二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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  アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説)
日時: 2012/06/10 18:35
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: http://nanos.jp/10sakura/page/19/


( 馬鹿だねアリス。お茶会は君が死んでしまってからさ、 )



『私、真実が知りたいの・・・!!』「大好き。・・・いや、愛してる」3期最強少女連載中。

『サッカーなんて、とっくの昔に捨てたわ、』「お前1人だけが全て背負わなくて良いんだ。1人だけで、戦うな」
『もう私、何も失いたく無いのよッ!!!』GOの超最強少女も連載開始。


*参照、さくらの小説一覧。



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Hello.‖0504
 綺麗だった桜の季節も散ってしまい、今では緑の若葉が芽を覗く季節となりました。皆さん如何お過ごしでしょうか。
 私も今年の4月から中学二年へと進級し、先輩という立場の恐ろしさを知りました。後輩に怖い子が居てチキンな私はビビりまくり。其の子の将来がとても心配です。やだあの子怖い。
 相変わらず亀更新ですが、自分のペースを保ちながら気ままにやって行こうと思ってます。
 主スレは二次創作(紙ほか)の「アリスと兎の逃避行」、副スレは同じく「金木犀で創るシャングリラ」です。覗いてみて下さい。



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 アリスと兎の逃避行|menu


 About(注意) [>>01]
 sakura(自己紹介) [>>02]
 Thread theme tune(テーマソング) [>>183]
 




[inzm|long.]
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inzm11/原作沿い
 ( World in melt*. )

op [>>04]
ed [>>06]


主人公 [>>09]
重要人物 [>>10]
重要人物声優イメージ [>>11]


○世界編(※続きからです。)
episode.22 『ムゲン・サ・゛ハンドを超えろ!』 >>23 >>25 >>26 >>28 >>30 >>36 >>72
episode.23 『帝国の呪縛!・前編』 >>112 >>118 >>132
episode.24 『帝国の呪縛!・後編』 >>133 >>153 >>158 >>162
episode.25 『戦慄 もう一人の“鬼道”!』 >>180 >>214 >>220 >>222
episode.26 『最強対決!ペンギンvsペンギン』 >>225 >>239 >>240
episode.27 『立ち塞がる要塞!』 >>242 >>279 >>299 >>339 >>369 >>372
episode.28 『一之瀬!最後のキックオフ』 >>398 >>400 
episode.29 『全力の友情 一之瀬vs円堂』 >>401 New!!





inzmgo/原作沿い
 ( 悪戯schalkhaft*. )

予告 [>>373]
主人公想像曲 [>>015]

op [>>265]
ed [>>267]

主人公 [>>268]
親友 [>>283]
女医とSP [>>251]


episode.01 雷門に吹く新しい風! >>274 >>282 >>286 >>298 >>305 >>361 >>364


[all|short.]
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‖短編
○夢小説(名前変換小説)版 >>87

|inzm/go
『でも、本当はちょっと寂しかった』 >>113 「それは違う。断じて違う」
『幼い日の幻影』 >>203 「・・・何だ。喧嘩売ってんのか」
『Lost』 >>295 「大丈夫じゃなかったら、どうする?」ユキナ書き
『Lost』 >>296 「・・・・・・お前、何してるんだ」ユキナ書き
『夏の日の私達』 >>301 「ならその残りのパワーとやらで踏ん張れ」
『遠き彼に花を捧ぐ』 >>334-336 「だから、お前には、待っていて欲しい」
『世界が消えてなくなるまでの3秒でキスを交わそう』 >>356-357 「良い訳ねぇだろ馬鹿か」
『ワンコイン、プリーズ!』 >>360-361 「10円貸せ。」

|Host
『甘く蕩ける誕生日の10時頃』 >>378 「じゃあ、どれ位好き?」



|企画/シリーズ
卒業の春、また巡り合える事を願って。 (円豪鬼) >>374-376


[inzm|捧げ物,頂き物.]
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|捧げ物
『毒舌姫と七人の狼君』>>16  りむうへ
『ラーメンと君』>>17 風風へ
『君不足。』>>18 りむうへ
『オルフェウスの皆と。』>>19 星兎へ
『恋は残酷』>>297 風風へ
『王牙学園の日常。パターンD』>>332 漆黒へ
『ハッピーエンドはまだこの先』>>392 りむうへ
『雨色不知火が視た幻想』>>397->>398 りむうへ
『指揮者はそのタクトを祈りのように描いたのです』 >>426 誕生日を祝ってくれた皆様へ

|頂き物
『彼氏の事、』>>20 りむうから。
『校則違反です、それ。』>>21 りむうから。
『春桜心中。 〜heart of blossom〜』>>228 漆黒から。
『誕生日に、君に捧げる物は 俺からの君にしか言わないこの言葉で』>>408 ミミから
『その一瞬を』>>412 海穹から
『桜色ラバー』 >>422 漆黒から
『君にこの言葉を』 >>423-424 アーシェから



[Others.]
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|memo.
>>241 >>344

| バトン
 バトンの説明 >>260
・愛してるんだけどバトン >>261
・柄風教えてくれバトン >>366

|遊んでみた。
・オリキャラに100の質問! >>94 >>95 >>96 >>106
・オリキャラに100の質問!第二弾 >>363



+up (更新履歴)
0504’お礼短篇+1
0429’3長篇+1
0427’3長篇+1
0426’3長篇+1



230326 スレ作成記念日

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Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.370 )
日時: 2012/02/26 17:02
名前: りむう@薔薇結晶 (ID: CDKSbPfv)
参照: オリキャラがいっぱい出来たよ!←


バトン終わったぜ!
相変わらずのクズ文だったぜ!!

おおぅ…アズが出とる。不良女もサッカー出来ます。
えぇ、怒らせたら駄目だよ!←
キックが色んなところから色んなところに…!!

それじゃ^^ノシ

Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.371 )
日時: 2012/02/26 18:14
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: 期末テスト終わった。あ、ちょっと逝って来ますぶもももも。

>>りむう
おお、久しぶりに此処のスレ来たな!
バトンをどうも有難う。もう引き受けてくれるだけで女神だよ。

何か御免ね。アズの扱い酷いね。
でも4期はこういう風にちょっとしたギャグも入れていこうと思う。基本シリアスだからさ、ギャグも必要だよねうん。
松風天馬だよ!松茸違うよ!!←

それじゃ!ご飯食べたらソッチ行ってお題読むね〜!ノシ

Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.372 )
日時: 2012/02/26 18:15
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: 期末テスト終わった。あ、ちょっと逝って来ますぶもももも。


「本来の姿に戻る事の出来る様になった今の我でも、此の様にお前さんに縛られている身だ。故に、お前さんに逆らう事の出来ん立場でな。
 …話、ちゃんと分かっておるか?」

『イ、 イエス、』


其れからという物、元の姿に戻る事が可能になった黒姫は、“本題”とやらをペラペラと喋り始めた。
お陰で頭の効かない私の脳内はドンちゃん騒ぎだ。


「以前申した様に、我は一秒でも早くお前さんから解放されたいと願っておる。だがどうも、早すぎるのもいかん訳だ。
 ちゃんと、その時は来るのでな。気をつけい?我がお前さんの身体から解放されると同時に、お前さんの白龍と我の黒龍の暴走は、確実だろうからな」


何やら話しの内容に寄ると、私が黒姫と初めて面会した際に放った黒姫の最後の言葉。
黒姫としては一刻でも早く私から開放されたいが、それが早過ぎるのもまた駄目ならしい。この世界の全ての事において、此処から如何なって如何なるか、が決まっていて全てがその神様の書くシナリオ通りに事が進んでいるとする。黒姫の私からの開放も同類で、その運命、日時、結果など全てが最初から決まっているという。

そのシナリオ通りに事を進めなければ、自ら自滅の道を開放した事にも成りかねない。しかも此の黒姫の開放には黒姫だけでなく、私や白龍黒龍も絡んでいるので、事はとても慎重に進めなければいけないという事だ。


「ま、我に至っては白龍と黒龍の暴走は別に如何でも良い話だがな。時と場合に至っては好都合にも不都合にも成りかねん。
 お前さんにとって其れは紛れも無く厄介な事になるがな。我の言葉を覚えているか?
 “この二つの龍が一つになる時。きっと世界は終わるだろう”。良く覚えておく事だな、寛大な我からの最後の忠告だ。
 “永遠龍王”は、危険だ。その気になれば、世界を壊せる程の力を秘めてる」

『えいえん、りゅうおう?せかい、壊す』 

「言っておくがな、我が狙っておるのは何時でもお前さんの身体だ。解放なんて綺麗な言葉を使うても、我がお前さんから出て行くのではない。“我がお前さんに、清野サクラになる”。其の為には何だってするぞ。お前さんには、消えて貰うしかないがな。
 お前さんには悪いが、ずっと縛られて来た此の運命、少しは味わってみるが良い。」


如何やら彼女は私の身体が欲しいらしい。恐怖さえも覚えるが、目の前に居るのが幼女である為、冗談にしか聞こえないのは何故か。
大変な事になってきた。黒姫は私の身体を乗っ取り私と自分の立場を回転させ、自由になるのが望み。そしてその際に白龍と黒龍が暴走するのも確実だと。
私に対するメリットが一欠けらも無い。それは、必ず起こり必ずそうしなければいけないのか。そう尋ねると、当然の様に鼻を鳴らし高く笑う幼女。


「当然であろう?不運だな。その“時”が何時になるのかは我も分からんが、その“時”が必ず来るのは分かる。
 そして、」


幼女は私に向かって鋭く指を指し、先程の高笑いとは打って変わった不適な笑みをニヤリと零し、続けた。


「お前さんの兄、確か、ゴッドリームとか言うチームの主将だったな。ソイツが巻き込まれたあの爆発事故の真相も、次期明らかになるだろう。」

『如何いう、意味?』

「我の解放の事にも、そのお前さんの兄の事件にも、嗚呼、何と言うたか、…あ、そうそうガルシルドだ。
 ガルシルドという小太り中年の男が絡んでいるのでな。気をつけるんだな。」


“そして、そのペンダントにも。注意を払って置くと、心強いと思うぞ?”そう言い残して、幼女———黒姫は消えた。
——否、実際には私が消えたのかもしれないな。その証拠に、今まで居た神殿の様な場所でも無いし、黒姫も龍の彫刻も消えている。
代わりにあるのは、何もかも白で埋め尽くされた、病室と、———4歳ぐらいの、綺麗な蜂蜜色の髪の毛を持った、女の子。


240226

Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.373 )
日時: 2012/02/27 18:22
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: BUMOMOMOMOMOMOMOMOMOMOMOMO☆









「この世界に、『革命』という名の曲を奏でるなら、」


「咲き乱れる女帝、末永く羽ばたき続けろ。その、欠けた翼でな」




七瀬虹彩。及び、コイロ・シーウェル。
『サッカー』という名の翼を失った虹彩の女帝は、此の世界を変えられるか———。




「…『世の中は公平』なんて…嘘ばっかりじゃん…。」


「あんたらみたいな奴らがあたしは一番大っっ嫌いなんだよ!!」




桜咲く春の入学式。

転入してきた虹彩は、咲夜梓美と出会う。
喧嘩ばかりの世界で生きるしかない。あんな幸せそうにサッカーやってるアイツ等が大嫌い。
あたしは、やりたくても出来ないのに、ちゃんと噛み締めてるのに、唇が血で滲む程我慢して来た。それなのに。




「咲夜。お前、サッカーやらないか?」


「は?」




本当は大好きだったサッカー。
梓美に手を差し伸べた、霧野蘭丸。此れからの二人の運命が、大きく変わる。

あの時霧野が居てくれたから、今のあたしがある。
あんなに迷惑ばかり掛けたのに、あんなに人殴ったのに、怖がる事無く手を差し伸べてくれた霧野やサッカー部の皆に感謝している。




「だってお前、サッカーやりたそうだったから。何時も見てたろ?放課後」




だから今度は、あたしがアイツの事を助けるんだ。
霧野みたいに、あの時あたしを“サッカー”に引き上げてくれたみたいに、今度はあたしが、アイツ———虹彩を。






「確かにお前は強い。一人で俺達全員立てなくする事も出来るだろう。だけど、もう充分じゃないのか?何で、これ以上の強さが欲しいんだ?お前は、」


「お前は、独りじゃないさ。仲間が居るだろ?」




私は此の人が嫌いなのに。
此の人の事が、大嫌いなのに。何で、

神童拓人。今の、墜ちた雷門サッカー部を支える、チームキャプテン。
神童と虹彩の再開が、此の世界に大きな波乱を呼ぶ———!




「独りで抱え込むんじゃない。全て俺達にぶつけても良い。全部受け止めてやるから。だから、

      —————もう少し、周りに頼れよ。もっと、俺達を信じろ!」




そして、二人の間に、新しい感情が、芽生え始める頃。








時を遡る事、10年。
イナズマジャパンがフットボールフロンティア世界大会で優勝し、サッカー界を含め、世界に大きな渦を巻き起こした、あの年。

伝説の、桜の使い手が実在した———。




「サッカーって言うのはね、別に特別な物でもないし、勉強みたいに義務付けられている訳でもない。
 只のスポーツ。そういう遊びなんだけど、その存在一つで世界を変える、大切なものが何か教えてくれる、素晴らしいなスポーツなんだよ。」


「ほら、何処かのサッカー馬鹿が言ってたでしょ?只楽しいだけじゃない。今の自分に必要なものが何か、示してくれるスポーツだって。
 それが、仲間でも、時間でも、…技術でも、ね」



10年前のフットボールフロンティアでは日本代表イナズマジャパンの優勝に大きく貢献した、大会でも数少ない女子選手。
清野サクラ。またの名を、サクラ・カーライト。

虹彩と出会い、10年後の雷門イレブンに革命の火種を植え付け、虹彩と今後の雷門の運命を大きく変える女コーチ。
今、虹彩の師匠———サクラはイタリアから帰国し、日本に居た。





「恐くなんか無い。サッカーは、恐がるモノじゃない。恐がる必要なんてない。お前には、ちゃんと仲間が居るだろ?ソイツ等を信じろ」


「虹彩、お前もサッカーやろうぜ!」




太陽の様な笑顔の似合う伝説のゴールキーパー。
今此処に、アイツが帰ってくる———。




「全く、私も嘗められたものね。こんなんじゃ“ナイトメア・クラウン”の監督も碌にやってられないわ」


「さぁ?其れは貴女が決める事。自分の人生なんだから、自分で決め、一度決めたら其れを絶対に曲げない。
 一度きりの人生。サッカーで生きるんなら其れで良いわ。但し、全うに生きなさい」




海外で“ナイトメア・クラウン”の監督をしている、ジュリア・クラウン。
未だそのサッカーセンスは衰えていない。

突如日本に来日した、彼女の目的とは———?





そして、虹彩が此処までにサッカーを拒否する理由———。




「ええ。状態は今日も安定してるわ。でも、まだ意識は戻っていない。ごめんね、私は専属の医者だと言うのに」


「そ、うですか。……いいえ、大丈夫ですよ。…過去さんの、所為じゃ、無いです。私の所為なんです。私が、日向を!」


「止めろ。お前の所為じゃ無いよ。虹彩。それにこうやってお前は毎日此処に来ている。それだけで日向にとっては充分過ぎる程じゃないのか?」




“日向”とは、虹彩が此処までサッカーを嫌う理由とは、一体何なのか———?

そして、同時に迫り来る、黒い影。




「聖帝。いかが致しましょう」


「…七瀬が雷門に、か。充分に警戒を張っておけ。動きを見せるまで、様子見だ」



「怖気付いて逃げ出したかと思えば、我々に対する革命側に付きましたか。是からの虹彩の成長…ふふっ、見物ですね。
 ですが、成長し過ぎた花は、摘み取らねばなりません。」

「千宮路には伝えたのですか?…白竜とシュウにも、一応伝えて置きましょうか」




フィフスセクターに関係する人間の、隠れた支配者。
彼女は、一体。





「もう、俺は、此のチームには必要無いのかもしれないな、」


「私の為に、こんな事しなくても、—————ッ!?」


「言っただろ。守るって。」





240227
予告完結。改正篇。

Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.374 )
日時: 2012/02/28 21:19
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: 卒業の春、君を攫って一生逃げられたら良いのに。


チカチカ、カーテンの隙間から漏れる光が眩しい。
例え瞼を閉じていても、今の俺にはとても眩し過ぎる光だった、


「———……ッ。」


色んな意味で。

今日は、雷門中学生で居られる、最後の日。





 Project [ 卒業の春、君を攫って一生逃げられたら良いのに。]





「卒業証書。授与、」


桜の蕾が芽吹き始める今日この頃。
俺達雷門3年生は、卒業の日を迎えた。

理事長が重々しい言葉を発する。この言葉は悪魔の言葉だ。あの紙切れを貰うと、俺が俺で居られなくなる。———なんて、思ってもいない事を言ってみるのだけれど。

でも、悪魔までは行かないが、俺にとってとても痛々しい言葉だった。「円堂守」そう名前を呼ばれた時に、俺は、此の学校を卒業する。
同時に、仲間達が切り離される。覚悟は出来ていた。こうなる事はちゃんと分かっていた。分かっていたのに、時が迫って来ると、やはり落ち着かないものだ。

豪炎寺は、父の意思を引き継ぎ、卒業したら直ぐドイツに旅立つ。ドイツの医学専門学科へ進み、後に雷門病院を継ぐ準備だという。
鬼道は、雷門を卒業したら高校は帝国に戻り、佐久間や源田達とサッカーや財閥を継ぐ為経済学や帝王学を学ぶらしい。
…じゃあ、俺は?

俺は、何処へ行くんだっけ。何をするんだっけ。
そうだ。サッカーをするんだった。忘れてた。でも今はそんな事より卒業式だ、じゃなくて、豪炎寺や鬼道と会えなくなる事だ。
やっぱり覚悟はしていた。高校なんて自分の勝手。他人が口出せる問題じゃない。
でも如何してだ?二人の進路を聞いたあの日あの時の俺は、何事も無かったかの様にすんなり引き受けて。


「円堂、守」

「はい。」


名前を呼ばれた。
こういうのは、小学校の時に体験した。

卒業証書を受け取った時、自然と涙が一滴証書の上に落ちた。あれ、俺何で泣いてんだろ。

椅子に戻ると、「円堂君、」隣の秋が満面の笑みでこう言った。


「卒業おめでとう」


良く見ると、秋の瞳は赤く腫れていた。泣いていたのかな。
だが今の俺には、その秋の笑顔は余りにも眩し過ぎて、思わず顔を背けた。一瞬秋は驚いた顔をしたが、直ぐにまた笑って、「おめでとう」とだけ言って視線をステージ上に戻す。
俺今、何で秋を真っ直ぐに見れなかった?自分の中で問いかけても、答えは出ない。
只、真っ直ぐに未来を見つめる秋の笑顔が、朝の日光と同じ位俺には眩し過ぎたって事だけは分かった。思わず目も眩む。秋の表情は、今も清々しくて俺が逆に恥ずかしくなってきた。
初めて、秋がとても綺麗だ。そう実感した時だったのかもしれない。

覚悟を決めた、女の顔。過去は思い出にして、今から未来を歩くっていう決心をした、女の顔。俺にはとても、眩しかった。






 +



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