃじゃ馬サッカー女だ。
どんな事を仕出かすか解らない。それに彼女の身体は、今まで倒れて魘されていたのとはまるで別人の様に、回復していたのだったから。

此れから10年後、革命カゼを起こす仲間達の中核となる少女———虹彩は、幼いながらも大人びていた。小さく溜息を零し、ドアを閉める。


「…やっぱり、居なくなってた、」


240303


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95



この掲示板は過去ログ化されています。